W800 850,000円(2月1日発売)

★カワサキ W800 車両解説

800になって帰ってきた“W”
F.I.化で環境対応

2009年の“ファイナルカラー”をラストに、ひとまず国内販売に区切りをつけていたビッグ・バーチカルツイン、W650。復活を望む多くの声に応えて、排気量アップとF.I.化などにより環境対応を行って登場したのがこのW800だ。

カワサキのひとつの顔ともなっているビッグ・バーチカルツイン“W”シリーズだが、意外に販売されていた期間は短い。

メグロ製作所時代のK2をベースに開発された650 W1登場で“W”の歴史が始まったのは1966年。このOHV時代は“W”の黄金時代といえるものだが、前輪Wディスクブレーキの採用が行われた1973年モデルで終焉を迎えている。

そして“ネオクラシック”として初期の“W”のイメージを引き継ぐものとしてベベルギアでカムを駆動するOHCエンジンを搭載する新時代の“W”としてW650が1999年2月に登場する。

多くのファンを獲得したこの第2世代のW650だったが、環境規制の強化で2009年に生産中止となっていたのは記憶に新しいだろう。

ビッグ・バーチカルツインという強烈な個性故にもっと長い期間存在したかのように思ってしまうが、いずれの期間も10年足らずの輝きだった。名車とはそんなものなのだろう。

それはともかく、ここに第3期の“W”といえるW800が誕生した。エンジンは、650の675cm3からボアを5mm拡大してボア77mm×ストローク83mmの773cm3と排気量が拡大されたが、第2期“W”の最大の特徴であるベベルギアによるカム駆動などはそのまま率い継がれている。

細かい部分をのぞけば、排気量以外で変わったのはキャブレーターからF.I.へ、そしてキックが廃止されたことくらいだろうか。可能な限り“オリジナルのまま”で復活をさせてくれたカワサキの努力に拍手を。

773cm3に排気量アップで復活した第3期の“W”W800。キャンディゴールドスパーク。
773cm3に排気量アップで復活した第3期の“W”W800。メタリックダークグリーン。

★KAWASAKIプレスリリースより (2010年12月6日)

2011年モデル W800 新発売のご案内
モデル情報
車名(通称名) W800
マーケットコード EJ800ABF
型式 EBL-EJ800A
発売予定日 2011年2月1日
型式指定・認定番号 16729
メーカー希望小売価格 850,000円
(本体価格809,524円、消費税40,476円)
カラー(カラーコード)  キャンディゴールドスパーク (GLD) メタリックダークグリーン (GRN)
【W800】

ヴィンテージバイクの持つ美しさとライディングフィールを徹底的に追求したニューモデル、W800。「W」を象徴するバーチカルツインエンジン、シンプルなダブルクレードルフレームと大径ホイールが造り出す美しいプロポーション、そして細部までディテールにこだわって造られたあらゆるコンポーネントは、オーセンティックでクラシカルな美しさを実現しています。

空冷SOHC4バルブ排気量773cm3のバーチカルツインエンジンはバフ研磨にクリアコート、随所にクロームメッキが施され、美しさと存在感を主張。 360度クランクのロングストロークが生み出す独特のパルス感、低中回転域の力強いトルクは、W800ならではの味わい深く余裕のある走りを楽しませてくれます。燃料供給はフューエルインジェクションとし、良好な始動性や排出ガスの清浄化に貢献。また、美しい造形のフューエルタンクには、繊細なグラデーションと美しい仕上げが魅力の水転写デカールのグラフィックを採用。タンクエンブレムもクロームメッキ仕上げとし、いっそうの上質感を加えています。

やや低めに設定されたハンドル位置やシート形状は人間工学に基づいて設計され、自然で快適なライディングポジションを実現。シートは前部の幅を狭めることで、良好な足つき性にも貢献しています。メーターパネルはクラシックな二眼タイプとしながら、メーター内の液晶スクリーンにオドメーター、トリップメーター、時計を表示し、インジケーターランプもメーター内にすっきりと収められています。

その他、好みの位置を簡単に調整可能なクラッチレバー、ブレーキレバーや、メンテナンス時に便利なセンタースタンドを装備。ヘルメットロックはアクセス性のよいサイドカバー後ろに加え、シート下にもワイヤー式のロックを採用しています。また、シート下にはU字ロックやETC車載器を搭載することができるなど、日常の使い勝手にも考慮しています。

■主な特徴
・低中回転域の力強いトルクと360度クランクならではの味わい深く独特なパルス感を生み出す、空冷SOHC4バルブ並列2気筒773cm3エンジンを搭載。
・ 燃料供給方式はフューエルインジェクションとし、サブスロットルを採用する事で理想的なスロットルフィールを実現。また優れた始動性と排出ガスの清浄化にも貢献しています。
・ 美しい造形のエンジンはバフ研磨にクリアコートを施した美しい仕上げとし、フューエルインジェクションのカバーもクロームメッキとしています。
・ 角断面のメインフレームと丸パイプのダウンチューブで構成されるフレームはブラケットやガセットを最小限に押さえ、美しい外観だけでなく軽量化にも貢献しています。
・ ヴィンテージ感漂うルックスと独特のエキゾーストノートを演出する、キャブトンタイプのマフラーを採用。内部の構造は低中速域で最大のパフォーマンスが得られるよう設計されています。
・ 高品質な塗装を施したフューエルタンクはグラフィックに水転写デカールを採用し、繊細なグラデーションと凹凸のない美しい仕上がりを実現しています。
・燃料ポンプにはフューエルタンク外付けのタイプを採用。フューエルタンクの美しい外観と十分なフューエルタンク容量を両立しています。
・前後のフェンダーはクロームメッキ仕上げのスチール製とし、耐久性とルックスを両立しています。
・ヘッドライトボディはフューエルタンク、サイドカバーと同色の塗装を施し、ヘッドライトリングはクロームメッキ仕上げ。クラシカルなイメージを強調する、カットガラスレンズを採用しています。
・ヘッドランプステー、ミラー、シフトレバー、ブレーキペダル、チェーンガード、スロットルケーブルガイドなど、車体各部にクロームメッキを施しています。
・フロントフォークにはフォークカバーを装着、アウターチューブには美しいバフ研磨を施しています。
・クラシカルな2本リヤショックはプリロード調整式を採用。マシン全体の雰囲気と合わせるため、あえてカバーを付けずシンプルなデザインとしています。
・フロント19インチ、リヤ18インチの大径ホイールはクラシカルな外観だけでなく、軽快な旋回性と直進安定性の理想的なバランスを実現しています。
・フロントブレーキには外径300mm、フローティングタイプのシングルディスクを採用。
・リヤブレーキはドラム式とし、シンプルでクラシックなスタイリングを強調しています。
・軽量なアルミリムを採用し、スポークやニップルには汚れの落としやすい塗料を使用しています。
・ハンドルバーの直径は22.2mmサイズを採用。
・メーターはトラディショナルな2眼タイプを採用。スピードメーター内の液晶スクリーンにはオドメーター、トリップメーター、時計を表示し、タコメーター内には各種インジケーターランプを見やすく表示。
・適度な厚みを持たせたシートは前部を絞った形状として良好な足つき性を確保。シート端のパイピングはライダー、パッセンジャーの足にあたらないよう配慮した設計とされています。
・クラッチレバーは5段階、ブレーキレバーは4段階に調整が可能です。
・メンテナンス時などに便利なセンタースタンドを装備。
・シート下にU字ロック(カワサキ純正)を積載可能なスペースを確保。また、ETC車載器本体も搭載可能としています。(U字ロックとETC車載器本体の同時装着はできません)

★主要諸元

車名型式 EBL-EJ800A
W800
発売日 2011年2月1日
全長×全幅×全高(m) 2.180×0.790×1.075
軸距(m) 1.465
最低地上高(m) 0.125
シート高(m) 0.790
車両重量(kg) 216
乾燥重量(kg) -
乗車定員(人) 2
燃費(km/L) 33.0km/l(60km/h定地走行テスト値)
登坂能力(tanθ) -
最小回転小半径(m) 2.7
エンジン型式 -
空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ
総排気量(cm3) 773
内径×行程(mm) 77.0×83.0
圧縮比 8.4
最高出力(kW[PS]/rpm) 35[48]/6,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 62[6.3]/2,500
燃料供給装置形式 電子制御燃料噴射装置
始動方式 セルフ式
点火方式 デジタル
潤滑油方式 ウェットサンプ式
潤滑油容量(L) 3.2
燃料タンク容量(L) 14
クラッチ形式 湿式多板
変速機形式 常時噛合式5段リターン
変速比 1速 2.352
2速 1.590
3速 1.240
4速 1.000
5速 0.851
減速比1次/2次 2.095/2.466
キャスター(度) 27°
トレール(mm) 108
タイヤサイズ 100/90-19M/C 57H
130/80-18M/C 66H
ブレーキ形式 φ300mm油圧式ディスク
φ160mmリーディングトレーリング
懸架方式 テレスコピック式
スイングアーム式
フレーム形式 ダブルクレードル