2012年9月19日 

■不公平な高速道路の二輪車料金について、国土交通省に要望書提出

記者会見に出席した日本自動車工業会(自工会)二輪車特別委員会の5名。左より中川雅文 副委員長(川崎重工業 執行役員 モーターサイクル&エンジンカンパニー営業本部長)、大山龍寛 副委員長(本田技研工業 専務取締役 二輪事業本部長兼安全運転普及本部長)、柳 弘之 委員長(ヤマハ発動機 代表取締役社長)、伊延禎之 副委員長(スズキ 常務取締役 二輪事業本部)、三輪邦彦 副委員長(ヤマハ発動機 上席執行役員 MC事業本部 第2事業本部 事業部長)。

 9月19日、定例となっている二輪4社(日本自動車工業会 二輪車特別委員会)による合同記者会見が行われた。内容は●二輪車市場の状況●「バイクの日」イベント報告●利用環境改善への取り組み●国際基準調和の推進。

 2011年の「二輪車市場の状況」は、世界の二輪車生産台数が6,345万台と初めて年間6,000万台を突破。近年、中国はエミッションや燃費規制による生産鈍化で横ばい傾向(2,701万台)にあるのに対し、その他のアジアではインドが急速に生産を拡大。インドネシア、タイ、ベトナムといった東南アジア地域での生産も拡大したことで3,188万台となった。ちなみに日本の2011年の生産台数は64万台である。一方、2011年の国内の二輪車販売は、東日本大震災の影響を受けながら、原付一種の需要が伸びたことで前年比+5%の44万4,992台に。また、今年1~8月の国内二輪車販売状況は新車効果か、軽二輪が前年同期比+13.3%、小型二輪は+15.1%と順調な伸びを見せているという。

 「利用環境改善への取り組み」では、以前から“不公平感”が指摘されている「高速走路の二輪車料金」について触れられた。現在、二輪車の高速料金は「軽自動車等」に含まれ、普通車の料金を1とすると、0.8の比率に設定されている。首都高速や阪神高速に関しては普通車と同じだ。
そこで、高速道路の料金区分において二輪車を「軽自動車等」の区分から独立させ、適正な料金に設定してほしいという要望書を7月25日、国土交通省に提出。ネクスコの愛称で知られる各高速道路事業者に対しても要望書が提出された。その要望理由は以下の通り。

①車両占有面積、走行時の道路損傷度および乗車定員からみて、二輪車の高速道路料金は相応な水準とはいえない。

②二輪車の高速道路料金が普通車の半額に引き下げられた場合、二輪車ユーザーの高速道路利用回数は年間で平均2.4倍に、利用距離は年間で平均2.3倍に増大するとの結果になっており、高速道路料金の収入増が期待される。

③税金、保険、有料道路など二輪車にかかる様々な料金は、普通車や軽自動車から独立した設定となっているのが一般的である。

 また、整備は進んでいるが、まだまだ問題解決にはいたっていない二輪車駐車場については●二輪車駐車場整備に対する助成制度の整備・拡充●自転車等駐車場での二輪車受け入れに向けた条例改正●商業施設等への二輪車駐車場附置義務条例の制定を自治体等行政に要望。二輪車ユーザーには駐車場検索サイトを活用した情報提供を、二輪車ユーザーからの要望情報を駐車場事業者に提供するなどの活動を行っているという。

 地球温暖化や大気汚染、安全対策といった二輪の性能に対する社会の要求を地球規模で捉えることで二輪車ユーザー、二輪車メーカーなどにメリットをもたらす「国際基準調和の推進」では、次期二輪車騒音規制について触れられた。2014年から予定しているという基準調和後は、世界でほぼ共通の規制値となり、日本のメーカーは日本市場と海外市場と同じ基準の車両を、海外メーカーも日本市場と海外市場に同じ基準の車両を導入でき、購入しやすい車両価格というメリットが生まれそうだ。

 尚、二輪車業界では、ユーザーへ向けた安全への取り組みを行っていくとともに、二輪車の楽しさ、利便性、有用性をアピールしていくという。