「Made in Chinaは杞憂なのか? テストコースで徹底試乗」

ピレリ


それで中国生産のエンジェルSTはどうだったのか?

 ミラノ取材から戻り充実した気分が一息つくと同時にわき上がってきたのが中国生産のタイヤが彼らの言うとおりドイツ生産品と本当に同質なのだろうか、ということだった。このエンジェルSTは2010年に発売されたタイヤで、テストをしたのはその年の早春のことだった。数日前に降った雪が道路脇に残り、昼間にそれが溶け出し、幾筋もの流れが道路を横切るようなコンディションだった。
 それにも関わらず、走りはじめからエンジェルSTは冷えたタイヤらしからぬ接地感を伝え、ピレリらしいカッチリ感の奥にスムーズな乗り心地を持つ良質感を伝えてきた。ワインディングに踏み入れても気持ちよい旋回、加速、減速を楽しめる。この辺はピレリという暖簾に期待した通り。雪解け水が道を横切る細い川を通過したときも「あれ、滑らない」という安心感がありテストというよりは知らぬ間に走ることに夢中になるようなタイヤだった。

 さて今回、あのときとは気温も、バイクも、走る場所だって違う。厳正なる比較とはならないが、乗らずには分からない。ミスター・バイクBG誌で中国製ピレリエンジェルSTのテストをしたカズ中西さんにお願いしてYAMAHA XJR1300をお借りし乗せていただいた。1000kmを超すマイレッジを重ねたタイヤはすでに慣らしも完了した状態だ。

 過去に乗ったノーマルタイヤのXJR1300の印象を簡単にまとめると、低速ターンやUターンなどでビッグバイクらしからぬ扱いやすさを持つ反面、ツーリングシーンでは直進からスっと旋回をはじめた時にやや手応えを滲ませるどっしり感で大型バイクを演出している、というものだった。BIG XJRは代々一貫して低速で扱いやすく、ツーリングでは手応えありの、開けて攻めはじめるとコンパクトなポジションがだんだん窮屈に感じてくる、というもの。造り手の個性がそのままカタチになったようで、中庸なフリしてけっこう頑固、それが僕の印象だ。

 そしてエンジェルSTを履いたXJRである(指定空気圧に調整済み)。走り始めてすぐに感じたのはピレリに履き替えたバイクで感じるソリッドでカッチリした走行感そのものだった。薄い皮に空気を入れパンと張っているのに接地面はボンボン跳ねずに路面を綺麗に掴んでゆく乗り味。直進性の良さはそのままにセンター付近の軽快さも上がっている。それでいてブレーキをかけるような場面では接地面がしっかりと路面を掴む安心感。低速での右折、左折ではXJRらしい扱いやすさを追い越さない程度にハンドリングに軽快さが出ている。「あ、エンジェルST だ」という印象なのだ。

 爆弾低気圧が通過したその翌日、天気は晴れだったが道には風で折れた枝、葉、そして山肌から流れ出した雨水で濡れた箇所が多い。そんな道を怖さ抜きで走れたのはエンジェルSTの恩恵だろう。ドライ部分も相当楽しめた。ワインディングを楽しみ、大満足の走りの時間。あ、テストだった、と言い聞かせないと青空の下に伸びる道をいつまでも駆けていたい誘惑に駆られるほど。カズさんのバイクを100キロほど走らせた印象から、初体験したドイツ製エンジェルSTで受けた印象との相違を見いだすのは難しかった







日本で試乗したXJRはフロントがドイツ、リアに中国生産のエンジェルSTを装着していたのだが違和感は感じなかった。

 取材当時、フロントタイヤの中国生産がまだ始まっていないとのことで、ドイツ製のフロント、中国製のリアというカップリングだったが「おや?」といった指摘を出来るような部分も無かった。メイドイン中国は、間違いなくメイドバイピレリである。僕はそう太鼓判を押す。
「何処製なのかが重要なのではなく、何処で作っても同じ性能を出していることが大切」という部分は見事に達成されていたのである。

 


Metzeler ROADTEC Z8 INTERACT Mをガチ濡れ路面で体感

 ミラノのマルペンサ空港のお膝元にあるヴィッツォーラ・ティチーノ。その静かな町を抜けた先にあるピレリのテストコースで体感したメッツラーの新しいスポーツツーリングタイヤ、ロードテックZ8Mインタラクト(以下Z8M)。2011年春に登場したロードテックZ8インタラクト(以下Z8)の進化版である。メッツラーが送り出すスポーツツーリングタイヤは、快適性、耐久性、ウエットパフォーマンス、性能維持性、グリップ性能といった多くの要素を高い次元にまとめたタイヤとして内外で高い評価を得ていて、複数の欧州2輪メディアにおいてタイヤ・オブ・ザ・イヤーに選ばれたほどだ。

 2011年早春に行われたテスト時の印象も素晴らしく、走り出しレベルから高い接地感をもたらす低温時性能の高さ、マイルドな乗り心地と軽快で充実感のあるハンドリングを両立する絶妙さ、ワインディングを走るのが楽しい操縦性へのプラス部分、そしてグリップ感。それでいて単なる優等生なのではなく、ファンな走りを心底楽しませる絶妙さ。ウエット性能の高さは正直雨の道で小躍りしたくなる初めての体験を味わった。結果的に官能評価がものすごく高く「バイクって楽しい!」をばっちり味わわせてくれたのだ。


主要サイズに絞ってモデルチェンジを図った頭脳プレイ。

 今回、Z8からZ8Mへと進化したのは耐久性とウエットパフォーマンス。それらをどのように高めたのかを簡単に紹介したい。
 ウエット性能向上にはシリカを含むトレッドゴムの採用が有効である。しかし、低温で強いシリカはライフの面でトレードオフの関係にある。
 メッツラーは原料の一つ生産技術の向上でシリカそのものが微少化されたこともあり、トレッドゴムの製法を進化させ、天然ゴム、カーボンブラック、シリカ、結合用のポリマーなどそれぞれがもっとも性能を引き出せるタイミングでミキシングする製法をZ8は採用している。この製法を料理に例えるなら、従来はナベの中に肉、ジャガイモ、タマネギ、にんじん、カレーのルー、水を同じタイミングで入れ、火に掛けていた。それに対し、メッツラーがDSM(ディファレント・ステージ・ミキシング)と呼ぶ製法では、水の中に火の通りにくいジャガイモ、少し時間をおいてにんじん、肉、タマネギ、最後にカレーのルー、という食べる時にもっとも美味しくなる調理方法同様に、素材に合わせた加熱処理などを施しているのだ。
 DSMという製法と、シリカのナノ化技術により、トレッドゴム内に多くのシリカを取り込むことに成功。Z8ではシリカを飽和度の80%まで入れていた。

 そしてZ8Mでは素材であるシリカのさらなる微少化、ミキシング技術の向上で現時点での飽和度100まで投入。ウエット、低温時のグリップをさらに高めることに成功した。そのコンパウンドを後輪の両サイドに、センターにはシリカ飽和度70%のトレッドを装着。もっとも摩耗しやすいセンター部分に熱などに強い適材適所のトレッドゴムを配置。しかしそれでは前作のシリカ80%のZ8よりもウエット性能が低下する。そこでサイドとセンターでタイヤの構造部分であるベルトの張力を変化させ、構造を積極的に使いトレッド面を路面に接地させようという複合的手法で相乗効果を上げているのだ。
 また、Z8Mが用意されるのは別表の通り。このサイズを履くモデルの特性、性格をより彩ろう、という作戦だ。それ以外のサイズはZ8が引き続き受け持つことになっている。

【ロードテックZ8Mインタラクトにモデルチェンジしたサイズ】

●FRONT
120/70 ZR 17 M/C (58W) TL (M)

●REAR
180/55 ZR 17 M/C (73W) TL (M)
180/55 ZR 17 M/C (73W) TL (O)
190/50 ZR 17 M/C (73W) TL (M)
190/50 ZR 17 M/C (73W) TL (O)
190/55 ZR 17 M/C (75W) TL (M)
190/55 ZR 17 M/C (75W) TL (O) ※2013年夏頃発売予定

(O)は2プライカーカスの重量車向けモデル

【ロードテックZ8インタラクトを継続販売するサイズ】

●FRONT
110/70 ZR 17 M/C 54W TL
120/60 ZR 17 M/C (55W) TL
110/80 ZR 18 M/C (58W) TL
120/70 ZR 18 M/C (59W) TL

●REAR
150/70 ZR 17 M/C (69W) TL
160/60 ZR 17 M/C (69W) TL
170/60 ZR 17 M/C (72W) TL
160/60 ZR 18 M/C (70W) TL


いざウエット試乗。

用意された各種ジャンルの試乗バイク達
用意された各種ジャンルの試乗バイク達。

 用意された試乗車は5台。ストリート、ネイキッド系からホンダCB600ホーネット。参考スペックは排気量・最大出力・最大トルク、車重の順(599cc ・102cv/12000rpm・63.5Nm/10500rpm・205kg)CB1000R(998cc ・125cv/10000rpm・99Nm/7750rpm・222kg)トライアンフ・タイガー1050SE(1050cc ・115cv/9400rpm・98Nm/7750rpm・245kg)カワサキのアドベンチャーツアラー、ヴェルシス1000(1043cc・118cv/9000rpm・104Nm/7700rpm・239kg)そしてBMWのR1200RT(1169cc・110cv/7750rpm・120Nm/6000rpm・274kg)の5台。共通しているのは120/70ZR17をフロントに、180/55ZR17を後輪に履くモデルで、リム幅はフロント3.5インチ×17、リア5.5インチ×17ということ。そして全車ABS付き。それ以外はジャンルもパワーソースも違うバイク達だ。
 1機種あたり6〜8周ほどして乗り換えながらフィーリングをチェックした。このスペックは戻ってから調べたものだが、現地でバイクを見た瞬間に思ったのは、ずいぶんと自信があるのね、というものだった。リアの180/55ZR17というサイズは、適応機種が多いばかりか彼らが用意したようにバイクのジャンルもバラバラ。的が絞りにくいデリケートなサイズなのだ。

 ピレリ/メッツラーでテストチームを束ねるサルヴォ・ペニーズィの先導でテストコースへと走り出す。水深が5〜10㎜ほどの水たまりがあちこちにできたウエットコース。一周1キロほどのおむすび型オーバルの途中、2箇所のシケインを通過しながら走る。直線での最高速は130〜140km/hほど。ブレーキングで80〜90km/hほどに減速してカーブを曲がる。1コーナーは長い右ターンで、その右を曲がり終えると程なく左、右、左に切り返すシケイン。そこから立ち上がり、おむすびの底辺に当たる右コーナーを曲がると、その底辺の途中に右、左、右と抜けるシケインがあり、最終コーナーへと立ち上がる。


ツナギ、そしてカッパ着用出準備万端。走行前のブリーフィングを行うサルヴォ・ペニーズィ。真剣に聞いております
ツナギ、そしてカッパ着用出準備万端。走行前のブリーフィングを行うサルヴォ・ペニーズィ。真剣に聞いております。

 軽い方から印象をまとめよう。

●HONDA ホーネット

 パワーが少ない分ウエットでの緊張感は低い。ハンドリングはホンダらしい素直さにZ8Mの接地感が上乗せされた印象で、旋回中も怖さがない。自然だ。もっと車重のあるバイクでも整合性がとれるように、このクラスのバイクにスポーツツーリングタイヤを履くと「リア、硬い!」と思うことがあるが、ミスマッチ感がない。馴れてきてアクセルを開けはじめると、高回転域にあるパワーバンドを要求するほどタイヤのグリップ感があることが分かる。深い水たまりでも安心感とともに走破できた。わずか数周後に「パワー物足りない」と思えたほどフツウにウエット路を走れることが分かる。



●HONDA CB1000R

 ぱっと乗り換えてもホーネットとさほどサイズ感は変わらないが、それでも低速からのトルク感は一枚上手。ホーネットよりも旋回時に開けた印象は明快。エンジンのギクシャク感が出ないように神経を使う。しかしビッグネイキッドに比べれば回転依存型のトルク特性なので開け過ぎさえ気をつければ問題無し。しかし、このバイクのパワー/トルクもZ8Mは危なげなく吸収する。ドライなら1速低めのギアで立ち上がるところを、低めの回転からワイドオープンしてみる。ホーネットより起動トルクがある分、タイヤの旋回力を引き出しやすい。そう、ウエット(ヘビーな)ながらそんな余裕すらもたらしてくれるのだ。


●TRIUMPH TIGER1050SE


 前後17インチ、アップライトなポジション、中速トルクが厚い3気筒エンジン。ポジションからどことなく前輪が遠くにあるように感じるし、すっぽりはまるようなシートポジションは前後荷重への微妙な調整が難しいかな、なんて想いながらコースイン。ストロークが長いフロントフォークを自然に沈めしっかりとした前輪のグリップ感。さして滑らないシケインの縁石を踏破した直後でもしっかり路面を捕らえるリアのグリップ感は最高。ハンドリングもナチュラル。むしろ以前ドライで乗ったスタンダードより切れ込み感が少ない自然な印象。突発さがないのは他の機種同様。3気筒らしい厚めのトルクを生むトラらしさを引き出そうと、アクセルをガバっとあけても安心してコースを攻められる。信頼を寄せいろいろ試しはじめると、それにしっかり応えるグリップ、安心感、安定感に心から楽しめた。

●Kawasaki ヴェルシス1000

 前後17インチのアドベンチャーツアラー、Z1000系から派生したエンジンは元を質せばスーパースポーツ系だが、この4気筒が生むトルク感は同じくレプリカ系から派生したCB1000Rよりもフラットなもの。それでいて3気筒のタイガーよりはドンとくる押し出しはなく扱いやすい。このヴェルシスのソフトなサスペンションとウエット路面、そしてZ8Mのマッチングはかなりよく、攻めるのが全く恐くない。ドライを攻めるとアップライトなハンドルバーをもう少し低くしたい、と思うが、このコンディションではドンぴしゃだった。旋回性はアンダー傾向ながら、それをしっかりとアクセルを開ける事でバランスさせられるような乗り味。調子にのり溝の少ないエッジ部分まで寝かせても、一気にリアが持っていかれるコトはなく、ズズズズ、と極めて解りやすい信号を送ってくれる。カウル付きながら、なぜかこのバイクだけスプリンクラーの水がヘルメットの下から直撃し、シールドが曇ってペースダウン。もっと走りたいのに、と晴天下のウエットテストを呪う結果に。それでもZ8Mの凄さがますます認識できる。



●BMW R1200RT

 BMWのバイクはスペックだけでは語れない。実はそうとうな走り屋なのだ。しかし280キロに迫る車重、オーディオ付きの豪華なツアラーでウエットサーキットをバンバン攻めることになるとは思わなかった。スプリンクラーの水攻撃もRTなら万全。ほとんど被ることはない。何処までもフラットなトルク感のボクサーツイン、フロントにテレレバー、リアにパラレバーと独自の懸架方式を採用するBMW。しかしその乗り味は実にナチュラル。パニアまで付いたこのバイクでヴェルシス以上に楽しめる。操舵感は軽く、前輪の舵角にタイヤの接地面が綺麗に追従しながらグリップする接地感が摑みやすい。車体に対してけっしてパワフルとは言えないエンジンだから、むしろ安心して全開を続けられる。後半は調子にのってストレートエンドで前後ともABSを作動させながら寝かし込みに入る、というキワキワな線まで行ってしまったが、それでもニュルでもズルでもなく平気な顔をして旋回していく。蛮勇ふるって深い水たまりを深いリーンのまま通過してみたが、進入時にズズズ、とくるだけで滑り出しもその止まりかたも全く角がない自然なもの。シケインの切り返しで荷重が抜け次の瞬間にズシンとタイヤに荷重がかかる場面でもドライ路のような所作で駆け抜けてくれた。気持ち良い高揚感を楽しんだ。


 ハンドリング路での総括として、Z8Mはセンター部分のシリカ70%エリアとサイドの100%エリアを跨ぐような乗り方でも全く違和感がなく、雨の日が気にならなくなるような安心感がなによりも印象的だった。


高速ウエットブレーキングも体験。

 ハンドリング路でのウエット性能を体験した後、直線路でフルブレーキングの体験もした。しかもミシュランのパイロットロード3、ブリヂストンBT-023というスポーツツーリングセグメントでライバルとなる2機種とのフィーリング比較も含めて試せる、というもの。
 テスト車はSUZUKI バンディット1250 ABS付きだ。

 80km/h、90km/h、100km/hからのブレーキングを体験した。それぞれのタイヤで5回トライをしてみる。ABSが付いているのをいいことに最初の3回はどのタイヤでもナニも考えずにガン握り、ガン踏みしてみた。一番あたりがソフトなのはミシュラン。ブレーキを握りフロントフォークが沈み込んだ瞬間に跳ねるような挙動をみせたのがブリヂストン、ミシュランとブリヂストンの中間にあるのがZ8Mという印象だった。ミシュランのタイヤの特徴である細かいサイプが功を奏しているのか、何事もないようにABSの作動を受け止める。逆にブリヂストンはABSが効き始めると最初の油圧リリース時に制動力が抜ける感じが強くフロントフォークが一気に伸びる感じがする。それを繰り返し止まるまでピッチング感が残る印象だった。Z8Mも一瞬フォークが伸び抜ける感があるのだが、一度抜けてからはミシュラン同様、スムーズなノーズダイブ姿勢で停まる。


フロントフォークが思いっきりダイブしてフル制動中。踵が浮くぐらいリアブレーキも蹴っています。下半分が煙っているのは霧状の散水が成されているから。ブレーキテストだけでブーツの中には池ができた(笑)

ブレーキングテストではタイヤをホイールごと交換して他社比較を体験。搭載したGPSから情報を吸い出し中
フロントフォークが思いっきりダイブしてフル制動中。踵が浮くぐらいリアブレーキも蹴っています。下半分が煙っているのは霧状の散水が成されているから。ブレーキテストだけでブーツの中には池ができた(笑)。 ブレーキングテストではタイヤをホイールごと交換して他社比較を体験。搭載したGPSから情報を吸い出し中。

 ダイナミックな緊迫感(ブリヂストン)か、軽い緊迫感(Z8M)か、平和な急制動(ミシュラン)か。それぞれで表現出来る方向性は異なるが、車載されたGPSがはじき出した初速と制動距離から割り出した減速Gと制動距離はどの速度からも僅差でZ8Mが優れていた。

 ABS作動時のすっぽ抜け感がないだけにミシュランが1位か、と想像していたのに対し、機械がはじき出した答えは違っていた。今回、テストコースという限定的なシチュエーションだったので、ナニも考えずにブレーキング出来たが、リアルワールドとなればミシュラン的制動マナーも捨てがたい。ただし、バンディット1250のみでの比較なので、車体、サス、ABSとのマッチングがタイヤの特性によってダイレクトなフィーリングの違いをもたらしたことも想定できる。

 全体でみればウエットハンドリングや過去にテストしたZ8、パイロットロード3,BT-023の総合点を比較しても最新のZ8Mがリーダーボードのトップの座にいることは間違いない。


散水の具合が分かるカット。正直、バイクが来たら自動ドアのように水がスっと停まってくれると有り難いのだが・・・・。などと思いつつ渾身のブレーキング中
散水の具合が分かるカット。正直、バイクが来たら自動ドアのように水がスっと止まってくれると有り難いのだが・・・・などと思いつつ渾身のブレーキング中。

タイヤはやっぱり面白い。

 結論としてまとめると、Z8Mを履くとウエットでのストレスは相当低減される。また、ABS付きバイクなら躊躇無くフルブレーキングが出来る。サイズが限定されているのが残念だが、現行の大型モデルの多くが採用するサイズだけにことウエットに関しては文句なしに、お薦めしたい。

 ここ3年ほどのタイヤの進化は凄い。履き替えるだけで「怖い」や「イヤだなあ」が消え「楽しい」「今日は上手く乗れている気分」を味わえる。バイクは何かを変えたら即全部が良くなる、というモノではないが、きっちりメンテをしているバイクならその効果は体感しやすいハズだ。しかも消耗部品として交換を運命づけられたものだ。ならばよりハッピーな時間を作るために、新しいタイヤ、良いタイヤに交換してみることはきっと好結果をもたらしてくれると思う。


メッツラー ロードテックZ8インタラクトM.1月下旬より発売開始。トレッドパターンはZ8同様。中身で勝負のタイヤなのだ。

左のZ8、右がZ8M。このような違いがある。ベルトのテンションを自在にコントロールするのがメッツラーの持つ高い技術の一つ。Z8MのMはッモジュレートを意味する。
↑メッツラー ロードテックZ8Mインタラクト。
1月下旬より発売開始。トレッドパターンはZ8同様。中身で勝負のタイヤなのだ。
→左はZ8、右がZ8M。このような違いがある。ベルトのテンションを自在にコントロールするのがメッツラーの持つ高い技術の一つ。Z8MのMはモジュレートを意味する。

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