Kawasaki Z250ABS&Ninja250SL体験ツーリング その1 「カンナナ一周、フーテンのミドリさん」

カワサキモータースジャパン

「今年もまたツーレポやりませんか?」
 もう何年も使い込んでいる古いガラケーにWebミスター・バイクの担当さんから、そんなメールが入っていました。
「モチロンやりますとも!!」
 そうメッセージを返し、後日編集部に伺ったのですが、そこには2台のバイクが停めてあったのです。
「あー、今回は誰かと二人でやるんですね。森永みぐさんとか?」
「いえいえ、みぐさんはとてもお忙しいので無理です。一人で2台やってください。どうせヒマなんでしょ?」
 ギクッ! そーなんです。ワタシまったく漫画の仕事ないんです。トホホ……と、いうわけで、なんと今回はワタシ一人で2台のバイクの実走体験ツーリングレポートをお送りしちゃいます。
 ただね、先に言っておくけど、ワタシ、ホントにバイクの知識ないんですよ。皆様のお役に立つ情報をうまくお伝えできるかどうかわかんないのですが、バカにしないでとにかく読んでみてくださいねっ。



Z250ABS


Z250ABS
Z250ABS。メーカー希望小売価格は553,500円(本体価格512,500円、消費税41,000円)だ。 前から見るとこんなカンジ。精悍な顔つきがいいよね。


Z250ABS


Z250ABS
色はメタリックスパークブラック×メタリックフラットスパークブラック。 絞り込まれた後ろ姿。スリムでかっこいいぞ。


メーター


シート


エンジンの熱い空気を下に押しやる
大型のアナログタコメーターをセンターに配置している。キーを回した時のデジタルスクリーンの動きもおもしろいぞ。 足着き性のいいシート。もうちょっとアンコが多い方が好みかな。 エンジンの熱い空気を下に押しやるために真夏でも快適な運転をすることができるぞ。


マフラー


ミラー


シフト
マフラーはショートタイプを採用。タンデムライダーの快適性にも配慮している。 先が尖っている特徴的な形状のミラー。 アシスト&スリッパークラッチシステムのおかけでクラッチレバーの操作感が軽くなりしかもスムーズにシフトできるぞ。

 まずはZ250ABSをお借りしてきたのですが、ワタシいつもは400ccのバイクに乗っているので、やっぱしかなり小さく感じますね。もっと大きなバイクならキャンプ道具をたくさん積んで長距離を走ろうかなと思っていましたが、2台もあることですし、まずは近場を回ってくることにしました。

 東京を一周ぐるっと囲んで走っている道路のひとつに環状七号線、通称「カンナナ」というのがありまして、ワタシが住んでいる高円寺を通っています。まずはいつものように、JR高円寺駅前の氷川神社様に旅の無事を祈願してからスタートです。

 初めて乗るバイクだとなかなか体が合わず、ワタシはいつも苦労しています。ステップやハンドルの位置や高さ、シートの座り心地、ギアの入り具合、バックミラーの見え方等々、すぐにはアジャストできないことが多く、走り出してしばらくの間はなんかフラフラした感じで落ち着かないのです。
 でも、あら不思議。このZ250ABSの「Zくん」には、すぐに慣れましたよ。スポッとヒザがタンクにおさまり、あっという間に体がバイクと一体化して、履き慣れた革靴のように感じがいいんです。
 それもそのはず、カタログを読むと、設計段階から人間工学を随所に取り入れて作られているんですって。
 ハンドルはやや高めの広めで設定されているらしく、ハンドリングがスムーズに行えます。
 シートはアンコがあんまり入っていないのですが、タンクとの接点部分が絞り込まれていて足着き性が良いのが○。取り回しするのにも楽な感じがします。
 走っているときも自然に背筋が伸びる感覚があって、とにかくライディングポジションが自然体になるから疲れにくいんですよね。



氷川神社様


カンナナ一周旅のスタート
いつものように、JR高円寺駅前にある氷川神社様にお参りして旅の安全をお願いいたしました。 さあ、カンナナ一周旅のスタートです。よーし、今日は一日、楽しむぞオ〜!!


カンナナは上がったり下がったり


東北、上越新幹線と京浜東北、宇都宮線、高崎線
カンナナは上がったり下がったりする場所がけっこうあるから走ってて楽しいんだよな。 東北、上越新幹線と京浜東北、宇都宮線、高崎線を渡っていきます。

 野方、練馬と北上していきます。道路はいつものように混んでいるのですが、流れはスムーズ。快適な走りです。

 前方が急に開け、大きな川が見えてきました。ここは荒川。この川に架かる鹿浜橋を渡ってすぐのところに首都高速川口線の鹿浜橋ランプがありまして、東北方面への旅はいつもここから始まります。

 このへんから東へ進路を変え、「舎人」と書いて「とねり」と読む、日暮里舎人ライナーの下をくぐると、左手に「西新井大師」があります。ここは弘法大師が開いた古いお寺で、昔、某占い師に聞いた話によると、女性にとっては関東一のパワースポットらしいですよ(男の場合は川崎大師らしい)。



鹿浜橋
鹿浜橋を渡ったらすぐ、鹿浜橋ランプがあるぞ。風景が一気に開けていて、キレイな所なんだよなっ。

 しばらく走ると、今度は首都高速6号線の加平入口があります。筑波、茨城、水戸など、常磐方面へはいつもここからSTARTです。



西新井大師様



五智山遍照院総持寺
正しくは、五智山遍照院総持寺。昭和41年に火災により古い建物は焼失。現在の物は昭和46年に再建されたのだ。


塩地蔵様
西新井大師様。天長3年(826年)弘法大師により創建された。厄除け開運の霊場だ。 塩地蔵様。できものができたとき、この塩を塗り込んだり、飲んだりして、治ったら、塩を倍にしてお返しするのよ。


日暮里舎人(とねり)ライナー


加平の入口
日暮里舎人(とねり)ライナーの下をくぐって走ります。いつか乗りに来ようかな。 加平の入口。狭いしカーブしてるし、いつもなんか怖いんだよなぁ〜。

 今日はかなりいい天気で、エンジンも相当熱くなっているハズなのですが、その熱気を感じないのが不思議です。ワタシの愛車はいつも股下に熱気が篭もるので、走りながら時々ガニ股になって熱気を逃しているのですが、このZくんは、高温の空気をライダーから遮断する、ラジエーターファンカバーが付いているので、空気を下方向に押しやるためまったく熱さを感じず、快適なのです。


快適

 カンナナは大きくカーブし、今度は南下していきます。すると「葛飾区亀有」の表示が! 漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台であるここは、実は長年東京に住んでいるのに初めて来たのです。駅周辺には登場人物の銅像があちこちに置かれていて、ファンと思われる人が何人も写真を撮っているのが見受けられましたよ。



両さん


翼くんの絵馬
亀有の駅前では、いつも両さんが迎えてくれるよ。駅周辺には他のキャラクターもたくさん!! 亀有駅のそばの香取神社には、翼くんの絵馬もあるよ。実は作者の高橋先生も近所の出身なのだ。

 亀有を離れ、青戸八丁目の交差点から国道6号線に入り、金町三丁目から柴又街道へ。ちょっと「柴又帝釈天」様へ寄り道していきましょう。
 ここは言わずと知れた、映画「フーテンの寅さん」でお馴染みの町です。昔、スクリーンで見たような懐かしい風景が広がっていて、なんか落ち着きます。「寅さん記念館」や、その監督の「山田洋次ミュージアム」などもあり、その世界に浸れるいいところです。



帝釈天


みごとな彫り物
葛飾柴又の帝釈天。映画そのままの風景だ。御前様はいらっしゃらなかったけど…… この建物にはみごとな彫り物が飾られている。一見の価値ありだぞ。


記念館


セットや小道具を展示
寅さんがいたずらをしている記念館の入口。古い鉄道の画像も見られるし、楽しいトコだよ。 映画で使われたセットや小道具を展示してある。役者になった気分になれるんだ。


参道


じゃっ、桜、お兄ちゃん行くからな
参道も映画そのものの懐かしい風景だよ。おいしそうなものもたくさんあったよ。 「じゃっ、桜、お兄ちゃん行くからな。おいちゃん、おばちゃんにヨロシク。あばよっ」そんなセリフが聞こえてきそうです。


お昼ごはん


カンナナに戻ります
ここで遅いお昼ごはん。関東の天丼はゴマ油で、ちょっと味が濃くて実はワタシ好きなのです。 また、カンナナに戻ります。道は広いし車は少ないし、スピードの出しすぎには気をつけて。

 
 またカンナナに戻り、南下。もうカンペキに自分のバイクになっているので、アクセルを回すのが楽しくて仕方ありません。
 大型のサイレンサーガードが付いたマフラーから流れ出てくる排気はリズミカルで心地いいし、つま先で軽くチェンジできる軽いシフトワークとクラッチも快適です。

 実はこのクラッチはこのZくんのウリのひとつで「アシスト&スリッパークラッチシステム」といいまして、クラッチレバーの操作感を軽くスムーズにしてくれます。また、急激なシフトダウンやミスシフトしたときに過度のエンジンブレーキが掛かって、タイヤがホッピングしたりスリップしそうなときに、その力を逃すことで防ぐことができるようになっているんだそうですよ。

 ここまでくるとカンナナは広く大きな道路となり、高架が続き車の流れが速くなるので、ついついスピードが出てしまうのですが、高速走行でもとても安定感があります。



スリッパー

 
 エンジンは、水冷4ストロークのDOHC4バルブパラレルツインというものらしく、低中回転域での豊かなトルク、高回転域での伸びやかな吹け上がりを持つ出力特性があるということらしいのですが、どシロウトのワタシでも、その軽やかな加速感を感じています。
 ギアは6段リターン。特に6速に入ってからの伸びがとても気持ちいいのであります。

 一之江から葛西へ。地下鉄東西線の葛西駅ガード下には「地下鉄博物館」があります。大昔、初めて東京に出てきたとき乗った、丸ノ内線の赤い電車も展示してあり、けっこう感動しましたよ。ちなみに丸の内線の車両は引退した後アルゼンチンに渡ったそうだけど、今でも走っているのかなぁ?

 葛西では久しぶりに「葛西臨海水族園」に寄っていこうと思ったけど、本日休園の看板が……。残念、またいつか来よう。

 そしてここからは湾岸道路を使い西へ。途中の東雲でバイク用品店に寄り、欲しかったカッパを購入。この店はかなり大きいのでいろんなバイク用品が豊富なのです。たまにツーリングがてら来るんだよね。



地下鉄博物館


葛西臨海水族園
葛西駅の高架下には地下鉄博物館があるよ。大昔の丸ノ内線の赤い電車、よかったんだよなあ〜。 巨大なマグロがギュンギュン泳いでいる葛西臨海水族園。ここサイコーにおススメですよ。


湾岸道路


バイク用品店
湾岸道路に入ります。トラックが多いから要注意だよ。 東雲にあるバイク用品店。外にいたお客がみないっせいにこのZくんを見つめてきました。

 お台場でちょっと休憩。昔は何もないただの埋め立て地だったんだけど、どんどん建物が増え、今では観光地としても親しまれています。この日もたくさんの外国の人が楽しそうに自撮り棒を伸ばしていましたよ。

 お台場から海底トンネルを抜けて、大田区までやってきました。ここに「城南島海浜公園」というのがありまして、ときどき来るいいところなのです。

 予約しておけば場内のキャンプ場でバーベキューをすることも出来るし、すぐ横が羽田空港なので、離発着する巨大な飛行機を間近で見ることが出来るので、お子さん連れの方には最高の場所だし、おススメしますよ。



フジテレビ前


昔はこんなカンジ
お台場のフジテレビ前。世界中から来た観光客や修学旅行の生徒たちでいっぱいでした。 ちなみに昔はこんなカンジでした。フジテレビが出来る以前にも一度バイトで来たことがあります。


レインボーブリッジ


日本科学未来館
巨大な客船がレインボーブリッジの下をくぐっていきます。でっ、デカ!! このときはもう閉まっていたけど日本科学未来館はスバラシイ所です。お子さん連れで行ってみてね。


海底トンネル


城南島海浜公園
お台場からは海底トンネルに入ります。なんかちょっとドキドキするカンジがあるのです。 城南島海浜公園からは4〜5分に一機、巨大な飛行機が降りてくるのを見られるからお子さんは喜ぶと思うよ。

 
 大森から北千束、目黒、上馬へと北上していきます。もう、あたりはかなり薄暗くなってきていて、帰宅する車でしょうか、かなりの渋滞に巻き込まれてしまい、トロトロしか走れません。

 若林では東急世田谷線の電車が前を横切っていきました。いろんなドラマに登場する人気の路線です。

  
 国道20号線の上を通り、青梅街道の陸橋を渡れば、やっとワタシが住む街、高円寺に無事帰還です。



夕暮れのカンナナ
夕暮れのカンナナ。車がいっぱいでなかなか前に進めません。


東急世田谷線


高円寺
東急世田谷線。よくドラマやコマーシャルに使われているよね。 やっと高円寺に戻ってきました。Zくん一日ごくろうさま。ホントに楽しい旅になったよ。

 一周、約92km(寄り道込み)。久しぶりに楽しい時間を過ごせました。

 一日乗った感想をシロウトのワタシ的に言うと「乗りやすかった」というベタな一言しかございません。よくバイク雑誌に書いてあるように「スロットルレスポンス」とか「切れ角」とか「サスペンションのダンピング」とかそーいったものは、新車プロファイルの方を見てね。

 いちおうワタシの計算だと燃費はリッターあたり31.5kmとなりましたが、ネットで読むともっといい数字みたいですよ。

 まだあと一日貸していただける予定です。街乗りはそこそこ快適な走りが出来たので、今度は郊外に出かけてみようかな。よーし明日はちょっと遠出をして、どっか温泉でも行ってこよーっと!!

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