2019年7月18日

第47回「モトクロスの若手をしっとこ」

MBHCC E-2 全日本ちょこちょこっと知っとこ 第47回「モトクロスの若手をしっとこ」

スタート

 関東は連日の雨で梅雨寒。先週(2019年7月6〜7日)行われたSUGOのモトクロスも、開催ウィークに降った雨により予選からマディコンディションのレースでした。レース中の雨量としては、観戦に耐えうるレベルの霧雨~小雨でしたが、コース上はレースを重ねるにつれ段々と泥がこねられて、陶芸が出来そうな粘りと滑らかさをもつ厄介なものになりました。雨が降ってシャバシャバな泥よりも、雨上がりで段々と重くなるほうが走るのが相当難しいのです。
 モトクロスは、変化するコースコンディションにあわせて巧みにバイクを操るもの。マディコンディションのレースならではのライダーたちのマシンコントロールや駆け引きが見られるので、観戦用の雨対策を万全にして悪コンディションのレース観戦で、非日常を味わってもらいたいです。

ストレートなのですが「なぜ?」と思われる場所で転ぶ。これがモトクロス

ストレートなのですが「なぜ?」と思われる場所で転ぶ。これがモトクロス。

泥泥の中にギャップが隠れているので、思わぬところで転倒劇が繰り広げられます。

泥の中にギャップが隠れているので、思わぬところで転倒劇が繰り広げられます。

003_SUGO名物の大坂は圧巻です

SUGO名物の大坂は圧巻です。

大坂の途中でこうなると下に降りるしかない……

大坂の途中でこうなると下に降りるしかない……。

バイクに泥が詰まると20kgくらい一気に重くなり前に進むのも大変

バイクに泥が詰まると20kgくらい一気に重くなり前に進むのも大変。

慎重に路面に対応して、バランスをとって走行

慎重に路面に対応して、バランスをとって走行。

え? ちょっとまって? 進行方向どっち?!

え? ちょっとまって? 進行方向どっち?!

 今回の全日本モトクロス選手権第4戦スポーツランドSUGOは、IA2クラスの勝者は、ヒート1は鳥谷部晃太選手(21)、ヒート2が大倉由揮選手(20)。2人とも若手育成を担う「YAMALUBE RACING TEAM」のライダーで、若手が力をつけてきたことを感じさせるレースでした。青森出身の鳥谷部選手は自己紹介でも「マディのレースで全員ラップしたこと」と書くなど悪コンディションをモノともしない若手です。東北地方のライダーは、冬の練習では基本コースが凍っていて、日が差して溶けるとドロドロになるので普段からマディに慣れているのです。2017年、激マディの藤沢スポーツランドヒート1ではスタートからトップに立つとただひとりだけジャージを汚すことなく、IA昇格4年目にして初優勝を飾りました。

コース一面どろっどろですが、慎重にラインを見極めて、鳥谷部選手が走ります

コース一面どろっどろですが、慎重にラインを見極めて、鳥谷部選手が走ります。

表彰式。両サイドにくらべて優勝の鳥谷部選手だけ汚れていないのは終始トップを走った証拠!

表彰式。両サイドにくらべて優勝の鳥谷部選手だけ汚れていないのは終始トップを走った証拠!

 大倉選手はB級参戦中の高校生のときに学業によりアメリカ留学。帰国した2016年に、ブランクを感じさせない走りでB級チャンピオンを獲得し、今年A級3年目、所属チームがヤマハのなかでも硬派を極めたところだったので、関西人を感じさせない真面目ぶり(?)。アメリカではレスリングで身体を鍛えるなど文武両道、今季2勝目を挙げました。
 その他、モトクロス界きってのジャニーズ顔、大城魁之輔選手も第3戦で初優勝。海外生活が長かったので日本語はちょっと苦手なシャイな若者です。ひねりの効いたジャンプで魅せる小さな巨人の横山遥希選手は開幕ダブルウィンで現在ランキングトップ。今シーズンのIA2クラスは若手ライダーの勢いがとまりません。

コース一面どろっどろですが、慎重にラインを見極めて、鳥谷部選手が走ります

ビッグジャンプを超えていく大倉選手。腰のタオルは泥が付いた手やマシンなど拭くためのも。

YAMLUBE RACING TEAM 大倉選手

ビッグジャンプを超えていく大倉選手。腰のタオルは泥が付いた手やマシンなど拭くためのも。

大城魁之輔選手

モトクロス界の顔担!大城魁之輔選手、独特の雰囲気とハスキーボイスのトークも売り。もちろん走りも!

横山遥希選手

昨年の開幕から頭角を現し、3勝をあげ現在ポイントリーダーの横山遥希選手。怒られそうですが、ホントに小さくて可愛いんです!

 また、かつてホンダ、ヤマハのファクトリーライダーとして活躍していましたが、自らが引き起こした問題により謹慎となり一線を退いた平田優がIA2クラスに復帰、過去のIA2時代に取りこぼしたタイトルを手中にすべく狙っています。平田選手レベルのライダーなら軽くタイトルを獲ってしまうんじゃないかと思われたのですが、これまでに1勝、5回の表彰台でランキング3位と、狙える位置にはいますが、予想よりは苦戦しているようです。

平田優選手

ヤマハのプライベーターとして全日本に戻ってきた平田優選手。

平田優選手

コンディションがわるくても、ステップアップは飛んでいきます。

 全日本モトクロスをシリーズで取材していると、毎年同じことの繰り返しのように思われがちですが、毎年ニューフェイスが加入して、全員に個性があって、それぞれの成長のドラマが見られるのでいつも新鮮な気持ちです。選手たちも、全日本クラスに昇格するまでに幼少のころから切磋琢磨しているので、それぞれキャラ立ちがはっきりしています。また、若手ならではの抜け感もあり(笑)、どのライダーに注目してもレースが面白く見られるIA2クラスです。もっと紹介したいライダーがたくさんいますが、続きは是非会場でご覧ください!

 モトクロスは一般の観戦エリアとパドックが通じていて、ロードのサーキットのようにパドックパスを購入しなくても選手のすぐ近くまで行くことができ、レースのマシンのメンテナンス風景なども間近で観察することができます。7月20〜21日は8耐前になりますが、第5戦は岩手県の藤沢スポーツランド、関西方面の方は夏休みを挟んで9月14〜15日に名阪スポーツランドで第6戦が開催されます

 そんなこんなで、うっとおしい日々がつづきますが、月末には日本で一番のバイクのお祭り、鈴鹿8耐がひかえているので、それまでには梅雨明け宣言してほしいと願う日々……です。

全日本モトクロス選手権のリザルトはこちらで。

川上龍司選手

ひとケタ入賞も果たし、ルーキーのなかでも頭ひとつ抜けた感のある川上龍司選手。

手繰将司選手

手繰将司選手もB級から注目されたライダー。

兄祐介選手

渡辺凌選手の兄祐介選手はAMAにチャレンジ中。

大塚豪太選

IA1クラスでは若手大塚豪太選手が悲願の初表彰台。

SRMマウンテンライダースの選手たち

コースをみつめるSRMマウンテンライダースの選手たち。シュッとしたイケメン取り揃えてます、パドックで是非。


[第46回へ][第47回]
[全日本ちょこちょこっと知っとこバックナンバー目次へ](※PC版に移動します)
[バックナンバー目次へ](※PC版に移動します)