CB1100開発者インタビュー

 空冷の味を大切にしました。CB750のように長く愛され、長く売れてくれたら、が私の願いです。

 伝統のCBってよく言われますが、その伝統って何か、というとやはり空冷だという風に思うんですね。ですからある意味、CB750との入れ替わりみたいなところの延長線上にもありますし、空冷といったところは全世代にいっぱいお客様がいますんで、そういう人達にもお応えしたかった。

 私自身も空冷というエンジンの持つフィンの美しさ、といったところは、かなり個人的にも好きなもんですから。そこでまあ、どうしても空冷に落ち着いたというか、そこに焦点を当ててやりました。今回のこのクルマそのものはやはりエンジンが主体だと思っております。

1100へのこだわり

 まあやっぱり750というのであれば、CB750のモデルメンテをきちんとやれば出来たとは思うのですけど、やはりそことはかけ離して大排気量にこだわりました。

 '07年の東京モーターショーにCB1100FとCB1100Rというのを出していたのですけど、大排気量にもこだわりを持っているんですね。出力は抑えていますけどトルクで走っていきたいというところがありまして、それが1100というところに焦点を当てたというのが実態です。

エミッション対策は万全

 空冷で国内のエミッション規制や騒音に対応する苦労はもちろんありましたけど、そこをクリアしないことにはね。

 様々な技術で手を変え品を変え、で国内規制に対応しました。欧州のユーロ3ももちろんクリアしてます。その辺はバッチリ出来たかなと思ってます。

デザイン面ではヨンフォアも意識

 CB400FOUR、ヨンフォアと呼ばれていますが、その辺の流れっていいますか、CB400FOURをかなり意識した面はございます。

 特に排気系の流れるようなデザインを踏襲したイメージは確かにもってます。あとはまあ、全体のたたずまいといったようなところですか。落ち着いていて、全体の凛としたたたずまいというところを重要視して、あちこちこだわりを持ったカタチに仕上げてきたつもりです。

スペックよりも

  これまでは、馬力、出力だとか高性能、高出力、最高速といったところにあった気持ちが、ちょっとずつ別の方向へ向いてきているんじゃないかなとも思うんですね。

 そういう部分に関しては、スペックよりも全体のたたずまい、走りでも自分なりの走り方、みたいなところに、かなりこのクルマとしてはこだわりを持っていると思います。

カムバックライダーの期待を裏切らない

 メインのお客様の像としては、やっぱり40代から50代といった人達にあててます。20代ぐらいの頃にバイクに乗っていて、その後一度降りてしまったが、最近になってまたちょっと乗ってみようかな、みたいになった時に、当時乗っていたバイクの乗り味、たたずまい、などといったところを大事にしたかったわけです。

 そういうお客様に対して、その期待を裏切りはしない、お客様達が思ってた「こういう感じだったんだよね」っていうのを表したかったから、あえてこういうカタチにしたんです。

開発責任者からのメッセージ

 やはりリッターバイクになると、うちのCB1300シリーズもそうですけど、かなり大きくて、まあ1300とは棲み分けをしてますけど、かなり大きい、イコールちょっととっつきにくい、みたいなところってあると思います。

 このCB1100は取り回し等々もすごい楽にしようとホイールベースなんかも若干短くしたり、全体のサイズそのものもちっちゃくしたりしてます。

 また、街乗りの中でも安心して走れる、安心して止まれる。ゴーストップ、ゴーストップの時に安心して使える、そういったことを重点に置いてシートレールの幅、シートひとつの形状であるとかいったところにも工夫して足つき性をかなり重要視しているモデルになってます。

 女性の方でも「おっきいバイク乗りたいんだけど、ちょっとCB1300では」とかいっていた方にも応えられるよう、相当敷居を低くしていますので、色んな方、様々な幅広い方々に対応できると思いますので、ぜひ販売店に足を運んでいただきたいと思います。

●福永博文 本田技術研究所 二輪R&Dセンター・主任研究員'06年から'08年までCBR1000RRを手掛けた。「出力や最高速を追い求めるCBRに対して“バイクってそれだけじゃないよね”で作った」という。(肩書きはCB1100発表時、2010年春現在のもの)
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