NC700S Dual Clutch Transmission<ABS> 701,400円(6月14日)

★ホンダ NC700S Dual Clutch Transmission<ABS> 車両解説

ミドルクラス“ネイキッド・スポーツ”NC700Sにデュアル・クラッチ・トランスミッション採用モデルが登場

4月24日に“ニューミッドコンセプト”シリーズの第2弾、第3弾、NC700Sとインテグラが発売開始され、一足早く2月24日に発売されていた“オン・オフ”モデルのNC700Xと合わせて、“ニューミッドコンセプト”シリーズ3兄弟が出揃った。が、注目の“デュアル・クラッチ・トランスミッション”が採用されていたのは“スクーティング・モーターサイクル”のインテグラのみ。

“オン・オフ”クロスオーバー・モデルのNC700X、ミッドクラス・ネイキッド・スポーツ、NC700Sの両車と“デュアル・クラッチ・トランスミッション”との組み合わせによる“新時代の走り”を期待していたユーザーはちょっとばかり待ちぼうけを食らったカタチに。で、いよいよ2ヵ月遅れで“本命”が登場した。

“ニューミッドコンセプト”では、並列2気筒のシリンダー前傾角を62度と深く前傾させることで、車体のレイアウトに自由度が確保できる軽量コンパクトな新型700ccエンジンと、それに合わせて、低い位置にメインパイプ配置することが可能となったローフレームとの組み合わせにより、まったく新しい発想のバイク作りが行われている。

この“ニューミッドコンセプト”で開発されたプラットフォームを、スポーツモデルから“スクーティング・モーターサイクル”(とホンダはインテグラを呼んでいる)まで、様々なバリエーション向けに使い回すことで、より多様なニーズに合わせたモデル展開を可能としている、というのはすでに何度も紹介されてきたとおり。

その新コンセプトをカタチづけるもう一つの重要な柱として、注目集めてきたのがデュアル・クラッチ・トランスミッションだったのだから待たれて当然。

“ニューミッドコンセプト”のエンジン周りは、基本的に3車種とも同一で、水冷4ストローク並列2気筒、ボア×ストローク、73mm×80mmの総排気量669cc、低中回転域での力強い走りを実現しながら、ピストンに樹脂コーティングを施すとともに、摩擦を低減するローラー式のロッカーアームには二輪車初のアルミ材を採用など、燃費向上も図っている(ただし燃費の数値自体はXより0.5km/L、インテグラ比では3.5km/Lも向上しているなど異なる部分ももちろんある)。

そしてそれを搭載するフレームも基本的に共通だから、インテグラに載ってみれば、デュアル・クラッチ・トランスミッション版のNC700XやNC700Sの走りも想像できると思われるかもしれないが、共通のプラットフォームだからといって、同じ走りを見せると思ったら大間違い。そこがバイクを開発する側の腕の見せ所でもあるはず。

デュアル・クラッチ・トランスミッション自体は、VFR1200Fのものをベースに更に発展させ、油圧回路のシンプル化、シフト制御の見直しなどにより第二世代へと発展させてきている。「ATモード」走行中にライダーがシフトダウン、シフトアップを行うと、第一世代のデュアル・クラッチ・トランスミッションでは「MTモード」に移行されてしまっていたが、第二世代では、適宜「ATモード」に復帰するように変更された。自動変速と人間との関わり合いという根本部分の考え方などにも見直しが行われているのが第二世代デュアル・クラッチ・トランスミッションだ。

NC700S Dual Clutch Transmission。カラー設定は3色。こちらパールサンビームホワイト。
NC700S。マグナレッド。
NC700S<ABS>。グラファイトブラック。

★HONDA プレスリリースより (2012年6月7日)

デュアル・クラッチ・トランスミッションを搭載した
「NC700S Dual Clutch Transmission<ABS>」をタイプ追加し発売

Hondaは、力強いトルク特性で扱いやすく燃費性能に優れた大型ネイキッドモデル「NC7000S」に、有段式自動変速のデュアル・クラッチ・トランスミッションを搭載した「NC700S Dual Clutch Transmission<ABS>」をタイプ追加し6月14日(木)に発売します。

このNC700S Dual Clutch Transmission<ABS>は、Hondaが二輪車用として独自に開発した変速機構のデュアル・クラッチ・トランスミッションと、アンチロック・ブレーキシステムを採用したモデルです。走行モードは、マニュアルモードとオートマチックモードが選択でき、簡単な操作でダイレクト感のある走行フィーリングを味わうことができます。

力強いトルク特性と優れた燃費を実現した水冷・4ストローク・OHC・直列2気筒700ccエンジンに伝達効率の優れたデュアル・クラッチ・トランスミッションを組み合わせることで、燃費は6速マニュアルミッション仕様と同じ41.5km/L(60km/h定地走行テスト値)を達成しています。

スタイリングは、シンプルでありながら、ダイナミックなプロポーションを実現。エンジンとフレームの機能美を際立たせながら、フロントからリアまで流れるようなフラッシュサーフェス処理を施した低重心フォルムは、先進のネイキッドモデルにふさわしいものとしています。

今回のタイプ追加によって、「ニューミッドコンセプト」シリーズは、NC700Sシリーズ、NC700Xシリーズ、インテグラの全ラインナップが完成し、幅広いお客様の要望に応えられるものとしています。

●販売計画台数
(国内・年間) シリーズ合計 1,500台
 
●メーカー希望小売価格
NC700S Dual Clutch Transmission<ABS>
701,400円(消費税抜き本体価格 668,000円)
※価格には(リサイクル費用を含む)保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
=NC700S Dual Clutch Transmission<ABS>の主な特長=
●伝達効率に優れた第二世代のデュアル・クラッチ・トランスミッション
Hondaが二輪車用として世界で初めて開発し「VFR1200F」に搭載したシステムに対して、油圧回路のシンプル化を図るなど、さらに軽量・コンパクト化した第二世代へと進化させています。走行モードには、状況に応じて的確なシフトアップ/ダウンを自動的に行う「ATモード」、マニュアルミッション感覚でシフトスイッチにより任意に変速できる「MTモード」を設定。ATモードには、一般走行に適した「Dモード」と、スポーティな走行に適した「Sモード」があり、Dモードはライダーの操作から、市街地や峠道などさまざまな走行環境を判断する制御があり、最適な変速制御を実現します。さらに、ATモード走行中にも「シフトアップ/ダウン」スイッチで変速が可能であり、走行状況に応じた最適なタイミングで「ATモード」に自動復帰する機能も設定しています。これらの先進機能の採用で、利便性が高く、かつダイレクト感のある走りを楽しむことができます。なお、優れた伝達効率によって、燃費は6速マニュアルミッション車と同じ41.5km/L(60km/h定地走行テスト値)を実現しています。
●カラーバリエーション
パールサンビームホワイト、マグナレッド、グラファイトブラックの3色バリエーションを設定しています。

★主要諸元

車名型式 EBL-RC61
NC700S Dual Clutch Transmission<ABS>
発売日 2012年6月14日
全長×全幅×全高(m) 2,195×0.760×1.130
軸距(m) 1.525
最低地上高(m) 0.140
シート高(m) 0.790
車両重量(kg) 225
乾燥重量(kg) -
乗車定員(人) 2
燃費(km/L) 41.5(60km/h定地走行テスト値)
登坂能力(tanθ) -
最小回転小半径(m) 3.0
エンジン型式 RC61E
水冷4ストローク直列2気筒SOHC4バルブ
総排気量(cm3) 669
内径×行程(mm) 73.0×80.0
圧縮比 10.7
最高出力(kW[PS]/rpm) 37[50]/6,250
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 61[6.2]/4,750
燃料供給装置形式 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI]
始動方式 セルフ式
点火方式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑油方式 圧送飛沫併用式
潤滑油容量(L) -
燃料タンク容量(L) 14
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 電子式6段変速(デュアル・クラッチ・トランスミッション)
変速比 1速 2.666
2速 1.904
3速 1.454
4速 1.200
5速 1.033
6速 0.837
減速比1次/2次 1.921×2.437
キャスター(度) 27°00′
トレール(mm) 110
タイヤサイズ 120/70ZR17M/C 58W
160/60ZR17M/C 69W
ブレーキ形式 油圧式シングルディスク
油圧式シングルディスク
懸架方式 テレスコピック式
スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式 ダイヤモンド