スズキ
こちらでSUZUKI GSR250試乗の動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/ouiDYraxxzU」で直接ご覧ください。 スズキの新型250スポーツモデル、GSR250が7月30日いよいよ発売開始された。WEBミスター・バイクでは、さっそく濱矢文夫にインプレッションをお願いした。スズキ二輪代表取締役社長、濱本英信さんが力を込めて言っていた「ヨイバイク(税抜き本体価格で418,000円)」の走りとは?

 250ロードスポーツカテゴリーにスズキからも新しいモデルが登場した。少し前までスクーターにおされて次々とカタログから機種が消えていたカテゴリーだったが、ここ数年にわかに活気づいてきた。カワサキのNinja250Rが再び火をつけ、ホンダCBR250R、ヤマハ(YSP店が輸入販売)YBR250と続き、スズキも動いた。これで国内4メーカーが出揃ったことになる。

 250はバランスのいい排気量である。車検はなく、長距離移動も楽な動力性能と車体。流行りの原付二種よりコスト的に少しだけお手軽ではないけれど、高速道路に乗れるなどその分得たものも大きい。ビギナーやリターンライダーにとって受け入れやすい排気量だ。事実、250ロードスポーツを選んだそういうユーザーと多く出会ってきた。バイクに乗って走ることを趣味とする場合の実質的なエントリークラス。扱いやすいパワーとサイズながら、ちゃんとバイクを操っている高揚感がある。

 ライバルが国産ではないのと同様、このGSR250も中国生産。その分、コストを抑えられて、手に入れやすい価格設定になっているのが活気を取り戻した原動力にもなっている。

 遠目からでもひと目でGSR250と分かる個性的なルックスの車体を目の前にして、最初に感じたのは、そのボリューム感。250とは思えないほど堂々としている。間違いなくライバルよりひとまわり大きい。それもそのはずで、サイズスペック的には同じスズキのグラディウス400とほぼ同じ。だからといって大きすぎるのではなく、言うならば小さすぎない。コンパクトすぎて頼りない感じにならない程よい安心感を持てる。

 身長170cmの私でほぼ両足かかとが接地するシートに座って、おへそより少し上の位置にあるUPセパレートハンドルのグリップに手をのばすと、嬉しいことに気がついた。フロントブレーキレバーにアジャスター機能が付いている。手の指が短い私にはありがたい。先行した他の国内メーカー車には付いていない装備だ。これまでずっと、リーズナブルな車体価格でもこの機能を省かないで欲しいと思っていた。バックミラーが大きく見やすいのも高ポイント。メーターにはスズキお得意の何速に入っているかひと目で分かるギアポジションインジケーターもある。

 デザイン、サイズ、装備などから、新たに加わったスズキ製250ロードスポーツは他社の対抗車より大人の雰囲気。

 この印象は走りからも受けた。まず2気筒エンジンを積んでいるのがミソだ。このエンジンの味付けが良く出来ている。極低速からギクシャクすることがなくスロットルに応じてスルスルっと加速。この坂道を下っているように、背中を押すように伸びる感じがずっと続いて気持ちがいい。単気筒ではなく2気筒を選んだメリットを最大限活かして、ライダーに「私は2気筒ですよ」と常に伝えるよう、7000回転くらいから一段パワーの盛り上がりがあって、タコメーターのレッド表示が始まる11000回転まで一気に回る。実際にパワーが伸びるのは9500回転付近までだけど、その上の余裕がありレブリミット付近でも断末魔の苦しみのような感じはなくいたってスムーズ。だから高めのギアで余裕に走るだけでなく、ひとつ下のギアでガンガン回して走るのも面白い。このエンジンは子供っぽいところがない。

 乗ったのは、混雑した東京都内から高速道路を使って箱根のワインディングまで。高速道路でのスタビリティも充分。到着したつづら折りなす箱根のワインディングでのハンドリングはいたってニュートラル。変な癖はまったくなく、思ったように旋回できる。前後のサスペンションは柔らかく抑えも効いていて問題はない。ペースを上げてギャップを通過するとリアに少しドタバタした感じもあるけれど、乗り心地も良好で通常の使用ならそれほど気になることはないだろう。ブレーキは効きタッチ共に充分なもの。思ったよりバンク角が深く躊躇せずに倒してコーナーをクリアしていけた。タイヤのグリップ状況を把握しやすい。流れるようにコーナーをこなしていける。
 シートはクッションが柔らかく当たりが優しい。ただ、ほとんど座りっぱなしで200kmくらい移動した時に私の場合ちょっとだけお尻が疲れた。高回転を維持したまま乗り続けると微小ながらあるハンドルから手に伝わる小刻みな振動も長時間ライドになると意識するかも。

 それでも大きな振動は伝わってこないし、ツインエンジンは滑るように前に進ませるし、動きは軽快ながら全体的に250モデルの中では落ち着いていて、クラスがちょっと上のように感じさせるモデルだ。価格も鑑みてバイクとしての完成度は申し分ない。何度も言うようだけど、個人的には味付けにこだわったと感じたエンジンが気に入った。

(試乗:濱矢文夫)

「B-KINGのイメージを引き継いだ」といわれるGSR250。実際に目の当たりにすると、確かにかなり大柄な250という感じを受ける。ウィンカーをビルドインしたマッスルなタンクサイドや、2本出しのマフラーなど、視覚的にも、そして実際に取り回しも一回り大きいクラスのバイクを扱っている感じがした。試乗者の身長は170cm。
消費電力の少ないLEDメーターを採用。大型液晶ディスプレイには、速度計をはじめ、燃料計、オドメーター、ツイントリップメーター、時計を表示。タコメーターの右下部にはスズキ車のお約束、ギアポジションインジケーターも当然採用されている。その上のランプは変速のタイミングをランプの点滅、点灯で知らせてくれるエンジン回転インジケーター。(※写真をクリックすると点灯状態が見られます)「オフ」「エコ」「ノーマル」の3パターンを選択可能。 お手頃価格ながら、決めるべき所はキッチリ決める。特に女性や手の小さいライダーには嬉しい装備、調整式のブレーキレバーを採用。
スポーティな形状のシートやしっかりとした造りのタンデム用グラブレール。シート下には工具や書類入れが入っている。(※写真をクリックするとシートを外した状態が見られます)。 バッテリーはこのクラスにしては大型サイズ。リアサスには7段階の調節機能がつく。
■SUZUKI GSR250 主要諸元■
●全長×全幅×全高:2,145×760×1,075mm、ホイールベース:1,430mm、最低地上高:165mm、シート高:780mm、装備重量:183kg、燃料タンク容量:13L●水冷4ストローク2気筒SOHC2バルブ、排気量:248cm3、ボア×ストローク:53.5×55.2mm、圧縮比:11.5、燃料供給装置:フューエルインジェクション、始動方式:セル、潤滑方式:ウェットサンプ式、最高出力:18kW(24PS)/8,500rpm、最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/6,500rpm●6段変速、1速2.416、2速1.529、3速1.181、4速1.043、5速0.909、6速0.807、一次減速比:3.238、二次減速比:3.285●フレーム形式:セミダブルクレードル、サスペンション:前φ37mmテレスコピック、後モノサスペンション、ブレーキ:前φ290mシングルディスク、後φ240mmシングルディスク、タイヤ:前110/90-17M/C 57H、後140/70-17M/C 66H●価格:438,900円


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