Hi-Compression Column

同時ピットイン! ピットワークも8耐の大きな醍醐味。
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2011年8月9日更新

鈴鹿の風は涼しく、レースは熱く

8耐が終わりました。夢のあと。

今年は節電のため、夜間走行がなくなり、10時半のスタートとなりました。

決勝だけでなく、木曜日、金曜日の夜間練習もなくなるのです。サーキット内の設備でかなり節電になったのではないかと。しかしね、4時間でいったん区切って昼のピーク時を2時間ほど休憩して、また4時間走らせたほうがもっと節電ですけどね!

レースは、今年もワークス参戦のなくなった8耐ですから、数えられるほどの有力チームとその他の中堅どころの、それぞれの8耐になりました。最初から最後までスプリントレースで、気の抜けない8時間だったという人もいますが、トップが替わらなければスプリントでも後半飽きがくるというもの。撮影は、毎ラップ同じ順番で走ってくるのを撮るだけなので、なにか変化はないものかと撮影場所を転々と変えてモチベーションを保ってました。実際見てるお客さんはどうだったのだろう? とかなり気になります。


前日の4耐を見たかた、いらっしゃいますか? 3位のライダーが最終のライダー交代で40秒以上もある差をつめて、大逆転の優勝だったんです。私は仕事じゃなかったのでモニター観戦してましたが、小さなモニターでも両者ともタイヤが磨り減って滑ってるのが分かったので、それでレースするのを見てるだけで、かなり手に汗でした。


8耐のラスト1時間、FCC・TSRが清成に、ヨシムラが加賀山に最後のバトンを渡したとき、トップを行く清成と2位の加賀山の差は19秒、周回は大体28周になるから、1周で1秒弱詰めれば最後はすごいかもしれないなんて思っていたのだけど、そうは問屋、ならぬ清成が・・・でした。最終まで清成のペースは衰えず、トップでチェッカー。

清成はスタートの回でヘアピンでスリップダウンし、クラッチレバーを折っています。その遅れを秋吉が挽回し、再び首位に、8時間の序盤こそ、秋吉VS玉田、とか、岡田VS青木とかの、別の意味での面白バトルはあったものの、今年のFCCは速かった!いや、清成が速かった!

今年は震災の影響もあり、出場を断念したチームも多々あったと思います(参加台数割れ)。

そんななか、FCC・TSRからは宮城出身で自身も被災してしまった伊藤真一選手が出場からの優勝、被災地を勇気付ける勝利になったのではないかと思います。FCCの優勝の立役者は、清成の速さと秋吉の勢いで、伊藤選手ではないけれども、それでも1回しか走行していない伊藤真一の存在感は大きかった。ほんと1回しか走行してないので、ファンの人たちは物足らなかったんじゃないかと思いますが、もし、伊藤選手がもう1スティント走行していたら・・・誰もわからない。

今回、清成選手も加賀山選手も、エバの芹沢選手もライダー3人のチームなのに4回の走行をしています。普通に考えると、ライダー3人で8時間は3・3・2の走行だけど、1.3.4という、あとで賞金をどう分ければいいのか悩む割り振り。

すこしヨシムラ目線になりますが、ヨシムラの作戦では、1人1回づつ走行させてみて、その後に誰を走らすかを決める、というものでした。加賀山が走行を終えて短い休憩を取っていると「ユッキー、次いって!」という展開になったのは、相手チームのペースについていけるのが加賀山しかいなかったからで、「俺、4回走るトレーニングしてないよ~」という具合に走行に借り出されるユッキー・・。

そして相手もさるもの、すかさず清成を投入。加賀山3回目の走行ではヨシムラのピットでは、相手チームから伊藤選手をおびき出そうと、ピット内で第3ライダーのジョシュ・ウォータースに、さも交代する準備のようにヘルメットを被って座らせて、加賀山は裏で待機、ピットインと同時に裏から出るという作戦をたてたものの、敵(FCC.TSR)も清成。

TSR藤井監督の采配とライダーの能力、そしてチームワークが優勝を導き、ヨシムラは悔しい2位に。みんながんばったので2位おめでとうと言うべきか、ですが優勝を目指し戦ったライダーには2位でいいなんて言えないもの。悔しい気持ちが来年の8耐を面白くしてくれることを願ってます。

表彰式は「伊藤!いっとう!」と伊藤コールがつづいてました。


トップの話をしてきましたが、8耐はトップチームだけのレースではなく、それぞれの目標をもって出場しているから面白いもの。今年は島田紳助が「チームシンスケ」を率いてエントリーしてくれましたね、有名アニメのチームは2年目でした。それから、8耐に出ることを楽しみに準備してきたチームのメンバーはみんな笑顔が素敵でした。

来年はもっと○○な8耐に・・って、○○に入る言葉は1年かけて探したい

それから12時間後・・・

チームにとっては翌日の撤収までが8耐、滝汗で片付けです



楠堂亜希
レースカメラマン
楠堂亜希
20代初期にてミスター・バイクに拾われ、好きなことをしているうちにレースカメラマンのポジションを与えられました。 モトクロス、ロードレースをこよなく愛し、愛溢れる写真で楽しさを伝えてまいります。

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話題のチームシンスケ。。中木君は宮城県のライダー
話題のチームシンスケ、中木君は宮城県のライダー。
で、ピットクルーは芸能人が勢揃いの上のカットを撮ってたときの、私の後方にどんだけ人がいるか魚眼で撮ってみました
で、ピットクルーは芸能人が勢揃いの上のカットを撮ってたときの、私の後方にどんだけ人がいるか魚眼で撮ってみました。
グランドスタンドのイベント会場ではヤマハ50周年のマシン展示やってました
グランドスタンドのイベント会場ではヤマハ50周年のマシン展示やってました。
新しくなったグランドスタンドとピットビル。グランドスタンドとビルの3階まで人で埋まるのは8耐でしか見たことありません、ちょっと後方のシケインが寂しいですけど
新しくなったグランドスタンドとピットビル。グランドスタンドとビルの3階まで人で埋まるのは8耐でしか見たことありません、ちょっと後方のシケインが寂しいですけど。
スタートでトップ加賀山ですが、ルマン式かけっこで一番速かったのは清成でした
スタートでトップ加賀山ですが、ルマン式かけっこで一番速かったのは清成でした。
とにかく加賀山が出ると会場が盛り上がる!コースでもツイッターでも、「加賀山!」コールは男女問わずに多かった
とにかく加賀山が出ると会場が盛り上がる!コースでもツイッターでも、「加賀山!」コールは男女問わずに多かった。
清成がコケた分をすぐさま取り返した秋吉。このあとヨシムラのジョシュ・ウォータースが玉田を追いかけまわすやんちゃ振りに沸いた
清成がコケた分をすぐさま取り返した秋吉。このあとヨシムラのジョシュ・ウォータースが玉田を追いかけまわすやんちゃ振りに沸いた。
見てよし!走ってよし!しゃべって・・・う〜ん・・の清成。荒れた路面のBSBで培ったライディングと天然トークとのギャップから目を離せませんw
見てよし!走ってよし!しゃべって・・・う〜ん・・の清成。荒れた路面のBSBで培ったライディングと天然トークとのギャップから目を離せませんw
ラストの旗もってのパレードっていつから?そしてこのコカコーラの旗はどこで渡してるのでしょうか?
ラストの旗もってのパレードっていつから?そしてこのコカコーラの旗はどこで渡してるのでしょうか?
表彰式が薄暗いなかではじまりました、節電でスポットライトがなかったらどうしよう?ってプレスの人たちがひそかに心配してた

表彰式が薄暗いなかではじまりました、節電でスポットライトがなかったらどうしよう?ってプレスの人たちがひそかに心配してた
表彰式が薄暗いなかではじまりました。「節電でスポットライトがなかったらどうしよう?」ってプレスの人たちがひそかに心配してました。

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モトクロ男子
↑これまでモトクロスを長年取材して、選手たちの明るい表情やレースの面白さ、観客との距離の近さ、こんな楽しい競技をもっとたくさんの人に見てもらいたい、それにはまず、選手たちのことをもっと知ってもらいたいと思い、各メーカー、関係各社の協力のもと、モトクロスライダーのプロフィールを紹介したサイトを作りました。
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