DUCATI DIAVEL 国内発売

車名の「DIAVEL」はイタリア、ボローニャ地方の方言で“悪魔”を意味する言葉から来ているというのだが、日本人の感じる悪魔とはちょっと意味合いが違う。愛嬌を秘めた“小悪魔”的なイメージを考えて欲しいとドゥカティジャパンは説明している。遡ること約20年、「モンスター」がショッキングな命名といわれて登場した時同様、バイクの未来を変えてしまうような存在に、という期待が込められているのだろう。

デザイン初期のDIAVELのラフスケッチ。マッスルなフロントとショートなリアの構成。クルーザーという考えがまったく無かったのが良く分かる。
デザイン初期のDIAVELのラフスケッチ。マッスルなフロントとショートなリアの構成。クルーザーという考えがまったく無かったのが良く分かる。
デザインコンセプトを説明するバートさん。ドゥカティのデザインセンターでは、マシンの開発ごとに3名のメインデザイナーの中から1人がチーフとなって、他の2人はサポートに回るシステムを取っているという。
デザインコンセプトを説明するバートさん。ドゥカティのデザインセンターでは、マシンの開発ごとに3名のメインデザイナーの中から1人がチーフとなって、他の2人はサポートに回るシステムを取っているという。

ディアベルのデザインの元となったのは「これまでのドゥカティにないモノを作ろう」というドゥカティデザインセンターのバートさんの提案だったという。ディアベルのメイン担当デザイナーとなったバートさんはまず「長く、低く」をキーワードとしてスタートしたという。

これをそのまま解釈すると一般的なクルーザーになってしまうが、そこに「男らしい」をプラスしたのだ。そしてそこはさすがにドゥカティ、走りのパフォーマンスをおろそかにすることはなかった。

ドゥカティのようにLツインエンジンをレイアウトするマシンは必然的にフロント荷重を得にくい、といわれるがドゥカティ社内で“フロントタイヤを食べるライン”と呼ばれる、エンジンに限りなくフロントタイヤを近づけるデザインを採用。そしてリアはモンスターの特長でもある、リアタイヤの真上で終わるボディラインの採用などにより、フロント荷重の獲得に成功するとともに、ディアベル独特のスタイルを形作ることに成功している。

「走り出すランナーのイメージをスタイルに入れたかった」とバートさん。リア周りは極力クリーンにしている。

DUCATI DIAVEL 国内発売

今までのドゥカティは言うなれば女性的、“セクシー”なデザインだった。それに対してディアベルは“男性的なライン”となったのだ。

車体周りでは、ベースとなったムルティストラーダのホイールベース1,530mmに対してディアベルでは1,590mmと6cm長くなっているが、単純にクルーザー的に長くなった、とは考えない方がいい。スポーティなハンドリングに効果的と言われるスイングアーム長が、逆にムルティストラーダより7cmも長いのだ。

さらに、差引で少ない1cmはどこへ行ったかといえば、ステアリングヘッドをより車体中央に近づけているという。キャスター角はムルティストラーダよりも3度多い28度にしているにもかかわらずだ。いかにマスを集中化させているかが分かる。

そしてこのディメンションは、さらにタンクサイドからそのまま前方へと伸びるタンクサイドカバーと、その下のラジエターポッドでフロントフォークを包み込むかのようなデザインを実現している。“男性的なライン”を造り出す超マッシブなフロント周りの造形の決め手部分だ。

“テスタストレッタイレブンディグリー”とドゥカティスタに呼ばれる1,198.4cm3のLツインエンジンの基本は、ムルティストラーダと変わりないが、φ58mmの極太右2本出しマフラーや、リデザインされたクラッチカバーなどにより、ディアベルならではの迫力のスタイル造りに貢献している。

以上、日本仕様での違いを主に紹介してきたが、メカニズムのあれこれ細かい部分を取り上げるより、ディアベルの評価は単純明快、このスタイルが好きか嫌いか、につきるだろう。

“スプリットレベル・インストルメンテーション”と呼ばれるツインメーター。本来のメーター部分にLCD液晶メーターを搭載。速度、エンジン回転数を表示。タンク部分にはクリアーなTFT液晶ディスプレーが装着されている。こちらはライディングモード、選択ギア、DTCのセッティング状況、オドメーター、トリップメーターなどが表示される。
“スプリットレベル・インストルメンテーション”と呼ばれるツインメーター。本来のメーター部分にLCD液晶メーターを搭載。速度、エンジン回転数を表示。タンク部分にはクリアーなTFT液晶ディスプレーが装着されている。こちらはライディングモード、選択ギア、DTCのセッティング状況、オドメーター、トリップメーターなどが表示される。
タンクオンのTFT液晶ディスプレーは周囲の明るさを察知してブラック/ホワイトのバックライト照明を切り換えることが出来るようになっている。停止時にはコントロールパネルとしても使用でき、各ライディングモードにおけるライドバイワイヤ設定とDTCセッティングのカスタマイズも可能だ。イグニッションは“ハンズフリー”。電子キーを持って約2メートル以内に近づけば自動的にシステムがスタンバイする。シートや燃料キャップ開閉時に使用するメカニカル・フリップキーも内蔵。
タンクオンのTFT液晶ディスプレーは周囲の明るさを察知してブラック/ホワイトのバックライト照明を切り換えることが出来るようになっている。停止時にはコントロールパネルとしても使用でき、各ライディングモードにおけるライドバイワイヤ設定とDTCセッティングのカスタマイズも可能だ。イグニッションは“ハンズフリー”。電子キーを持って約2メートル以内に近づけば自動的にシステムがスタンバイする。シートや燃料キャップ開閉時に使用するメカニカル・フリップキーも内蔵。
特徴的なヘッドライトは、アルミニュウム製アウターボディによりサポートされる。ライト内部にはハイ/ロービームのダブルリフレクターが組み込まれる。センターを横切る帯部分はLEDのポジショニングライトとなっている。
特徴的なヘッドライトは、アルミニュウム製アウターボディによりサポートされる。ライト内部にはハイ/ロービームのダブルリフレクターが組み込まれる。センターを横切る帯部分はLEDのポジショニングライトとなっている。
ディアベルのスタンダードにはブラックボディのマルゾッキ製φ50mmフロントフォーク、ディアベル・カーボンでは超低摩擦DLCコートが施される。ホイールはスタンダードモデルが専用デザインの14本スポークホイール、ディアベル・カーボンにはマルケジーニ製鍛造軽合金の複雑なデザインを持つ9本スポークのホイールを採用。前後2本で2.5kgの軽量化を実現しているという。
ディアベルのスタンダードにはブラックボディのマルゾッキ製φ50mmフロントフォーク、ディアベル・カーボンでは超低摩擦DLCコートが施される。ホイールはスタンダードモデルが専用デザインの14本スポークホイール、ディアベル・カーボンにはマルケジーニ製鍛造軽合金の複雑なデザインを持つ9本スポークのホイールを採用。前後2本で2.5kgの軽量化を実現しているという。
左右に振り分けられたラジエターポッドの先端には、クリアレンズで覆われたLEDの方向指示器が埋め込まれている(写真は点灯状態)。エアインテークを兼ねるタンクサイドカバーはフロントフォークを抱え込むように前方に伸びる。トリプル・クランク(ツリー)はアッパー側が鍛造アルミニュウム、ロア側が鋳造アルミ製でともにフォークに対してスラッシュカットされるユニークなデザイン。ステアリング切れ角はロック・トゥ・ロック70度を確保。
左右に振り分けられたラジエターポッドの先端には、クリアレンズで覆われたLEDの方向指示器が埋め込まれている(写真は点灯状態)。エアインテークを兼ねるタンクサイドカバーはフロントフォークを抱え込むように前方に伸びる。トリプル・クランク(ツリー)はアッパー側が鍛造アルミニュウム、ロア側が鋳造アルミ製でともにフォークに対してスラッシュカットされるユニークなデザイン。ステアリング切れ角はロック・トゥ・ロック70度を確保。
シート高750mmのローシートを標準装備。前部が狭い鞍型の形状とともに足つき性は良好。パッセンジャー部分には簡単に取り外せるシートカバーを付属(ディアベル・カーボンではこのカバーもカーボン製)。シングルシートに早変わり。シート後方には収納式のT字型パッセンジャー用グリップが装備されている。スレンダーなタンデムステップもリアのサブフレームからワンタッチで引き出せる。
シート高750mmのローシートを標準装備。前部が狭い鞍型の形状とともに足つき性は良好。パッセンジャー部分には簡単に取り外せるシートカバーを付属(ディアベル・カーボンではこのカバーもカーボン製)。シングルシートに早変わり。シート後方には収納式のT字型パッセンジャー用グリップが装備されている。スレンダーなタンデムステップもリアのサブフレームからワンタッチで引き出せる。
リアには車体の下に水平マウントされたザックス製モノショックを採用。スイングアームから伸びるプルロッドリンケージを介してプログレッシブ特性を持たせている。リバウンド/コンプレッションそれぞれのダンピングフォースの調節か可能だ。スプリングのプリロードは工具を使わずに簡単に調節できる。
リアには車体の下に水平マウントされたザックス製モノショックを採用。スイングアームから伸びるプルロッドリンケージを介してプログレッシブ特性を持たせている。リバウンド/コンプレッションそれぞれのダンピングフォースの調節か可能だ。スプリングのプリロードは工具を使わずに簡単に調節できる。
ムルティストラーダよりも7cm長くなっているリアアーム。リアアームを極力長くするのは最近のロードスポーツトレンド。ホイールベースの延長分よりもさらに1cm長い。テクニカルパートナーであるピレリとの協力でディアブロ・ロッソIIタイヤを専用開発。フロントこそ定番サイズの120/70-17だが、リアには何と240/45-17のカスタム・マシンかと思わせるワイドタイヤを履いている。コンパウンドは当然ながらデュアルコンパウンドテクノロジーと、どのようなリーンアングル下においても接地面積を最大化、最適化するエンハンスド・パッチ・テクノロジー(RPT)も採用している。
ムルティストラーダよりも7cm長くなっているリアアーム。リアアームを極力長くするのは最近のロードスポーツトレンド。ホイールベースの延長分よりもさらに1cm長い。テクニカルパートナーであるピレリとの協力でディアブロ・ロッソIIタイヤを専用開発。フロントこそ定番サイズの120/70-17だが、リアには何と240/45-17のカスタム・マシンかと思わせるワイドタイヤを履いている。コンパウンドは当然ながらデュアルコンパウンドテクノロジーと、どのようなリーンアングル下においても接地面積を最大化、最適化するエンハンスド・パッチ・テクノロジー(RPT)も採用している。

★主要諸元

車名型式 DUCATI
DIAVEL〈DIAVEL CARBON〉
発売日 2011年6月4日
全長×全幅×全高(m) 2.257×-×1.192
軸距(m) 1.590
最低地上高(m) -
シート高(m) 0.750
車両重量(kg) -
乾燥重量(kg) 210〈207〉
乗車定員(人) 2
燃費(km/L) -
登坂能力(tanθ) -
最小回転半径(m) -
エンジン型式   -
水冷4ストロークL型2気筒デスモドロミック4バルブ
総排気量(cm3) 1,198.4
内径×行程(mm) 106×67.9
圧縮比 11.5
最高出力(kW[PS]/rpm) 112[82.0]/6,750
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 11.6[113.9]/6,750
燃料供給装置形式 フューエルインジェクション
始動方式 セルフ式
点火方式 -
潤滑油方式 -
潤滑油容量(L) -
燃料タンク容量(L) 17
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比 1速 2.466
2速 1.764
3速 1.350
4速 1.090
5速 0.958
6速 0.880
減速比1次/2次 1.84/-
キャスター(度) 28°
トレール(mm) 130
タイヤサイズ 120/70ZR17
240/45ZR17
ブレーキ形式 φ320mm油圧式ダブルディスク
φ265mm油圧式シングルディスク
懸架方式 倒立テレスコピック式
片持ち式スイングアーム式
フレーム形式 スチールパイプ製トレリスフレーム

※〈 〉の数値はDIAVEL CARBON

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