第37湯 京都・兵庫湯巡りツーリング(2日目)
京都・兵庫湯巡りツーリング2日目。外湯を十二分に満喫した城崎温泉を出発し、兵庫県を縦断して姫路市に向けて、円山川に沿って県道3号線を進む。日本海に近い地域らしく、空はどんより曇っていて、今にも雨が降り出しそうだ。途中、国道312号線に入って豊岡市を過ぎて養父(やぶ)市に入り、国道9号線と交わるところにある道の駅「但馬楽座」に併設されている「やぶ温泉」を第1湯目に選んだ。
「但馬楽座 やぶ温泉」は兵庫県養父市にある宿泊もできる日帰り入浴施設だ。入湯料は600円。ツーリングマップルに開店時間が午前10時00分と書いてあったので、10分ほど待ってから地下1階にある受付に行ってみると、午前8時00分から入浴は可能と書いてあった。わずか1時間ちょっとしか走っていないが、身体はすっかり冷えていた。そそくさと脱衣して浴室に向かう。身体を洗い、湯船へと向かう。内風呂のみだが広々している。湯船を独り占めして冷えた身体を、無色透明のお湯でリカバリー。ちょっとぬるめだが、それくらいのほうが立ち寄り湯にはピッタリだ。
すっかりリカバリーして駐車場に戻ると、自分よりちょっと年下の男性が、バイクを見かけて話かけてきた。話をしていると、自分がこれから向かおうとしている竹田城跡の撮影をしてきたらしく、岡山から何度か訪れているとのこと。なかなか見ごたえあるという話を聞いてテンションが上がってきた。男性と分かれて国道312号線を走って朝来市に入り、城跡への入口となる交差点近くに竹田城跡への看板が見えてきた。
竹田城跡は兵庫県朝来市にある城跡だ。竹田城跡というよりも「東洋のマチュピチュ」と言ったほうが、CMや情報番組で聞いたことがあるかもしれない。竹田城跡の詳しい歴史はここでは省くとして、この城跡の特徴は標高約350mの山頂に築城されたことだ。そのため、雲や霧が出ている時の様子はまさに「天空の城」そのもの。その神秘的な光景は、CMや情報番組で度々放映されている。私も情報番組で竹田城跡の存在を知っていたが、ツーリングに行く直前に「そういえば、竹田城跡って兵庫県にあるって言ってたよな…」とふと思い出してネットで調べたところ、偶然にもルート途上にあることが判明。2日目のルートに組み込むことにしたのだ。
事前情報では連日多くの観光客が訪れており、近隣が混雑しているという。国道から入った道はそんな雰囲気ではなかったが、駐車場と書かれた看板に従って進むと、なんとつづら折りの山道に車が列をなして停まっていた。思わず唖然としてしまった。前方の状況がまったく把握できないので、仕方なく列の最後尾で待っていたら、上のほうにいた誘導員のおじさんがなにやら手招きしている。目線がどうもこちらに向いているので「俺のこと?」って自分を指差したら「そうだよ! お前さんだよ!」的な反応をした。誘導員のおじさんは気を利かせれくれたようだ。「ちょ〜ラッキー!!」と笑みを浮かべながら並んでいる車の横を通り過ぎて、さらに奧にある駐車場まで向かった。
駐車場までの山道は、車が一台通れるかどうかの狭い道。確かにこれでは入場規制しないと大変なことになってしまう。駐車場も観光用に作られていないらしく、それほど大きくない。駐車場の端っこにバイクを停めて、観覧費300円を払い、ここからは徒歩で城跡に向かう。平日にもかかわらず観光客がびっくりするほど多く、しかも年配の方々がほとんど。これまた狭く急峻な登山道を20分ほど進むと視界が開けて、ついに城跡が姿を現した。先ほどまでの曇り空がウソのように晴れ渡った。
資料によれば城の規模は南北約400m、東西約100mという。現在は建物はなく、穴太(あのう)積みと呼ばれる技法で築かれた石垣が当時のまま残されている。どうやってこんな山頂に城を築いたのか素朴な疑問が出るほど、すごい場所に築かれている。天守閣のあった場所(本丸)まで行くと、城跡のほぼ全容が見渡せて、眼下には町と国道が一望できる。防御しやすい城のように見えるが、1577年に羽柴(豊臣)秀吉の攻撃によってあっけなく落城したという。南千畳から北千畳まで城跡をくまなく歩き、絶景に感銘を受けながら下山した。竹田城跡は想像以上にすごい場所だった。立ち寄った甲斐はあった。
下山したらお昼を過ぎていたが、昼食を摂る前に休憩を兼ねて入浴することにした。竹田城跡から国道312号線を経て県道277号線を20分ほど進んだところにある「よふど温泉」に向かった。「よふど温泉」は兵庫県朝来市にある日帰り入浴施設だ。森に囲まれた閑静な場所にあり、竹田城跡の賑やかさとは対照的。入湯料は600円。外光がほどよく差し込む内風呂と、露天風呂は2種類あり、今回入ったのはBと呼ばれる庭園風の岩風呂のほうだ。無色透明のお湯は、登山で適度に筋肉を使った身体を癒すのにはぴったり。竹田城跡に行ったら立ち寄りたい温泉だ。
「よふど温泉」に入った後、県道277号線を戻り、国道312号線沿いにある「竹田屋」という焼肉屋で、但馬牛を使った焼肉定食を食べて腹ごしらえ。ここから姫路まで国道312号線をそのまま進むか、国道429号線と国号29号線を使って向かうか迷ったが、いつか鳥取・島根方面に向かう際に国道312号線沿いの温泉は入ろうということで、国道429号線に進むことにした。車の往来が少ない国道429号線を快調に走り、竹田から1時間ほど走ったところにある「一宮温泉まほろばの湯」に入ることにした。
「一宮温泉まほろばの湯」は姫路市に近い兵庫県宍粟(しそう)市にある日帰り入浴施設だ。入湯料は600円。明るい開放感のある内風呂と露天風呂がある。露天風呂からは周囲の山々が見渡せて、のどかな雰囲気に包まれる。お湯は無色透明でクセがなくて入りやすい。11月下旬なのでまだそれほど寒くないとはいえ、冷えた手先が復活する。
駐車場に戻ると時間は午後3時。すでに日が暮れかけている。姫路には午後7時くらいには着きたいので、あとは己の気合い次第だが、できれば合計6湯は入りたい。次に向かったのは「一宮温泉まほろばの湯」から20分ほど走ったところにある「東山温泉メイプルプラザ」。同じく兵庫県宍粟市にある「東山温泉メイプルプラザ」はフォレストステーション波賀内にある宿泊施設だ。場内にはコテージやオートキャンプ場が併設されている。入湯料は600円。洋風の外観にふさわしく館内も綺麗で、ほどよい広さの浴室に、庭園を見渡せる横長の露天風呂が特徴だ。お湯はラドンを含んでおり、身体が温まる。
4湯目に入ったところで午後4時前。だいぶ日が暮れてきたが、姫路までは距離があり、あと2湯入れそうな雰囲気になってきた。「東山温泉メイプルプラザ」を出発し、国道429号線から国道29号線に入って姫路方面に30分ほど進んで「しそう よい温泉」に到着。「しそう よい温泉」は兵庫県宍粟市にある日帰り入浴施設だ。ここも森に囲まれた静かな場所にある。入湯料は700円。内風呂と、ちょっと離れたところに露天風呂があり、露天風呂のみ火曜日が定休日になっているので注意したい。また営業時間も、内湯は午前10時00分から午後10時00分だが、露天風呂は午後1時00分から午後6時00分(土日祝は午後8時00分)となっている。毎週水曜日に男女入れ替わるらしく、今回は山側の露天風呂(上湯)だった。森に囲まれたやや縦長の露天風呂に先客はおらず、またしても独り占め状態。湯量は豊富で、お湯は源泉100%のラドン温泉。ところによっては熱いが、適温の場所を探して入りたい。
駐車場に戻ると午後5時になろうとしていた。午後7時に姫路市着なので、頑張ってあと1湯入ろうということで、「しそう よい温泉」から約20分、国道29号線を進み、県道429号線沿いにある「生谷温泉 伊沢の里」に到着。ここまで山間部の温泉が多かったが、ここは中国自動車道山崎インターの近くにあり、姫路市や大阪からの交通の便はいい。「生谷(いぎだに)温泉 伊沢の里」は兵庫県宍粟市にある日帰り入浴施設だ。入湯料は500円。スーパー銭湯のようなモダンな外観同様、浴室も綺麗。内風呂のほかに露天風呂もあり、冷鉱泉のお湯は無色透明。夕方ということで館内は賑わっていた。
目標どおりの6湯達成したが、まだ宿泊先を決めていなかった。クールダウンさせながらスマホで検索して姫路城近くのビジネスホテルを予約。外に出るとすっかり日が落ちていた。あとは姫路市内に向かうだけだ。国道29号線を走り、途中渋滞に遭遇しながら国道2号線を姫路市方面に進み、ライトアップされた修復作業中の姫路城を見ながら、予定よりやや遅い午後7時30分にホテルに到着。玄関先にバイクを駐車させてもらい、ようやく本日のミッションは終了した。
規定どおりの6湯入湯にプラスして竹田城跡を見学するという充実した2日目だった。ここまで順調で、ほとんど雨に遭遇していないのが不思議だ。事実上の最終日になる3日目は、姫路市から神戸市に向かい、城崎温泉と並ぶ兵庫県の名湯である有馬温泉に入湯する予定だ。このまま無事にアクシデントなくツーリングが終わるのか…。
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但馬楽座やぶ温泉 | ★★★★★ | |
国道からアクセスしやすく入りやすい道の駅併設の温泉。 | ||
よふど温泉 | ★★★★★ | |
竹田城跡で疲れた身体を癒すのに最適な里山の温泉。 | ||
一宮温泉「まほろばの湯」 | ★★★★★ | |
露天風呂は山間部ののどかな雰囲気が楽しめる。 | ||
東山温泉メイプルプラザ | ★★★★★ | |
広々としたアウトドア施設内にある温泉。 | ||
しそう よい温泉 | ★★★★★ | |
露天風呂は定休日と営業時間が異なるので注意。 | ||
生谷温泉「伊沢の里」 | ★★★★★ | |
大阪や姫路市内からアクセスしやすい手軽な温泉。 | ||
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