レースカメラマン・クスドーのMotoGP フォトギャラリー 雨中の戦士

■写真・文:楠堂亜希

ウイーク中降り続いた雨は身体中から熱を奪っていったが、MotoGPを現地・もてぎやテレビで見た人たちは、雨中の闘いにきっと大興奮の胸アツだったことだろう。あの興奮をレースカメラマンの視点で振り返る!

 MotoGPクラスのレースは中盤までペトルッチがリード、その後はドビツィオーゾとマルケスの一騎打ちで、3位のペトルッチを忘れてしまうほどの展開でした。
 終盤戦に入りまだまだ緊張がつづくMotoGPクラス、日本勢はというと、ワイルドカードの中須賀克行選手に代役参戦の青山博一選手、レースウィークに入ってフォルガー選手突然の病欠により急遽代役参戦が決定した野左根航太選手。日本人不在のMotoGPクラスに3名の参戦。

 FP1からタイムを伸ばし存在をアピールする野左根に対して、同じヤマハの中須賀はテスト中心の走行。青山も同じく、レース勘を取り戻すことに苦労していたようです。日本人の中では昨シーズンモデルのヤマハM-1を駆る野左根に注目が集まりましたが、土曜日の予選で転倒。痛みをこらえてQ1を走行し、決勝は最後尾からのスタート。レース序盤中須賀選手の後ろにつけて走行していましたが4ラップ目にスリップダウンしリタイヤ。中須賀選手はスタートでは大きく出遅れたものの、自分のペースをつかんで毎ラップごとにポジションアップし、終わってみれば12位という快挙! 青山選手は2ラップ目にオーバーランし、最下位18位でフィニッシュ。



ウォータースクリーンを避けるようにアウト側を慎重に走る中須賀克行
ウォータースクリーンを避けるようにアウト側を慎重に走る中須賀克行。


野左根航太


青山博一
野左根航太の5コーナー。JSBではいつも肘でコーナリングしていくところですが……。 「今年は早めに準備ができた」という青山博一は、「ある意味錆落としだと思って、レースでの自分の位置を確認したい」と語っていた。


ドヴィツィオーゾ


青山博一
最終ラップで劇的優勝を決めたドヴィツィオーゾ。「や・やめて〜頭はやめて〜!」と言っているのかどうかは未確認。 ウィーク中ドライコンディションの走行はなかったと思うのですが……(笑)。


マルケスとドヴィツィオーゾ
マルケスとドヴィツィオーゾの闘いは最終戦のバレンシアGPまで続くだろう。


フリープラクティス
フリープラクティス、予選、決勝と冷たい雨が降り続いたもてぎ。

 Moto2クラスは、朝のウォームアップでMoto3クラスのオイル漏れの処理に時間がかかり、15ラップでの決勝となりました。来シーズンはMotoGPクラスにステップアップする中上貴晶、長島哲太に加え、全日本からはJ-GP2チャンピオンの水野涼と、現在ランキング4位の榎戸育宏(共に19歳ですが、榎戸が1週間だけお兄さん)のワイルドカードライダーが参戦。

 スタートも決まり、12ラップ目までトップを快走した中上に誰もが胸アツ。「後半は持たないのが分かっていた」と最終的には6位でフィニッシュでしたが、来シーズンはステップアップ、久しぶりMotoGPクラスに日本人参戦は楽しみですね! 長島哲太選手は15位で集団の中で争っているところ5コーナーでコルテセを巻き込んでスリップダウン、27位に落ちたものの追い上げて20位フィニッシュ。ワイルドカードの2人は明暗が分かれ、全日本でもカレックスを駆る榎戸は14位とGP初出場でポイントを獲得、ダンロップのレインタイヤに翻弄された水野は22位で苦い参戦となりました。
 優勝は弟マルケス。そして3位には、チームカガヤマから8耐に参戦したハフィス・シャリーン。ハフィスは今季2度目の表彰台

 Moto3クラスは13ラップで行われ、アントネッリが優勝。鈴木竜生が自身最高位の4位を獲得。レッドブルルーキーズカップチャンピオンの佐々木歩夢は転倒リタイヤ。

 各クラスともタイトル決定はまだまだこの先。MotoGPは後半のスパートを迎えています。



中上貴晶


長島哲太
Moto2クラスでピットが仮設テントじゃなかったのは中上貴晶だけ。実力もながら、別格に見えました。 長島哲太は転倒するも追い上げて20位フィニッシュ。


水野涼


#34水野涼と#33榎戸育宏のランデブー走行
水野涼の陣中見舞いに来たのは、昨年Moto2クラスにワイルドカード参戦した浦本修充。元チームメイトにアドバイス? #34水野涼と#33榎戸育宏のランデブー走行。ライバルですが、幼馴染だからペースが合ってしまうのか?


フリープラクティス
終盤、ダウンヒルに入る手前でフッと浮き上がる。第16戦オーストラリアGPでは#93マルケスが優勝し、ドヴィツィオーゾは13位だった(詳細は→ コチラで )。