ヤマハ
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ヤマハ BOLT

 Boltはヤマハが作ったボバースタイルのクルーザー。ボバーとは無駄なものをそぎ落とし、低目のハンドルバーで短くしたスタイル。ハーレー文化にあまり詳しくない人からみれば、ちょっとストリート系SRカスタムっぽいもの。

 ヤマハは早くから北米市場で「YAMAHA」より「STAR MOTORCYCLES」ブランドとして積極的な展開をしている。これはクラシカルなV star 95のカスタム版といった位置づけ。北米のクルーザー市場ではここ5年くらいクラシックよりカスタムの方が伸びているということで誕生したようだ。Striker(1300cc)の弟分。

 バケツ(それも大きめ)をひっくり返したような天候の中乗ったのは、リザーバータンク付リヤショック、切削キャストホイール、シートがバックスキン調表皮のRスペックではない、通常モデル。

 車体も低いからシートもとても低くて、身長170cmで両足のヒザに余裕があるほどの足着き。細身で燃料タンク後端とシート先端のところから、後バンクのシリンダーヘッドが見える。

 ヘッドライトをカスタムしやすいように、フレームのネックサイドにささったキーを捻ってセルスタート。空冷60°Vツインエンジンは身震いしながら始動した。排気音は静かながら、揺れ方、音、鼓動、なかなか味がある。

 発表された時は、どうしてもあのメーカーの影が頭をよぎって、意識しすぎじゃないかと思った。確かにそれは否めない部分がある。しかし現物を前にして、そのスタイル、ダブルクレードルフレームのアンダーパイプの曲り方など、細部は個人的に大きく違うオリジナルなものに感じられた。

 走りだして、低速でスロットルをオン・オフ。3千回転から4千500回転くらいのトルクの厚みがあってダダっと加速。しかし荒々しいところはない。ギアは日本車らしい節度でスコスコっと入って、スロットルを急閉した時やクラッチを繋いだ時の挙動も穏やか。

 低速でのセルフステアはしっかりありながら、重すぎず強すぎずで、笑っちゃうくらいクルッと小さく回れた。速度を上げても、切れ込みはナチュラルでコーナーリングにクセはなく手間がかからない。こういうV ツインクルーザーをカスタムして乗る人の中には乗りにくさもテイストと捉えている人がいるけれど、やっぱり扱いやすくてしっかりと安全に走れる方がバイクとして真っ当である。ブレーキも「止まらない」と慌てることはない。この乗りやすさ扱いやすさはポイント高い。

 コンチキショーな大雨のせいで、乗る時間が短くなってしまい、やや消化不良気味で残念だったけど、その短時間でも素性の良さを体感できた。走りは別にして、ルックスについては人それぞれの価値観だから、私個人の感想であるが、カスタマイズをしやすいよう配慮された各部の作りや、金属のマテリアル感を大切にした造形など、あのアメリカンブランドとの違いがはっきりある。ただ、遠くから大まかに見ても誰もが強く「ヤマハだね」と思えるところがもっとあってもよかったかなぁ。バイクとしての完成度は高いので、そこはカスタマイズに委ねたようなものかも。

(試乗:濱矢文夫)

4月から北米市場で発売開始された新型クルーザー、BOLT。ヤマハの“新中期経営計画”に基づく先進国向け二輪車新製品の第1弾として位置づけられているモデルで、ミッドナイトスター(XVS950A)の950ccの空冷V型2気筒エンジンをスリム&コンパクトな車体に搭載。“Best for Urban Fun Ride!”をコンセプトに、北米市場の二輪車総需要約50万台のうち、約半分を占めるという「クルーザー」カテゴリーに投入された。国内には現在ティーザーサイト「http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/teaser/bolt/」が公開されている段階で、年内には国内発売が期待されているモデル。
 
ヤマハ FJR1300A/AS

 言葉にすると、シトシトではなく、ザーザー。さらに風もピューピューだった訳です。日本でヤマハが売っているバイクに、発売予定車、電動アシスト自転車PASSなども含め多くを乗れる、文字通りヤマハ一気乗り。毎年恒例の試乗会場である修善寺のサイクルスポーツセンターは到着した時はもう雨が降っており、時間が経つにつれて強くなっていく最悪の天気だった……。

 安全を考えた配慮でロードスポーツモデルのほとんどが試乗車から外されていたのは残念だったけれど、ワイズギアさんからレインスーツ、サイバーテックスⅢをお借りして着込んでいたこともあって、自分でも意外なほど気持ちは前向きで雨よどんとこい状態で試乗に挑んだ。

 最初に乗ったのは新型になったFJR。それもクラッチレバーのないFJR1300AS。ひと目で分かるほど外観が変わって、顔つきがしゃきっと今風に尖った。以前、ヤマハコミュニケーションプラザで見た時に素直にカッコイイ→乗ってみたいと思っていたのと、グリップの悪い雨だからこそトラクションコントロールや、走行モード、指先シフトなどいろいろ分かるだろうと選んだ。

 先導車付の慣熟走行が1周あるので、ゆっくりコースに出たら、いたるところ川ですよ、川。路面が濡れているくらいだったら、タイヤに熱が入ればそれなりに走れると考えていたけど、コースを横断するように大量の水が流れていた。気分は水中翼船。

 FJR1300は私より大柄な人が多いヨーロッパの市場に合わせたハイスピード長距離ツアラー。跨ると、最近の流れとは違いシートが太くて足が余計に開き、身長170cm、体重68kgでは、両足だとやっと先っちょが届くくらい。サイドスタンド停車から起こすときも、軽いとは言い難い車格。

 ASはモード切り替えや、多機能ハンドルSW・ドットマトリックス表示メーターと言って手元でスクリーンの上下、グリップヒーター、電子制御サスペンションの調整が可能な機能などハンドスイッチが多い。ひと通り操作説明を聞いたけれど、もうそんなに若くないし、まだガラケーの私に使いこなせるか心配だった。ところが、走りだす前の短時間にエンジンを始動してカチャカチャやっていたら、すぐに使いこなせることが判明。手順を文字にすると難しく感じるが、どれも直感的に使えると言い切れる。このへんは流石だ。

 デフォルトでトラクションコントロールはON。小川のようなコース状態なのであえてOFFにはしない。電子制御サスペンションは、フロントは伸側、圧側の圧減衰力、リアは伸側の減衰力とプリロードを手元で変更できる。そこで減衰力は「SOFT」「STD」「HARD」の中からソフトに。プリロードは「ひとり乗り」「ひとり乗り+荷物」「ふたり乗り」「ふたり乗り+荷物」の中からひとり乗り設定を選んだ。ちなみに減衰力は微調整もOK。

 走行モードはパワーより扱いやすさのTモードと、よりパワフルなスポーツ走行で威力を発揮するSモードがあり、Tモードを選択。電子制御シフトにSTOP MODEという、停止しようと減速して29km/h以下に車速が落ちると自動シフトダウンをして、停止時には1速になっているお助け機能があり、これはメーター内のインジケーターがグリーンに光ったONの状態。

 ASは通常と違い一番下がニュートラルのボトムニュートラル。ハンドシフトの「+」を押せばカチャンと控えめな音とショックでギアが入ったのが分かった。スロットル操作をしないかぎり前には進まないから慌てる必要はない。

 そこからスロットルを開けると、クラッチを自動で繋いでくれて走り出す。クラッチの繋がり方も自然でギクシャクはない。難しく考えずにスロットルを開け閉めするだけで思うように駆動を制御できる仕上がり。

 速度を出して2速→3速へ。左足元に普通のシフトペダルもあるけれどあえて使わない。スクーターのマニュアルモードで走っていると思えば理解しやすい。スロットルを開けていけば自動でギアが上がっていくオートマチックではない。このへんは、最近はビッグスクーターに慣れているから、まったく違和感なくハンドシフト操作が出来た。思わず足を使ったり、エアークラッチレバーを切ったりなんてしなかった。いたって普通に乗れた。 

 長距離ツアラーとして、もっと楽なオートマチックでもいいと考えていないところが面白い。ギアを操作して、走りをライダーが積極的にコントロールする、楽ちんを求めながらバイクを操る楽しみを重要視しているということ。意地悪に回転数を上げて、コーナーの中でシフトダウンをやってみた。急に強いエンブレがかからないようにエンジン回転を合わせてくれて、少しのショックを伴って、ダート以外では最悪レベルのグリップだった路面でも、バンク中の姿勢は乱れず、走行ラインも変わらず。怖さはない。シフトアップも同様。

 ハイテク装備の話ばかり書いてきたが、それよりも重要なのはバイクとしての基本的な走りである。

 そこそこ重量があるのにフットワークが軽くて乗りやすい。向きも素直に変わる。タイヤが温まるヒマがない水の量でもバイクをバンクさせるのを躊躇しなかった。これはサスペンションが良く動いている証拠だ。この雨の中でもフロントとリアタイヤの接地感が分かりやすく薄氷を踏むような気持ちにはならなかった。普通に走るだけでなく、スラロームもやってみた。前のモデルとほぼ同じ大きさなのにバイクが小さくなったようだ。

 コーナーの出口、まだバイクが直立していないところで意識的にスロットルを多めに開けたら、トラクションコントロールが働いて横方向のスリップは抑えられ、バイクが前にだけ進む。心強い。結果として、乗るのが楽しい。試しに、走行モードをSモード。電子制御サスペンションをSTDやHARDにしてみたが、この環境ならそれまでの設定の方が断然乗りやすく安全。ツーリング中に突然雨が降った時など、バイクから下りずに手元でサスペンションの設定が変えられるのは間違い無く大きなメリットになる。

 Tモードでのエンジンは低速からフラットにトルクが出てきて、パワフルながら急なところまったくない。ブレーキの効きも良好で、こちらもコントロールしやすい。1周したら、一時停止。STOP MODEが機能して発進の時は1速に落ちている。信号の多い街中の走行では助かるね。

 ヤマハスポーツツアラーのフラッグシップだけあって気合の入った作りで走りのレベルはかなり高い。色々な電子制御がギミックだとは思わなかった。全体の味付けはよりきめ細かくで自然なものに進化にした新型FJR1300ASは力強く俊敏かつ優しかった。大雨の中でもニンマリしながら走ることができた。

(試乗:濱矢文夫)

ヤマハのビッグ・スポーツツアラー、FJR1300A/ASが、よりカンファタブルにバージョンアップ。2001年の登場以来、欧州のビッグ・スポーツツアラージャンルを牽引してきたFJR1300。’06年には自動クラッチシステムYCC-S(Yamaha Chip Controlled Shift)を搭載するFJR1300ASタイプもラインナップに加えるなど、ツアラー機能を向上させてきたが、今回も“1日1,000kmを快適にカバーする”ための熟成が行われた。1298cc、YCC-T(Yamaha Chip Controlled Throttle)エンジンや基本メカニズムに変更はなく、燃料供給系や足周りの熟成、IT面でのさらなる利便性の追求や、フロントフェイスからサイドまでカウル形状がよりスポーティさを強調するデザインに一新された。写真は電子制御シフト採用のFJR1300AS。さらに上の走行写真は通常シフトのFJR1300Aで撮影。
 
ヤマハ S-MAX

 台湾で先ごろ発売された「S-MAX」は、「Majesty S」として日本でも年内に発売予定のスクーターだ。デザインは洗練された中に力強さも感じさせる、一目で見てヤマハ車とわかるもの。まさに「Revs Your Hert」。

 跨ってみると、シートはクッション、サイズともにたっぷり余裕をもたせているのを感じる。比較的ワイドなため、小柄な人は足着き性を損なうかもしれない。

 フラットなステップは乗り降りがラク、という点で大きな魅力だ。台湾、そして欧州でもフラットなステップに対する要望は多いという。ライディング・ポジションはシグナスXに近い印象。

 目の前に飛び込んでくる計器類も刺激的。指針式のタコメーターをセンターに配したレイアウト、デザインもスポーティで、スクーターとは言えこういった演出は疎かにされていない。さらに、アルミ・ダイキャスト・リアアームといい、所有する喜びも満たしてくれる仕上がりだ。

 試乗当日は激しい雨に見舞われ、しかも試乗台数が限られていたこともあり、いつも以上に慎重に走った。足まわりは軽快感というよりドッシリとした感じ。リアには懐かしい響き、モノクロス・サスペンションが採用されている。その動きなどについては短時間の試乗ではわからなかった。ユニットが寝かされているおかげで、デザイン上でリアまわりに軽快感を与えている効果は大きいと思う。

 新開発の水冷155ccエンジンもシグナスXに近い印象。4バルブゆえ、高回転域までの車速の伸びを重視したセッティングかもしれない。ただし、試乗車は台湾仕様S-MAX のため、日本で販売されるモデルはまた印象が異なるかもしれない。

 φ245径をもつリアのディスクブレーキは、こういった雨の日に安心な絶妙なフィーリングをもたらしてくれた。ちなみにフロントはφ267のウェーブ・ローターが奢られている。

 Majesty S のメーカー希望小売価格は340,200円(予定)。カラーはブラック、ホワイト、レッド、マッドチタンの全4カラーが用意されるという。

 欧州にはS-MAX と同じ水冷4バルブ155ccエンジンを搭載するハイホイール・スクーター「Xenter」というモデルがある。同車には125cc版もラインナップされていることから、日本では原付二種版Majesty S の投入もありうるか!?

(試乗:高橋二朗)

ティーザーサイト「http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/teaser/majesty-s/」が公開されているマジェスティS。毎月1回配信されるメールマガジンに登録すると先行情報をキャッチすることが可能で「Vol.1 」では、発売時期(2013年年内を予定)、メーカー希望小売価格(340,200円を予定)、カラー(ブラック・ホワイト・レッド・マットチタンの全4カラーを予定)などを公開。「Vol.2 」では各フィーチャーの画像を公開している。水冷単気筒155ccエンジンを搭載 、前後13インチタイヤを履くステップスルー・スタイルのスクーターは、ヤマハの軽二輪コミューターのニューフェイスとして大きな注目を集めている。試乗したのは台湾の現地仕様の“S-MAX”。
 
ヤマハ シグナス-X

 前後にLEDランプを採用するなど、外観がフェイスリフトされた最新2013年モデル。デジタル&アナログのコンビネーションメーターも新デザインに。シート下のトランクも容量アップ(約31L)。専用グラフィックやイニシャル調整可能なリアサスをもつスポーティ・モデル「SR」にはウェーブ形状のディスクブレーキ・ローターを新採用。これだけの充実内容で、メーカー希望小売価格は278,250円(SRは283,500円)と、かなりお手頃となった。
(試乗:高橋二朗)

ヤマハ MT-09

「MT-09」は“Synchronized Performance Bike”のコンセプトのもと、欧州二輪車市場のメインカテゴリー「ロードスポーツ」クラス、なかでも近年伸長傾向の700~999ccクラスに導入する新製品で、ヤマハの新中期経営計画(2013年~3ヵ年)にあたる“先進国・二輪車事業におけるラインナップ充実”を具現化する新製品第2弾となるという。

“クロスプレーンコンセプト”に基づいて開発されたエンジンは、ライダーのスロットル操作に対し、リニアなトルクを実現。水冷4ストローク直列3気筒DOHC4バルブ、847ccのダウンドラフト吸気FIエンジンで、バルブ挟み角は26.5°(吸気13°+排気13.5°)とナローに配置しコンパクト燃焼室を形成、素早い燃焼による高いトルクを引き出している。

 燃料供給は、YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)を採用。軽量アルミ鍛造ピストン、放熱性に優れるメッキシリンダー、振動低減を図るバランサー、ヤマハの市販多気筒モデルでは初のオフセットシリンダー、トルク特性に貢献する不等長吸気ファンネル、などとの相乗効果により優れた走行性と燃費性を両立させている。

 排気系は、エキゾーストパイプと3段膨張構造サイレンサーを一体成形した3into1タイプ。排気効率、消音効果だけでなくマス集中化による軽快なハンドリングに貢献している。エキゾーストパイプは、変色や錆、汚れの付着の抑止効果のあるナノ膜コーティング処理が施された。

 車体では、剛性バランスに優れ、個性的なボディを形作る軽量アルミ製フレームを採用。コンパクトなライディングポジションとスリムな足回りを実現するため、リアアームピボットはフレーム外側締結とし直列2気筒なみのフットレスト幅となっている。

 アルミ製テーパーハンドルを採用。軽量で強度バランスに優れるだけでなく、オフテイストも演出。前後約400mmのロングシートは、タンデム側との段差が少なく自由度のあるライディングポジションを可能としている。シート前端は、グリップ性とフィット感に優れるフロステッドパターンの表皮を溶着しており、マン・マシーン一体感を演出。ニーグリップ部を大きく窪ませた燃料タンクは、スリムなライディングポジションに貢献。

 スタイルは、ネイキッドとスーパーモタードの“異種混合”ハイブリッド・デザイン。マスフォワードシルエットによる自由に振り回せる軽快感、どんな方向にも動きやすい“塊”を連想させるマス集中感、そしてモタードイメージ、オフロード車イメージなど様々な要素をシンクロさせている。

 このほか、油面変動が少ない異形オイルパン、YAMAHA D-MODE走行モード切り換えシステム、ラジアルマウントフロントブレーキキャリパー、フル液晶メーターパネル、アルミ鍛造ブレーキ&シフトペダル&フットレスト、などを採用している。

■2014年モデル「MT-09」主要諸元(フランス仕様を除く)
全長×全幅×全高:2,075mm×815mm×1,135mm シート高:815mm 軸間距離:1,440mm 車両重量:188kg エンジン:水冷・4ストローク・直列3気筒・DOHC・4バルブ 総排気量:847cm3 内径×行程:78mm×59.1mm 圧縮比:11.5:1 
最高出力:84.6kW(115PS)/10000rpm 最大トルク:87.5N・m(8.9kgf-m)/8500rpm 始動方式:セル式 燃料タンク容量:14L 燃料供給:フューエルインジェクション タイヤサイズ(前×後):120/70ZR17M/C(58W)×180/55ZR17M/C(73W) 価格:税込み7,790ユーロ(参考:イタリア価格、各国で異なる) 販売計画:年間11,000台。


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