2017年8月7日

風の娘ライダー、ルリカミドリの実走! Kawasaki VERSYS-X250 TOURER体験ツーリング

「雨もまた楽し!? 3泊4日、ビショ濡れ、女一人旅」その1

風の娘ライダー、ルリカミドリの実走! Kawasaki VERSYS-X250 TOURER体験ツーリング 「雨もまた楽し!? 3泊4日、ビショ濡れ、女一人旅」その1

■レポート・イラスト:ルリカミドリ
■取材協力:カワサキモータースジャパン http://www.kawasaki-motors.com

 最近またよくテレビで見るようになった「シノラー」とか、マヨネーズ好きの「マヨラー」ならよく知ってますが、この「ツアラー」というのは初めての体験なのでありました。

「カワサキのヴェルシスという250のツアラーで旅に出かけてみませんか?」
 7月のある日のこと、長年ガンコに使い続けているワタシのガラケーに、WEB Mr.bikeの担当さんからメールが入っていたのです。
「えっ? ツアラーって何ぞや?」
 とりあえず、「行きます!」ってすぐに返事を出したのですが、いったいどんなバイクなのか、まったく知識のないワタシには多少の不安もあったのです。

 後日、仕事帰りに品川区にある編集部にお伺いすると、駐車場に緑色をした巨大なバイクが鎮座していました。
「えっ、もしかしてこれですか? たしか250って言ってたハズですけど……」
「ええ、250ですよ」
「うっそー! けっこうデカイですよ〜!」
 250だから、小柄で細めのバイクを想像していたんです。
「たぶんパニアケースとかカウルとかエンジンガードとかフォグランプとか、いろいろと装備されているので、見た目が大きく感じるんじゃないでしょうか?」
 そう言って担当さんは笑っています。
 シート高は815mm。実際に跨がってみると、身長163cmのワタシには、少しお股のあたりが突っ張るように感じて、両足べったりの万全? とは言えないのですが、見た目からの想像からは拍子抜けするほど車体が軽く(183kg)、取り回しがしやすいんです。なので立ちゴケの心配はしなくても大丈夫でしょう。たぶん……。

Kawasaki VERSYS-X250 TOURER

Kawasaki VERSYS-X250 TOURER

Kawasaki VERSYS-X250 TOURER

ヴェルさんことVERSYS-X 250 TOURER。250なのに大きく感じるのはワタシだけ!? でもかなり軽くて、取り回しがしやすいんだ。メーカ希望小売価格705,240円(ABS装着車 税込)。インプレッションはこちら。詳細は新車プロファイルで。

Kawasaki VERSYS-X250 TOURER

大型のウインドシールドはまったく風を寄せ付けない!? 強風の高速道でも安心でした。

Kawasaki VERSYS-X250 TOURER

メーター周りはこんな感じ。現在のギア位置が一目でわかるのはホントに便利。

Kawasaki VERSYS-X250 TOURER

オプション設定のフォグランプはやっぱすごいよ。相当明るい。メーカー希望小売価格39,096円(税込)。

Kawasaki VERSYS-X250 TOURER

フォグランプはこのスイッチをポチっと。されば明るい未来が開かれるであろう!?

 ●1日目「とりあえず平湯へ行こう」

 翌朝。起きてカーテンを開けるとカンカン照りであります。
 今年はカラ梅雨みたいで、関東では夏の水不足が心配されています。ワタシの地元福岡では、ものすごい豪雨で被害が出ているというのにね。
 自然というものは人の都合のいいようには動いてくれないものです。
 準備に手間取ってしまい、高円寺のアパートをスタートしたのは午前9時。前の日から用意しておけばいいものを、当日朝になってあわててパッキングするのが、いつものワタシの悪いクセなのです。
 ところで、実はまだどこに行くのかはまったく決めていないのです。できるだけ遠くに行く予定なのですが、初日がもうこんな時間になっちゃったんで、今夜の寝床の確保のことも考えて、ちょうどいい距離のところにある、平湯のキャンプ場にすることにしました。

 出発準備を整え、アクセルを回すと、トコトコトコ……と軽やかな音がマフラーから響きます。
 ワタシは普段400ccの4気筒のネイキッドタイプのバイクに乗っているのですが、その感覚でアクセルを回すとヴェルさん(勝手に愛称をつけました)は、250なので勝手がちがいます。当たり前ですね。元々ワタシはあまりアクセルを回してぶんぶん走るような運転していないんですよね。3000回転以上回すってこともほとんどないしね。

 高円寺から青梅街道を西に向かい、途中から国道20号線に入ります。相変わらず交通量が多く、道が渋滞気味でなかなか先へ進めません。
 走り出して感じたのですが、普段乗っているネイキッドタイプよりも重心が高いからか、少しふらつくような感じを受けましたが、すぐに慣れました。バイクの問題ではなく人間の感覚の問題ですね。ヴェルさんは設計段階から人間工学(エルゴノミクス)を随所に取り入れて作られているらしく、なるほどライディングポジションは楽ちんなんですよ。

 
 皆さんはモチロンご存じなのでしょうが「ツアラー」というのは「長距離ツーリングを快適に走ることに主眼を置いたバイク」のことらしいです。
 このヴェルさんはまさにそのもので、気がつけばまったくストレスを感じることがないような運転ができていました。
 ハンドルが高めの位置にあって、しかもやや広めに作ってあります。なのでとにかく姿勢が楽なんですよ。背中も腰もまったく痛くならないの♫ 特にステップが絶妙の位置にあって、あまりヒザを曲げなくてもいいんですよね。だから、以前からヒザに爆弾を抱えているワタシにとっては、ホントにありがたいです。
 サイコーの相棒に巡り会え、今回もまたいい旅ができそうな予感がしています。

 甲州街道を西へ向かううち、だんだんと車の数も減ってきて快適な走りです。大垂水峠を無難にやり過ごし、相模湖でちょっと休憩。しかし、ふと時計を見るとなんともう12時半になっていました。このままずっと下道を使う予定でしたが、かなり遅くなりそうなので、ホントはイヤなのですが高速を使うことにします。

 相模湖ICから中央道に乗っかります。本線に入るとき一気にスピードを上げ、トップギアになってからは本領発揮? 実はワタシ、高速ってあまり好きではないんですよねぇ〜。どうしても緊張して体が硬くなり、ハンドルをガチガチに強く握っちゃうもので、手が痛くなるんです。のどもカラカラになるし、目も干上がるし、なにより長い時間神経を張り詰めて運転しているのが大変なんです。
 だから普段はほとんど高速を使うことはないのですが、このヴェルさんは一体何なんでしょうか。運転していて、そんな緊張感をあまり感じないのです。これがツアラーなんですね!?

相模湖

ピーカンの相模湖でちょっと休憩。サイコーのツーリング日和だと思っていたのに実はこのあと……。

相模湖IC

バイク旅は下道が鉄則! のワタシですが、今回はもう時間がないので相模湖ICから中央道に乗っちゃいます。

 笹子トンネルを抜けて甲州に入ると、甲府盆地特有の気象かどうかはわかんないけど、ものすごい風が吹き荒れていたんですね。普段のワタシなら、運転していて怖く感じると思うけど、このヴェルさんはそんなことがないんです。
 この迫力あるアッパーカウルと大型のウインドシールドのおかげなのでしょうか、風の影響をほとんど受けないからフラフラしないんです。
 さらに楽ちんなライディングフォーム。いつもの高速を運転しているときのような緊張感がないので、ホントに快適でした。

 釈迦堂PAでちょっと休憩。このあたりではたくさん遺跡が発掘されているみたいで、その資料館も併設されていました。今回はちょっと時間がないけど、いつか見に来ようと思っています。

 ふたたびキーを回すと、いろいろな機能が付いたメーターが動き出します。アナログのタコメーターが中央に配置してあるのですが、他にも、速度計、オドメーター、デュアルトリップメーター、航続可能距離計、瞬間/平均燃費、水温計、時計、エコノミカルライディングインジケーター(何これ? 実は、ECO表示が点灯しているときは「好燃費の運転ですよ」と教えてくれる親切機能だそうです)などが付いています。
 特にワタシが気に入ったのは、現在のギアポジションが大きく表示してあるところでしょうか。今、どのギアに入っているかがすぐにわかるので、これはワタシのような機械オンチにはかなり便利です。ちなみに、カワサキの250ccクラスでは初めての搭載らしいです。

 右に八ヶ岳、左に甲斐駒ヶ岳を望みながら快調に走ります。抜けるような青空。所々に浮かぶ白い雲。久しぶりのツーリングなので、ホントに気持ちがいいです。

 その後、諏訪湖SAで少し休憩した後、走り出したのですが、それまでカンカン照りだった空が一気に曇ってきて何かアヤシイ感じが……。そしたらなんと松本IC近くまで来たところで、いきなりバケツの水をひっくり返したような突然の大雨が!
 高速ですから路肩にヴェルさんを停めてカッパを着るわけにもいかないので、必死に走って高速を降り、すぐに雨具を着て、リアにくくりつけたバッグにもカバーを掛けたのですが、かなり濡れてしまいました。しかし、こんな時でも標準装備のパニアケースの中の荷物は安心なのです。

釈迦堂PA

釈迦堂PAにある博物館。ホントは見たかったんだけど、またいつか来るからね。

諏訪湖SA

諏訪湖SAでひと休み。ケッ「恋人の聖地」だとォ〜!?

 松本から国道158号線に入り、上高地方面を目指します。雨は局地的だったみたいでこの辺は降らなかったみたいです。でも、あたりはずいぶん薄暗くなってきていて、濡れて狭いトンネルが続く道はかなり神経を使います。
 しかし、ジャジャーン!! ここで大型のフォグランプの出番です。メーター横にあるスイッチを押すと、明るい光がドーンとたのもしく道を照らします。オプションですが、やっぱあるのとないのじゃ全然違いますよね。

国道158号線

松本から国道158号線をグイグイと登っていきます。この辺は雨が降っていなくてよかったョ。

薄暗いトンネル

薄暗いトンネルを何本も抜けて行きます。でもフォグランプのおかげで安心!

 6時。安房峠道路の長いトンネルを抜け、やっと今日の目的地、平湯のキャンプ場に到着しました。
 今日の客は、数人のライダーのグループと家族連れが数組いるだけみたいです。付かず離れずの適当な場所を探し、テントを設営しました。
 ここのキャンプ場のいいところは、氷の自動販売機があるとこなんです。100円でボウル一杯の氷が買えるので、松本IC近くのコンビニで買ってきたビールと氷をビニール袋に入れて冷やしておきます。

安房峠道路

安房峠道路の長いトンネルを抜ければやっと平湯に到着だ。通行料金は620円ですよ。

平湯のキャンプ場

メチャクチャ広い平湯のキャンプ場。一番近いスーパーまで6〜7kmあるから松本で用意してくるのがいいかも。

今夜のワタシのお宿

今夜のワタシのお宿。約1年ぶりのキャンプです。野宿けっこう好きなんですよね。

平湯のキャンプ場

すぐ近くの温泉はキャンプ場利用者は割引で入れるけど、夜7時で閉まっちゃうので注意。

 そして、すぐ近くにある「ひらゆの森」という温泉に直行。ここもまたいいところでさ、男女合わせて16もある露天風呂がホントにのんびりできて気持ちがいいんだよねぇ。
 ちなみに、キャンプ場利用者は割引料金で利用できます。
 夜はキンキンに冷えたビールを飲みながら一人で酒盛り。アパートにいても山ん中でも、どこにいてもやるこたいっしょ、つーのがむなしいよね。
 さて、明日はどこへ行きましょうか?(本日の走行距離 307.4km)

イラスト

●2日目「とりあえず高山まで降りますか

 今日はまだ夜が明けきらないうちに起床しました。だだっ広いキャンプ場の中をしばし散歩して、心によいマイナスイオンをたくさん吸収いたしましょう。
 ここのキャンプ場はとにかく広くて気持ちがいいし、場所的にも信州や飛騨観光の拠点として使えるし、最高だと思います。おススメですよ。
 久しぶりに上高地へ行くか、新穂高ロープウェイで山へ登るか、考えたのですが、このまま山を下りて飛騨高山へ向かうことにしました。

平湯の郷

スッポリと自然に溶け込んだ平湯の郷。心も体ものんびりとできてサイコーな温泉です。

平朝ごはん

ワタシの朝ごはん。いつもはもっとちゃんとしたものを作るんだけど、時間もないしお腹も減ってないし……。

雨対策

どーよ!! このカンペキなまでの雨対策は。でも、どっからか水が入ってくるんだよなぁ〜。

 お天気は曇り。途中でパラパラと少しだけ雨が降ったのですが、徐々に晴れてきて暑くなってきました。
 一時間半ほどで高山に到着。もうここは何回も来ているのですが、何回来てもいいところです。
 ぶらぶらと町を歩き、陣屋前の朝市へ。白人の観光客の方がたくさんいて、もの珍しそうにしていました。最近ここ外国人がかなり訪れるらしいですね、テレビでもよく特集やってます。
 ふと、目の前の食堂を見ると、飛騨ラーメンののぼりが。さっきパンと味噌汁で軽い朝食を採ったのですが、やっぱせっかく来たのだからとふらり店内に入ってみます。やや甘めのしょうゆが効いたラーメンは、飽きが来ないさっぱりした味でした。

高山の町

もう何回も来ている高山の町。いつ来てもいいところです。

陣屋前の朝市

陣屋前の朝市。朝採れたばかりの野菜や漬け物など売ってます。

ノリコおばあちゃんのお店

ワタシの母と同じ「ノリコおばあちゃんのお店」ごはんドロボウという漬け物がムチャクチャおいしかったです。

朝ラー

朝ごはん食べたばかりなのに、なぜか「朝ラー」です。サッパリ醤油味がうまいっ!!

 高山からは南下して、以前から見てみたかった犬山城あたりに行こうかとも思ったのですが、逆に北上することに。
 飛騨古川の町も、高山と同じように古い街並みが残っていて、静かでいいところですよ。
 特に町の中心部にある「飛騨の匠文化館」はおススメです。税金の免除をする代わりに神社仏閣などの建設を託されたという、飛騨の匠の方たちの卓越した技術を勉強することができる、すばらしい施設でした。 
 また「飛騨古川まつり会館」もいいところです。迫力あるお祭りの様子をハイビジョンの立体映像で見ることができ、感激いたしました。
 ここからは富山へ行くか八尾へ行くか? いえいえ、やっぱせっかくなので世界遺産の白川郷にいたしましょう。

飛騨古川の町

飛騨古川の町も古い建物がたくさん残っていていいカンジです。

飛騨の匠文化館

絶対おススメの「飛騨の匠文化館」。木工の技術がホントにスゴイんだってば!

飛騨古川まつり会館

「飛騨古川まつり会館」は毎年4月19、20日に行われる古川まつりの様子が見られる。すごい迫力!

縦位置の信号

雪国らしい縦位置の信号。こんなの見ると九州人はうれしいんだよね。

 古川から県道473号線を上り、飛騨ほそえから県道75号線へ。そして国道360号線に合流すれば、白川郷までは一本です。
 ところが、田舎の一本道を快調に進んでいたところ、なんとこの先は通行止めとの掲示板が!(後から考えたらワタシの勘違い。通行止めなのは別の支線の方で、この道は大丈夫だったのですよ。トホホ……)しょうがないので、少し引き返して、県道479号線を下り、飛騨清見JCTから東海北陸自動車道に乗っかることにしたんですが、途中で何を勘違いしたのか今度は道に迷ってしまい、高速に乗るまですんごい時間をくってしまいました。

 この高速道は道が狭くしかも対面通行で、1車線しかありません。ワタシはいつも高速は80〜90km/hくらいでしか走らないので、追い越し車線があればいいのですが、ここにはないので、後続車から煽られて大変でした。
 特になんと11kmもの長さのやつをはじめ、いくつもトンネルが続くので、怖いこと、怖いこと。
 元々ちょっと乱視気味なのでトンネルを通ること自体が不安なんですが、その上トラックに煽られるしで、心臓がバクバクいってます。
 子供の頃よりチョー緊張体質のワタシです。次第にハンドルを持つ手がガチガチに硬くなり、のどもカラカラ、目も干上がってきました。
 無事に、白川郷までたどり着くことができるのでしょうか?(つづく)

県道75号線

県道75号線から国道360号線に入って白川郷を目指すつもりで、山道を走ります。

途中の田んぼ

途中の田んぼの中に犬小屋があったので番犬かな? と思ったら……なんとアヒル様のおうちでした。無農薬米を育てているんだね。

通行止め

ゲーッ!! なんと通行止めですってェ〜!? ここまで来たのに引き返すのォ?(実はワタシの勘違い)。

道を間違えた

東海北陸自動車道に向かうつもりが道を間違えた! 無事白川郷にたどりつけるのかァ〜!?


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