Honda PCX150 K2”版PCXで一般道から高速まで走ってみた!~Part2~あらゆる日常に応える1台、軽二輪・新時代の期待大!

HONDA Part1

 道路運送車両法で言う“軽二輪”となるPCX150が、125ccの“原付二種(第二種原動機付自転車)”PCXと大きく異なるのは、自動車専用道路、高速道路の走行を可能としていること。PCX150はそんなフィールドでどんな走りをするのか。一番気になるところである。

 小手調べに第三京浜~横浜新道~保土ヶ谷バイパスを走った様子は前回Part1 でお伝えしたとおり。その翌日、土曜日の午後に東京23区内から千葉の九十九里海岸を目指してみた。

 まずは首都高へ。都市部を縫うようなクネクネ道や路面の継ぎ目でも車体は安定しており不安はなく、合流ポイントへの加速も十分。その後、京葉道路経由で千葉東金道路へ。交通量がぐっと減り、まわりのクルマのスピードレンジも上がってくる。おまけに辺りが開けているためか、風の抵抗も感じる。

 PCX150はその気になれば100km/h巡航もこなす。ただ、100km/h近辺の風の抵抗は僅か150ccの排気量には酷のようにも思える。マージンをもって80~90km/hあたりで巡航するのが燃費的にもベストと感じた。

 さすが高速を使うとあっというまに九十九里に到着。片道100キロちょっとの距離だが、午後に東京を出て全て一般道だったら日が暮れてしまうだろう。コンパクトな車体ながら150ccエンジンのおかげで高速を使える恩恵は大きい。ちなみにこの日は262.2km走行(内、200km弱が高速)し、燃費は46.9km/Lだった。

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まずはミスター・バイクBG誌でお馴染みのセレンさんを連れ立って夜の第三京浜に行ってみた。こういった都市間を結ぶバイパス的自動車専用道路を走ることが可能となるだけで、PCX150の存在価値がぐっと高まる。 首都高も走ってみた。建設年度が古く、クネクネとしている4号新宿線でも不安は無かった。しかし、排気量も少なく重量も軽いPCX150にとって通行料の900円は高い! なのでテストを兼ね、都心環状線を1周余計に周ってやった。
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千葉東金道路を下り、九十九里の海岸を目指している途中の1カット。“長距離対応型”シティコミューターはのどかな風景にもマッチ。 PCX150なら、海岸沿いに18kmほど続く九十九里道路も堂々と走行可能だ。もっとも、今回は利用しなかったが……。

 その翌日の日曜日はロングランを試してみた。PCX“150”にちなんで、国道150号線で浜松を目指す。

 国道150号線は国道1号線より南、太平洋を臨む基本的に海岸線を通るルート。50~60km/hくらいのペースでゆったりクルージングを楽しむ。さすが、この位のスピード域は燃費がいいようで、バーグラフの燃料計が中々減らない。東京を出発し、約6リットルのタンクで浜松まで無給油で走れそうだ。

 PCX150のライディングポジションは疲労を感じない。走りっぱなしながらお尻の痛みも感じられなかった。午前9時頃に東京を出発し、浜松に着いたのは午後4時前。国道150号線の起点となる静岡市清水区までは軽二輪の利点を活かし、バイパスや自動車専用道路などを利用したが、その他の行程は125ccのPCXで走っても時間や疲労度に変わりはないだろう。

 結局、燃料は浜松市内までもってしまった。293.5 km走って燃費は50.1km/L! カタログ燃費を上回ってしまった。実際に比較していないのであくまで推測だが、仮に125ccのPCXと今回のルートを同じペースで走った場合、PCX150は排気量に余裕がある分ファイナルギアを若干高めにセットしてあると思われ、実燃費はほぼ同等ではないかと思う。

PCX150

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箱根の山を越える国道1号バイパス・箱根新道、いつの間にか無料開放されていてビックリ。でも相変わらず自動車専用道路。パワフルではないが、問題なく東海道の難所をパスしてみせた。 PCX“150”にちなみ、国道150号線で浜松を目指す。起点は静岡市清水区。しばらくは国道149号線との重複区間で、中々“150”の標識が出てこなかった。地名表示は清水市時代から使われているようだ。
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国道150号線はしばらくすると左手に駿河湾が広がる。いちご狩りが名物の通称「いちごライン」にてPCX“イチゴーマル”と。 国道150号線からちょっと外れ御前崎へ。この場所を境に、今度は左手に遠州灘が広がり、遠州大砂丘が続く。
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再び国道150号線に合流し、何かと話題になっている浜岡原発近辺にて。東京を出発し250kmを超えたが、燃料にはまだ余裕がある。 国道152号線との重複区間を進み、写真の先に見える連尺交差点が国道150号線の終点となる。PCX150と国道150号線を全走破!
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国道150号線の終点から1kmも満たない場所に、本田技研発祥の地はある。浜松市中区山下町だ。現在はビジネス支援施設で“ドリーム”の名がつけられている。 PCX150のエンジン排気量、正確には152ccとなる。ということで国道152号線の標識とも記念撮影。ちなみに右奥の方向に浜松城がある。

 帰路は一部自動車専用道路区間もある国道1号線のバイパスで清水まで走り、そこから先は新東名~東名高速を使う予定だったが、せっかくの軽二輪ということで、浜松から全線高速道路を使うことにした。僅か150ccという排気量と軽量な車体ながら、四輪軽自動車と同じ料金を徴収されるのは釈然としないが……。

 新東名はアップダウンがほとんどなく、ほぼ直線。そんなルートだけにまわりのアベレージスピードは東金道路とは比較にならないほど高い。それだけに、90km/h近辺で巡航するつもりがまわりのペースに惑わされ、いつのまにか100km/hで走っていたりする。なので東名高速のような場所では左車線キープが無難だ。

 新東名はトンネルが多いことでも知られる。トンネルに入ると空気抵抗が減るせいか、同じスロットル開度でも速度が伸びる。しかしPCX150はエンジン保護のためか、リミッターが作動するようだ。

 また、車体の軽さが災いしてか、大型トラックから追い越される時に風圧を受けることがあり、進路を乱されがちとなる。そんな時でも大径タイヤとしっかりしたサスペンションのおかげで恐怖に陥ることはなかった。

 東名を走って発見したことも。PCX150は高速道路をフツーに巡航できるだけではなく、70km/hあたりから意外や力強い加速を見せるのだ。また、大井松田手前の上り坂では速度が落ちることもなく、まわりの交通と遜色ない速度で上りきった。僅か150ccという排気量ながら予想外の仕事をこなしてくれる。

 さすが、100km/h巡航では燃費がよろしくないようだ。燃料計の減りが早いので、駿河湾沼津SAで給油。さらに東京で給油し、帰路のトータル燃費は33.4km/Lとなった。高速を使う場合、燃費を求めるならキープレフトでスピードは80km/hくらいに抑えたほうがよさそうだ。ちなみに、東京-浜松往復546.4kmのトータル燃費は40.7km/Lであった。

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帰路は今春開通した新東名を使うことに。浜松浜北インターチェンジ、さすが浜松の中心地からは離れていた。PA/SAのバイク駐車場は比較的トイレに近く、冬場はちょっと安心。 19時30分頃、日が完全に落ちた清水SAにて。こちらのバイク駐車場はちょっと離れた場所に。上下線共通のSAで、クシタニ・ショップの出店やバイクの展示でもお馴染み。
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言うまでもなく、街中では狭い路地でもスイスイと走り抜ける原付二種と同じ使い勝手を披露するPCX150。写真は銀座8丁目の二輪車駐車場。PCXシリーズなら2台駐車できそうだ。 ちょっと横浜へ足を伸ばしてみる。この気軽さがPCX150の魅力。横浜ベイブリッジの下層部は国道357号線となっているが、125cc以下は通行禁止。PCX150は鶴見-大黒ふ頭間を首都高を使わず移動することができる。

 その後も通勤などを想定し、市街地をメインに300kmほど走行。燃費は44km/Lをマークしている。市街地では特に燃費を意識した運転はしなかったものの、十分なトルクの恩恵でスロットルを大きく開けることも少なかったためか、普通にこれだけの燃費を叩き出すのはさすがだ。尚、燃費データは全てアイドリングストップをONにした状態である。

 今回、トータル1500kmほど走ったPCX150。原付二種と同じ手軽さ、扱い易さに加え、いざとなったら高速道路を走ることもできるなど、日常で使うシーンを考えるとPCX150ほど様々な魅力的要素を備えた軽二輪はない。そして、車両価格は圧倒的にお手頃ときている。原付二種のPCXに対して保険などのコストは増えるが、その分を差し引いても行動範囲が広がり、毎日乗っても楽しいというメリットは何物にもかえがたいと痛感した。正直言って私の使い方、家庭事情にもドンピシャで、実際欲しくなった1台だったのだから。

PCX150
PCX150主要諸元
■型式:JBK-KF12 ■全長×全幅×全高:1,915 ×740 ×1,090 mm■ホイールベース:1,315 mm■最低地上高:130 mm■シート高:760 mm■燃料消費率 :49.0 km/L(60km/h定地走行テスト値 )■最小回転半径:2.0 m■車両重量:129 kg■燃料タンク容量:5.9 L■エンジン種類:水冷4ストロークOHC単気筒 ■総排気量:152 cm3 ■ボア×ストローク:58.0×57.9 mm■圧縮比:10.6 ■燃料供給装置:PGM-FI ■点火方式:フルトランジスタ式バッテリー点火 ■始動方式:セルフ式■最高出力:9.9 kw[13 PS]/8,500 rpm■最大トルク:14 N・m [1.4 kgf ]/5,500 rpm■変速機形式:無段変速式(Vマチック) ■フレーム形式:アンダーボーン■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク / 機械式リーディング・トレーリング ■タイヤ(前/後):90/90-14M/C 46P / 100/90-14M/C 51P ■車体色:パールヒマラヤズホワイト 、ミレニアムレッド ■メーカー希望小売価格:329,700 円
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