KAWASAKI 2011 NewModel Kaihastu Ninja 1000

※KAWASAKI 2011 Model Ninja 10000
ツーリング性能を兼ね備えたスーパースポーツモデル

■ボディワーク

* スーパースポーツスタイルのフルフェアリングにより、人を振り向かせる斬新なスタイルとなったNinja 1000。スタイリッシュな外観だけではなく、優れた実用性も備えています。調整式のウインドスクリーンを装備し、ショートツーリング時に有効な風防性も発揮します。
* サイドフェアリング先端部分には、バイク周辺の風をマネージメントする「スラットスタイル」デザインを採用。これによりサイドフェアリング中央部は、膨らみを抑えたスリムな形状となっています。
* サイドフェアリングは後端で広がる形状とし、ライダーの足をエンジンの熱から保護。
* フロントのウインカーユニットは、バイクの転倒時にフェアリングへのダメージを最小限にするため、フェアリング内側の取り付け部をラバーマウントとしています。
* 優れたエアロダイナミクスとレーシーなイメージを実現する、スーパースポーツスタイルのフロントフェンダーを採用。
* スリムでコンパクトなテールカウルデザインにより、前方重心の躍動感のあるスタイリングとなっています。
* テールランプには赤色LEDバルブと透明感の高いレッドレンズを採用。
* リヤエンドの軽快なルックスを生み出すスリムなリヤフラップ。
* リヤホイールのシルエットが見えるほど小型化された、ショートサイレンサー。
* スイングアームには、カワサキアイデンティティーを表現するエキセントリック式チェーンアジャスターを装備しています。
* スポーティなイメージに貢献す るスーパースポーツスタイルの スロットルケース。
※KAWASAKI 2011 Model Ninja 10000
■メーターパネル

* 大径アナログタコメーターとマルチファンクション液晶ディスプレイを装備するスポーティなインストゥルメントパネル。スーパースポーツモデルNinja ZX-6Rのメーターをベースに、専用の文字盤を採用しました。* スピードメーター、タコメーター、燃料計、オドメーター、時計、デュアルトリップメーター、警告灯などを装備しています。
※KAWASAKI 2011 Model Ninja 10000
ライディングエキサイトメント(エンジン)

ライディングエキサイトメントとは、最高出力や最高速度などの数字や、排気量や装備などのスペックから得られるものではなく、ライダーの体感から生まれるもの。スロットルフィーリングに主眼を置いたNinja 1000のエンジンは、スロットルを開けた瞬間に強大なトルクを発生し、力強い中間加速を経てレッドゾーンまでスムーズに吹けあがります。

■エキサイティングエンジン

*1,043 cm3 水冷並列4気筒DOHC16バルブエンジンは、強力なパワー&トルクを発生。
* ボア・ストローク(77.0 x 56.0 mm)は、ストリートライディングにおける常用回転域でのパワフルさを追求し、設定されています。

* ダウンドラフトスロットルボディを採用。一般的には、短いファンネルと組み合わせ、吸気管長を短くすることで高回転域での性能を追求しますが、Ninja 1000では最適な長さのエアファンネルを制作し、刺激的なストリートライディングのためにベストなエンジン特性としています。
* 低中回転域のレスポンスを重視し、φ38 mm のスロットルボディを採用。
* 楕円サブスロットルバルブを採用することで、エンジンのスリム化に貢献。
* エンジン特性はスロットルを開けた瞬間の加速感を重視。どの回転域からでも、スロットルと駆動輪が直結したかのようなトルク感で力強い加速を発揮します。
*優れたオーバーレブ特性により、レッドゾーンまでスムーズな吹け上がりを実現しています。
* スロットルワークにリニアに反応するエンジン特性。中回転域ではシルキーでスムーズなスロットルレスポンスとし、7,000 rpm 以上の高回転域では、4気筒らしい胸のすくような吹け上がりを見せます。
* 2次バランサーの採用により、無用な振動を低減。ただし、振動を全て消し去るのではなく、それぞれの回転域でNinja 1000のエンジンフィーリングを感じ取れるよう、心地よい振動をあえて残しています。
※KAWASAKI 2011 Model Ninja 10000
■クールエアシステム

* エアボックスを左右メインチューブの間に配置。吸入空気のエンジンからの熱影響を低減させています。
* クールエアシステムは、サイドフェアリングの前方にあるダクトからエアボックスへ冷たい空気を取り込むことで、吸入空気の高温化によるエンジン性能の低下を抑制します。
※高速走行時の風圧による過給効果を利用した「ラムエアシステム」とは異なります。
* エアボックス内側にレゾネーターを設けることで、低回転域での騒音を低減し、高回転域では吸気音を高めています。
※KAWASAKI 2011 Model Ninja 10000
■ギヤ

* スポーツライディングからショートツーリングにも対応するようギヤ比を設定。

■エキゾーストシステム

* エキゾーストシステムは、4-2-プレチャンバー-2のレイアウトとなり、サイレンサーエンドキャップは4本出しのイメージとしています。
* メインキャタライザーとプレキャタライザーをダブルで装備することで、排出ガスの清浄化を実現。
* 右側サイレンサーの直前(上流)に排気デバイスを装備。
* エンジン下部にプレチャンバーを配置することにより、サイレンサー容量は片側で3L、重量も3,500 gに抑えられています。また、マスの集中化と低重心化にも大きく貢献。

Q:開発のコンセプトをお聞かせください。

古橋さん(以下敬称略):元はというと'03のZ1000がきっかけとなった欧州でのネイキッド・ブームがあります。そのZ1000の3代目となったアルミフレームのZ1000はスタイルと走りを優先しました。これも好評はいただいたんですが、それに対して、もうちょっと実用性のあるというか、幅広い使い方が出来るモデルが出来ないか、ということがありましてこのモデルを開発しました。

基本のフレームはZ1000を流用してます。エンジンもZ1000をベースにしてますけれども、フルカウルをつけて、容量で4リットルアップした燃料タンクを採用、シートもツーリング性の向上を目的に厚さ10mmアップのウレタンで座り心地をアップ、タンデム性も考慮してリアシートを大型化、タンデムグリップも追加して、よりツーリングに適したモデルとしています。

カウルでは、ウインドシールドの風防効果は快適性という意味では大きい方がいいんですが、スタイリング的には小さい方がカッコイイよ、ということで両立できるよう可変に挑戦してもらいました。

オールマイティに使えるバイク。Z1000にあったスポーティさはそのままで、“スポーティではあるけれどツーリングにも使える”がこのバイクのコンセプトです。セパレートハンドルになっているんですけど基本ポジションもZ1000を踏襲してます。ライディングポジションはシートのウレタンが厚くなっているので若干変わってますが。快適性を高めるためステップもラバーマウントし中空ラバー付にしました。

Q:Z1000にカウルをつけたのがこのモデルなのか?

山本:エンジンのセッティングは若干違います。

古橋:派生機種といえばそうですが…。

Q:オールマイティということを強調してますが、ジャンルでいうと?

古橋:Z1000はスーパー・ネイキッドですが、このクルマはどっちかというと新しいカテゴリー。スポーツ性はそのままだが、ツーリング性をプラスした。

Q:クルマで言うところのSUV? ユーティリティを広げたスポーツカーなのでしょうか?

古橋:スポーツ性+ユーティリティ。

Q:とがったネイキッド・モデル?

古橋:これでサーキット走る云々ではないです。一般道路であくまで楽しむレベルのユーザー。

恵山:スーパー・スポーツ離れをしている人達が増えているようで、その心をしっかりつかもうと考えました。そのお客様がコアのメンバーになって、いろんな人がこれに乗りたいなと思ってついてきてくれると嬉しいです。スタイリングですが、Z1000ではかなりデザイン性優先で進めたために、割り切りすぎた部分もありました。燃料タンクが小さいとか、リヤシートが小さいとか。

ところがやっぱりいろんな人達に楽しんでもらおうと考えるとZ1000は割り切りすぎの部分があったかな、というわけです。そこら辺をもう少し見直すことで裾の広いお客様に乗ってもらえるようなモデルが出来ないかなといろいろ社内で話し合いました。車体の基本デザインを担当したのは、現在は退社されましたが、Z1000とも同じデザイナーです。

Q:Z1000、ダエグ、ZZRとの棲み分け。

古橋:DAEGはヨーロッパと北米市場向けモデルはないですね、国内だけです。(国内での市場については)DAEGは今となってはスタンダード的。10年前のモデル。攻め込んでいくと…このモデルは攻めて行ったところもOK、ZZRとは排気量が違う、車格がまったく違います。

Q:日本でもいよいよ次世代のネイキッドに行けるのでしょうか?

古橋:いつまでも2本サスでいいのか、というのはあります。

Q:デザインについて。モチーフは?

古橋:10Rも同じデザイナーさん。獰猛さを醸し出すようにした。あとはスポーティということで戦闘機をイメージしていただければ。

山本:スーパー・ネイキッドにZ1000、スーパー・スポーツにZX-10R、スーパー・ツアラーにGTR。このクルマのポジショニング、成り立ち的にはスーパー・ツアラーとネイキッドなんでしょうけど、スーパー・スポーツとツアラーの中間というポジショニング。もともとがスーパー・ネイキッドなのでスーパー・ネイキッドは考えなかった。

古橋:我々が思っていた中では出来るだけスーパー・スポーツ寄りで開発したい。それにプラスして2泊程度のショートツーリングはできるように。延々と走り続けるようなモデルじゃない。

Q:シートが高くないですか? 日本向けのオプションはなにか考えてますか?

古橋:ヘルメットフック(ワイヤー)はアクセサリーで用意する予定です。ツーリングシートは考えていない。ローシートは特に設定していません。Z1000より10mm厚くしてますが、角を絞り込んであげているので座りやすいのでは。

恵上:もともとZ1000を開発した時に、“ライディング・インパクト”をキーワードにして開発しました。これを得るには、ニーグリップの細め感が大切だと分かりましたから、新作のNinja 1000タンクでも、ニーグリップ部を細めにしています。シート高変化は気になりましたが、ツーリング性を上げるためのシート厚み増しは、クルマとしては必要ということで厚みを増やしました。

Q:タンクの容量はどのように増やした?

古橋:IGスイッチの位置をタンク前から移動したのと、かさを上げて容量を確保。4リットル増えてます。

Q:開発はZ1000の後でしょうか? 先? プランはいつ頃始まったのですか?

古橋:構想はZ1000と同じ頃にあったと思うんです。正式に開発として始まったのはZ1000の後になりますが。ターゲットユーザーはかつてスーパースポーツに乗ってた人で、でもツーリングもしたい、と考えるようになったスポーツマインドのあるライダーです。

恵上:Z1000は3代目ということで、ハッキリとしたスーパー・ネイキッドのニーズがあったから開発が始められました。もし仮に逆だったとしたら、つまりスーパー・ネイキッドのカウル付きを先行して開発すると構想したとしても、ベース車体がなくてリスクが高すぎて、やれなかったと思います。

Q:アルミフレームのZ1000がベースということで、2代目のZ1000の鉄フレームに対してNinja 1000もかなり硬質感を感じるが?

恵上:Z1000も3代目になって、新作のアルミフレームを使う等して、走りはだいぶ良くなった。自分達の考える走りのレベルはどんどん変わってます。以前とは全然違う。走りの部分を完成させようとして出来上がったのが3代目Z1000。ただスタイリングを優先させるつもりで進めたこともあって、誰でも気軽に、というわけにはいかないだろうと思っていました。これだけ走れるクルマが出来たのだからもうちょっと多くの人に乗ってもらいたい、とこのモデルを開発しました。Ninja 1000もZ1000ベースのアルミフレームを使っていますが、もしも3代目以前の鉄フレームベースでNinja 1000を作ろうとしたら、特にパニア付での操縦安定性などではフニョフニョしてしまって、出来なかったと思います。

山本:2代目のZ1000をやる時には乗りやすさを目標に、初代の欠点を無くすモデルチェンジを行った。非常に乗りやすくはなったのですが、でも何か物足りなくなってしまった。2代目で初代が作り上げた評価が失われてしまった部分も多かった。2代目は穏やかで…日本で乗るには良かったかもしれないですけどね。

恵上:自信を持って出したZ1000の3代目なんですけど、それで東京までツーリング行くか、とか考えるとカウルも欲しい…とかなる。いろんないいバイクがありますけど、それぞれの部品の機能/仕様で、何がいる、何がいらないか、を整理して考えるとNinja1000になりました。そういう意味ではこのモデルは“普通のバイク”なんですよ。ところがその開発の中で苦労したことの一つに、この車を一言で言い表せるカテゴリーやキーワードが見つけられなかったことがあって、それが原因で、社内で辛い思いをした打合せもありました。

古橋:ヨーロッパと日本ではツーリングの距離感が違う。

Q:(デザイナーさんは)ファミリーフェイスにこだわって来た人、その人がデザインをやったのでNinjaにこだわったのか?

古橋:北米市場と同じ感覚でやりました。400、600とイメージをつなげています。シリーズの頂点。4気筒でZ、スポーツ車がXなのでコードはZXに。カウル無しはZR。くくりとしてはスポーツ性を重視しているが、あくまで“普通のバイク。

Q:エンジンについて。排気量は3代目Z1000と同一?

山本:完全新設計の3代目のエンジンをほぼ踏襲してます。艤装は若干違うが同じと思ってもらっていいです。二次減速でスプロケを1丁変えている(42→41)。クルーシングでシフトがせわしくならないようにということで。ECUのセッティング、Z1000もレブリミッターを使っているが、このクルマではレブリミッターのあたり方をよりソフトにしています。

3代目Z1000でエンジンをフルチェンジした理由は、ライディングインパクトを出すために、圧倒的な中低速トルクが欲しかったためです。排気量も上げました。100ccくらいです。なおかつエンジン特性を変えるという手法もとりました。2代目は中低速を重視した。3代目は上まで伸びて、中低速でも2代目を上回るように。Ninja 1000は微妙なセッティングは違いますがほとんど一緒です。

Q:カウル付きですがクールエアシステムは?

山本:吸気系は基本的には同じ。カウルがついて経路が長くなったことで変更はあるが、基本的には同じ考えかた。

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