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鈴鹿8耐の恒例、学生クルーを教職員がサポートするホンダ テクニカルカレッジ 関西(以下ホンダ学園)のクラブ活動「二輪車整備同好会」の挑戦。今年は新1年生に女子が2名も入部し(なんと!)男ばかりだった学生整備士予備軍にフレッシュなラムエアを吹き込んだのであった。ライダーたちの頑張りも加わり立ち向かった荒れに荒れた炎熱の鈴鹿。クラッシュに巻き込まれることなく、学生諸兄諸姉と教職員のみなさん、これでお疲れかなあ、と思った最後にパニックのあぶら汗。学生メカニックたちには、今年も忘れじの夏に。 |
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草食系男子と肉食系女子、世の中はうまく出来ている!? |
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「今年は、本番が近づいてからドタバタしまして、この10日間でマシンを整えてなんとか本番にこぎ着けた次第でした。女の子が入って華やかになった? 男子と同じように混じって盛り上がってますね。整備士の世界に、いまの若い世代には、男女差とかは関係ないのでしょうかね」 |
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今年のチームは12名の学生が参戦。 後方列左から中川幹基君(リアタイヤ担当 一級自動車整備研究科1年生)、伊代住彩乃さん(ヘルパー担当 一級自動車整備研究科1年生)、小山 萌君(リア担当 自動車整備科2年生)、上野智也君(リーダー サイン担当 自動車整備科2年生)、吉永一財君(ガス・会計担当 自動車整備科2年生)、村井智幸君(リア担当 自動車整備科2年生)。 中列左から城元琢壮君(サイン担当 自動車整備科1年生)、伊藤 翼君(サイン担当 自動車整備科1年生)、安住綾乃さん(ストップボード・消火器担当 自動車整備科1年生)、間瀬景介君(ガス担当 自動車整備科2年生)、立原大介君(フロント担当 自動車整備科2年生)、松井佑磨君(フロント・タイヤ管理担当 自動車整備科2年生)。 前列は北口浩二選手(第3ライダー)、清水郁巳選手(第2ライダー)、古澤基樹選手(第1ライダー)。 ●写真提供─ホンダテクニカルカレッジ関西 ※吉永一財君の吉の士部位は土の旧字体が正しいものですが、表示されないため吉で代用しました。 |
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ピットの後方、イスやテーブルの置かれる付近は、例年をこえて、ひときわの賑やかさだった。HONDAのエンブレム白いツナギに身を包んだ1年生女子2名がとても目立っている。海外チームのスタッフもが覗きにくるほどであり、二輪車大国の技術者層の幅の厚みにたまげているのだろうか。反面、同じ新入の男子1年生はちょっぴり所在ないかんじで静かに佇んでいる。これは恒例。毎年のことでもありそんな少年たちの姿がまたあどけなくて、学園チームの微笑ましさでもあると痛感する。 |
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| 「女子部員が入り、予選は清水さんが頑張ってくれてと、うかれていてはいけませんね。気持ちを引き締めていこうと思っています」と、本番前にチーム監督の五月女教頭先生は話していたのだが……最後の最後にクライシスを迎えることになるとは。 | |||
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| 今年のチームは阪田先生、大川先生、田崎先生、上田先生の各顧問の先生が学生を引っ張る。生徒だけでなく先生のチームワークも重要だ。本番前マシンのトラブルも、チーム一丸での頑張りで乗りきってきた。 | |||
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| 新1年生は、いつもおとなしくて尻込みがち。そこが少年たちの可愛らしさとも感じていたが、今年は女子の2名が入ってカンフル注入。ピットシェアの熊本レーシングにも、キレイな女性マネージャー2名がいることもあり、なんだか、とても居心地のよかった18番ピットでした。ちなみに4耐で18番ピットを使用していたチーム関係者は、田崎先生の教え子と判明したと同時に、ホンダ熊本製作所・熊本レーシングのスタッフとも顔見知り。同窓会のような雰囲気になったりと、ホンダのレース活動の幅広さを垣間みた。 | |||
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| 「28番、ホンダ学園です。応援よろしくお願いします!」ピットウォークで通った声でPRするのも恒例。照れが見え隠れする男子を尻目に、女性陣は積極的に声を出し、パンフレットを配る姿は来年のリーダー候補!? | |||
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| 今年のリーダーをまかされたことで、昨年より表情が引き締まってきた上野君。仲間達や後輩達に終始気を配っていた(左)。立派な体格をかわれたのか、昨年に続いてガス給油担当の間瀬君。ピットでは笑顔で、レーンではリズムよくガスチャージ。昨年より格段に調子をあげていた。 | |||
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好調に巡航、苛烈なレース状況をかいくぐって進む学園CBRの実力! |
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迎えた決勝当日。エントリー84台。予選をクリアしての出走が70台。そこへ、ひとしずくの雨滴のないガチンコの酷暑となった2015年鈴鹿8時間耐久レース。一点の雲の陰りさえない太陽の照りつき、30度を軽く超える気温と60度近い路面の熱。これらがライダーやメカニックを、”これでもか! これでもか! ”と畳み込むように試し続けた。トップグループでは注目だった元世界GPチャンピオンC・ストーナーも転倒する波乱の中、大きなクラッシュが数珠つなぎのように起きる。その都度、セーフティーカーが割って入ること計6回。選手たちの”ツーリング時間”から再三再四の全開走行への開始と、見る側にとっては耐久レースの真髄とも言うべき、苛烈、尋常でない、正気の沙汰ではない醍醐味を、同じく畳み込むように見せつけてくれた。 |
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| いよいよスタートが近づく。泣いても笑っても2015年の8耐はこれっきり。万全を尽くしたマシンを祈るように送り出す。 | |||
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ホンダ学園28号車は、古澤基樹選手、北口浩二選手、そして今年新しく加わった清水郁己選手のベテランらしいスピードと抑制の効いたテクニックも相まり、1スティントごとの巡航を予定どおりにクリア。学生メカニックたちは、ピットでのルーティンを無事にこなして、波乱の展開のなかをつなぎ続ける。 |
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つなぐ、つなげる、つないでいこう。若いみんなが、張り上げる声と視線、息継ぎで互いを確認しあうようなルーティン。お見事。ある意味、相部屋の熊本レーシングのスタッフたちの熟練の手技に、牽引されるような相乗の効果か。学生たちはそつなくこなしていった。取材者は、両チームへの意識と視線に行ったり来たりでいたが、ふと、西日が傾いた時刻に気がついたことがあった。ホンダ学園チームは、まだ、5回しかピットインしてなかったことだ。それとなく学生メカニックに尋ねると、こう応えてくれた。 |
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本番近くになって助っ人として加わってくれたライダー清水郁己選手(写真上)が、これまでの古澤基樹選手(写真中)、北口浩二選手(写真下)とは、スタイル、体格、年齢などを含めてタイプの違うレーサーのため、3人ライダーの最大公約数の落としどころを探したそうだ。実質、清水選手は、予選、本番ともに、持てる実力を発揮する。 | ||
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| 緊張の初回ピットイン。レーンに出るまでは堅さも見られたが、バイクが到着するとけして速いとは言えないが、確実に声をかけ、しっかりと作業をこなす姿に、日頃の練習の成果が垣間見えた。 |
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学生達のルーティンワークを見守る熱き男、元顧問の白上先生(現在はHonda Cars 泉州に勤務) 。「外に出てこそ見えてくることもたくさんあります」と、学園を離れたが古巣の応援に駆けつけていた。 | |
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| 6回目、ルーティン最後のピットもそつなく無事にこなし、このままフィニッシュかと思われた、が、そうは問屋が卸さないのが耐久レースの怖さであり、観客にとっては一種の醍醐味でもある。 | |||
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最後の最後でライトが!! 頼む、28号車!!! |
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ところが、この直後だった。陽の落ちたピットのなかに衝撃が走る。寝耳に水とは、こういう時の言葉だと思った。凍りついたような学園ピット。そこへ清水選手は帰ってきた。フロントブレーキをかけて、前を激しく揺さぶっている。ライトの点灯が不確かであり、ピットインを命じられたということだった。 |
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| 終盤に入ってからのピットインという緊急事態。チーム一同、この夏のすべての冷や汗、油汗を流したのでないだろうか。 | |||
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ホンダ学園「二輪車整備同好会」28号車、予選33番手、決勝を35位でチェッカーフラグを受ける。完走。やった。ぎりぎり、無事の完走だった。 |
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| 学生は自動車整備課の場合、在位期間が2年間。課外活動なので毎年、メンバーが入れ替わる。1年生は、下見を兼ねた準備期間。2年生にとっては、悔いを残したくない夏。短いレース活動だが、鈴鹿8耐という、世界選手権でもある大きな舞台への出場は、生涯、忘れ得ぬ体験になるだろう。 | ||||
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#28 Teamホンダ学園 CBR1000RR(2014) Class:EWC Tire:DL 予選33位 2`14.161 決勝35位 187Lap BEST LAP 2`14.874 |
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