KTM 990 SM-T midashi

KTM 990 SM-T

こどもの頃、歩いて3分の所にある八幡神社の境内が、ボーイスカウトの活動拠点になっていた。小学3年生の僕はその下部組織、その名もカブスカウトに入団。

日曜日、青い制服を着て、近所の遊び仲間とキャンプやらハイキングに出掛けた記憶がある。アウトドアという言葉は知らなかったが、焚き火で食事を作り、日が暮れるとテントで眠る。つまり、おなかが空くから食事を作り、疲れたらテントで寝る。それは生活術だった。

当時も今も僕のアウトドアは典型的な体験型。里山に暮らし、春に山菜、秋にキノコ採り、そして食べるために獣を狩る。そんな猟師の暮らし向きがテレビで流れると畏敬の念をもってしまうし、本物が持つ大きさ、優しさにはどうしたって憧れる。

そんな意味でKTMの990アドベンチャーは、僕の憧れ指数レーダーチャートを全方位高い点で結ぶ一台だ。

まずである。ダカールラリーを制したワークスマシンを出自に持つ点。KTMの本社に取材に行ったときのことだ。通された広いミーティングルームには、その壁沿いに歴代ワークスマシンがズラリと並んでいた。その中に置かれていたのが990アドベンチャーの原点となる950ラリー。

KTMはプロモーションと実戦耐久テストを同時に行い、見事優勝して見せた。それはKTMにとってダカール連覇の始まりでもある。そのバイクの血は今も脈々流れている。

だから舗装路での高い性能を持ちながら、990アドベンチャーでオフロードに踏み入れ、ワイドオープンした時の走りはスゴイ。それでいて、そんなコトをおくびにも出さず、後輪の蹴り跡も残さないような静かな走りに応える柔軟性も兼ね備えている。

長いサスペンションストロークを持ちながら、姿勢変化をスローモーションのように制御するサスの特性は見事。しなやかに吸収しながら、全体の動きを「ゆったりして安心感がある」ものにしてくれる。つまり、これがある故、高速道路からワインディングまで意のままにこのバイクを操ることが出来るのだ。

これはクロモリ鋼のフレームやWPサスペンションだけで成せる技ではない。KTMにこうした乗り味を生み出せる人材と、扱いやすく楽しいバイクこそ最高! という哲学があるからだ。

夏に同じ道を走ってやってきた軽井沢。あの時は猛暑の影響もあって風が欲しいと思ったが、冬に向かう今は快適なウインドプロテクションがありがたい。先を見通せるアップライトなポジションと相まって移動のストレスは極めて低い。カウルスクリーンは、バイザー付きのオフ用ヘルメットを被っていても負担にならない快適さが嬉しい。

しかもツーリングをさらに意識したオプションのシートとハイスクリーンを備えたこのバイクは、さらに疲労度が低い。スクリーンが高くても妙な乱流も感じられなかった。

赤茶けた落ち葉が風に舞う道を駆け上るアドベンチャーの後ろには砂漠で巻き上げた埃のトンネルはない。でも、日本の中を旅する相棒としてこれほど頼もしいヤツもいない。

予定は無いにしても、僕はもし自分の持ちものに「冒険」なんて名のついた物を置けたらなぁ、と思う。堅物に見えてこのアドベンチャー、冗談の解る遊び好きなんですから。

冬前のファイナルコール。
ラストキャンプに快適なキャンプ場、
いかがでしょう?

今回KTM2台で訪れた北軽井沢。そしてカラ松の森の中にある理想的なキャンプエリア、outside BASE(http://outsidebase.com/)を訪ねてみた。キャンプ場といえば未舗装の月極駐車場のように区画がバッチリ決まっている場所も少なくないなか、outside BASEでは一日の受け入れ数をテント25組に限定することで、テントエリアをカラ松林の中にフリーに選べるのが特徴だ。また2/4/6人用とサイズのことなる3タイプ・14棟のコテージもあり、テント泊だけではない楽しみ方もできる。

 炊事場、水場の施設も充実。しかもお風呂は源泉かけ流し。井戸を探していたら温泉が出たそうだ。さすが、浅間山の山麓。キャンプエリアばかりでなく、このoutside BASEを主宰する快適生活研究家であり、アウトドアの達人、田中ケンさんがプロデュースした場所らしく、ロッククライミングやトレールランニングのコースなども用意してある。

 バイク乗りでもある田中ケンさんだから、アウトドアでのたしなみを知る人なら誰でもウエルカムとのこと。標高1100メートルのoutside BASEで、冬を先取り! なんてキャンプはどうでしょう。本物の冬が道を凍らせる前に!

自然との共存がアウトサイドベースのコンセプト。手付かずの林がキャンプサイトになっている。写真のテントは“KTMビッグテント”で、バイクも一緒に寝ちゃえるのだ。
自然との共存がアウトサイドベースのコンセプト。手付かずの林がキャンプサイトになっている。写真のテントは“KTMビッグテント”で、バイクも一緒に寝ちゃえるのだ。
2人~6人まで泊まることの出来るコテージも14棟ある。そして、温泉もある、というから嬉しいじゃないか。
2人~6人まで泊まることの出来るコテージも14棟ある。そして、温泉もある、というから嬉しいじゃないか。
快適生活研究家でありアウトドアの達人である田中ケンさんは、ライダーでもある。outsideBASE 予約センター:03-3306-4559  HP: http://outsidebase.com/
快適生活研究家でありアウトドアの達人である田中ケンさんは、ライダーでもある。outsideBASE 予約センター:03-3306-4559 HP: http://outsidebase.com/

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