2017年11月22日

SUZUKI Address 125 試乗 『元祖”通勤快速”のスズキが提案する 原二スクーターの”あるべき姿”』

■試乗:ピンキー高橋 ■撮影:依田 麗
■問合せ:スズキ http://www1.suzuki.co.jp/motor/

 
ご無沙汰しております。原付二種(G2)の理想郷を目指す”G2連邦”のピンキー高橋です。各社にラインナップの変化をもたらした平成28年排出ガス規制ですが、スズキからは原二クラスにニューモデル2機種がリリースされました(今後、さらにラインナップが増える模様!)。その内の1台、スズキが20年以上に渡って育ててきた”通勤快速”の最新モデル、アドレス125でひとっ走りしてきたのでご報告を。

“真面目”なスズキが創る”良心”が詰まったスクーター

 ”通勤快速”として原二スクーター・ブームの火付け役にもなったこれまでのアドレス・シリーズ(V100/V125)と言えば、鳥取県で開催されている「隼駅まつり」に訪れたりあったか仕様のリミテッドに乗ったり、個人的にはV125Sの印象が残っております。最近では110(4ストローク版の方)の俊足ぶりにも感銘いたしました。
 
 そんな原二アドレスの最新モデル「アドレス125」に今回、試乗させていただきました。私、同車の発表会場にお邪魔させていただき、開発者の方々の説明も伺ってきましたが、さすが通勤快速を20年以上に渡って作ってきたスズキさん、ユーザーの心理をよ~くわかっていらっしゃる! 例えば、朝の通勤ラッシュなどは機動性の高い二輪車、スクーターとは言え、ライダーは運転中に相当なストレスが蓄積されるもの。その辺りの対策を徹底的に盛り込んだのが、新型アドレス125なんだなぁと推測できました。
 
 さて、実車はどうでしょう? 跨ってまず最初に感じるのは、フロアボード前後の自由度が高まったこと。それまでのV125Sもコンパクトな車体ながら足元は狭いと感じた記憶はありませんでしたが、新型は180cmを超える長身な人にも不満はないのではないでしょうか? シートはたっぷりした長さ、足つきを損ねない適度な幅があるもの。高い快適性を狙っていることがわかります。
 
 エンジン始動は最新のGSXシリーズなどと同様、「スズキイージースタートシステム」によってスタータースイッチをワンプッシュするだけ。もしかしてスズキ・スクーター初採用? 走り出すと、スロットルを開け始めた瞬間から力強く、かと言って過敏でなくパワーの出方が自然です。燃料噴射や駆動系のセッティングがとてもよく躾けられた印象です。見かけ倒しの速さ“感”など一切存在しません。ホント、発進から高回転域までジェントルでスムーズ、振動も抑えられています。開発者の方の説明によると、スロットル開け始めの出足の加速ではV125Sより一歩前を行くそうです。
 
 そして何より関心したのが、足の動きがいいこと。原二の足周りはタンデムも考慮したセッティングのためか、一人乗りの時はどうしても足が突っ張った印象を受けますが、アドレス125は足の動きもとてもスムーズ。 フロントタイヤが12インチになった安定感も実感できます。重くせずにフレームの剛性をアップさせたり、前後サスペンションのセッティングなど開発担当の方は相当苦労された部分だったようです。
 
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 かなり完成度の高いモデルに仕上がっていると感じたアドレス125ですが、気になったのはバックミラーの鏡面形状。見たい部分(自分の真後ろ方向)がちょっと見えにくく思いました。もっとも、ミラー自体は左右に十分な幅があるので、ライダーの肩がけっこう写りこむほど内側に向けると後方視界は相当改善されますが、ミラーの左右張り出しがもうちょっと少なくなると、よりストレスも軽減されるのではないでしょうか? あくまでも個人的意見です。
 
 十分以上、しかもよく躾けられたパワーと変速、快適な乗り心地と、これは毎日使う足として相当ストレスが軽減されるはずです。ただ、V100やV125シリーズが歓迎された点としてコンパクトなボディサイズがあったのも事実。これまでアドレス・シリーズを乗り継いできた人にとって、原二クラスとして標準的サイズに近くなったボディをどう思うのだろうか? 開発者の方にうかがったところ、これまでのV100/V125シリーズのユーザーに話を聞いてみると、コンパクトなサイズは確かに魅力的ではあるけれど、快適性を求める声も多かったとか。大ヒット作となったV125シリーズの後継モデルとして色々と難しいところも相当あったと思いますが、新型アドレス125はユーザーの声を聞きながら、メーカーが原二スクーターの”あるべき姿”をしっかり提案したモデル。ホント、”真面目”なスズキさんが創る”良心”が詰まったスクーターだと思いました。

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最適な燃焼、フリクションロスの低減、軽量が追求されたエンジンはスズキらしい真面目な作りこみ。CVTセッティングも追求され、実用速度域でのエンジン回転を抑え、燃費と走行性能を向上させたという。

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高い安定性が得られる12インチタイヤを履くフロントサス(インナー径30mm)はリアサスとのセッティングを最適化。1名/2名乗車を考慮するリアサスは念入りにセッティングされた。

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特に前方向への自由度の高いフロアボード。スカイウェイブやバーグマンでもお馴染み、左右の足元付近を絞り込み快適な足つきを実現するカットフロアボードも採用。

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799mm(実用長656mm)とたっぷりサイズのシートはライダーの着座自由度を高めるのみならず、パッセンジャーの快適性も高めたもの。

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大きなスピードメーターが特徴のメーターパネルはシンプルで見やすいレイアウト。

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シート下トランクスペースは、大きさによって収納できないヘルメットもあり。積載性を求めるユーザーはリアボックスを装着ください、という割り切った設計。

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リアキャリアを標準装備するのはV100時代からのスズキの良心。パッセンジャーのグリップも兼ね、リアボックス装着用の取付穴もあり。

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●アドレス125主要諸元
■型式:2BJ-DT11A■全長×全幅×全高:1,900 ×685 ×1,135 mm ■ホイールベース:1,285 mm■最低地上高:120 mm■シート高:745 mm■装備重量:109 kg■燃料消費率:52.0 km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時) 51.0 km/L(WMTCモード値 クラス1、1名乗車時)■最小回転半径:2.0 m■エンジン種類:強制空冷 4ストロークSOHC 2バルブ単気筒■総排気量:124 cm3■ボア×ストローク:52.5 ×57.4 mm■圧縮比:10.3 ■最高出力:6.9 kW(9.4 PS) /7,000 rpm■最大トルク:10 N・m(1.0 kgf・m)/6,000rpm■燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム ■始動方式:キック・セルフ併用式 ■燃料タンク容量:6.0 L ■変速機形式:Vベルト無段変速 ■タイヤ(前/後):90/90-12 44J /100/90-10 56J ■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスク /機械式リーディングトレーディング ■フレーム形式 :アンダーボーン ■車体色:パールグレイスフルホワイト (QMT) 、パールノベルティブラック (33J) 、キャンディパトリシアンレッド (PVQ) ■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):221,400円



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