裏庭の徒然草


●日時/場所:2011年6月8日 衆議院第1議員会館大会議室。

●タイトル:民主党二輪車ユーザーを支援する議員連盟と自民党オートバイ議員連盟の初の合同意見交換会(勉強会)。

●出席者:衆参議員45名 官庁=内閣府:政策統括官付(共生社会政策、交通安全企画第1担当)/警察庁:交通局運転免許課、交通企画課、交通指導課、交通規制課/財務省:主税局税制第二課/国土交通省:都市地域整備局街路交通施設課、道路局高速道路課、自動車交通局技術安全部環境課、企画課/経済産業省:製造産業局自動車課、以上19名の他、自工会/AJ/NMCAなど業界関係38名にマスコミ関係者


挨拶する自民党オートバイ議連会長・逢沢一郎議員

挨拶する自民党オートバイ議連会長・逢沢一郎議員、その右隣は民主党二輪車ユーザーを支援する議連会長・内山晃議員。その右が民主党議連副会長の三輪信昭議員。正面左端が自民党議連事務局長の松浪健太議員。超党派で二輪車利用環境改善へ——二輪界にとっても、まさに“歴史的”瞬間だろう。(撮影/打田 稔)


「今後は、たとえ政権が変っても二輪車問題の政策がぶれることはない!」


司会進行・松浪健太議員(自民党議連事務局長):初めての合同勉強会を開くことができた。この二輪車問題でたとえ政権交代があったとしても、ぶれない。政策を変えていくことはない。歴史的な1日だ。

ケイ

○中継解説:民・自両党のバイク議連による超党派、大同団結(複数の政党や団体が小異を捨てて、ひとつにまとまること)の実現に尽力したのは自民党の松浪議員。会合が始まる前、私の顔を見つけ「近藤さん、テレビで約束したことがやっと実りました」と声をかけられた。過日、BS11の『FACE』という政治討論の番組で、バイク乗りにして政治ジャーナリストの二木啓孝さんと私で松浪議員と当時民主党議員でバイク議連・幹事長の松木謙公議員をお呼びして、二輪車の利用環境改善問題について討論したことがあった。その際、我々が議員に強く求めたのは「超党派で行動してほしい」ということだった。その自民党の松浪議員の強い「超党派行動要請」に民主党側の“裏方”として動いたのが前田ゆうきち・前議員(愛知県)だ。この日、前田さんは私に「いやー、ケンタ君(松浪議員)から(超党派行動実現を)強く言われましてねえ、尻を思い切りひっぱたかれましたよ」と満面の笑みで話してくれた。  松浪議員の冒頭の開会挨拶に次いで、両党バイク議連の会長がひとこと述べた。

ケイ

内山 晃議員(民主党議連会長):(菅内閣不信任案問題で)私の処分決まっていないが、今この時点ではまだ総務庁で役職。オートバイは前輪で方向を定め、後輪で駆動していく、そして今回このオートバイに積まれているエンジンは民主と自民のツインになった。新しい道を走っていく、具体的に動いていく。2党で新しい国づくり。新しい国づくりの基礎になるかもしれないこの議連も大きく成長させていきたい。騒音、排気ガスなど様々な規制が厳しく、それがコストを高めている。個人的には、千葉へツーリングに行った時にバイクにすり抜けされて怖かった。すり抜けされるクルマはもっと怖いだろう。もちろんすり抜けは違反行為だ。しかし路肩が二輪車走行可だったら。その路肩も段差があったりするので、もっと整備して直し、二輪車の路肩走行を可にしたい。これは国交省に聞いてみたい。直すところは直すが大事だ。

逢沢一郎議員(自民党議連会長):席を同じにして、バイクの世界をどう切り開いていくか、その機会があったことはうれしい。喫緊の(二輪車に関する)課題は考えていかなければならないが、どこに問題があるか勉強していきたい。(個人的には)駐車場問題を省庁に聞いてみたい。ものづくり産業としてのオートバイは、国内ではピーク時からずっと右肩下がりだが、世界では引き続き評価が高い。国内での反転、攻勢はどういう形で見いだせるのか、新たな先が見渡せるのか、環境問題含め、民・自合同の議連で勉強していく必要がある。

ケイ

○中継解説:この後も他議員からも発言が出たのだが、バイクに乗る年配議員の先生方はどーも高速道路の路肩をバイクが走れるようにしたいらしい。私事で恐縮だが、その昔、わが社(東京エディターズ)の絶対的社長であったボス渡辺も「近ちゃん、社会問題やるなら、高速道路の路肩をバイクは走れるようにしろと取材しろよ!」と言われた。社長命令だし、言ったことをやらないとメチャクチャ怒るタイプなので、当時ダメ元で警察庁に聞いた。そうしたら「路肩はアクシデントなどの緊急避難場所や緊急車両の通行路です。そこを走るなどもってのほかです!」とあちらからも強く言われ(怒られ)、やっぱりダメ元だった記憶がある。たとえ議員が言っても、この行政側の答えは今も変わらないのではないかと思うのだが…。さて。  続いて各業界団体から永田町/霞が関への訴えが提示された。

ケイ

AJ:全国オートバイ協同組合連合会会長・吉田純一氏:阪神淡路の震災でもバイクは活躍した。東日本大震災でもバイクは役立っている。AJも宮城県知事の要請を受けて、東北4か所に分かれて(ボランティア)活動。現地の声は「もっと早く来てくれたらよかった」だった。電話、無線も通じない地域に連絡を紙でバイクが持っていく。物資も運ぶ。連絡事項を持って帰る。オートバイは経済性能が高く、災害に強い。ところがこんな役に立つオートバイが日本という国で“まだら市場”でしかない。もともっとバイクを使いやすい状況にしてほしい。駐車場問題で、都会ではバイクに乗れない状況が続いている。そこで警察庁や国交省に要望書を出した。警察庁からは昨年3月4日に交通規制課長・交通指導課長連名で取締りガイドラインの見直し通達が出ている。また国交省からは昨年4月、自転車駐車場への自動二輪車受け入れを進める通知が出されている。今年になっても、改めてより詳しい通知などが出されているが、現場までそれを行き渡らせ具体的になるまでの施策を考えてほしい。誰のための行政なのか、法律なのか。(保有台数)1280万台という二輪車が今、日本にある。それが乗れない、使えない状況はとんでもない事態だ。

自工会:日本自動車工業会・二輪車特別委員会副会長/本田技研工業専務・大山龍寛氏:二輪業界にとって、民主党、自民党参集で意見を聞いていただきありがたい。大震災での税制でクルマに対しては優遇政策がとられたことは感謝するが、二輪車の重量税については外されていたのを取り組んでいただけるということで、よろしくお願いする。2009年6月にバイクの有用性について取りまとめたが、特に原付二種の有用性は際立っていた。路上では3台でクルマ1台分のスペースしか占めないなどでだ。それと国内外の統一基準づくりは生産にも大きく関わってくる。その意味で、①125cc免許取得の軽減化をお願いしたい。(同クラスは)その有用性の高さから「生活モビリティ」と位置付けている。免許取得簡易化では警察庁はそれによって起こる安全性が問題だとしている。そこで安全性を確保しながら小型限定免許制度の改正に取り組んでいく。(技能講習を8時限から6時限に、そのうち3時限はシミュレータ教育だったのを実車講習に組み込み効率的に、6時限の技能講習は連続して受けられるように制限を設けない、技能検定をやめて最終講習を「見極め講習」にするなど)。②高速道路料金では二輪車は普通自動車の0・8の割合に料金設定されている軽自動車と一緒にされている。これを二輪車独自のものに料金設定するのと料金を引き下げていただきたい。これは長く行政に要望してきた事項だ。

NMCA:日本二輪車協会・広報部長・坂上雄一氏:  2006年の道交法改正以来、二輪車の駐車場問題が深刻。二輪車業界として100万人の署名活動など積極的に行なった。しかし、現状はまだ駐車場問題の解決には至っていない認識。自治体を訪問すると、用地の確保が難しい、あるいは費用の問題や放置自転車への対策が優先と言われる、このあたりが二輪車駐車場の整備が遅れている理由だと考える。配布資料で保有台数1000台当たりの駐車場整備数をグラフで示してあるが、乗用車が1000台当たり72.3台という駐車場が確保されているのに対して、自動二輪車は約8分の1の9.3台というのが現状。二輪車の駐車場整備状況は、私どもの調べでは、約7万台分が確保されているのが現状。こういう状況の中で、今後の我々の取り組みとしては、行政、駐車場事業者への働きかけを考えている。特に、我々業界としては、直接的な駐車場整備はできないということで、二輪専門誌にも頼んでユーザーへの駐車場利用啓発、(駐車場利用などの)マナーアップを積極的にやっていく。

ケイ

○中継解説:各業界団体からの要請・要望が提起された後、これを踏まえて、議事進行はいわゆる「意見交換会」へと入っていった。これは主に議員対官僚、出席者対官僚という形での「やりとり」展開であって、議員側からすれば「国会質問でこういう部分を聞いていきますよ」、官僚側からは「そういうことを国会で質問される可能性があるのか」を確認しあう国会質問への“リハーサル”のような「やりとり」だ。お互いにジャブを繰り出し、牽制し合うような状況。


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