開発者(無論プラモデルの)を招いてのトークショーが青山のホンダウエルカムプラザで開催されるなど、昨年秋の発売から大いに話題となったタミヤ1/12オートバイシリーズのRC166。
バイクプラモに興味のない人でも、名前くらい聞いたような気がしませんか? 気がしない人は、聞いたけれど忘れているだけです。きっと。
凝りに凝ったその内容は、バイクプラモ新時代の扉を開けたのです。と言ってもいいよね?
しかしひとつだけ大きな問題があったのです。そう、奥様は魔女だったのです……ではなく、
「欲しいけれど作る時間がない」「作る場所がない」「作る自信がない」
そう、奥様は18歳だったのです……じゃなくて、「プラモ3ナイ」の悩みを一気に解決してくれたのがタミヤのマスターワークコレクションなのです。
世間のご多分にもれず、あまり景気がいいとは言えないプラモ業界。その中でもあまり大きくないバイクプラモのマーケット。
そんな中、RC166というマニアにはたまらないけれど、一般的には「こんな古いバイクのプラモ売れるの??」という、ごもっともな意見にくじけることなく、「ヘッドフレームはテーパー状になっているから再現!」「エンジンのフィンも1枚一枚別パーツにして薄く美しく」「スポークホイールは細さの限界に挑戦」と、くじけるどころか、やりたい放題(失礼!)で製品化してくれたのは、ウエルカムプラザでトークショーをしてくれた名設計者、海野剛弘をはじめとするタミヤのみなさん。
勘違いしてはいけませんよ。これは設計者の自己満足ではありません(たぶん)。コストをあまり考慮しない少量生産のガレージキットならばともかく、世界のタミヤの製品。コスト、生産性、そしてなによりも組みやすく、破綻のない仕上がりが当たり前のように求められた上で、さらに上を求め追求した結果なのです。
「こういう時代だからこそ、みなさんを驚かせたい。せっかくだからビックリするようなものをやってみたかったんです」。
トークショーで、海野さんはさらり言い放ちました。かっこいいじゃないですか!
そんな素晴らしいプラモでも、「欲しいけれど作る時間もないし」「欲しいけれどじっくり作る場所がない」「欲しいけれど上手に作る自信がない」「金ならナンボでもあるでぇ」というような、もろもろの事情を持つみなさん(最後の方は極めて少数でしょうが)のため、「ならば作ってあげましょう」と、タミヤの専門スタッフが手作りで組み立て、塗装した、メーカー製の完成品がマスターワークコレクションなのです。
今回新たに加わったRC166の場合、26,040円という定価だけみれば「うわっ!」とのけぞるでしょうが、キットの本体が5,460円。それに、金属製のオプションパーツのフロントフォーク、クラッチセット(1,680円)とホイールセット(5,880円)が組み込み済み(※フロントフォーク・クラッチセットについては、マスターワークコレクションに組み込まれているのはフロントフォークのみ)なので、単純に計算して本体とオプションで13,020円。これですでに価格の半分です。さらに接着剤やら塗料やらパッケージ代、流通コストなどの諸々の諸費用がプラスされます。ということは、無論、機械化など出来ないのですべてが完全手作りということを考えると、かなり割安じゃないかと思います。
単純に比較はできませんがヤフオクに出ていたキットからの手作りのRC166の即決価格は8万円!これは、さらに追加ディティールアップされた部分も多く、かなり手の込んだすごいものでしたけれど。
うっとりするようなマスターワークコレクションRC166なんですが、残念なことがひとつだけあるんです。それは、カウルが固定されていること。キットは磁石を利用して脱着できたのですが、マスターワークコレクションは強度とか輸送とかコスト的な問題だと思われるが完全に固定されていました。
さっそく購入した二輪芸能文化評論家の健藤近二さん(タイトルカットのおじさん)が「エンジン見えた状態で飾りたいから、カウル外してくれや」と持ってきたんですが、しっかりと接着されておりましたので、腕に自信のある方、2万円を200円感覚で使える御大尽以外は、ポキッで半泣き確実なのでやめておいたほうがいいかと。
う〜ん、残念無念。チェーンもホントはオプションの一コマづつつなぐタイプが嬉しいんですが、それをやると価格は3倍くらいになりそうなのであきらめるとして、美しいエンジンが拝めないのは、悲しいお知らせです……。
エンジンはキットを購入して自分でこつこつ組み立てますか。一枚一枚フィンを組み立てる作る喜びうはうは、苦労もうはうはのホントに楽しいキットです。エンジンフィンを毎日一枚ずつ組み立てて、それを肴に晩酌するなんていう楽しみ方もありますしね。
結論としては、キットとマスターワークコレクションと両方入手するのが、イチバン愉しめるンじゃないかと思います。
ちょいと、お金はかかりますが……。
- マスターワークコレクションシリーズは戦車、飛行機、艦船、車など多彩なラインナップ。1/12のバイクは、MotoGPマシンやなつかしのWGP500マシン、市販車ではZZR1400をラインナップされているのだが、すでに在庫切れの商品もあるのですが、スポット生産(限定再生産)される場合もあるので、買いそびれた場合は公式サイトや模型屋さんをこまめにチェックしましょうね。マスターワークコレクションのバイクシリーズラインナップの詳細はこちらで。
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