※写真はイメージです。 PTA——ペアレント-ティーチャー・アソシエーション。つまり保護者と教師による組織。アメリカのそれが自発的な行動で起こされたのと違い、日本では戦後に連合国最高総司令官総司令部:GHQによって半強制的に構築された組織だ。高校には全国高等学校PTA連合会(以下、略称の全高P連)という全国組織がある。この全高P連が1982年(昭和57年)の第32全国大会宮城大会で決議文として出したのが「バイクの3ない運動」。これで免許を取らない・バイクを買わない・バイクに乗らない——を全国一律の決まりごととした。 以降、5年ごとに見直しを行い、10年目の1992年の熊本大会では「地域の状況により」という文言が加わることで各校の裁量に任され、さらに1997年の山形大会で「決議文」は拘束力が弱められた「宣言文」へと変化した。続いて2007年の埼玉大会では——「3ない運動」は引き続き継続するが、交通安全教育活動を推進する、自転車や歩行を含めた交通マナーの向上を図る——と大きく転換した。 そして今年、2012年8月22〜24日に開かれた第62大会・和歌山大会でついに「バイクの3ない運動」宣言が30年を費やして消滅したのだ。「3ない運動」は埼玉大会の宣言文の精神は踏襲するが、代わって「自転車・バイク・歩行者のマナー・アップ運動」を実施することになった。
本誌のレポーターで、3ない運動取材に熱心に取り組んできた故・有馬行夫氏は、かつて3ない実施校を取材した時に、教師が発した言葉に愕然として思わず頭に血が上ったという話を聞いたことがある。その教師曰く—— こんな(一部の)バカ教師がどうして生まれたのだろうか。バカ教師が当てにしていた警察からの免許取得者情報も、個人情報漏えいの可能性があり、昨今はまったく協力が得られなくなっていた。 法的にも権利の侵害など大きな疑問点があると言われ、国によって生涯教育であると位置づけられた交通安全教育を高校生だけ3年間空白にするメチャクチャな運動が消滅するのに30年もかかったことは、もともとこの運動に批判的であったとはいえ学校を管理する文部科学省にも責任の一端があることは免れないだろう。せめて今後は、それでもなお全高P連のこの動きを無視して?「3ない運動」をさらに締め付けを強くした運動(前記3ないの項目に、友人などのバイクに乗せてもらわない、親は子供の要求に負けない・買い与えないなどを加えた「4ない」や「4プラス1ない」運動)を実施している一部地域やゾンビ高校に対して、強力な“指導”展開での挽回を総務省、警察庁なども含めて望む。幸い、二輪車安全運転推進委員会や全国二輪車安全普及協会などなど、この国には世界一の「乗って教える」組織・システムが控えているのだから! |
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