Honda REBEL250/REBEL500 試乗

■試乗&文:濱矢文夫 ■撮影:富樫秀明/依田 麗 ■協力:Honda http://www.honda.co.jp/motor/

こちらの動画が見られない方、大きな画面で見たい方はYOU TUBEのWEBサイトで直接ご覧下さい。https://youtu.be/gk_lNE_lnP8

 
 ホンダの新型のレブルには、直列2気筒エンジンの500と、単気筒エンジンの250があり、500から乗ることになった。エンジンは違えど、フレーム、外装、足周りなど基本的に共通というのが興味深いところ。現在、世界中の主たる二輪メーカーから登場していて、流行していると表現しても問題ない、いわゆるボバースタイルモデル。”ボバー”には厳格な基準など無く、カスタマイズのいちジャンルとして発生した、無駄を省いたシンプルで、短いスタイルにしたストリートクルーザー。”チョッパー”と被る部分があるけれど、より簡素で、ボバーは、全体がより低くなっているところに違いがある。

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ライダーの身長は170cm。写真の上でクリックすると両足時の足着き性が見られます。こちらはREBEL500。
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そして、こちらがREBEL250。こちらは、写真の上でクリックすると片足時の足着き性が見られます。

 
 燃料タンク以外をブラックアウトしていることもあって、写真ではどんなカタチなのか伝わりにくかった。近づくと、車体中央、シート先端部分が、サイドカバーも含めてぎゅっと絞られている。そのくびれとワイドなタイヤを履く太い足周りとの対比から、意外なほど肉感的だ。胸とお尻が大きい西洋的で派手なグラマーじゃなく、緩やかな曲線の日本的なグラマーといった感じか。初めて目にした時から、ずっと他のボバースタイル車とは違う印象を持ってきたが、ここにきて分かった。既存の車種から流用して色を黒くしただけのエンジンも含めて、クラシック的な要素がほとんどない。なんともモダンなのだ。ある意味で、これは勇気がいる決断だ。ネイキッドカテゴリーでネオクラシックが流行っているように、今はレトロ風味の方が売りやすいと思うのに、あえて新しいスタイルを追求した。
 
 これがまたディテールも凝っているのである。前席用、後席用のステップフレームのッ取り付け部分がスラッシュカットされていたり、まっすぐ伸びた丸パイプのスイングアームは、ネジを切った棒を見せないようにしたチェーン引き。クラシック要素をあえて捨てたと思わせる象徴的な部分である、ピーナッツ型でもティアドロップでもない燃料タンクは、簡素な給油口キャップになっているがエアプレーンタイプで突起すら無い。ホンダはCB1100EX/RSで溶接した耳のないフランジレスタンクを採用しているから、それもやれたかもしれないのに、あえてフランジを大きく見せて、それがサイドビューのアクセントになっている。パイプのシートフレームが、前席の後ろを囲うようにぐるっと回って終っているのなんてとても面白い。その後方に設置されたタンデムシートとフェンダーなどは、わざわざアルミで作ったプレートでボルトオン。取り外して、ソロシートにして、「もっとボバースタイルにしてね」と言わんばかり。リアフェンダーには『rebel』の文字。’80年代中頃に発売された昔のレブルは本格クルーザースタイルを250ccクラスに持ち込んだ最初のモデルで、大ヒット作だった。その名前の復活を懐かしいと思うけれど、実は少し前まで北米では現役モデルだったという事実。それもコンスタントに売れていた。
 

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 正直言って、エンジンは流用だし、失礼な言い方だけど、もっとお手軽にちょちょいのちょいって感じで作ったものと思っていた。ごめんなさい。レブルのLPL(Large Project Leader=開発責任者)はNM4も担当した三倉圭太氏。話をうかがうと、まだまだこだわったディテール部分があることが分かった。ラジエターはホースの取り出しが車体横方向に向かってなく、なるべく見えないようにアッパーホースの取り付けをアッパータンクの中央にしていたり、性能的にはもっと細いものにも出来るリアショックユニットを、存在感を出すために太いバネ巻きにしたり。ハンドルはなんと一般的なミリバー(パイプ断面がφ22.2mm)ではなく、クルーザーに多いインチバー(パイプ断面がφ25.4mm)を採用。
 丸いヘッドライトはレンズを取り囲むフレームと取り付けフレームが一体になったアルミダイキャスト製でサーチライトのような格好でアンダーブラケットに取り付けてある。レンズは樹脂ではなくガラス。130/90-16M/C 67Hという小径だが扁平率が高い太いタイヤを履いていることにより、フォークのスパンが広いから、エンジンが小さく(特に250は)華奢に見えがちなところに、どっしりとした安定感が出ている。ビンテージ系タイヤによくある5.00-16も履けるそうだ。
 そこまでこだわりながら、いたって普通のウインカーやテールランプを採用しているのは、カスタマイズにおいて好みのものに交換しやすい部品だからという割り切り。「お金がかかってなかなか交換できない部分をしっかり作り込んだ」とLPLの三倉さん。
 
 シート高は690mmと低く、腰を下ろすと身長170cmちょうどで足が短い私でもカカトまで接地して膝に余裕もある。サドルタイプのシート形状で、お尻を支える部分の面積も広く、クッションも柔らかすぎず硬すぎず、午前と午後、1時間半ずつしか乗っていないが、不快だと感じることはなかった。ハンドルグリップ位置はおヘソより高く、肩幅よりコブシ1個から1個半の間くらい外で、ボバーらしくややナローだ。インチバーを採用して太くゴツい視覚的なたくましさがありながら、グリップの太さをわざわざミリバー用と同じにしたというだけあって、掴みやすく、まったく違和感がない。
 ポジションはやや前傾姿勢で低く構える。走りながら、小柄な人にはやや遠く感じるかもしれないと思ったけれど、すぐに気にならなくなった。ミッドコントロールのペグに足を載せると、膝の曲がりは力の入らないちょうど椅子に腰掛けている自然な感じ。これが重要で、リラックス出来るのと、椅子から立ち上がるようにペグをしっかり踏み込め、オートバイ操作に必要な車体コントロールを容易にしてくれている。
 

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 CBR400Rの兄弟車、CBR500Rと同じ水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒エンジン。低中速よりのセッティングで、40km/hくらいなら5速でも巡航可能、曲がる時の減速と、スロットル操作だけで速度を上げていくレスポンスを考えたら4速がちょうどいい。フラットにトルクが出て高回転までスムーズ。ハンドリングは安定したニュートラルそのもの。クルーザー的というより、’80年代前半の18インチや19インチのタイヤを履いていた頃のような旋回。タイヤの太さや径も違うので、ヒラヒラした感じは’80年代前半のロードスポーツの方があるけれど、なんというか、スポーティーだけどクイックすぎない感じから、そういう感想になった。車体がリーンしていく動きに過度なところがなく、旋回中の安定感もなかなか。ハイグリップなタイヤではないので、足周りも含めて速度を上げて一生懸命攻めると不安──となる前にステップが地面と接地するから大丈夫。クルーザーより深く、ネイキッドよりやや浅いバンク角がエンジンパワーも含めてちょうどいい。ワインディングでも気兼ねなく操れる。ただ、やはりギャンギャンに回転数を上げないで流して走るほうが気持ちいい。キャスターは28°と寝ているから、回転半径が大きくなってUターンはどうだろうと思ったけれど、重くもなく素直にステアリングが切れ込んで、小さく回れた。コーナーでの旋回でも車体は寝たけれどなかなか方向が変わらないなんてことはない。スタイルを優先してのオートバイの運動機能をないがしろにしていない。この日は風速10メートル以上で場所によっては20メートル近くある強風が絶え間なく吹き付ける天候だったこともあり、程よい鼓動感は感じながらも、こだわったという音について聴き取ることができず。ただ、その強風の中でもスタビリティは大したもので、吹きっ晒しのアクアライン千葉側を走行中、風速表示は13メートルだったが、時々やってくるそれ以上の突風で、いきなり車体は大きく横に動くけれど、怖い思いをせずに制御出来た。
 
 500の走りはある程度予想可能な部分もあった。問題はエントリーユーザーも手を出しやすい、軽二輪クラスの250である。決して軽量ではない同じ車体を、CBR250RやCRF250Lと同じ水冷250cc単気筒エンジンでどう走らせるのか。より安価な250だからしょうがないと諦めるしか無いのか。500から乗り換えて走り出して、すぐにそれが杞憂だと分かった。
 ちゃんと低中速のトルクが出ている。さすがに500より細いけれど、30km/h以上なら4速でコーナーも含めて走り続けられた。そこからスロットルだけ開けてもちゃんと速度がついてくるので、ギアチェンジを頻繁にやらないクルージングも出来る。想像したより加速もしっかりしていて、物足りなさがない。そして何より大きな武器となるのが軽快なハンドリングだ。カタログ数値で20kgも違うから当たり前といえば当たり前なんだけど、なんというかコーナーでの軽いフットワークも含めて500とは別のバイクとして、ちゃんと成立している。これには驚いた。機動性は明らかにこちらの方がいい。サスペンションは500と同じもので、250用の味付けをしているそうだ。「500と250どっちがいい?」と問われると迷って即答できないほど、250には250の良さがある。500と比べると、軽いからか高い速度域でギャップなどを通過した時、戻りのダンピングが足りない感じが若干あるから、快適性においては500の方が少し勝るけれど、日常的な使い方で不足はない。新レブルのディフュージョンモデルとして良く出来ている。「これで充分だよね」と言いたくなるほど。パワーも含めて快適な500、軽快性の動きが楽しい250という住み分け。
 
 完成度の高い走りと隅々までのこだわり。乗って、触れて、聞いて、それが充分に理解できた。ストリートカスタムの良い素材となれる工夫も随所にある。なんとも面白いオートバイが出てきた。ボバースタイルながらクラシックな要素で勝負せずに、モダンなルックスで出てきたことを大いに評価したい。個人的に旧いのを懐かしむより新しい方にときめくタイプ。けれど客観的に見ると、逆にそこが他のボバーと違う故に伝わりにくく、ユーザーにどう捉えられるか予想がつかない。だからカスタマイズ分野での盛り上がりも含め今後が気になる。オートバイとしての走りは申し分ない。いろんな意味で楽しみだ。
 
(濱矢文夫)
 

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REBEL500のエンジン。海外向けのCBR500Rのエンジンをベースに吸排気系、FIのセッティング、バルブタイミングを最適化。低回転域でのトルクフルで扱いやすい特性と、高回転域まで気持ちよく伸び感のある出力特性としている。 REBEL250のエンジン。CBR250Rのエンジンをベースに開発。500同様吸排気系、FIのセッティングを最適化、普段使いでスロットルを開ける楽しみと低回転の粘り強さを重視しつつも、更にスロットル大きく開ければスムーズに吹け上がるエンジンフィールに仕上げたという。
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迫力のある存在感を演出するためにワイドな230mmスパンに設定。フロントフォークもインナーパイプ径41㎜の正立を採用。フロントタイヤは130/90-16で存在感を主張。(写真はREBEL500) φ45㎜のパイプ製としたユニークなスイングアーム。リアアクスルとリアクッションの保持をパイプ内側の厚板で受けることで、端末までシンプルなままの形状を実現(特許出願中)。チェーンテンショナーもトータルでデザインされている。(写真はREBEL500)
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質感とサイズにこだわったというヘッドライト。φ135mm丸型ガラスレンズをアルミダイキャスト製フレームでマウントしている。 シンプルなφ100mmの小型LCDメーターを採用。文字表示は背景が黒のネガティブタイプ。青色のバックライトでシンプルな表現と相まってクールなたたずまいを狙ったという。 あえてフランジをデザイン要素として強調した個性的な燃料タンク。メカニカルな小型エアプレーンタイプのタンクキャップを採用。
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シート高は500、250ともに共通の690mm。くびれのあるナロースタイルのフレームで足付き性は抜群。 φ120mm、2室構造マフラー。パルス感を重視した排気音に設定。 アルムダイキャスト製リアフレーム、リアフェンダーはスチール製プレス加工。
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●REBEL250〈REBEL500〉主要諸元
■全長×全幅×全高:2,190×820×1,090mm、ホイールベース:1,490mm、最低地上高:150〈135〉mm、シート高:690mm、最小回転半径:2.8m、装備重量:168〈190〉kg、燃料消費率:46.5〈40.2〉km/L(60㎞/h定地走行テスト値、2名乗車時)、34.1〈27.0〉km/L(WMTCモード値、クラス2-2〈3-2〉、1名乗車時)■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒〈直列2気筒〉DOHC4バルブ、総排気量:249〈471〉cm3、最高出力:19kw(26PS)/9,500rpm〈34kW(46PS)/8,500rpm〉、最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/7,750rpm〈43N・m(4.4kgf・m)/6,500rpm〉、燃料タンク容量:11L、変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:ダイヤモンド、ブレーキ(前×後):油圧式ディスク × 油圧式ディスク、タイヤ(前×後):130/90-16M/C 67H × 150/80-16M/C 71H
■2017年4月17日発売 メーカー希望小売価格:537,840円~558,600円〈785,160円〉(税込)

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