2017年6月26日 

■「ライド アフリカツイン ミーティング」で語られる! 乗り手、作り手へ込められた開発者の情熱

CRF1000L Africa Twinの実車、模型を製品化した人達。(左より)タミヤ 企画開発部の海野剛弘さん、古谷隆久さん、本田技術研究所 二輪R&Dセンターの飯塚 直さん、小松昭浩さん。

 多くのファンがいて、その期待に応えるべく様々な困難に立ち向かい、素晴らしい製品を作り上げた人達が集まった。スケールの違いこそあれ“CRF1000L Africa Twin”というオートバイを題材に。

 6月24日、東京・新橋のタミヤ プラモデルファクトリーで開催された「ライド アフリカツイン ミーティング」は、タミヤの1/6スケールモデル「Honda CRF1000L アフリカツイン」の発売記念として行われたもの。第1部ではアフリカツインの実車の開発に携わる、第2部ではアフリカツインの模型の開発に携わるスタッフをゲストに、その生い立ちや世界観、開発者としてのこだわりなどが語られた。会場は実車ファン、模型ファン、そして両方のファンで埋め尽くされる。



かつて所有していたこともあり、新型は南アフリカのグローバル試乗会やルート66、ババ1000のコースでも試すなど、アフリカツインに造詣あるモーターサイクルジャーナリスト・松井 勉さんもゲストに登場。 タミヤ1/6スケールモデルの第1作となった「CB750Four」同様、42作目となる「CRF1000L Africa Twin」も奥行感あるヘッドライト、デカールを使わないエンブレム、金属パーツやビスを使い車体の剛性を確保するなど、実車さながらの精密さを再現。

 “Go anywhere”をキーワードに、世界を旅できるオートバイ・ CRF1000L アフリカツインの実車の開発がスタートしたのは、ホンダがダカール・ラリーに復帰、参戦を開始した2013年。世界的にアドベンチャーモデルの需要が高まっていたが、新型アフリカツインがお手本にしたのは先代モデルだったという。本田技術研究所 二輪R&Dセンターの開発者は、1988年に初代モデルが登場以来、世界中に同車に対する思い入れをもった人がおり、そんな人達が納得できる性能、デザインにたどり着くには相当な苦労があったと語る。

今回のミーティングに参加した人のため、ライド アフリカツイン ミーティング事務局が特別に用意したノグチシート謹製・ビバークマットのレプリカ(非売品)。ダカールラリーを戦うHRCのワークスマシン・CRF450RALLYが駐車する時に使用するものをモチーフにしたもので、1/6のアフリカツインのディスプレイに最適。製作された全7枚の内、6枚がじゃんけん大会に提供された。


 一方、ミーティング当日に日本で発売されたばかりの1/6スケールの模型の方は、これまた製品化に至るまでのこだわり、苦労などが語られた。中でもクランクケースの部品を一体化するためにスライド金型に力を入れたり、4つの部品でスポークホイールを再現していることなど、組み立てる楽しみが随所にちりばめられているという。ちなみ今回、ディテールアップのオプションとして用意される「組立式チェーンセット」は、タミヤ1/6スケールモデルの第1作として1970年に発売された「CB750Four」の初版以来となるパーツ。本物のチェーンと同じ構造のため、当時は1コマ1コマ組み立てる手間が不評だったというが、さすがに今回のものは専用の冶具を使って連結できるようになっている。

 製品を作り上げる情熱について、ホンダとタミヤ双方の開発者がその仕上がりを見てお互い称えあうシーンなどが見られた今回のミーティング。7月22・23日には群馬県・北軽井沢にて実車をメインとした催しも行われる予定だが、1/6スケールモデルを作り上げた人達の作品を披露する場も設けたいとのこと。興味ある人は是非、参加してみてほしい。

エンジンはDCT仕様で、実車ではオプションとして用意されるシフトスイッチペダルもパーツ化。実車ではこちらもオプションとなるセンタースタンドは、かけている時に実車同様のサスペンションの伸び具合を再現している。4つの部品で構成されるホイール、生産現場では強度や量産のためスポークをもっと太くしたかったそうだが、開発者は0.7mmの細さを譲らなかったという。組立も簡単で、ABSを使うことで弾性をもち、折れにくい。サスペンションは前後可動式で、ディテールアップパーツとして用意される組立式チェーンセットを組むと実車さながらのたるみ/張りを楽しむことができる。