車名の「DIAVEL」はイタリア、ボローニャ地方の方言で“悪魔”を意味する言葉から来ているというのだが、日本人の感じる悪魔とはちょっと意味合いが違う。愛嬌を秘めた“小悪魔”的なイメージを考えて欲しいとドゥカティジャパンは説明している。遡ること約20年、「モンスター」がショッキングな命名といわれて登場した時同様、バイクの未来を変えてしまうような存在に、という期待が込められているのだろう。
ディアベルのデザインの元となったのは「これまでのドゥカティにないモノを作ろう」というドゥカティデザインセンターのバートさんの提案だったという。ディアベルのメイン担当デザイナーとなったバートさんはまず「長く、低く」をキーワードとしてスタートしたという。
これをそのまま解釈すると一般的なクルーザーになってしまうが、そこに「男らしい」をプラスしたのだ。そしてそこはさすがにドゥカティ、走りのパフォーマンスをおろそかにすることはなかった。
ドゥカティのようにLツインエンジンをレイアウトするマシンは必然的にフロント荷重を得にくい、といわれるがドゥカティ社内で“フロントタイヤを食べるライン”と呼ばれる、エンジンに限りなくフロントタイヤを近づけるデザインを採用。そしてリアはモンスターの特長でもある、リアタイヤの真上で終わるボディラインの採用などにより、フロント荷重の獲得に成功するとともに、ディアベル独特のスタイルを形作ることに成功している。
「走り出すランナーのイメージをスタイルに入れたかった」とバートさん。リア周りは極力クリーンにしている。
今までのドゥカティは言うなれば女性的、“セクシー”なデザインだった。それに対してディアベルは“男性的なライン”となったのだ。
車体周りでは、ベースとなったムルティストラーダのホイールベース1,530mmに対してディアベルでは1,590mmと6cm長くなっているが、単純にクルーザー的に長くなった、とは考えない方がいい。スポーティなハンドリングに効果的と言われるスイングアーム長が、逆にムルティストラーダより7cmも長いのだ。
さらに、差引で少ない1cmはどこへ行ったかといえば、ステアリングヘッドをより車体中央に近づけているという。キャスター角はムルティストラーダよりも3度多い28度にしているにもかかわらずだ。いかにマスを集中化させているかが分かる。
そしてこのディメンションは、さらにタンクサイドからそのまま前方へと伸びるタンクサイドカバーと、その下のラジエターポッドでフロントフォークを包み込むかのようなデザインを実現している。“男性的なライン”を造り出す超マッシブなフロント周りの造形の決め手部分だ。
“テスタストレッタイレブンディグリー”とドゥカティスタに呼ばれる1,198.4cm3のLツインエンジンの基本は、ムルティストラーダと変わりないが、φ58mmの極太右2本出しマフラーや、リデザインされたクラッチカバーなどにより、ディアベルならではの迫力のスタイル造りに貢献している。
以上、日本仕様での違いを主に紹介してきたが、メカニズムのあれこれ細かい部分を取り上げるより、ディアベルの評価は単純明快、このスタイルが好きか嫌いか、につきるだろう。
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- 特徴的なヘッドライトは、アルミニュウム製アウターボディによりサポートされる。ライト内部にはハイ/ロービームのダブルリフレクターが組み込まれる。センターを横切る帯部分はLEDのポジショニングライトとなっている。
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- ディアベルのスタンダードにはブラックボディのマルゾッキ製φ50mmフロントフォーク、ディアベル・カーボンでは超低摩擦DLCコートが施される。ホイールはスタンダードモデルが専用デザインの14本スポークホイール、ディアベル・カーボンにはマルケジーニ製鍛造軽合金の複雑なデザインを持つ9本スポークのホイールを採用。前後2本で2.5kgの軽量化を実現しているという。
★主要諸元
車名型式 | DUCATI | |
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DIAVEL〈DIAVEL CARBON〉 | ||
発売日 | 2011年6月4日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.257×-×1.192 | |
軸距(m) | 1.590 | |
最低地上高(m) | - | |
シート高(m) | 0.750 | |
車両重量(kg) | - | |
乾燥重量(kg) | 210〈207〉 | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費(km/L) | - | |
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転半径(m) | - | |
エンジン型式 | - | |
水冷4ストロークL型2気筒デスモドロミック4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 1,198.4 | |
内径×行程(mm) | 106×67.9 | |
圧縮比 | 11.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 112[82.0]/6,750 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 11.6[113.9]/6,750 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | - | |
潤滑油方式 | - | |
潤滑油容量(L) | - | |
燃料タンク容量(L) | 17 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.466 |
2速 | 1.764 | |
3速 | 1.350 | |
4速 | 1.090 | |
5速 | 0.958 | |
6速 | 0.880 | |
減速比1次/2次 | 1.84/- | |
キャスター(度) | 28° | |
トレール(mm) | 130 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17 |
後 | 240/45ZR17 | |
ブレーキ形式 | 前 | φ320mm油圧式ダブルディスク |
後 | φ265mm油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | 倒立テレスコピック式 |
後 | 片持ち式スイングアーム式 | |
フレーム形式 | スチールパイプ製トレリスフレーム |
※〈 〉の数値はDIAVEL CARBON
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