HONDA KUMAMOTO

HONDA KUMAMOTO MIDASHI1

ホンダは国内に5つの製作所を持つ。

埼玉、栃木、鈴鹿、浜松、そして熊本製作所。

その内、浜松製作所と熊本製作所(元々は4番目の製作所として1976年に操業開始)で生産されていた二輪車を集約する形で国内唯一の二輪車生産拠点となったのが熊本製作所・新二輪車工場。

「全世界に展開するホンダの二輪車生産拠点、16ヵ国25拠点のマザー機能を担っています。ここは世界中のホンダ二輪車生産のマザー工場なんです」(渡部勝資所長)。

つまり、ホンダの二輪車の「お母さん」なのだ。

当然ながらここには世界中での二輪車生産の“お手本”となる最新鋭の高効率生産技術が投入されている。特に創業の地・浜松からの移管は、創業精神・DNAを受け継ぎ、熊本でそれを進化させるという「原点と先進」が熊本製作所の大きなテーマとなっている。

 
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つまり熊本からホンダ二輪車のフィロソフィー/技術/ノウハウを海外工場へ伝承することと、ホンダ独自の考え方や手法を発信する役目を担っているわけだ。

生産されている車種には最近のCB1100、VFR1200F、VT1300CXはもちろん、12月にはEV-neo、来年2月にはゴールドウイングの立ち上げ生産も予定されている。また、EVでは地元・熊本県と組んで実際の社会の中での使い勝手などの実証実験も行われる。

HONDA KUMAMOTO MIDASHI2

熊本製作所並びにその付帯施設の敷地は東京ドーム約36個分という。

166万2943平方メートル、約51万坪。ホンダの中で最大の敷地を有する。

しかも同時に、「地球に/地域に/人にやさしい工場」(渡部所長)としてホンダの中でも最も環境負荷の少ない工場(既存工場のCO2を20%削減など):グリーンファクトリーでもある。

また「(製作所には)外と結びつきを完全に遮断するかのようなコンクリートの壁は作るな」という本田宗一郎さんの“グリーンベルト構想”を継承するため、周囲は本物の森で囲まれている工場でもある。

敷地内には薄膜太陽電池生産や非シリコン系次世代型太陽電池:ソーラーパネル材料を研究・開発する子会社「ホンダソルテック」やモータースポーツ&安全運転講習でおなじみ、2・4kmのサーキットを持つ「HSR(ホンダ・セーフティ&ライディング・プラザ)九州/交通教育センター・レインボー熊本」、その他にオンとオフのテストコースが配置されている。

 
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ちなみにHSR九州の門前には、加藤大治郎、宇川徹、柳川明、玉田誠、清成龍一、MXの藤秀信などを育てた名門、チーム高武の本拠地であるウイング店「アール・エス・シー」がある。

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実はこの熊本製作所のキーワードが風と水、そして光なのだ。

まず光。これは前述したホンダソルテックが開発したソーラーパネル1008枚が工場の食堂部の屋根に設置されている。

この太陽光発電で約120kwの電力を生み出し、食堂の照明設備をまかなっている。ソーラーパネルはこの先もさらに導入していくという。

次に意外とも思える風。実は工場建設の地盤調査で、建設地の地下には水脈があってその上の地下80mに風穴の存在が偶然確認されたのだ。

風の温度は年間通して約18℃。この風を冷気貯蔵、空調の一部として利用している。

そして水。貯めた雨水を貯蔵、夏には屋上に霧状にして散布してその蒸散作用で温度を下げている。また水は基本的に「クローズドシステム」にして、工業用排水のほとんどを脱窒・脱燐処理して再利用している。

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