Harley Davidsonの2011年国内導入モデルは
全34モデル。新機種は3モデル!
ハーレー・ダビッドソン・ジャパン(以下HDJ)が導入する2011年モデル全体を通して目玉となるような新車は無い。2011年モデルは熟成の年、と割り切ってよりクオリティの高いモデルを目指したといえるだろう。それにしても最近のハーレー・マシンのクオリティは「昔は」の世代から見ればとてつもなくハイレベルになっている。
ストレートに「国産マシンと肩を並べる品質になった」といってもいいだろう。品質が人気を裏付けている。
さて、目玉車種はない、といってもいわゆる“新車”として紹介できるモデルは当然ある。
まず、スポーツスター・ファミリーから2機種。
新設計のフロント周りを採用することにより、特に低速時のハンドリングを向上させた“XL883L Superlow”が登場した。ホイール、フォークブラケット、Fフォーク、ハンドルバーなどの変更によりフロントのジオメトリーを最適化し、よりスムーズなライディングが可能となったという。
サスストロークも2010年モデル比で前12.7mm、後15.2mm増加している。また、シートも新設計で、シート高の数値自体は643mmと2mm増えているが足つき性を向上させている。タンク容量が3.3ガロンから4.5ガロン(17L)にアップしたのも嬉しい改良点だろう。
もう一機種、スポーツスター・ファミリーからのニューモデルが“XL1200X FORTY-EIGHT”だ。
この車名にピンと来た人は相当なハーレー・ナッツだろう。FORTY-EIGHT、1948年とはハーレーにピーナッツタンクが初めて採用された年なのだ。スポーツスターといえば古典的なピーナッツタンク。
無骨なホットロッドカスタムをイメージさせる新たなファクトリーカスタムスポーツスターだ。
穴あけ加工されたマウントブラケットのピーナッツタンク(容量7.9Lに)のほか、これまたスタイルを強烈に印象づけるMT90B16のファットフロントタイヤ採用によるワイドなフロント周り。アンダーバーマウントされたミラーや新設計のハンドルバーなどとともに個性的なスタイルとなっている。
新車のラストはツインカム103(1,689cm3)系エンジンが搭載されたツーリング・ファミリーのニューモデル“FLTRU103 ROAD GLIDE ULTRA FEATURES”だ。
ベント付のロワーフェアリングの採用、新設計ワンピースナローシート採用、そのシート背部にはオリジナルエンブレム付キングツアーパックが採用され、ハーマン/カードン製4スピーカーアドバンスオーディオシステム搭載で締めくくられている。
以上がニューモデルの概要だが、従来からのモデルでも、スポーツスター系では883のFスプロケットが28丁から29丁へ、ドライブベルトの歯数が136歯から137歯へ変更。ソフテイル系ではFLSTSBを除く全車にアンチロックブレーキシステムが採用され、また先進のエレクトリックシステムといえるBCM(ボディコントロールモジュール)が採用された。
ツーリング系ではツインカム103エンジン搭載車のエンジンコンポーネントが変更されている。ダイナ系、VRSC系は変更はないもののより身近な新価格設定になったという。
とまあ、あれこれ細かい説明をしてきたが、ここからはお待たせ、濱矢文夫に最新のハーレーをインプレッションしてもらおう。
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- 全長2,215mm×全幅845mm×全高1,115mm、ホイールベース1,500mm、最低地上高90mm、加重時シート高643mm、車両重量260kg、Evolutionエンジン、ボア76.2mm×ストローク96.8mm、圧縮比9:1、883cm3、最大トルク67Nm/3,500rpm、5速リターン、燃料タンク容量17.0L、タイヤF120/70ZR18、R150/60ZR17。
17リットルのタンクを採用
軽快になったハンドリング
2010年モデルのXL883L Lowから、2011年モデルのXL883Lは、見た目からなにから大きく変わって、“Super”が付くXL883L SuperLowへとなった。
新しいフューエルタンクが大きな特徴。容量は17リットル。前モデルが12.5リットルだったから4.5リットルも増えている。ツーリング好きには嬉しい。
新しいデザインのキャストホイールは、フロント19→18インチ、リア18→17インチと小径化された。タイヤにミシュランのラジアルタイヤ「スコーチャー11」を履く。 さらに低くて足つきの良好なシート高はほとんど変わらないのに(643mm。昨年のXL883Lは641mm)、ホイールトラベル量は、新設計フォークの採用によりフロントで12.7mm増え、リアサスペンションも15.2mm増えている。
タンク容量をUPし、低さ具合、足つきに大きな変化はないのに、ホイールを小径化してグリップのいいラジアルタイヤを履く。そして良く動く足周り。これは、「走り、快適性、実用性」という3つの要素でポテンシャルを上げたことになる。
乗ってみると、グリップが手前にきたアップハンドルのおかげで腕はそれほど伸ばさなくてもいい。ステップの位置は近く、ヒザは「く」の字に曲がる。この直前に試乗したのがXL1200X Forty-Eightだったので余計にポジションのコンパクトさを感じた。
それでいて下を見ると瓜のようなカタチをした長めのタンクがあるから、乗車した時の印象は同じスポーツスターでもまるで違う。胴体の前傾はほとんどなく、力を抜いてストンっと椅子に座ったような姿勢になる。小柄な人や女性でも楽に扱えるだろう。
フロントのスプロケットを28丁→29丁に変えたことで二次減速比が高速よりになったこともあり、低いギアでの低速走行が扱いやすくなった。さらに回していくと滑るように速度が伸びていく。「883って、こんなに気持ちよかったっけ?」と乗ってすぐに思った。
じれったい部分がなくなって、スーッと速度が乗る。その反面、低速からの「ドドッ!」というパンチ力は少し弱まったように感じたが、この変化は正解だ。
ハンドリングはずいぶん軽快になった。コーナーの入り口で自然に舵が入って、そこから安定して向きを変えられる。切り返しも重ったるさはない。
XL1200X Forty-Eight同様、交差点でもステップを擦るくらいバンク角は小さいけれど、そうならない乗り方をすればいいだけ。もしかしてバンク角を語ることはナンセンスなのかな……。
バイクという道具として、使いやすくなることは正義である。ハーレーが持つテイストや世界観を理解できていないかもしれないハーレー初心者だけど、2011年モデルのXL883L SuperLowに乗って、いちバイク好きとしてそう思った。
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