SUZUKI125

 
平成28年国内排出ガス規制によって日本の二輪車ラインナップ、さらには世界の二輪車ラインナップの新陳代謝が始まったようだ。スズキはまず、原付二種のラインナップが変わろうとしている。9月29日から発売されるスクーター「アドレス125」と、10月11日から発売のロードスポーツ「GSX-S125 ABS」を新規投入! 色々と注目されている125ccクラスだけに、スズキの意気込みを感じる2機種だ。

■撮影:依田 麗
■スズキ http://www1.suzuki.co.jp/motor/

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好調に推移しているという日本の原付二種の状況を語ったスズキ二輪 濱本英信 代表取締役社長。アドレス125の価格戦略もあっぱれ! アドレス125の開発に携わったスズキ 二輪事業本部 カーライン長の福留武志氏、二輪車体設計部 車体設計課の成田 洋氏。 GSX-S 125 ABSの開発に携わったスズキ 二輪事業本部 二輪カーライン アシスタントチーフエンジニアの岡村 港氏、二輪デザイン部 デザイン課の毛塚康太氏。

 
V125シリーズを大きく下回る車両価格戦略もトピック

 ひとまわり大きくなった? いや、今までのV125シリーズ、さらに遡れば2ストローク時代のV100シリーズが原付二種としては異例にコンパクトだったのかもしれない。生産終了となったしまったアドレスV125シリーズの跡を継いで”V”の字がとれたニューモデル「アドレス125」の見た目の第一印象である。
 
 アドレスV100&V125シリーズが”通勤快速”として大ヒット、長きに渡って親しまれてきた理由は、その優れた動力性能に加え、軽さや取り回しの良さなどもあったはず。そんなチャームポイントと言えたコンパクトなボディサイズを、新型アドレス125が継承しなかったことを意外と思う人は多いだろう。アドレス125をグローバルモデルとして展開するスズキ社内の事情はもちろんあるだろうが、これまでのアドレスV100&V125ユーザーにリサーチしてみると「もっとコンパクトに!」という極端な意見がある一方「もうちょっとゆったり走りたい」という声も多かったとか。「ならば、これまでのアドレスVシリーズが得てきた高い評価ポイントを進化させつつ、より快適なモデルにしようじゃないか」と開発されたのが今回のアドレス125となる。
 
 アドレス125は「毎日の生活を支える、スタイリッシュスクーター」をコンセプトに掲げ、快適性と実用性にこだわって開発された。快適性の面では、フロアボードにゆとりをもたせることでライディングポジションの自由度を高めたり、シートはタンデム時なども考慮したゆったりサイズに。スカイウェイブなどへの採用でもお馴染み、カットフロアボードによって足着き性も確保された。また、フレームは最適な剛性バランスが求められ、サスペンションのセッティングの煮詰めなどによっても快適性が追求されている。
 
 もちろん、車体のサイズアップによって、これまで好評を博してきたアドレスVシリーズの優れたパフォーマンスをスポイルしてしまっては元も子もない。平成28年国内排出ガス規制に対応した125ccエンジンは、アドレス110やV50などでお馴染みとなっているSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス )のマスコットネームをもつ新開発ユニットで、燃費のみならず街中でのスムーズな発進、スムーズな走行も追及、スズキらしいまじめな作りこみが特徴に。CVTの最適なセッティングともあいまって、V125シリーズを上回る加速力を実現したという。
 
 他、インナーラックやリアキャリアの標準装備など、ユーティリティ面でも抜かりない。四半世紀以上に渡って”通勤快速”を作り続けてきたスズキ、さすが原二スクーター・ユーザーの心理を理解した仕上がりぶり。加えて、代替えや原付一種(50cc)からのステップアップを考慮し、V125シリーズを大きく下回る車両価格戦略もトピックと言える。
 

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ライダーの身長は173cm。写真の上でクリックすると片足時→両足時、両足時→片足時の足着き性が見られます。
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ポジションの自由度を高めたフラットなフロアボード。左右の足元付近を絞りこむことで足着き性も向上。※以下の写真をクリックすると違うカットが見られます。 フラットでたっぷりサイズのシートを採用。シート下のトランクスペースにはフタ付きの収納スペースも。燃料タンクのキャップは紛失防止のバンド付きに。 左右のフロントインナーラックはそれぞれ600mlのペットボトルに対応。スピードメーターはシンプルかつ大きく視認性を考慮。
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新開発の125版SEPエンジンは優れた燃焼性能、フリクションロスの低減などによりストレスのない走りが追求された。 エンジンに合わせCVTのセッティングも最適化。燃費と走行性能を向上させた。スロットル操作に対してギクシャクしないスムーズな走りも。 前後のサスペンションは一人や二人乗りといったあらゆる使われ方を想定した中での最適なセッティングを煮詰めたという苦労のあった部分。
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ヘッドライトはイグニッションオンと同時に点灯。ポジションランプは生産国・中国仕様の名残か?ウインカーはデザインのワンポイントに。 コンパクトにまとめられたリアビュー。コンビネーションランプはレンズを赤基調で統一。 リアビューミラーはスポーティな形状。ピリオングリップも備わるリアキャリアはボックス装着にも対応する形状に。
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●アドレス125 主要諸元
■型式:2BJ-DT11A■全長×全幅×全高:1,900 ×685 ×1,135mm ■ホイールベース:1,285mm■最低地上高:120mm■シート高:745mm■装備重量:109kg■燃料消費率:52.0 km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時) 51.0 km/L(WMTCモード値 クラス1、1名乗車時)■最小回転半径:2.0m■エンジン種類:強制空冷 4ストロークSOHC 2バルブ単気筒■総排気量:124cm3■ボア×ストローク:52.5 ×57.4mm■圧縮比:10.3 ■最高出力:6.9kW(9.4PS)/7,000rpm■最大トルク:10N・m(1.0kgf・m)/6,000rpm■燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム ■始動方式:キック・セルフ併用式 ■燃料タンク容量:6.0L ■変速機形式:Vベルト無段変速 ■タイヤ(前/後):90/90-12 44J/100/90-10 56J ■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスク/機械式リーディングトレーディング ■フレーム形式 :アンダーボーン ■車体色:パールグレイスフルホワイト (QMT) 、パールノベルティブラック (33J) 、キャンディパトリシアンレッド (PVQ) ■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):221,400円

 
GSXシリーズの哲学を125ccクラスで体感できるよう開発

 一方、昨年のEICMA(ミラノショー)にて発表、遂に日本市場にも投入された「GSX-S 125 ABS」。かつてエントリーモデルであった50ccが皆無な現在、ミニマム・サイズのロードスポーツと言える。ただ、スズキはエントリーからベテランユーザーに向けて前後に17インチタイヤを履くフルサイズ・ロードスポーツを選択。KTMの125DUKEあたりがライバルとなるだろう。また、今年1月から販売が開始された150ccクラスのロードスポーツ、ジクサーとはキャラクターが異なるエントリーモデルと位置付けているようだ。ちなみに、日本市場でスズキの125ccクラス・フルサイズのロードスポーツの投入は、1995年のRG125γ/ウルフ125以来。4ストローク・エンジン搭載モデルとしてはGS125Eカタナ以来かもしれない。

 昨年のインターモト(ケルンショー)で発表されたフルカウルのスーパースポーツ「GSX-R 125」のスーパーネイキッド版、という出で立ちは、兄貴分の1000や750と同じ。”GSX”シリーズとして恥ずかしくないパフォーマンスを追求し、新たな市場開拓を狙っているという。

 GSX-S 125 ABS は、GSXシリーズが求める”走る・曲がる・止まる”の高い基本性能を125ccクラスでも体感できるよう開発。新設計となる水冷DOHC4バルブエンジンを搭載し、軽快な乗り味を狙っているという。一方でハンドルの切れ角を40度に設定するなど、街中での取り回しの良さも特徴だ。

 軽快感はエクステリア・デザインでも表現され、多機能のインパネやLEDヘッドランプといった装備類もスーパーネイキッドに相応しいもの。軽量・小型の最新ABS(ボッシュ製)を標準装備としている点も、スズキがこのモデルに対する思い入れが感じられる。

 先日、英国のシルバーストーン・サーキット周辺で行われた試乗会では、欧州のジャーナリストを中心に高評価を得たという。
 

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ライダーの身長は173cm。写真の上でクリックすると片足時→両足時、両足時→片足時の足着き性が見られます。
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平成28年国内排出ガス規制に対応した水冷DOHC4バルブエンジン。レブリミット12,800rpmまで吹け上がる。※以下の写真をクリックすると違うカットが見られます。 直径が異なる2つの排気口が特徴のマフラーは上質な排気音を実現。エキパイ内には2個の触媒が配置される。 タンク側に装着することでマスの集中化に貢献するキーシリンダーは、ワンプッシュで盗難抑止シャッターの開閉が可能に。40度というハンドル切れ角も特徴。
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LEDの縦型2灯ヘッドランンプを採用。Hiビーム時は下側も点灯。ポジションランプ、ナンバープレートランプもLEDだ。 フル液晶のインパネはデジタルの速度、バーグラフの回転の他にギアポジション、時計、平均燃費なども表示。 1000、750の兄貴分同様、燃料タンクやシュラウドのグラマラスな造形、スリムなリア周りにGSX-Sシリーズのキャラクターを表現。
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前後セパレートシートを採用。キーで取り外し可能なリアシート下には工具や書類が収まるスペースを確保。 インナーチューブ径φ31mmのフロントフォーク、10本スポークホイールは軽快感を追求した設定。ブレーキはABS付で、ローター径はφ290mm。 タイヤはダンロップのD102を採用。リアサスペンションはリンク式。ペタルタイプのサンスター製リアローターはφ187mm。

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●GSX-S125 ABS 主要諸元
■型式:2BJ-DL32B■全長×全幅×全高:2,000×745×1,035mm■ホイールベース:1,300mm■最低地上高:165mm■シート高:785mm■装備重量:133kg■燃料消費率:48.2km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時) 44.7km/L(WMTCモード値 クラス2、サブクラス2-1、1名乗車時)■最小回転半径:2.3m■エンジン種類:水冷4ストロークDOHC 4バルブ単気筒■総排気量:124cm3■ボア×ストローク:62.0×41.2mm■圧縮比:11.0■最高出力:11kW(15PS)/10,000rpm■最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/8,000rpm■燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム■始動方式:セルフ式■点火方式:フルトランジスタ式■燃料タンク容量:11L■変速機形式:常時噛合式6段リターン■タイヤ(前/後):90/80-17M/C 46S /130/70-17M/C 62S■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS)■フレーム形式:ダイヤモンド■車体色:ソリッドブラック(半ツヤ 291)、トリトンブルーメタリック(YSF)■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):354,240円

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