「(行政が)つまらないことをやっているから(官僚は)答えられないんだ」

松浪議員: 今後、両党が取り組む課題として、網羅的な資料「オートバイ国家戦略のイメージ」を用意した(この記事の「参考付録」に掲載)。今後、オートバイに関しては政権が変わっても、こうした内容で取り組んでいこうということ。駐車場問題など、今後取り組んでいくべき内容を盛り込んである。二輪車の販売は、かつての300万台から、最近は30万台と大きく落ち込んでいるが、その中で125ccクラスは毎年、台数を増やしてきている。これをしっかりと政治で応援したい。駐車場問題では自転車法は50cc原付が対象だが、国交省の法律では原付は125ccまでとなっている。そうした法律での齟齬もあって、125ccを自治体の駐車場に駐めようとするとダメ。道交法と車両運送法で原付の意味と排気量が違うのを統一していくということも、議連で取り組んでいきたいと思う。また、400ccというのも日本にしかないカテゴリーで、こうした問題を省庁をまたぐ法の改正と一緒に、一度きれいに整理するというビジョンを議連で作っていきたい。特にヨーロッパでは125cc以下の二輪車も運転できるB-A1免許というのがある。クルマの免許を取った時にセットで取得できる。これは日本でも考えられるのではないか。また、高速道路の広い路肩なら整備して使う、例えば渋滞時に徐行して使うのはどうか。省庁に考えてほしい。最近、家電店でも売られるようになった中国製などのEVバイクの安全性も考えるべきだ。特にエア抜きなどが必要なブレーキの整備。ルール付けをしていきたい。駐車問題については、例えば百貨店や大型店などの民間の所有スペースに、ラインを引くだけでかなりの駐車スペースが生まれる。これは、議連で意見交換して実らせたい。そういうことで、今後、この見取り図をもとに活動していくということで、ご了解いただけるだろうか。(異議なしの拍手)それでは、今後、これをもとに活動を進めていくということで。オートバイは日本を世界に宣伝している製品だと思う。そういうことを勘案して、オートバイ行政を続けていきたい。

内山議員:警察庁と国交省の駐車対策はどうなっているのか。取締りガイドラインが出ているが昨年で147億円の罰金が徴収されている。このガイドライン見直しや適切に対処という文書が警察庁から出されているが、今、その対応はどうなっているのか。また、平成22年3月末現在、駐車場整備は約5万台だが、これを25年度には10万台という目標があると聞いている。その進捗状況を国交省に聞く。

警察庁:その地域の実情とか道路の状況を見て、駐車場の整備状況など様々な意見を聞きながら、取締りのガイドラインを作っている。取締りに配慮を求める声がある反面、もっと取締りをという要望もある。特に悪質、危険性が高い駐車違反については優先的に取締まっている。ガイドラインの見直しについては昨年3月、通達を出して見直しを進めている。しかし駐車場を作っても使わない例もある。それでもマナーが守られている地域は取締りを縮小している。22年度で(取締りを)広げたのが29警察署、縮めたのが5警察署。駐車マナーが改善されたところについては重点取締り地域から解除している。

国交省:自動二輪車の駐車スペースは平成22年3月現在で4万9千台だった。目標は10万台分の駐車スペースづくりだ。しかし、用地・整備費問題が大きく、既存の駐車場や駐輪場を活用するのが即効性として高い。そこで平成22年4月に自動二輪車を自転車駐車場に受け入れるよう通知を出し、都道府県、政令市、民間駐車場事業者などに周知しているところ。その中、125cc原付二種の駐車場が不足している問題では重点的に(同クラス車両対策を)するように通知したことで、自転車の駐輪場で4万台近く受けられている。受け入れていない自治体に対しては受け入れるよう積極的に求めている。

小林興起議員(民主党):50cc原付の二段階右折、つまらないことをやっているから質問しても答えられない。すぐにでも撤回すべきだ。路肩活用は、日本の高速道路は広いので一定の幅が取れるところで路肩スペースを半分ぐらいに区切って二輪車通行可にする。すり抜けは危険だ。

警察庁:50cc原付は30キロ制限、二段階右折、二人乗り禁止だ。普通免許を所持していれば乗ることができ、車格が自転車に近く、小さいための措置だ。これは全体の制度設計で考えていかなければならない問題だ。

松浪議員:電気自転車という存在が出てきている。ノーヘルで速度違反もない。そういう状況を踏まえて50cc原付自体を、二段階右折、30キロ制限を考えなければいけない。

小宮山泰子議員(民主党):現在、国土交通委員会の理事をしている。川越出身で選挙区はバイクがなかったら生きていけない方もいるのが埼玉だ。駐車場確保が大問題化している。また、観光政策に関わっているが、バイクで旅を!というキャンペーンをぜひ提唱したい。

尾立源幸議員(民主党・参議院):私は財務省・国税担当の政務官だが、震災時の二輪車重量税優遇、還付とか免除が欠落していた。必ず二次補正で対応していく。

佐藤公治議員(民主党・参議院):震災に関してもそうだが、何かにつけてバイクは後回しにされる。高速道路問題でも税の問題でもバイクのことはぜんぜん話に出てこない。こちらが聞くと「あ、抜けていました」。そういう流れが結果、駐車場問題を起こしている。二輪車に市民権の位置づけを徹底的に各省庁でやるべきだ。(行政の)意識改革を求めたい。

AJ吉田氏:駐車禁止の取締り問題、警察庁は悪質性、危険性に応じてやっているというようにおっしゃっていたが、現実の現場は全く違う。特に神奈川、大阪では軒並み、全部捕まえているのが現状。これでは二輪車に乗るなと言っているのと同じだ。駐車監視員の方々のガイドラインの方を変えていただかなくてはならない。本当に迷惑性のあるものを取締っていただきたい。街には活用できるスペースがたくさんある。そこに駐車用のラインを引くことがなぜできないのか。

自工会・大山氏:利用環境改善のことも大切だが、現在、二輪車産業は大変な危機的状況だ。世界へ向けての日本のものづくりの最初は二輪車だ。現在でも世界の全生産でほぼ半分を日本の4メーカーが占めている。特に経済発展を続けている新興国で日本メーカーの位置づけが非常に重くなっている。それは日本のものづくりがあるからで、しかしその継続が難しい。日本に生産拠点がないと継続は難しいし、次の進化につがっていかない。そういうことを含め、二輪車の問題は産業政策上で考えていただきたい。世界的に見たらまだまだ成長する産業だ。

経済産業省:重要な指摘をいただいた。国内市場がシュリンク(収縮)している事情があり、それがリンクしている面もある。国内の構造が変わってきているので、ユーザーがどういうものを買うのかも、その問題に影響してくる。新しい製品が必要ではないのか。世界市場とともに日本市場で浸透していくような製品を考えることも重要だと思う。

松浪:改正自転車法では道路交通法の原付という表現・文言があって、駐車場を整備することになっている。同時に自治体は(違法駐輪の)自転車を撤去できるので、50cc原付も撤去できた。ところが今は50ccを超える二輪車も撤去できる時代に状況が変化している。政令や省令で道路運送車両法における125cc原付を加えることが理論的に可能か内閣府へ聞きたい。政・省令で原付を125ccまでに変えることは可能か。

内閣府:自転車法の二条2項で、自転車等という表現で原動付自転車を道路交通法から引っ張ってきているので、道路運送車両法ということだとこの条文を何らかの形でいじれる、変える必要があるのかなということではある。

松浪:政・省令なら比較的簡単に変えられる。検討して報告いただきたい。

ケイ

○中継解説:そして時間的にも、いよいよ締めの議員発言があった。実はこのコラムを書いていて思案するのが「オチを付ける」ことだ。ほとんどは私の少ない読書歴の中から、ふさわしい、あるいは言いたいことを強調できる文を引用してくる。ところが今回の会合ではその「オチ」を見事に付けてくれた議員がいた。

ケイ

「若い時に、原付規制で不満を警官に言ったら『国会議員になってから言え』と言われた。なった。だから言う」

浜本 宏議員(民主党):神戸出身で、震災後にできた生活道路であるポートアイランドが自動車専用道路にされたため125cc以下の生活バイクが通行できない。こういうことも含め、原付の30キロ制限は、そもそもおかしいし、検討しなければならない。

ケイ

○中継解説:そう振った浜本議員、最後をこう締めくくった。

ケイ

「若い時代に原付で9キロオーバーで捕まった。警察官に、そもそも最高速が30キロであること自体がおかしいのではないかと不満を言ったら『国会議員になってから言え』と言われた。今回ここで、(国会議員に)なったので、言わせてもらう! おかしい」。


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