EVバイク


目の前にある2台のEV-neo。ボディセンターのトレードマーク(コンセントをモチーフとしたEVデザインマーク)が緑、片や赤。赤いほうは新しいカラーバリエーションかと思いきや、よく見たら荷台の下に「Hyper EV」と書いてある。実態は新技術を搭載したプロトタイプ(実験車両)だ。

トレードマークが緑、つまり現在リース販売中であるEV-neoとの違いは、まず原付二種に属するモデルだということ。つまり、定格出力が0.6kw以上、1kw以下のパワーユニットを搭載しているということになる。そのためか、車体後部左側にモーターが収まるスイングアームのケース自体大きくなり、その分リアサスも左側だけレイダウンされている。

担当研究員さんによると、このHyper EV は新しい駆動系も搭載しているとか。しかしまだ研究段階のため、詳しいことを聞くことはできなかった。

ただし、試乗は可能だった。比較のため、まずはお馴染みのEV-neoから。定格出力0.6kw以下(EV-neoは0.58kw)の原付一種モデルの電動バイクの中ではデリバリー業務に特化しており、発進から力強い走り(最高出力2.8kw=3.8ps、最大トルクは4ストローク125ccクラス並みの1.1kgf)を見せる一方、電気の特性でもある急激なトルクの立ち上がりは見事に制御され、とてもスムーズな走りだ。試乗コース内(200~300m位の直線)では45km/h位までスムーズに伸びていった。

一方、プロトタイプのHyper EVはというと、さすが原付二種クラス。加速は鋭く、同じ距離の到達速度がEV-neoより10km/hほど高かった。ただし、発進時にスロットルをEV-neoのつもりで開けると、体を後方へもっていかれるような唐突なパワー感があるあたり、このバイクが実験段階であることを感じさせた。

EVバイク
グリーンのマークが原付一種のEV-neo。電動だけに出足は鋭い。

EVバイク
レッドのマークが原付二種のHyper EV。一種よりも鋭い出足がはっきり解る。

プロトタイプのHyper EV、おそらく駆動系実験のため敢えて大きな出力のモーターを搭載しているのだろう。実車を見ると、EV-neoは内燃機関のようなマフラーが不要のため後輪右側は空きスペースとなっているが、Hyper EVはこの部分に黒いスイングユニットが装着されており、ココに何やら秘密が隠されているようだ。

試乗コースには同じく駆動系研究のため、ジョルノをEV化したモデルもあったが、こちらも車体右側に怪しい機構が備わっていたが、こちらはHyper EVとはまた異なる駆動システムとのことだった。

二輪車に関しては原付EVが国内3メーカーから出揃った。ゼロエミッションで環境に優しい乗り物だとは誰もがわかってはいるが、まだ手ごろとは言えない車両価格や航続距離といった実用面で、ごく普通に普及するに至っていないのが現状。

ただ今回の秘密の駆動システムなど、さらなる高効率を求めた研究も地道に行われており、実用的でもっと多くの人が乗れる価格が実現すれば、ホンダが提案するEVスポーツカーのみならず、原付EVにも“FUN”は存在するはず。Hyper EVはそんな未来を担っているのかもしれない。


EVバイク

EVバイク
ジョルノベースのEV試作モデル。マフラーがないのがEVの証。乗った感じはEV-neoよりマイルドなセッティング。
自転車タイプEV「酷士」

自転車タイプEV「酷士」
中国で生産され中国で販売される自転車タイプEV「酷士」。電動アシストではなく漕がなくても走る「別に……」仕様(笑)。現地価格は4万円弱。

前のページへ][次のページへ

[ホンダモーターショーモデル緊急試乗へ]