2018年1月13日

MBFCC-B1 毛野ブースカ 湯めぐりみしゅら~ん"

第57湯:徳島・香川湯巡りツーリング

 2ヶ月連続で別冊の制作が続く毎年恒例の地獄ロードが終わり、仕事納め前にぽっかり時間ができたので、息抜きを兼ねて今年最後のロングツーリングに出かけることにした。地域によっては路面が凍り始めており、行き先は必然的に暖かいところに限られる。いろいろ悩んだ結果、徳島県と香川県に行くことにした。
 四国方面に行くのは2011年9月以来。あの時は一週間ほどかけて時計回りに四国を一周した。それはそれで楽しかったが、移動距離が長かったのと、天候不順だったせいであまり温泉に入れなかった。次に行く時は行き先を絞って集中的に入ろうと思っていた。とはいえ、今回は日数が3泊4日と限られているので、前回同様、行きはフェリーを駆使して四国に上陸し、徳島県と香川県の県境にある温泉を中心に巡り、大阪に立ち寄って1泊してから陸路で帰るというプランにした。

オーシャン東九フェリー

2011年9月以来の乗船となる東京と徳島、北九州を結ぶオーシャン東九フェリー。フェリーを前にすると自然とワクワクしてくる。

 前日にやれるべきことを終わらせて、当日の乗船時間が18時30分だったので、ゆっくり準備してから夕暮れの中、オーシャン東九フェリーの乗り場があるお台場(有明)に向けて出発。フェリーに乗るのは九州に上陸して以来3年ぶりだが、フェリーを間近で見るとワクワクしてくる。やっぱり船旅はいいな…。乗船手続きを完了していざ乗船。バイクの駐車スペースに向かうと、フロントタイヤを固定するロックが設けられており、今まで見たことがなったのでかなり新鮮だった。バイクは私含めて3台だけ。バイクとしばしお別れして客室に向かう。部屋は2段ベッドが16台ある16名相部屋の2等洋室。カプセルホテルのような作りで過ごしやすそう。着替えを済ませて、事前に買っておいた夕食をパブリックスペースで食べる。暗がりの中、ゆっくりとフェリーが離岸。次第に電波が届かなくなり、到着するまでは「食べる」「寝る」「風呂に入る」しかやることがなくなる。要するに暇なのだが、それも非日常的でいい。結局、到着するまで3回も風呂に入ってしまった。

2等洋室

今回選んだベーシックグレードの2等洋室は16名の相部屋。カプセルホテルのような作りで、ベット内も広くて意外と落ち着ける。

風呂

フェリーの楽しみと言えば風呂に入ること。湯船は大きく、海を眺めながらゆったり入れる(ただし波が落ち着いていればの話だが…)。

 翌朝、天気は快晴。右手に紀伊半島を見ながら、フェリーは紀伊水道をまったり進んでいく。デッキに出てみると、風は強いが日が出ているせいか意外と寒くない。徳島に到着したのは14時ちょうど。揺れもなく快適な船旅だった。

><p class=US-2″ />海をぼ〜っと見ていたら、新明和工業が製造した海上自衛隊の飛行艇「US-2」が飛んで行った。配備数が少なく、現物を見れるのはとても貴重。

 初日はあまり移動できないので、国道192号線を美馬方面に進み、途中温泉に入りつつ高松方面に向かう国道193号線に入り、宿泊先である塩江温泉郷にある「新樺川観光ホテル」を目指すことにした。フェリー乗り場から国道11号線に出て、徳島市内に向かう。6年前の記憶が何となく蘇ってくる。国道11号線から国道192号線に入り、しばらく道なりに進む。1時間30分ほど走ったところで、国道からそれほど離れていないところに鴨島温泉「鴨の湯」があるとのことなので、寄ってみることにした。
 鴨島温泉「鴨の湯」は徳島県吉野川市鴨島町にある日帰り入浴施設だ。入浴料は500円。外観からもわかるとおり、天井がドーム型をしているのが特徴。内風呂、露天風呂ともにそれほど大きくはないが、浴室はドーム型なので開放感があり気持ちいい。お湯は無色透明でやや熱め。徳島とはいえ気温は低く、冷えた身体が蘇る。館内は地元の方でいっぱいで人気があるようだ。外に出ると16時を回っており、だいぶ日が陰ってきた。とりあえず宿のチェックインは18時00分なので、あと1湯くらいは入れそうだ。宿に向かう途中に何湯かあるのだが、中途半端な場所にあり、悩んだ挙句、国道193号線を美郷方面へ進んだところにある「ふいご温泉」に入ることにした。

鴨の湯

四国上陸後の第1湯目は、ドーム型の天井が特徴の鴨島温泉「鴨の湯」。地元の方がたくさん訪れていた。

 国道192号線を美馬方面に走ること30分ほどで「ふいご温泉」に到着。「ふいご温泉」は徳島県吉野川市山川町にある日帰りも可能な温泉宿だ。近くにある高越大橋が温泉へのランドマークだ。入湯料が550円。天井が楕円形をしており、内風呂のみだが窓は大きく眺望はいい。泉質が緑ばん鉄泉という鉱泉のお湯は無色透明。ここも湯温はやや熱めだった。身体は温まったが、外に出ると日はすっかり落ちていた。
 あとは宿のある塩江温泉郷を目指すだけなのだが、地図を見ると美馬市脇町に「うだつが上がらない」の表現のもとになった「うだつの町並み」と、沈下橋があるというので寄ってみることにした。1本しか道がなく、道を譲り合って渡る欄干のない沈下橋を往復する。沈下橋は想定外だったが楽しめた。うだつの町並みは日が落ちていて逆に風情があった。寄り道していたら17時30分を過ぎていた。ここから宿までは30分以上はかかるはずだ。途中で夕食を食べようと走っていたら、辺りは人家すらなくなってしまった。宿の近くに食事処があることを祈りつつ、徳島県と香川県の県境をひたすら走る。

ふいご温泉

2湯目は写真上にある高越大橋がランドマークの「ふいご温泉」。「鴨の湯」は天井がドーム型だったが、こちらは楕円形となっている。

沈下橋

徳島県美馬市脇町の吉野川にかかる沈下橋。もちろん欄干はない。幅は広いが1台しか通れないので、交互に通過している。

うだつの町並み

沈下橋近くにある「うだつが上がらない」のもとになった「うだつの町並み」。師走の夕暮れ時の町並みはとても風情があった。

 塩江温泉郷に着いたのは18時過ぎ。宿の場所を確認後、宿よりもちょっと高松寄りにある赤松食堂で「炙り中華そば」を食す。お腹を満たしたところで予定よりも30分遅れて宿にチェックイン。ご丁寧に屋根のある駐車場に案内してくれた。塩江温泉郷の「新樺川観光ホテル」は香川県高松市塩江町にある塩江温泉郷を代表する温泉宿だ。山に囲まれており、国道沿いとはいえ閑静な場所にある。用意された部屋は和室で、一人旅には十分な広さ。温泉は部屋風呂にも引かれているという。

大浴場

塩江温泉郷「新樺川観光ホテル」の近くにある赤松食堂で食べた「炙り中華そば」。あっさりめのスープにコシのある麺がいい感じだった。

 そそくさと着替えて大浴場に向かう。広々とした浴場は湯気が充満している。懇親会で訪れていた地元の方たちが入っていて賑やか。東南アジアから働きに来ている方もいるみたいで、日本の温泉を楽しんでいた。先客が上がったら私だけになり、湯船を独り占め。お湯は無色透明で肌触りは柔らか。ここも湯温はやや熱めなので、もしかしたら四国の方は熱めのお湯が好きなのか…。じっくりお湯を楽しんで部屋に戻ると布団が敷いてあった。少しまったりしてから再び大浴場へ。まだ宴会は続いているらしく、大浴場は私ひとり。温泉に入って、あとは寝るだけなんて幸せの極みだ。
 翌朝、もちろん朝風呂に入る。朝風呂に入れるのも温泉宿の楽しみのひとつ。朝食を食べて午前8時30分には出発。出発前から宿がちょっと山奥にあり、凍結が心配だった。宿の方は「国道は交通量が多いから大丈夫ですよ」と言っていた、しかし、問題はホテルから国道に出る前の、L字のカーブを曲がった先にある橋が見事に凍結していた。かなり焦ったが、そろりそろりと進んで国道に出た。国道も凍結している箇所があり、しばらくは油断できなかった。

新樺川観光ホテル

初日の宿は塩江温泉郷を代表する温泉宿「新樺川観光ホテル」を選んだ。広々とした内風呂にはお湯がたっぷり注がれていた。

 2日目は、まず6年前に訪れた坂出市にあるうどん屋「がもう」に立ち寄り、がもうのうどんが大好きな玉井カメラマンへのクリスマスプレゼントを手に入れることだ。国道193号線を高松市方面に進み、国道11号線を坂出市方面に向かう。がもうは国道から住宅街に入ったわかりにくいところにあるが、それほど迷うほどなく到着。この日は店舗は営業しておらず、お土産店のみ営業だったが無事うどんをゲット。がもうのうどんは食べられなかったので、近くにあった「こだわり麺や」といううどん屋でしっぽくうどんを食べた。ミッションが完了し、あとは大阪に向かう前に温泉に入ればOKだ。

がもう

2日目は6年前も訪れた坂出市のうどん屋「がもう」に寄ってお土産をゲット。本当はお店で食べたかったが、しばらくの間は土日祝はお休みとのこと。

こだわり麺や

がもうの近くにあった「こだわり麺や」といううどん屋で食べたしっぽくうどんとじゃこカツ、ごぼう天。しっぽくうどんは冬期限定メニューとのこと。

 がもうから国道11号線を高松市方面に戻り、左手に瀬戸内海を眺めながら小さな漁港が連なるのんびりした県道36号線を走って小豆島が見える屋島(庵治半島)にある「あじ温泉庵治観光ホテル海のやどり」に向かった。「あじ温泉庵治観光ホテル海のやどり」は香川県高松市庵治町にある温泉宿だ。建物は高台にあり、正面には小豆島が見える風光明媚な場所にある。入湯料は800円。浴室は「源氏の湯」と「平家の湯」があり、日替わりとなっており、この日は「源氏の湯」だった。広々とした内風呂に加えて、露天風呂があるはずなのだが、どう見ても露天風呂がなかった。あとで調べたところ「源氏の湯」には露天風呂はなく、「平家の湯」に眺めのいい露天風呂があるとのこと。できれば「平家の湯」に入りたかった…。お湯は無色透明で、ここも湯温はやや熱めだった。

庵治観光ホテル海のやどり泉

眼前に小豆島が見えるあじ温泉「庵治観光ホテル海のやどり」。できれば素敵な露天風呂がある「平家の湯」に入りたかった…。

 ちょっと心残りになった「あじ温泉庵治観光ホテル海のやどり」をあとにして、国道11号線を鳴門方面に進む。ここからどの温泉に入るか悩んだ挙句、香川県と徳島県の県境にある「白鳥(しろとり)温泉」に入ることにした。国道11号線から国道318号線を土成(どなり)方面に向かい、国道377号線に入ってしばらく進んだところにあった。「白鳥温泉」は香川県東かがわ市入野山にある日帰り可能な温泉宿だ。入湯料は400円。風光明媚なのんびりした空気が漂う山の中にあり、地元の方が多く訪れていた。内風呂のみだが、単純硫黄冷鉱泉のお湯はややぬめり気があり、さっぱりしていて肌触りがいい。走って冷えた身体がしんみり温まる。

白鳥温泉

徳島県と香川県の県境にある「白鳥温泉」(住所は香川県東かがわ市)。優しく肌触りのいい単純硫黄冷鉱泉のお湯が特徴だ。

 「白鳥温泉」を出たところで時間は14時30分。大阪に向かう前にもう1湯入るべく、国道318号線沿いの土成町にある「御所温泉観光ホテル」を目指した。目的地の近くにある道の駅どなりに着いたが、それらしい建物が見当たらない。道の駅の並びに建っている廃屋となっている建物が「御所温泉観光ホテル」で、数年前に閉館したらしい。せっかくここまで来たので、もう少し走って徳島自動車道土成インター近くにある「御所の郷」に向かった。「御所の郷」は徳島県阿波市土成町にある日帰り入浴施設だ。入湯料は600円。インター近くということもあり施設は大きく、浴室は和風な「和の湯けやき」と洋風な「ローマの湯ヴィーナス」の2種類あり、この日は「ローマの湯ヴィーナス」だった。内風呂、露天風呂ともに円形で、いかにも洋風な作り。ナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉の泉質を持つお湯は無色透明で柔らかい肌触り。週末ということもあって多くの方が訪れていた。

御所の湯

閉館した「御所温泉観光ホテル」の代わりに入った「御所の湯」。湯船は和風な「和の湯けやき」と洋風な「ローマの湯ヴィーナス」の2種類がある。

 「御所の郷」を出たところで時間は15時30分。国道沿いで気になったこの地域の名物「たらいうどん」が食べたくなり、平谷屋というお店で食べみることにした。1人前だったので風呂桶みたいなものだったが、2人前以上になるとたらいで出されるようだ。四国最後のメシに相応しいものだった。
 この後、土成インターチェンジから徳島自動車道に入り、神戸淡路鳴門自動車道、第二神明道路、阪神高速を経て、宿のある大阪市内に到着したのは19時を過ぎていた。翌日、午前7時30分に宿を出発。1時間ほど大阪市内で迷ってから名神高速道路に乗り、東京に着いたのは15時過ぎだった。
 短い時間だったが、徳島・香川を満喫できた。地元の方が優しく接してくれるのは、お遍路さんの文化が息づいているからだろうか。今度は高知に行こう!

たらいうどん

土成地域の名物である「たらいうどん」。いくつかお店の中で平谷屋をチョイス。1人前はたらいというより風呂桶だが、2人前以上になるとたらいで出てくる。


鴨島温泉「鴨の湯」

★★★★★

良質なお湯が地元の方に愛されている温泉施設。


ふいご温泉 

★★★★★

高越大橋が目印の緑ばん鉄泉が特徴の温泉宿。


塩江温泉「新樺川観光ホテル」

★★★★

高松市から近いゆったりくつろげる温泉宿。


あじ温泉「庵治観光ホテル海のやどり」

★★★★★

眺望のいい露天風呂「平家の湯」にぜひ入りたい。


白鳥温泉 

★★★★★

単純硫黄冷鉱泉のお湯が特徴の風光明媚な温泉施設。


御所温泉「御所の郷」

★★★★★

和風と洋風の2種類のユニークな湯船が楽しめる。

毛野ブースカ

月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は761湯。湯巡りツーリングの相棒はホンダ・400X。ちなみにマイカーはスズキのエスクードだ。

電気先生

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