DUCATI MULTI STRADA 1200S Page3 Title

実際、アーバンモードにした街乗りでは前後のサスがソフトライドになり、マンホールや路面工事で出来たアスファルトのパッチ、それに交差点などで轍をクロスするような場面でも突き上げ感のないマイルドな乗り味になる。それでいて左折や車線変更という、バイクが持つ独特の運動性がスポイルされる感覚はない。また、トラクションコントロールのレベルは1~8までの間で6。強めの制御がかかる。これは濡れた石畳、マンホールなども想定したものだという。ドライ路や濡れた市街地も走ったが、普通に走る分にはまず介入しない。

そしてツーリング。これはサスペンションのダンパー特性もピシッとしたものに変化する。街中走行ではややコツコツ感が出る。アクセルレスポンスも開度1/8あたりで比較するとアーバンよりもよりダイレクト感が増し、スポーツライクになる。トラクションコントロールの介入レベルは5となる。

 

次にスポーツ。このモードでは前後のサスペンションのダンパー設定が明らかにハードになる。街中ではゴツゴツした乗り味になる。勿論、荷重をかけたワインディングでの走りではピリッとしたものとなり、190キロを僅かに超えた車重、ピレリが開発初期から参画し、専用構造としたピレリ・スコーピオン・トレールも満足のハンドリングとグリップ感を提供。ドカティストに伝えるなら言わば普通のドゥカティになるモードか。

 

そしてエンデューロである。このモードではリアのスプリングプリロードを掛けることでリアの車高も変化。ボトミングに対応したハードな設定となる。また、フロントは対照的にダンパーを抜き、路面追従速度を上げる設定となる。結果的にタイヤのグリップをよりライダーに解りやすく伝えるセットへと変化するのだ。トラクションコントロールは2と、介入度が低くなる。面白いことに、リアが高く、フロントが良く動くことで市街地、ワインディングともエンデューロモードで走ってもかなりの軽快さを楽しめる。

まさに4タイプのバイクになる。そして場合によっては真逆に思えるモードで走ると新しい発見があったりする。基本的に電子で操られているわけだが、人間の五感に沿ったチューニングがなされているだけあって、無粋さがない。グランプリテクノロジーを感じる次第だ。

 

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