2019年4月2日

開催10回目の記念イベントとなった The One Moto Show ザ・ワンモト・ショー

■写真・文:河野正士 ■協力:The One Moto Show http://www.the1moto.com

毎年2月上旬、アメリカ・オレゴン州ポートランドで開催されるカスタムバイクイベント「The One Moto Show=ザ・ワンモト・ショー(以下OneShow)」を今年も取材してきました。僕自身、このイベントの取材は3年連続3回目。しかも今年は、OneShow開催10回目の記念イベントとなりました。雪が降ったりして運営スタッフは大変そうでしたが、世界中から集まったバイクファンで会場は激熱でした。では、レポートします!

 
 いや~、OneShow10周年。イイ感じでした。僕が初めてOneShowを取材したのは2年前。会場をポートランドのダウンタウンから、街の北の端にある古い工場跡地に移した最初の年でした。数十年前に廃業したままの状態だったその工場は、床は埃だらけ、壁は油だらけ、外壁はボロボロ、なのに雰囲気があってメチャメチャ格好良かった。そこはOneShow初開催後に話題となり、その後イベントスペースとして人気になったそうです。で今年は、1階フロアのレイアウトが変更されていたり、床の砂埃はほとんど除去されていたりと、進化していました。
 
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カスタム&レストアされた車両とともに、たくさんのアート作品が展示されるのもOneShowの特徴。バイク系アートはネット検索でもなかなかヒットしないので、ここで情報収集。というか、とにかく見ていて楽しいです。


 
 OneShow自体もパワフルさを増していました。というか、イベントそのものの雰囲気は変わっていないのですが、展示されている車両のクオリティは上がっているけど上げすぎることなく、チョッパーからカフェレーサー、ビンテージレーサー&モトクロッサー、スクーターに旧車レストア、さらにはエンジンからフレームまで手作りされたマシンまで、ジャンルにとらわれない、それでいて一体感のある雰囲気はOneShow独自のモノ。その独自路線がパワフルになった、という感じでしょうか。
 
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イベントは金曜夜から日曜夕方までの2.5日間。2日目土曜日の朝に雪が降り、会場入口はご覧の雪景色でした。


 
 主催者であり、ポートランドでカフェ「See See Motorcycle & Cafe(シーシー・モーターサイクル&カフェ)」の代表であるThor Drake(トアー・ドレイク)も「この雑多だけど一体感のあるバイクシーンが大好きだし、これがOneShowなんだ」と胸を張ります。
 最初は20台くらいバイクを展示する極々小さなイベントだったようですが、10年の月日が経ち、今回の10回大会は1万8000人の来場者、165人のビルダーによる200台を超える展示車、45人のアーティストが作品を飾り、54のブランドブースが会場に花を添え、24のスポンサー企業がイベントサポートしたそうです。また約200リットル入りの地元クラフトビール樽が16樽(缶ビールやその他ブランドのビールは含まれていないそうです)、12ケース(何本入りかは不明ですが、みなガンガン飲んでました)のジャックダニエルが飲み干されたそうです(こういった情報が公式アナウンスされるのも面白い)。

 ここまでのイベントに成長したことを、イベント最後の表彰式でトアー・ドレイクは、感無量の涙声で、皆に感謝の気持ちを語っていました。でも彼はイベント中動き通し。展示車両や出展社みんなに気を配ったり、車両が映えるよう展示位置を変えたりと、とにかく大忙し。彼のiPhoneによると、イベント準備から撤収までの8日間で62マイル(約100km)を歩いていたそうです。
 
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これが、今回の僕のイチオシ。お爺さんがレースに使っていたBSAフレーム&JAPエンジンのドラッグレーサー。子供のころに跨がって遊んでいたというオーナーが、大人になりフレームだけの状態から、当時と同型のエンジンやパーツをコツコツと集めて製作したマシン。ディテールもストーリーも、イイ感じ。


 
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もう一台のイチオシ。Sosa Metalworksのマシン。フレームから外装まで、すべてハンドメイド。製作過程がインスタグラムなどに上がっていて、会場で実車を見るのを楽しみにしていましたが、徹底的に造り込んでいた小さなパーツがエンジンマウントだったりシートポストだったり、とにかく手が掛かりすぎています。


 
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昨年末、横浜で開催された「ホットロッド・カスタムショー」で、BMWからプロトタイプのフラットツインエンジンを託され、それを使ったオリジナルマシンを製作した滋賀県のCustom Works ZONの車両「Departed(ディパーテッド)」もBMWによって米国に運ばれ展示。その車両を作った吉澤雄一さんは、プライベートで来場していました。


 
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MADHOUSE MOTORSのJ.SHIA(女性)が作ったインディアンを見ながらディテールや製作方法を聞くRoland Sands Designのアーロン(中央)とSosa Metalworksのクリスチャン(左)。トップビルダー同士でも情報交換を積極的に行っていました。しかもこの車両、タンク上部のレバーがシフトリンクに繋がっていて、右ペダルがスロットル、左ペダルがクラッチという変わり種。


 
 今年はインディアンがメインスポンサーとなり、会場入口には積み上げたコンテナにインディアンのカスタム車や新型車が展示されたり、併催されるフラットトラックレース「The One Moto Race(ザ・ワンモト・レース)」では、市販車をベースにした人気の選手権シリーズであるスーパーフーリガンの開幕戦も組み込まれたり、イベントをさらに盛り上げました。
 
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「The One Moto Show」の主催者であり、ポートランドのカフェ「See See Motorcycle & Cafe」の代表であるトアー・ドレイク。


 
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OneShow内イベントとして人気の、ヘルメットのカスタムイベントが21Helmets。今回は地元アートスクールに通う高校生にカスタムを依頼。独創的なカスタムヘルメットが並んでいました。こういったカタチで若者とバイクカルチャーを繋げるというアイディアも、いいですね!


 
 実はOneShow開催前、というか昨年のイベント終了後アタリから“OneShowは2019年で最後になるらしい”とか“開催場所をカリフォルニアあたりに移動して開催日も変更するらしい”とか、雲行き怪しい噂が流れていました。しかし主催者のトアー・ドレイクはイベントの締めに「来年は、できればポートランドのダウンタウンでイベントを開催し、フラットトラックやエンデューロレースもその近くで開催したい。11回目の開催は“The One Dot One(1.1) Moto Show”に進化します」と発表しました。
 
 なのでみなさん、来年2月は、いまからポートランド行きを予定して下さい!
 
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『カスタムシーンのシーズン到来を告げる アメリカ屈指のニューウェイブ系カスタムベント』
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