どこが変わった?どんだけ変わった?新旧ZRX徹底比較

※写真は2009年モデル

跨ってすぐに思うのは明らかにビッグネイキッドクラスのライバルモデルより小さく感じることだ。実際に排気量はライバルの中でいちばん小さいけれど、乗って感じる「小さい」という印象はそれ以上である。ビッグネイキッドが欲しいけど大きさで購入を躊躇している人は一度試乗してみるといい。サイドスタンド駐車からバイクを起こす時も力を込めてよっこいしょ的なものにはならず、スーっと起こせる。

ライダーに向かって10mmUPしたハンドルはライダーに近くなり操作性が良好になった。ヒザの曲がりも楽で長身のライダーでも快適なライディングポジションがとれそうだ。身長170cmのボクでは両足ベタ着きとはいかないが、このバイクを支えるには何の不安も持たない足つき性。

排出ガス規制対策のためにZRX1200Rをフューエルインジェクション化しただけのモデルと思っている人は大間違いだ。確かにダブルクレードルフレームはZRX1200Rとほとんど変わっていない。しかしインナーチューブ径φ43mmフルアジャスタブルのフロントフォークを採用したフロントサスペンションはセッティングが変えられ、ZRX1200Rよりオフセットを2mm増やしトレールが106mmから100mmと6mmと短縮された。こうなると旋回性は上がるがちょっと神経質な面も出てくるのではないかと思ってしまう。ところが乗ってみるとシャープな走りを手に入れながら、ちゃんと安定している。

ショックの取り付けを20mm後退させ、レイダウン化されたリアサスペンションとの兼ね合いもあるのだろう。ZRX1200Rよりリアサスペンションはよく動く。入り口から寝かし込みの旋回性をよくして、スロットルを開けての立ち上がりでリアサスが入り安定性を増すようにしているのだろう。

フォークやリアショックのグレードが上がっていることも見逃せない。ビッグネイキッドを公道で楽しむ節度あるペースでは、切り返しやコーナーリング中の不意なアクセル操作や動きに対して腰砕けになるようなことはなかった。元々スポーツ性は高かったが、その性能をより高めている。

フューエルインジェクションを装備したエンジンも車体同様シャープな印象になった。低回転からフラットなトルクがというより、5000回転付近からトルクが伸びやかに立ち上がって、9500回転のレッド入り口まで気持ちよく回せる。前モデルは5速ミッションということもありフラットトルクタイプにしていたのだろう。ダエグはZZR1200のものをベースとした新設計の6速ミッションになった。だから回して楽しむ性格にしたということか。

じゃあZ1000のようなソリッドで高レスポンスな走りが出来るのかというとそうではなく、街乗りやツーリングでの快適性や汎用性の高いネイキッドという本分を忘れてはいない。

(濱矢文夫)

| 特集トップページへ |