コージェネレーションシステム


忘れようにも忘れられない未曾有の大災害となった3.11。地震、津波による直接被害だけでなく、原発事故まで引き起こしてしまいました。その影響による夏の電力不足はなんとか乗りきったものの、先のこととなると……楽観はできません。

いざというときに備えて水は個人レベルでも備蓄出来ますが、電気は乾電池かせいぜいポータブル発電機まで。もちろん大型自家発電装置を設置することも出来ますが、一家庭が維持管理するのは現実的とはいえないでしょう。

そこで注目を集めているのが、家庭用ガスでエンジンをまわして発電、発生した熱は給湯や暖房に使用するという高効率なコージェネレーションシステムです。

今は災害時や停電時の効果がクローズアップされがちですが、日常生活での使用を前提とした自家発電システムとして、すでにホンダから商品化されており、ガス発電機は複リンク式高膨張比エンジン、EX linkで第3世代へと進化しています。

現在実用化に向け開発研究されているのが、さらに進化した「ホンダスマートホームシステム」。コージェネレーションシステムに独自開発の薄膜太陽電池CIGSや大型のバッテリーユニットをプラスし発電系統の多重化と安定化を図り、総合的に効率よく運用する頭脳部のスマートeミックスマネジャーを組み合わせ、電力は家庭での使用のみならずEV車も含めて、エネルギーの効率的な利用やCO2の削減なども視野に入れた次世代システムなのです。

ドイツではすでに商品化されており、日本でも現在さいたま市で実証実験が行なわれています。

「ホンダスマートホームシステム」は広く浸透すればするほど効果が上がります。各国で解決策を模索している電力問題や環境問題解決の大きな切り札になるのです。そのためにも世界に先駆けて導入したくなるような国家的な補助制度が必要不可欠。もちろんCO2の25%削減をぶち上げた与党ですから、大いに期待できるのではないでしょうか。

コージェネレーションシステム
ホンダスマートホームシステムの構成機器。写真向かって左からホームバッテリー、ガスエンジン、給湯システム。エアコンのように吊るされているのがスマートeミックスマネジャー。ちなみにコージェネレーション(cogeneration)とは「とともに」「ともなって」を意味する接頭語「co-」と「generation=生み出す」の造語。和訳は「熱電併給」。

CIGS薄膜太陽電池
甲子園球場の大屋根にも設置されているHondaのCIGS薄膜太陽電池は曇りや影による影響も少ない優れもの。右は現行、左が小型高効率化された新型。見た目で解るイノベーション!
複リンク式高膨張比エンジン、EX link
複リンク機構により吸気、圧縮行程をショートに、膨張、排気行程をロングストローク化して効率を高めた複リンク式高膨張比エンジン、EX link。長年内燃機関で培った技術が生かされています。


ハローウッズ


1997年にオープンしたツインリンクもてぎは自然環境を破壊してサーキットを作ったと短絡的に思いがちだが、世界中のメーカーが二の足を踏んだマスキー法をクリアしたCVCCエンジンを開発したホンダである。自然環境に対する配慮への思いは人一倍強い。現在も敷地の大部分は森林が占めている。

ツインリンクもてぎが出来る前、このあたりの山は、竹が生い茂り、日差しも風通しも悪い手入れのされていない森であった。森は自然のまま放置するのが一番自然な形といえばそのとおりだが、それがベストかといえばそうとも言えない。間伐や枝払い、下草取りなど手入れをしなければ、日差しや風通しが悪くなり、新しい芽は出ず、森は森の機能を失っていく。

ハローウッズ
斜面に立てかけられているのは間伐した枝木。この空間が小動物や虫の住処となり、森が活性化する。輸入材に押されてしまった昨今の日本の森林は、こういった手入れが成されずどんどん死んだ森になっている。

そんな状態を「現代の会社組織にも共通する部分がある。森の上層部を占める成木がいなくなることで下層に光が入り、次の世代(新しい芽生え)が育つ環境となる。……次世代の育成には、世代交代の機会が必要であることは、会社でも自然界でも同じこと」と例えるのは、自由闊達に議論が出来る、風通しのいいホンダなればこそ。

古来より行なわれた、森と人間と動植物が共存するための里山を再現すべく、2000年からハローウッズ活動は始まった。42ヘクタールの広大な森は、日本の植物の境界(例えばりんごの育つ南限であり、ミカンが育つ北限がここにあたる)でもあり、人間が適度に手を入れる里山を再現したハローウッズの森には、約2500種の生物種が存在しているという。

しかし、人間と小動物や虫、そして植物が共生する里山を作ることだけが目的ではない。

広大な大自然の中で次世代を担う子供達に「現場で、現物を見て、現実を知る」という3現主義に基づくプログラムが用意されている。中でも圧巻は夏休みを利用した30泊31日のキャンプ生活。集団生活の中で、自然に親しみ、マッチやライターを使わず火をおこし、ナイフを使って魚をおろし、バイクにも乗ったりと、体と頭をフルに使い、現代の世間の常識では危険と言われることを次々に体験させる。しかも火がおこせなければ当然ご飯が炊けない=食事抜きという、現代ではタブー視されている身をもって知るプログラムも組まれている。

このキャンプ生活により子供達の体や心にどんな変化が起きるのかというような貴重なデーターも集計されており、森のキャンプ生活は子供の心と体のバランスよい発育に良い影響があることも立証されている。

今すぐ結果が出ることではないが、これから何十年後、ここで学んだ子供達がどんな大人になるのか、もてぎの森の成長と共に興味は尽きない。



自転車シミュレーター

ホンダのライディングシミュレーターは知っている人も多いが、自転車用のシミュレーターまで作っていることを知っている人、手を挙げてください。

はい、結構です。

現在ホンダで自転車の販売はしていないが、シミュレーターは2010年2月から販売している。

吉野屋がねぎ玉牛丼の食べ方シミュレーターを作ったようなもの。というつまらない例えは置いといて、なぜホンダが? ホンダファンならずともホンダの安全への取り組みを知ってるなら解るはず。

さて、このシミュレーター、見たことはもちろん体験したことがない人でも、だいたいどんなものか想像できると思う。

想像出来る人、手を挙げてください。ハイ、結構、でもまだ下ろしてはいけませんよ。

では、画面の左右に出ている覆いが何か解る人、手を下ろして結構です。

後ろにある箱状のもの何か解る人、手を下ろして結構です。

ハンドルに付いているカールコード付のスイッチみたいなものが何か解る人、手を下ろして結構です。

まだ手を挙げているあなた、知らないことは恥ではありません(←偉そうに……)。


左右に付いている覆いは左右確認用の画面。見通しの悪い交差点などは、一時停止の後にハンドルよりも前に身を乗り出して左右を確認する実践的な動作をするための、こんなところにも画面がある。

後ろにあるのは後方確認用画面。でも画面だけでは、ほんとうに確認したかどうかまでは解らない。シミュレート中は、この画面に表示される数字を見てハンドル部分にある、表示された数字ボタンを押して、ちゃんと見たことを確認する機能が付いている。小学校高学年あたりになると「ちゃんと見たよぉ!」といいながらほとんど見ていなかったりするので、こうすることにより後方確認の重要性を教えることもできる。

最後のカールコードが付いたスイッチ状のものは、押し歩き用の歩行センサー。交通法規上、押して歩く場面も当然あるわけで、これを体に付けて自転車から降りて足踏みをすれば、押し歩き状態が再現できるという優れものだ。

このようなハード面だけではなく、幼児から高齢者まで対応した「学校へ行く」「塾へ行く」「スーパーへ買い物に行く」「商店街へ行く」などいろいろな状況のコース設定が可能。無理な運転をすれば車や人にぶつかって転倒し、なぜ事故が起きたのかリプレイを表示する機能もある。視点を上方や後方に変えれば、客観的な視線から学ぶことも出来る。

とまあ、ホンダが本気で開発すれば、これぐらいは作ってしまうという自転車シミュレーターの見本的出来映えである。


「でも、お高いんでしょ?」


「今日は特別じゃなくて、いつでも一式、ななじゅうさんまん、にせんきゅうひゃくえ〜ん!」

高いと思うか、安いと思うか、それはあなたの意識次第。導入したいと思った関係者の方、手を挙げなくても結構ですから、ホンダの安全運転普及本部教育機器課(TEL048-452-0559)までお問い合わせを。


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