2017年5月25日

“快適アドベンチャーツアラー”V-Strom 650 ABS/650XT ABSをフルモデルチェンジ

907,200円/950,400円(5月30日発売)

2003年に発表されたV-Strom 650。SV650をベースに開発された水冷90度Vツイン、645ccエンジンを新開発のツインスパーアルミフレームに搭載する“スポーツ・エンデューロ・ツアラー”モデルとして海外市場に投入された。

街乗りから長距離ツーリングまで楽しめる万能モデルとして、欧州・北米を中心に人気を呼び、高速走行に適した高い防風性能、座り心地の良いシートや直立した乗車姿勢、扱いやすいV型2気筒エンジンを採用するなど、今や確固たるジャンルとなった“アドベンチャーツーリング”のスズキの顔でもあった。

2代目に発展したのは2011年7月、新型となったV-Strom 650 ABSは、ABSを標準で装備し(ABS自体は初代モデルでも2007年からオプションで装備できた)、引き締まったスポーティーなデザインへと一新され、フロントカウルとスクリーン形状も変更、ツーリング時の快適性を高めている。メーターパネルにはギヤポジションインジケーターなどの機能を追加。またエンジンはより熟成度を高め、特に低中速域を扱いやすい特性に改良している。

このV-Strom 650 ABSが国内発売開始されたのは2013年の1月から。「快適アドベンチャーツアラー」をコンセプトに、軽快感と力強さを表現した車体デザインに加え、高い防風性能を発揮する大型風防や大容量の燃料タンク、座り心地の良いシート、多機能メーターなど、ツーリング時の快適性を高める装備などにより国内でも人気を呼んでいる。

力強く扱いやすいV型2気筒エンジン、路面追従性の良いサスペンションや直立した乗車姿勢によって、街乗りからワインディング、高速走行まで多彩なバイクライフに対応が可能なモデルだ。国内仕様でも電子制御式ABSが標準装備されている。

2013年11月のマイナーチェンジでは、「キャンディダーリングレッド」と「パールブレーシングホワイト」という新色2色を設定、継続色の「サンダーグレーメタリック」1色と合わせて計3色の設定としたのみで、主要諸元、価格に変更は無かった。

V-Strom 650 ABSからよりアドベンチャーツアラーイメージを強調したモデルといえるV-Strom 650XT ABSが登場したのは2014年10月。街乗りから長距離ツーリングまで、快適にライディングが楽しめるミドルクラススポーツアドベンチャーツアラーとして人気を獲得したV-Strom 650 ABSをベースに、兄貴分のV-Strom1000 ABSと共通の鳥類の嘴をイメージさせるフロントカウルに変更されたのが特徴的だった。

このV-Strom 650XT ABSは、2014年10月1日から5日まで、ドイツ・ケルンで開催されたインターモトの会場で発表され、同じ10月の10日には早くも日本国内でも発売というスケジュールだった。ちなみに、従来の“おとなしい顔つき”のV-Strom 650 ABSの方も10月10日発売でニューカラーラインナップへとマイナーチェンジされている。

最大の特徴である嘴フェイスは、1988年に発売されたスズキのビッグオフローダー、DR750Sをルーツとするといわれ、フロントカウルを前輪の上まで延ばした(フロントフェンダーも装備)独特のデザインとなっている。その他、V-Strom 650 ABSとの違いとしては、チューブレスタイヤ対応のワイヤースポークホイールの採用がある。

2015年9月には、車体色の変更がメインのマイナーチェンジが行われ、V-Strom 650 ABS、V-Strom 650XT ABSともに、新色に、黒色の「グラススパークルブラック」、赤色の「キャンディダーリングレッド」、既存色のつや消し灰色の「マットフィブロイングレーメタリック」の全3色の設定とされた。また、マフラーカバーもマットチタニウムシルバーに変更、さらにV-Strom 650XT ABSでは、カウリングアッパーもマットチタニウムシルバーに変更されていた。

今回発表された、新型V-Strom 650シリーズは、昨年秋のインターモトで発表されたニューモデル群の1車種で、いよいよ待望の国内発売が開始される。650、1000とラインナップを構成する新型V-Stromシリーズの特徴は、V-Strom一族の血統をより鮮明としたイメージデザインの統一と、平成28年国内排出ガス規制に対応する新エンジンがメインだ。スポークホイール仕様の「XT」も引き続きモデル設定されている。

国内での販売の中心となるであろうV-Strom 650 ABSでは、出力の向上、トラクションコントロールの新採用が最大のポイントだ。Vツイン、645㏄エンジンの基本スペックは変わらないが、SV650で培われた数々のテクノロジーをフィードバックすることにより、よりクリーンでありながら出力とトルクの向上が図られている。排気側カムシャフトなどはまさにSV650と全く同一のものが使われているという。

前輪、後輪の各速度センサーに、スロットルポジションセンサー、クランクポジションセンサー、そしてギアポジションセンサーという5つのTCセンサーの情報により、リアタイヤのスピンを検出、速やかにエンジン出力を調整する“トラクションコントロール”は、2つのモード+オフが選択可能だ。ワンプッシュでエンジンを始動できる“スズキイージースタートシステム”、発進時のエンジンの落ち込みを感じくくし安心感を与えてくれる“ローRPMアシスト”なども採用された。

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V-Strom 650 ABS。カラーは3色。「チャンピオンイエローNo.2」(YU1)。

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V-Strom 650 ABS。「グラススパークルブラック」(YVB)。

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V-Strom 650 ABS。「パーシャルグレッシャーホワイト」(YWW)。

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V-Strom 650XT ABS。カラーは3色。「チャンピオンイエローNo.2」(YU1)。

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V-Strom 650XT ABS。「グラススパークルブラック」(YVB)。

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V-Strom 650XT ABS。「パーシャルグレッシャーホワイト」(YWW)。

 

★SUZUKI ニュースリリースより (2017年5月25日)

スズキ、スポーツアドベンチャーツアラーの
V-Strom 650(ブイストローム)シリーズを全面改良して発売

スズキ株式会社は、街中から高速道路、山岳路まで、長距離ツーリングを快適に楽しむことができる、スポーツアドベンチャーツアラーのV-Strom(ブイストローム)シリーズを全面改良し、650ccモデルの新型「V‐Strom 650 ABS」、「V‐Strom 650XT ABS」を5月30日より、1000ccモデルの新型「V‐Strom 1000 ABS」、「V‐Strom 1000XT ABS」を6月26日より発売する。

このたび全面改良したV‐Stromシリーズは、シリーズ共通イメージのデザインを採用し、装備を充実させるなど、スポーツアドベンチャーツアラーとして快適性を向上させた。

650ccモデルの新型「V‐Strom 650 ABS」はトラクションコントロールを新採用し、ワイヤースポークホイール仕様車の新型「V‐Strom 650XT ABS」には、ナックルカバーとアンダーカウルも標準装備した。

1000ccモデルの新型「V‐Strom 1000 ABS」は、制動時の姿勢を安定させる「モーショントラック・ブレーキシステム」を新採用し、ナックルカバーとアンダーカウルを標準装備した。また、新たにワイヤースポークホイール仕様車の新型「V‐Strom 1000XT ABS」を追加設定した。

● 新型V‐Stromシリーズの主な特長
 
デザイン
・1988年発売の野性的で力強いスポーツアドベンチャーツアラー「DR‐BIG」のDNAを継承した、シリーズ共通イメージのスタイリング。
・フロントには、縦型2灯ヘッドライトを採用。
・車体色は、黄「チャンピオンイエローNo.2」、白「パールグレッシャーホワイト」、黒「グラススパークルブラック」の3色を設定。
 
エンジン
650cc
・低回転域での鼓動感や、中回転域の力強い立ち上がりから高回転域までのスムーズな出力特性を特長とする645cm3、V型2気筒エンジン。
・出力(51kW/8,800rpm)、トルク(61Nm/6,500rpm)を向上し、優れた燃費性能(35.5km/L※1)を実現しながら、平成28年国内新排出ガス規制に対応。
1000cc
・低中速域での力強さと扱い易さを特長とする1,036cm3V型2気筒エンジン。
・出力(73kW/8,000rpm)、トルク(100Nm/4,000rpm)の特性を維持し、優れた燃費性能(32.1km/L※1)を実現しながら、平成28年国内新排出ガス規制に対応。
 
装備
シリーズ共通
・広い前方視界を確保する快適な乗車姿勢と、高さを3段階に調整できる大型可変ウインドスクリーン。ウインドスクリーンは、従来モデルよりも高く(650cc:+9mm、1000cc:+49mm)し、1000ccモデルは角度調整も可能とすることで、快適性を向上。
・快適な座り心地と足つき性を実現する、スリムな形状のシートと燃料タンク。燃料タンクは、より長い航続距離を実現する大容量20Lを確保。
・ギヤポジション、平均燃費、航続可能距離など、多様な情報を表示できる機能的な液晶メーターパネル。パネル下部にある12Vのアクセサリーソケットを650ccモデルにも新採用。
・防風・防雨効果により長距離や寒冷時における快適性を向上するナックルカバーを、アンダーカウルと合わせて標準装備(「V‐Strom 650 ABS」を除く)。
・アルミ製キャストホイールを装着した標準車に加え、ワイヤースポークホイール仕様車を1000ccモデルにも設定。
・2段階から選択可能なトラクションコントロールを650ccモデルにも新採用。前後輪の速度、スロットルポジション、クランクポジション、ギヤポジションの各センサーの情報により、リヤタイヤのホイールスピンを検出した際、速やかにエンジン出力を低減。エンジン出力をより効率よく路面に伝達することが可能となり、より快適なライディングを楽しめる。※2
・スタータースイッチを押し続けずにワンプッシュするだけで、スターターモーターを回転させてエンジンが始動する「スズキイージースタートシステム」を採用。また、ニュートラル時はクラッチレバーを握らなくても始動可能とした。
・発進時や低回転走行時に、エンジン回転数、ギヤポジション、スロットル開度等の情報を用いて、エンジン回転数をわずかに上げる「ローRPMアシスト」を採用し、発進・停車を繰り返す市街地走行などでの操作性を向上。
 
1000cc
・IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)の搭載によりコーナリング時のブレーキングにおいてもバンク角に応じたABSの作動を可能とし、フロントブレーキ圧が一定以上入力されると自動的にリヤブレーキ圧を発生させることで車体を安定させる「モーショントラック・ブレーキシステム」を新採用。※3
・新型「V‐Strom 1000XT ABS」には、ハンドルが固定される中央部を大径化したテーパー形状により力強さを感じさせるハンドルバーを装備。
●年間目標販売台数
V-Stromシリーズ合計 960台
 
※1 国土交通省届出値:定地燃費値(60km/h)2名乗車時。定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※2 トラクションコントロールは、あらゆる条件下で後輪のスリップ(スピン)を完全に制御したり転倒を防止したりするものではありません。
※3 ABSは制動距離を短くするためのシステムではありません。コーナーの手前では十分に減速するなど、走行環境に合った安全運転を心がけてください。
 
メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
V-Strom 650 ABS 907,200円
V-Strom 650XT ABS 950,400円
V-Strom 1000 ABS 1,404,000円
V-Strom 1000XT ABS 1,447,200円
※価格(リサイクル費用を含む)には、保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う費用は含まれない。
 

★主要諸元

車名型式 2BL-C733A
V-Strom650 ABS〈V-Strom 650XT ABS〉
発売日 2017年5月30日
全長×全幅×全高(m) 2.275×0.835〈0.910〉×1.405
軸距(m) 1.560
最低地上高(m) 0.170
シート高(m) 0.835
車両重量(kg)※1 212〈215〉
乾燥重量(kg)
乗車定員(人) 2
燃費消費率(km/L)※2 35.5(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※3
24.2(WMTCモード値 クラス3 サブクラス3-2 1名乗車時)※4
登坂能力(tanθ)
最小回転半径(m) 2.7
エンジン型式   P515
水冷4ストローク90度V型2気筒DOHC4バルブ
総排気量(cm3) 645
内径×行程(mm) 81.0×62.6
圧縮比 11.2
最高出力(kW[PS]/rpm) 51[69]/8,800
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 61[6.2]/6,500
燃料供給装置形式 フューエルインジェクション
始動方式 セルフ式
点火方式 フルトランジスタ式
潤滑油方式 ウエットサンプ式
潤滑油容量(L) 3.0
燃料タンク容量(L) 20
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比 1速 2.461
2速 1.777
3速 1.380
4速 1.125
5速 0.961
6速 0.851
減速比1次/2次 2.088/3.133
キャスター(度) 26°
トレール(mm) 110
タイヤサイズ 110/80R19M/C 59H〈59V〉
150/70R17M/C 69H〈69V〉
ブレーキ形式 油圧式ダブルディスク
油圧式シングルディスク
懸架方式 テレスコピック式
スイングアーム式
フレーム形式 ダイヤモンドタイプ

※1 装備重量は、燃料、潤滑油、冷却水、バッテリー液を含む重量となります。
 ※2 燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
 ※3 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
 ※4 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
 ※5 エンジン出力表示は「PS/rpm」から「kW/rpm」へ、トルク表示は、「kgf-m/rpm」から「N・m/rpm」へ切り替わりました。( )内は旧単位での参考値です。