2018年3月30日

MBHCC D2 バ☆ソ 幻立喰・ソ

第92回「終末の水車小屋」

第92回「天国の水車小屋」

 バスセンターは好きですか? 

 またこのアホウが唐突になにを言い出すんだ? とお嘆きの貴兄、すっかり駄コラムのトリコですね。いいんですよ照れなくても。こっちが照れてしまいますから。
 バスセンターとは、お風呂の真ん中ではなく、バス発着所のこと(当たり前)。バスターミナルとも言いますが、ターミナルは、終点だけではなく終末とか末期とか破滅的なという意味もあるんですって。欧米では医療関係では使われても日本のように交通機関の要所という意味ではあまり使われないんだとか。へえ〜。欧米からやってきた観光客がバスターミナルを見ると、ここはバスの墓場か? なんて思ったりするんでしょうか。しないと思いますが、いつもの枕の与太話ですから、今すぐ忘れてください。

 みなさんが好きかどうかはさておき、私はバスセンター好きだったようです。だからなんだ? と正論を言われてしまうと、焼き場もお好きですか? と、また違う話を始める必要が生じますゆえ、いましばらくお付き合いください。

 ついでに誰も知りたくもないであろう私の個人情報ですが、生まれは岐阜県岐阜市。岐阜ってどこ? という方も意外といらっしゃるようですので、簡単に説明しますと名古屋の隣にある岐阜県の県庁所在地です。かつては路面電車も走っていました。その路面電車を廃止してしまい、駅前に金ピカの信長像作るセンスは……それはともかく、電車通り近くで生まれ育ったため、朝昼晩と電車の姿と音を刷り込まれたので、未だに電車を見ると親と思ってしまいます。怖いですねと、いつものように鉄話になだれ込むかと思えばさにあらず。

信長像

JR岐阜駅前にあるゴールデン信長像……夜はライトアップされるそうです……(2017年6月撮影)

名鉄岐阜市内線

名鉄岐阜市内線は行政と警察にいじめられた末、刀折れ矢尽き2005年4月全線廃止。(1976年12月撮影)

 名鉄岐阜駅(当時は新岐阜)の隣に新岐阜バスセンターがありました。昼でも薄暗いバスセンター内には6個くらい乗り口があり、その上には行先を書いた行灯型掲示板がありました。行先の電球が点灯すると早口で「ごにゃごにゃ〜2番のりば〜ぁなんたら行き〜ごにょごにょ」と、独特の節をつけたよく聞き取れない放送があって、ぴっぴ〜ぃ、ぴっぴ〜ぃの笛の合図とともに丸いバックランプを光らせゴロゴロエンジンをふかしてバスがバックで接近してくるのです。
 そんな一連の流れを見るのが大好きな危ない子供だったようで、今でも脳裏に焼き付いております。が、バスにはそれほど執着はないのです。

北海道中央バスターミナル2013年4月撮影

北海道琴似バスターミナル2013年5月撮影

青森弘前バスターミナル2016年3月撮影

青森むつバスターミナル2016年11月撮影

盛岡バスターミナル2014年1月撮影

長野バスターミナル2017年4月撮影

長崎新地バスターミナル2013年10月撮影

長崎県営バスターミナル2013年10月撮影

熊本交通センター2010年3月撮影

日本全国各地のバスターミナル。最近のものはともかく、昭和時代に出来たものは独特の雰囲気があります。

 そんな新岐阜バスターには、私の人生を大きく狂わせる遠因があったのです。
 それは小さな水車の横にあった水車小屋という立食ソでした。残念ながら味の記憶はないのですが、関係者の証言によれば、バックで入ってくるバスを飽きもせず見ているかと思えば2台も見ればすぐに飽きて、今度は水車の前に移動して飽きもせず水車を眺めるわけもなく、そばが食べたいとぐずったそうです。とはいえ、幼稚園に入る前の本物の子供、少し食べてすぐ飽きて、もう帰ると泣き出す、わがまま放題のクソガキ。
 自分の子供ならぶん殴るところですが、自分で自分を殴るのも難しいし、そんな記憶はまったくございませんなのですが、水車小屋ははっきり覚えています。

 不思議なのは、岐阜はそばよりうどん文化圏のはずですが、水車小屋でうどんではなくそばを食べたらしいのですが、もう50年以上前の話です。新岐阜バスセンターにあった水車小屋で、どんなそばを食べたのか今となっては忘却の彼方。検索してもヒットゼロ。それよりも、たしか子の日という食堂のイタリアン焼きそばの記憶が強烈ですが、きたない話なので割愛します。げろげろ〜。

 バスセンターは今でも各地にあります。しかも昭和時代のままの姿で。そして、昭和臭がぷんぷんなすてきな立喰・ソが潜んで(いるわけではないけれど)いるのです。バスセンター独特の雰囲気とともにいただくソは、まさにタイムスリ〜ップ!
 しかし老朽化で建て替えまたは撤去という話も……そうなんです、いつまでもあると思うな、バスセンターと立食ソ。旅に出た時は、用もないのにバスセンターを覗いてみてはいかがでしょうか。覗く? 用がないなら除くの誤植だろって。ははは……
2013年4月撮影 琴似バスセンター

2013年4月撮影中央バスセンター

2009年42撮影五所川原バスセンタ

22016年6月撮影弘前バスセンター

2014年1月撮影 十和田中央バスセンター

2016年11月撮影むつバスセンター

2014年1月撮影 盛岡バスセンター

2013年10月撮影 県営バスセンター

古いバスセンターに似合うのは、昭和臭がぷんぷんの食堂やら売店。さらに立喰・ソ。駅そばすら減少している昨今では絶滅危惧種です。

 ちなみに岐阜バスセンター、現在は岐阜バスターミナルとして存在しているようですが、たぶん水車小屋共々、新岐阜バスターセンターの面影は跡形もなく消え去っているでしょう。
 このコラムもそろそろターミナルが見えてきたようです。と、無理やりこじつけて、今回はここまで。次回はもうちょっとなんとかしたいと、思ってはいるんですよ、ええ、強く思うだけは。

●幻立喰NEWS2018 金町の名店が一時閉店の後移転

JR常磐線金町駅南口の再開発がいよいよ始まります。対象地域ではほとんどの店舗の営業が終わってゴーストタウン状態。金町の名店、そばっ子も対象に入っており、かねてから「このまま幻立喰・ソになってしまうのかと!?」心配されておりました。現在は一時閉店中ですが、4月中旬から、駅横のかつて喜多そばがあったあたりに仮店舗を構えて再開するようです。再開発と共に幻立喰・ソも当たり前の昨今、大変喜ばしい話題です。ああ、よかったよかった!

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