2018年5月10日

MBHCC B1 毛野ブースカ 湯巡りみしゅら〜ん

第59湯:山形・宮城湯巡りツーリング(前編)

第59湯:山形・宮城湯巡りツーリング(前編)

 3月下旬に静岡東部・中部湯巡りツーリングをした後、季節は一気に春から初夏の陽気へと移り、いよいよツーリングシーズンに突入した。毎年ゴールデンウィーク期間中は出かけていたのだが、昨年は諸事情が重なったこともあり出かけなかった。今年は比較的余裕があり、いつものバイク仲間が集まるキャンプが5月2日に宮城県登米市にある「長沼フートピア公園キャンプ場」で開催されると聞いたので、ゴールデンウィーク前半の4月30日から5月3日にかけて、久々のキャンプツーリングに出かけることにした。

 東北方面に向かうのは、2年前の同時期に岩手・秋田方面に出かけて以来のこと(この時の模様は、諸事情により当コーナーでは掲載していない)。そのため、東北方面に行きたい気持ちが強かったのだが、すでに入湯した温泉が多く、どのルートを通って長沼フートピア公園キャンプ場に向かうかが問題だった。いろいろ逡巡した結果、4月30日は山形県の天童市・東根市・尾花沢市付近、5月1日は宮城県の大崎市付近の湯巡りをした後、石巻市に宿泊して、5月2日は前から行ってみたかった「田代島」に立ち寄ってからキャンプ場に向かうルートとした。

 「田代島」と聞いてピンときた方もいるのではないだろうか。宮城県石巻市に属する田代島は別名「ネコの島」「猫島」と呼ばれる、ネコがたくさんいる島として近年有名になったところだ。実は私はネコ好きで、ネコは飼ったことはないのだが、町で地域猫を見つけると、つい寄って行って声をかけたくなるのだ。そんな私は「ネコがたくさん集まっている光景」に憧れていて、田代島ならそれが叶うのではないかと思ったのだ。

 田代島へは石巻港から船(網地島<あじしま>ライン)で向かうのだが、便数が少なく、午前9時00分に石巻港を出航、午前9時45分に田代島着、午後2時12分に田代島を出航、石巻港に戻ってくるのが午後3時00分という選択肢しかない。しかし、今回のスケジュールではこれが却って好都合だった。問題は船の運行状況だが、これだけは出航当日にならないとわからない。運を天に任せるしかない。 

 出発前日の夜、社会人になって以来、約20年ぶりとなる中学校の同窓会に出席したところ、経験したことがないほど酔ってしまい、翌日出発できるか危ぶまれた。しかし、何とか酔いを醒まして午前7時30分に出発。前々日に準備を完了していて正解だった。ゴールデンウィーク前半とはいえ道は空いており、東北自動車道から山形自動車道を通って山形北インターに到着したのが午後12時45分だった。ここからは国道13号線を走って、初日の目的地である徳良湖温泉「花笠の湯」近くの「サンビレッジ徳良湖オートキャンプ場」を目指すことにした。

 まずは山形北インターからほどなくしてある天童温泉の「天童市市民いこいの家ふれあい荘」に向かったところ休業だったので、天童温泉から20分ほどのところにある天童最上川温泉「ゆぴあ」に向かうことにした。天童最上川温泉「ゆぴあ」は山形県天童市にある日帰り入浴施設だ。周囲は田畑に囲まれており、長閑な場所にある。入湯料は300円。浴室は明るくて開放感がある。内風呂、露天風呂ともに大きく、特に露天風呂は広々としている。お湯はちょっと緑がかって塩気がある。熱めで低温湯でも熱く、高温湯はさらに熱めに設定されている。いきなり東北地方の良質な温泉に出会った感じだった。

天童最上川温泉「ゆぴあ」

長閑な田園地帯に突如出現する天童最上川温泉「ゆぴあ」。建物のデザインもユニークで、浴室も開放感がある。

 次に向かったのは、県道110号線を通って国道287号線を1kmほど寒河江市方面に進んだところにあるべに花温泉「ひなの湯」だ。べに花温泉「ひなの湯」は山形県西村山郡河北町にある日帰り入浴施設だ。入湯料は280円。ここも浴室の天井が高くて開放感がある。内風呂のみでお湯はやや緑がかっており、キシキシ系の肌触り。源泉の温度が高いせいか湯温は熱めだがさっぱりしている。露天風呂があったらいいのにと思ってしまった。

べに花温泉「ひなの湯」

東北地方の温泉らしく源泉の温度が高く、280円というリーズナブルな入湯料が特徴のべに花温泉「ひなの湯」。

 べに花温泉「ひなの湯」に入ったところで時間は午後3時20分。今日はキャンプ泊なのであまり無理をしたくないが、キャンプ場近くの徳良湖温泉「花笠の湯」以外にあと1湯くらいは入っておきたい。国道347号線を通って村山市にある「クアハウス碁点」に向かおうとしたところ、途中で「肉そば」という気になるものが目に入ってきた。昼食抜きだったので「一寸亭(ちょっとてい)本店」というお店で食べてみることにした。冷たい「肉そば」は河北地域のソウルフードらしく、このお店は地元では有名とのこと。食べてみると、甘めのつゆは鶏肉のダシが効いており、蕎麦は田舎風で食べごたえがある。蕎麦好きの私はすぐ気に入ってしまった。

一寸亭本店

国道347号線沿いにある「一寸亭本店」で食べた冷たい肉そば大盛(850円)。田舎風の歯ごたえのある蕎麦とダシの効いたスープの組み合わせが絶妙。

 思わぬ寄り道をしてしまったため、「クアハウス碁点」はパスして、「一寸亭本店」から国道347号線を30分ほど走ったところにある大石田温泉「あったまりランド深堀」に向かった。大石田温泉「あったまりランド深堀」は山形県北村山郡大石田町にある宿泊施設「虹の館」を併設した日帰り入浴施設だ。入湯料は400円。浴室は広くて天井も高い。お湯はやや茶褐色で、内風呂は熱めとぬるめがあり、熱めのほうはやはり熱い。露天風呂は檜造りでゆったり入れる。地元の方が大勢入りに来ていた。

大石田温泉「あったまりランド深堀」

湯船のお湯が妥協なく熱めに設定されている大石田温泉「あったまりランド深堀」。建物も立派な作りだ。

 大石田温泉「あったまりランド深堀」を出ると、時間は午後5時になろうとしていた。ここからキャンプ場までは30分くらいかかる。再び国道347号線に出て、尾花沢市方面に走り、銀山温泉の手前10kmほどのところにある徳良湖に向かう道を入り、徳良湖を見渡せる高台にキャンプ場はあった。テントを張った後、夕食前にキャンプ場から300mのところにある徳良湖温泉「花笠の湯」に向かった。徳良湖温泉「花笠の湯」は山形県尾花沢市にある日帰り入浴施設だ。入湯料は350円だが、キャンプ場利用者は300円で入湯できる。お湯は無色透明でやや熱め。露天風呂もあり、キャンプ場利用者としてはゆったりできてありがたい。夜は午後9時30分までだが、朝は午前8時00分からなので、朝風呂は微妙かもしれない(管理人の方から割引券をもらったが、今回は諦めた…)。

徳良湖温泉「花笠の湯」

サンビレッジ徳良湖オートキャンプ場から300m先にある徳良湖温泉「花笠の湯」。キャンプ場利用者なら50円引きで利用できる。

サンビレッジ徳良湖オートキャンプ場

サンビレッジ徳良湖オートキャンプ場のフリーサイトの様子。フリーサイト以外にもログキャビンや電源付きサイトも併設されている。

 翌朝、天気は晴れ。2年ぶりとなるキャンプ場での朝は実に清々しく、徳良湖を眺めながらのコーヒーは美味い。2日目は国道347号線、国道4号線、国道457号線を通り、石巻市にある「ホテルホットイン石巻」に向かうまで可能な限り入るのが目標だ。名湯・銀山温泉は2012年8月に入っているので(当コーナーの第24湯を参照)今回はパス。キャンプ場から走った国道347号線を1時間ほど走ったところにある「やくらい薬師の湯」に向かった。「やくらい薬師の湯」は宮城県加美郡加美町にある日帰り入浴施設だ。ちなみ漢字で「薬菜」と書いて「やくらい」と読むらしい。入湯料は2時間で500円。洗い場はそれほど広くはないが、内風呂は大きい。湯量が豊富なお湯は無色透明で適温。岩造りの露天風呂は開放感があり、この日は天気もよかったので朝風呂にピッタリだった。

徳良湖畔

こどもの日が近いせいもあり、徳良湖畔にはたくさんのこいのぼりが棚引いていた。都会ではなかなかお目にかかれない光景だ。

やくらい薬師の湯

薬菜山の近くの高台にある「やくらい薬師の湯」。適温のやさしいお湯はキャンプ後の朝風呂にピッタリだった。

 次に向かったのは、同じ宮城県加美郡にある「色麻(しかま)町平沢交流センターかっぱのゆ」だ。「やくらい薬師の湯」から15分ほどで到着。「色麻町平沢交流センターかっぱのゆ」は宮城県加美郡色麻町にある日帰り入浴施設だ。入湯料は3時間500円。周囲は田畑に囲まれており、ひっきりなしに地元の方が訪れている。内風呂のある浴室(本館)と、露天風呂は別館に設けられており、今回は内風呂のみに入った。内風呂は広めで開放感のある作り。お湯は無色透明で、やはり熱めに設定されている。東北地方の方は熱めのお湯が好みなのだろうか(熱めのほうが、いかにも東北の温泉らしいが…)。

色麻町平沢交流センターかっぱのゆ

周囲を田畑に囲まれた「色麻町平沢交流センターかっぱのゆ」。本館には内風呂しかなく、露天風呂は別館に設けられている。

 
 午前中で2湯はなかなかいいペース。道に迷うこともなく、スムーズな湯巡りだ。この調子を維持して向かったのは、国道347号線から国道457号線に入り、県道157号線を国道4号線方面に向かい、国道4号線を古川方面にちょっと進んだところにあるひまわり温泉「花おりの湯」だ。ひまわり温泉「花おりの湯」は宮城県大崎市三本木坂本字青山にある日帰り入浴施設だ。入湯料は650円。源泉は37度だが、出されているお湯は熱め。内風呂は熱めとぬるめの2種類あり、お湯はやや黄味帯びており、さっぱり系の肌触り。露天風呂は小さめだが、お湯は熱い。ここも地元の方が大勢訪れていた。

ひまわり温泉「花おりの湯」

国道4号線からちょっと入り組んだところにあるひまわり温泉「花おりの湯」。源泉は37度だが出されているお湯は熱めに設定されている。

 ひまわり温泉「花おりの湯」に入ったところで時間は午後0時30分。国道4号線を古川方面に走ったところにある道の駅三本木で昼食を摂ることにした。昼食後、田代島に一緒に上陸する玉井カメラマンから、石巻市の到着したとの連絡が入った。私は午後6時までには向かうと告げて、次に向かったのは「スパ泉ヶ岳」だ。国道4号線から国道457号線に入り、県道223号線を泉ヶ岳方面に向かったところにあった。道の駅からは40分ほどだった。「スパ泉ヶ岳」は宮城県仙台市泉区にある日帰り入浴施設だ。入湯料は800円。適温のお湯は無色透明のキシキシ系の肌触り。内風呂、露天風呂ともにそれほど広くはないが、露天風呂は開放感のある作り。仙台市内からそれほど遠くはなく、ロケーションがいいので、市内から訪れる方が多いようだ。

スパ泉ヶ岳

県道223号線沿いの泉ヶ岳に向かう途中にある「スパ泉ヶ岳」。空気が澄んでおり、いかにも高原地帯にある温泉だ。

 「スパ泉ヶ岳」に入ったところで午後3時近く。「スパ泉ヶ岳」から程近い「明日の湯温泉」に入湯してから、その後の予定を考えることにした。県道223号線から国道457号線に戻り、国道457号線を仙台市内方面に進み、「スパ泉ヶ岳」から15分ほど走った田園地帯のちょっと入り組んだわかりにくいところにあった。「明日の湯温泉」は宮城県仙台市泉区にある日帰り入浴施設だ。入湯料は500円。共同浴場のようなこじんまりとした建物で、露天風呂はなく、内風呂は5人くらいが入ったらいっぱいになるほど小さい。しかし、ひっきりなしに地元の方たちが訪れており、つねに満員状態。無色透明のお湯は源泉掛け流し。湯温はやや熱めだがなめらかな肌触り。湯に浸かっていると、多くの人が訪れるのがわかる気がした。

明日の湯温泉

とてもわかりにくいところにある「明日の湯温泉」。分析時とほぼ同じくらいの湯温のお湯がかけ流しで湯船に注がれている。

 ここまでで5湯制覇し、ホテル近くの温泉に入れば6湯になる。成果として十分だが、ホテルまで向かう途中に余裕があればさらに1湯入るつもりだったが、道に迷ってしまい大幅なタイムロス。諦めて石巻市にある「ホテルホットイン石巻」に向かった。石巻市内にある「ホテルホットイン石巻」は国道398号線に面した場所にあり、すぐ近くに「天然温泉元気の湯」があるのもポイントだ。玉井カメラマンが先に到着していたので、合流して「天然温泉元気の湯」に行くことにした。

天然温泉元気の湯

ホテルホットイン石巻近くにある「天然温泉元気の湯」。スーパー銭湯的な作りで、ホテル宿泊者は100円割引で入湯できる。

 「天然温泉元気の湯」は宮城県石巻市大街道北にある日帰り入浴施設だ。入湯料は平日770円(ホテルホットイン石巻に宿泊すると100円割引)。館内はスーパー銭湯のような作りで、いろいろな種類の湯船が用意されている。肌触りのいいお湯は無色透明で適温。旅の疲れを癒すにはピッタリだ。入浴後、ホテルの向かいにあるスーパーで買出して、ホテルの共有スペースで夕食。ネットで偶然見つけたホテルだったが、館内・部屋ともに清潔感があって居心地良好。スーパーやレストランも近くにあり、選んで正解だった。

玉井カメラマンと合流

ホテルで玉井カメラマンと合流して、ホテルの目の前にあるスーパーで夕食を買出し。さすがに港町だけあって海産物が美味しかった。

 翌朝、時間に余裕を持って午前7時30分にホテルを出発。乗船場に向かう途中、復興途上の場所が多く、大震災の傷跡がまだまだ残っていた。午前8時過ぎには石巻港にある網地島ラインの乗船場に到着。ここでバイクを置いて乗船する。さあ、いよいよ田代島に上陸するぞ!

ホテルホットイン石巻

2日目に泊まった「ホテルホットイン石巻」。国道398号線に面しておりアクセスは抜群。1泊朝食付きで6000円。館内も綺麗で、設備も充実していた。

●ブースカ的独断温泉評価(5段階評価)


天童最上川温泉「ゆぴあ」

★★★★

東北地方の温泉らしい熱めのお湯が特徴。


べに花温泉「ひなの湯」

★★★★★

リーズナブルながらさっぱり系の温泉が楽しめる。


大石田温泉「あったまりランド深堀」

★★★★★

地元の人に愛される親しみやすい温泉。


徳良湖温泉「花笠の湯」

★★★★★

キャンプ場利用者に便利なリーズナブルな温泉。


やくらい薬師の湯 

★★★★★

無色透明のお湯は湯量が豊富で入りやすい。


色麻町平沢交流センターかっぱのゆ 

★★★★★

広々とした開放感のある内風呂が特徴。


ひまわり温泉「花おりの湯」

★★★★★

成分に特徴のあるお湯は肌に優しく気持ちいい。


スパ泉ヶ岳 

★★★★★

仙台市内から近いリゾート感覚の温泉。


明日の湯温泉 

★★★★

隠れ家的な温泉と言っても過言ではない良質な温泉。


天然温泉元気の湯

★★★★★

石巻市内にある貴重な天然温泉施設。

※あくまで個人的な評価ですので、ご参考までに。

毛野ブースカ

月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は767湯。湯巡りツーリングの相棒はホンダ・400X。ちなみにマイカーはスズキのエスクードだ。

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