2018年7月2日

Honda Super Cub C125 『伝統と革新、そして上質。 生誕60年の節目に登場した “ナイセスト・ライフ”に誘うスーパーカブ』

■写真:Honda/依田 麗
■問:Hondaお客様相談センター TEL0120-086819 http://www.honda.co.jp/C125/

 
昨年の東京モーターショー2017にてワールドプレミア、すでに生産国のタイでは販売が開始されているというスーパーカブC125が日本でも9月14日より発売となる。ご承知の通り、外観は初代スーパーカブC100を彷彿とさせるスタイルで、これまでオマージュ的モデルがショーに出展されたことは幾度となくあったが、市販化されるのは今回が初。スーパーカブが生誕60周年を迎える今年、リリースされるに相応しいモデルと言える。

こちらの動画が見られない方、大きな画面で見たい方はYOU TUBEのWEBサイトで直接ご覧下さい。https://youtu.be/LlKnXfFdl2o

2人乗り仕様は日本オンリー!?

 スーパーカブの偉業を振り返るにはスペースがいくらあっても足りないが(気になる方はコチラまたはコチラ)、昨年は世界生産台数累計1億台達成、今年は生誕60周年と、スーパーカブの歴史の節目に登場したC125は特に記念モデルとは謳われていない。あくまでも歴史の通過点として、パーソナルコミューターとして世界中の人々に親しまれてきた原点でもある普遍的パッケージを見つめ直し、欧州や北米のユーザーも視野に入れるなど、性能の進化を反映させたモデルとしている。

 これまでアセアン諸国、中でもタイではコミューターであるスーパーカブを趣味的視点で捉えているファンも存在し、バンコク市内にはオールド・カブをレストアするショップなどもあるという。が、現地で丸型ヘッドランプや独立した形状のリアフェンダーをもつ、日本では旧くから親しまれてきた”カブ・スタイル”はとにかく古臭いとされ、日本で2012年に登場したスーパーカブは圧倒的生産台数を誇るアセアンモデルに飲み込まれるようなカタチで、角型ヘッドランプを採用した直線基調のデザインが採用された経緯がある。

 それから5年。C125はそんなアセアン、タイで企画の段階から開発に大きく関わり、グローバルモデルとして世界に向けて生産される。今年の2月まで東南アジアでの開発拠点であるホンダR&DサウスイーストアジアでスーパーカブC125の開発責任者を務めた勝田淳平さんによると、タイに赴任していた5年半の間で現地の人々の趣味趣向が早いスピードで変わっていったとか。

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ツインリンクもてぎのコレクションホールで行われた取材会で実車を前にお話を伺った(左より)今年2月までスーパーカブC125の開発責任者を務めた勝田淳平さん、デザイン担当の立石 康さん。立石さんのインタビュー記事が掲載された「All about SUPER CUB -スーパーカブ大全- 生誕60周年記念 改訂版」はモーターマガジン社より絶賛発売中!


 
 もの凄い勢いで二輪保有台数が増える一方、もの凄い勢いで二輪文化も欧米諸国に追いつき、ヘリテイジに対する理解が高まっているという。

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 外観は1958年に登場した初代C100をイメージさせるもの。日本では二輪車として前例がない「立体商標登録」を認めさえた理由のひとつである、レッグシールドからリアフェンダーにかけてのS字シルエットを際立たせたものだ。また、鳥が翼を広げたようなハンドル形状もC100からのモチーフ。が、決して懐古を追い求めたものではなく、ホンダは「スーパーカブデザイン=普遍性」を所有するという価値観の表現、としている。クルマやバイクの世界では近年、文化的トレンドとして捉えられた手法でもある。

 そんなこともありスーパーカブC125は、幅広い需要に応えるスーパーカブ110や50とは異なり、プレミアム・バイク的一面を持ち合わす。まず、日本では過去に例の無い、シリーズ最大排気量となる125ccエンジンを搭載。ベースは既存ながら、上質なシフトフィーリングや音などの改良が施されたものとなる。

 車格もやや大きめで風格備わるサイズ感に。また灯火類はフルLED化され、デジタルメーターやスマートキーを採用。足まわりはサスペンションストロークを増やして快適性を向上させるのみならず、チューブレスタイヤを履くことが可能となった切削加工が施されたキャストホイール、フロントにはディスクブレーキが奢られるなど、これまでのスーパーカブとしては異例なアイテムを装備する。

 さらに、スーパーカブC125がプレミアムな存在であることを象徴しているのが乗車定員。日本仕様は2名乗車が可能だが、日本以外の地域で販売されるC125は1人乗り専用だという。日本でスーパーカブと言えば無くてはならない標準装着リアキャリアは、他地域ではオプション扱いとなる。その理由は、先述のS字シルエットがより強調され、1人で優雅に走ってもらうことを目的としているからだとか。「家族全員で乗る」なんていう使われ方をするアセアン地域では相当贅沢な使い方と思われがちだが、そんな地域でもプレミアムモデルの需要は伸びているのである。

 プレミアムなスーパーカブは9月14日より日本の道を走り出す。今回の取材会では生憎の天候により、スーパーカブ C125を動かす程度にしか走らせることしかできなかったため、試乗インプレッションまた改めてをお届けする予定です。
 
(報告:高橋二朗)
 
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ハンドル形状やヘッドライト&テールまわりといったディテール、カラーリングは1958年登場の初代スーパーカブC100がモチーフに。レッグシールドからリアフェンダーにかけてのS字基調のシルエットは60年間不変。


 
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灯火類にはLEDを採用。C100のようなシンプル形状ながら独特の存在感、発光表現を実現した。


 
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計器はデジタル表示を中心に外周をアナログ表示&インジケーター類が取り囲むという、情報を効率よく伝達するレイアウトに。日本で販売されるスーパーカブとしては初採用? ギアポジションも表示される。スマートキーシステムも採用された。


 
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デザイン担当の立石さん曰く、高密ウレタンを採用するシートはC100のイメージ、そしてボディカラーとの兼ね合いから鮮やかな赤に。この色を表現するため、シート表皮は日本製。開閉は左側にもうけられた丸いスイッチにて行う。よって、燃料タンクキャップのキーロックは不要となった。タンク容量は3.7Lと、スーパーカブ50/100より0.6Lほど少ない。ヘルメットホルダーは2個分備わる。


 
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シートを開け、燃料タンク上部右側にあるスイッチを押すと、右サイドカバーが開き、書類などの小物が収まるスペースが出現。車体と同色のリアキャリアはC100のものをイメージさせる小ぶりなタイプ。上から見ると”H”の文字に見える。このリアキャリア、日本以外で販売されるモデルはオプション設定のため、センタースタンドをかけるためシート後方にアルミダイキャスト製のアシストグリップが備わる。リアフェンダーはプレスバックボーンフレーム時代と同様のスチール製に。厚みが必要な樹脂成形ではなく、より薄いスチール材のプレス成形を採用することで、S字のエレガントなシルエットを可能にしたという。


 
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前後に切削加工仕上げの専用アルミキャストホイールを採用。外径は60年間不変の17インチ。サイズはスーパーカブ110と共通だがこちらはチューブレス。またフロントにはスーパーカブ史上初と思われるディスクブレーキを装備。125ccの動力性能を受け止める。サスペンションはスーパーカブ110に対しフロントで10mm、リアで19mmストローク量を増加、快適性の向上が図られる。
タンデムステップは日本のスーパーカブ不変のスイングアーム直付け。2人乗りは日本仕様のみとのことで、スイングアームも日本仕様専用品だそうだ。チェーンケースはスチール製。


 
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125ccの横型エンジンはエンジンノイズの低減が施され、シフト音やシフトショックの少ない質感の高いシフトフィールを狙ったもの。外観も高級感ある処理が施される。スーパーカブC125とモンキー125にはオイル量点検窓が新設された。排気系はフルステンレス。排気音はスーパーカブ110などに対し低く、ジェントルなイメージ。


 
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スーパーカブC125は各部にデザインのこだわりが見られる。レッグシールドのサイドにはホンダのウイングマーク(1968年から使われたタイプ)を装着。ホンダの二輪車には最新のウイングマーク&ロゴが車体のどこかに必ず入っているが、オールドタイプのウイングマークも採用されているのは異例中の異例だとか。モンキー125の燃料タンクにも採用されているが、表面のアールの違いによってそれぞれ専用部品となっている。スマートキーシステムのユニットが収まるスペースは、C100のエアクリーナーボックスがあった場所に配置。シフトペダルやステップ、スイッチボックスの表面処理などにも上質な造りこみがなされている。


 
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●スーパーカブC125  主要諸元
■型式:2BJ-JA48■全長×全幅×全高:1,915 ×720×1,000mm■ホイールベース:1,245mm■最低地上高:125mm■シート高:780mm■車両重量:110kg■燃料消費率:69.0km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)66.1km/L(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)■最小回転半径:2.0m■エンジン種類:空冷4ストロークOHC単気筒■総排気量:124cm3■ボア×ストローク:52.4×57.9mm■圧縮比:9.3■最高出力:7.1kw(9.7PS)/7,500rpm■最大トルク:10 N・m(1.0 kgf・m)/5,000rpm■燃料供給装置:電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)■始動方式:セルフ式■点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火■燃料タンク容量:3.7L■変速機形式:常時噛合式4段リターン ■タイヤ(前/後):70/90-17M/C 38P /80/90-17M/C 44P ■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/機械式リーディング・トレーリング ■懸架方式(前/後):テレスコピック式/スイングアーム式■フレーム形式:バックボーン■車体色:パールニルタバブルー■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):399,600円


 



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