2017年11月7日

ヤマハが「NIKEN」をEICMAミラノショーに出展、2018年から市販へ

 ヤマハ発動機は、東京モーターショーでワールドプレミアした大型LMW※1スポーツモデル、「NIKEN(ナイケン)」※2を11月9日からイタリア・ミラノで開催される「EICMA(国際モーターサイクルエキシビション)」に展示すると発表した。また、同時にこの「NIKEN」を2018年から市場へ投入する計画も発表した。

 847cm3、水冷・直列3気筒エンジンを搭載する「NIKEN」は、路面等の走行環境変化の影響を受けにくく、旋回時の高い安定感を生み出すLMWテクノロジーを採用し、さまざまに変化する路面や、タイトコーナーが続くワインディングロードを自在に駆け抜ける高いスポーツ性能を実現したモデルだ。また、LMWの基本性能を高める“新ステアリング機構“などの新技術の投入により、LMWならではの安定感に支えられたエキサイティングな走行性、疲労感が少なく余裕ある乗り味、斬新なスタイルなどを備えている。

この「NIKEN」は、「TRICITY125」(2014年発売)、「TRICITY155」(2017年発売)に続くLMW の第3弾で、ヤマハの成長戦略のひとつ“ひろがるモビリティの世界”を推進するモデルとしても注目される。

※1:LMW=Leaning Multi Wheel。モーターサイクルのようにリーン(傾斜)して旋回する3輪以上の車両の総称、商標登録第5646157号。
※2:「NIKEN」:前2輪を2つの剣にたとえ、ふたつの剣が新しい世界を創りだすという意味を込めた造語。
 
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「NIKEN」の主な特長は、
1)自然なハンドリングを生む新ステアリング機構

「NIKEN」では、スポーティな旋回性と安定感を両立させるため、「TRICITY」で実績があるLMW テクノロジーを進化させた新ステアリング機構を採用している。「LMWアッカーマンジオメトリ※」と呼ぶ新しい構造で自然な操舵感、リーン特性、タイヤ摩耗低減効果をもたらしている。さらに45度という余裕のバンク角、外側片持ちフロントサスペンション(倒立式/片側2本)、ワイドな410mmのトレッド設定、2軸ステアリング機構などをバランスさせ高いパフォーマンスを実現している。
 なお“LMWテクノロジー”とは、パラレログラムリンクを用いたサスペンションと操舵機構のことで、軽快感と安定感の両立に貢献する技術とされている。

※LMWアッカーマンジオメトリ=ヤマハ独自の設計で“ナックルエンド”と“リーン軸”を別系統とし相互のバランスを最適化したもの。

2)走りを支えるハイブリッド・フレームと優れたハンドリングを支えるディメンション

 各部の強度・剛性・しなりの要求に応じ、工法と材質を使い分けたハイブリッド・フレームを採用し、優れたハンドリングを実現している。リアアームはアルミ鋳造+パネル溶接とし、優れた剛性・強度バランスをもたせている。
 また、軸間距離からリアアーム長まで、細部の諸元の最適設計を行っている。リアアーム長は552mm(「MT-09」比15mm延長)で、ピボットとの関係のバランスをとり加減速にともなうリアアームの対地上角変位を最適化、旋回時の優れた安定感に寄与している。

3)LMW用専用開発、15インチVレンジフロントタイヤ

 スポーツバイク並みのハンドリングと優れた走行性能を発揮するため、LMW専用の120/70R15、Vレンジタイヤをフロントに採用。タイヤメーカーと共同開発し、優れたグリップ性、耐摩耗性、ウエット性能が特徴という。

4)新メカニズムを活かした躍動感あるスタイリング

 スタイリングは、“New Type of Agility & Controllability“をコンセプトとし、フロント2輪・15インチ&片側2本のフロントサスペンションという新メカニズムを活かし、エキサイティングな走りを予感させるスタイルとしている。
 フロント2輪でしっかり地面を掴むイメージ、タイヤグリップと減衰感に優れたサスペンションによる踏ん張りの効く足回りの印象、そしてパワーと駆動力を伝える力強く引き締まった骨格がスタイリングの特徴だ。
 フロントフェイスは、エアロダイナミクス性能とフローティングマウントの軽快感あるスタイリングを両立。路面を睨む2眼ヘッドライトとフロントの幅を示すポジションライトの組み合わせは、機能的かつスポーティな表情を演出している。
 燃料タンクは、ネガ面を含む滑らかな曲面形状のアルミ製タンクを採用。ライダーアクションにフィットする形状としている。
 カラーリングは、上質感あるダークグレーメタリックを基調に、ヤマハレーシングスピリットを示すブルーをフロントフォークのアウターチューブやホイールに配し、“攻めるLMW”を表現したという。

5)クランク慣性モーメントを最適化したエンジン、マイルドな FIセッティング

 847cm3水冷4ストローク・直列3気筒・FI(YCC-T)軽量エンジンを搭載。最新の「MT-09」用エンジンをベースに、クランク慣性モーメントの最適化(「MT-09」比18%増)、およびFIセッティングにより、スポーティかつマイルドな操作性を生み出している。
 ミッションには高強度の「KKG8」材(YZF-R1同素材)を採用しスポーティな走りに対応させている。

6)快適なツーリングを支援する数々のフィーチャー

 滑らかな発進性・走行性を支援するTCS(トラクション・コントロール・システム)、車体挙動の緩和と軽いクラッチ操作荷重を支えるA&Sクラッチ、滑らかにシフトアップできるQSS(クイック・シフト・システム)、走行モードを選べるD-mode、クルーズコントロールなどを採用している。
 
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■「NIKEN」 主要仕様諸元
全長×全幅×全高:2,150mm×885mm×1,250mm、シート高:820mm、軸間距離:1,510mm、車両重量:263kg、原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ、気筒数配列:直列3気筒、総排気量:847cm3、内径×行程:78×59.1mm、圧縮比:11.5、最高出力:84.6kW(115.0PS)/10,000rpm、最大トルク:87.5N・m(8.9kgf・m)/8,500rpm、始動方式:セルフ式、燃料タンク容量:18L、燃料供給:フューエルインジェクション、タイヤサイズ(前×後)120/70R15×190/55R17
 
■ヤマハ発動機株式会社 https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/(外部のサイトへ移動します)