「なんてニコヤカでハッピーな皆さんなのだろう。とにかくとても楽しそうだ」僕は心からそう思った。

　あっちを見ても笑顔、こっちを見ても笑顔、どこを見ても笑顔。ツインリンクもてぎの森の中にはあふれんばかりの笑顔の花が沢山咲いた。その笑顔の源は藤波貴久選手と小川友幸選手の二人だ。

　今日はトライアル界を代表するスーパースターの二人に直接トライアルを教えてもらえるのだ。

　ご存知の方も多いと思うがツインリンクもてぎでは年一回トライアル世界選手権が開催されており、その翌日に開催されるこのイベントはファンの皆さんとの交流も兼ねたスクール形式のこれまた年一回の超スペシャル企画。

　特に藤波選手はスペイン在住という事もあり、日本でトライアルを教えてもらう機会が殆ど無いので益々貴重。開催日は月曜だが貴重なスクールという事もあり、大勢の皆さんが休みを取っての参加だ。参加頂いた皆さんの熱きトライアルスピリットには心から敬服である。

　トライアルというのは、選手が観客の目の前で走るという競技の性格もあるが、ライダーは基本的にとてもフレンドリー。もちろん藤波・小川両選手も例外無くとてもフレンドリー。しかも「自分達はトライアルを愛する皆さんに支えられている」と言う謙虚な姿勢は人としても一流だ。前日まで二日間の激しい競技を終えたばかりの両選手は疲れた顔ひとつ見せず、本当に終始笑顔で参加頂いた皆さんの為に一生懸命動く動く！

　なんと今回のイベント、前日の世界選手権で使ったセクションを皆様に走って頂こうという趣旨！　これはスゴイ！　実はこのセクションはいつでも走れるワケではなく、様々な沢山の許可の関係でこの時以外は絶対に走れない。見えない所で大勢の方の働きがあってこそ、こういったイベントが成立しているので月曜日を休んで参加する価値は絶対にある。

　しかし世界選手権のセクションをそのまま走破するのは参加者の皆さんには無理な話。でもご安心を！　そこはジェントルな藤波・小川の両選手が皆さんの為にいたれりつくせりで、うんとやさしいセクションに作り直して皆が走れる様にしてくれる。

　トライアルの面白くかつ不思議なのは世界選手権レベルのセクションでも、ライン変更などで手を加えればトライアル初級者でも楽しめるという所。サワヤカな木陰のセクションをマイペースで休憩をたっぷり取りながら走って両選手からアドバイスをして頂く。しかも世界選手権の空気を感じながら！

　もてぎはホスピタリティも抜群ですし、これはどう考えても世界レベルのスクール。

　日ごろトライアルライディングで疑問に思っている事を質問するのも良し、あるいは何を質問して良いのかわからない場合はとにかく自分のライディングを両選手に見てもらってチェックしてもらうのも良し。特に日頃スクールを積極的に開催している小川選手のアドバイスは表現がとてもいい。むやみに専門用語を使わず誰にでもわかりやすく説明してくれるので理解しやすい。

　実は以前自分も小川選手にレクチャーを受けた事があり、その時自分の中でライディングテクニックに関して疑問に思っていた部分が一瞬にして全て紐解けた事がある。

　上達の最大のコツは自分の技量を把握するのと、どんな事が上手くなりたいのか目標を持つ事。そしてアドバイスから手ごたえを感じてもらいそこから自分で答えを見つければ確実にテクニックとして身に付く。

　オートバイを長く楽しみたいと言う皆さんは是非一度トライアルライディングを体験しておいて欲しい。トライアルはバイクのカテゴリーを問わず役に立つライディングの基礎が詰まっているから、一度位は体験しておいても損は無いぞ。ビッグバイクに乗っている人が技術向上の為にトライアルを始めたら、面白くてハマってしまったと言う話もよく聞く。

　今回の取材の帰りに思ったのだが、まさにこれは年一回の心のごちそう。これは来年絶対参加だなと思ったのだった。

ここは勝負ドコロだった第15セクション、ライバルとの気持ちの駆け引きも含めての解説は説得力あります。		失敗しても藤波選手自らフォロー、参加者もニコニコ！
岩の上から見たセクション、選手はこんな感じで見えているんだ。		藤波選手は終始ニコニコ、参加者とのふれあいを本当に楽しんでいました。
仙台から参加のとれっくか～ちゃん、スムーズでしなやかなフォームが印象的。この第3セクションのオブザーバーだった人です。		マシンを囲んでのトライアル談義も！
これが森の中の第3セクション、やさしくアレンジして皆で楽しく走りました。		ワークスマシン！目の前でじっくり見れました！
藤波選手による大迫力のスーパーデモ走行には皆さん大喝采！