ヤマハコミュニケーションプラザ企画展 「Family&Leisure Bikes 1970s-1980s」 小さなボディに夢をいっぱい詰め込んで
■撮影─依田 麗
■協力-ヤマハ発動機http://www.yamaha-motor.co.jp/
ヤマハコミュニケーションプラザ http://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/cp/
1970年代から1980年代にかけて、日本は空前のバイクブームを迎えた。そんなブームの底辺をささえたのが50ccの原付バイク。旺盛な需要に合わせ、多種多様な原付バイクが誕生した。ヤマハコミュニケーションプラザでは時代を彩ったヤマハの主なファミリーバイク、レジャーバイクと、当時の貴重なCM映像などを見ることができる企画展を2014年2月14日まで開催している。あの頃の懐かしい想い出の一台に出逢いに、まだ生まれてないという貴方は未知なる世界との遭遇に、ぜひどうぞ。
1977 Passol(S50)
時代を動かした小さな巨人。

1977 Passol(S50)

1977 Passol(S50)

1977 Passol(S50)
ここがポイント!
エンジン始動時の飛び出し防止のためイグニッションに始動段階が追加された1・2スタートが後期型の証。ハンドルにヘルメットホルダーも追加された。

1977 Passol(S50)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:2.3ps/5500rpm●最大トルク:0.37kg-m/3500rpm●全長×全幅×全高:1515×605×925mm●車両重量: 45kg●発売当時価格:69,800円

メカを感じさせない簡素でかわいいデザイン、両足を揃えて乗ることが出来るステップスルー、そして簡単な操作と低価格により、第二次スクーターブームの発火点となった歴史的な一台。イメージキャラクターはバイクとは全く縁のなさそうな八千草薫さんが務め、自ら免許を取得し代役なしで乗っているCMのインパクトはパッソル大躍進の大きな推進力にもなった。後期型ではエンジン始動時の飛び出しを防止する1・2スタートやヘルメットホルダーなども追加され、翌年燃料計やフロントバスケット付のパッソルDも追加された。

1978 Passola(SA50)
大きさ、パワー、利便性がアップしたパッソルの姉貴分。

1977 Passol(S50)

1977 Passol(S50)

1977 Passol(S50)
ここがポイント!
燃料口が剥き出しのパッソルに比べ燃料給油口がシート下に移動しキャップはスチールへとグレードアップ。燃料計も追加された。

1977 Passol(S50)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:2.8ps/6000rpm●最大トルク:0.39kg-m/4000rpm●全長×全幅×全高:1570×615×940mm車両重量: 51kg●発売当時価格:89,800円

大好評のパッソルをひとまわり大きなサイズにして、パワーもアップ。2速オートマチックミッションにより発進加速や坂道での登坂能力を高めた上級グレード車。オートチョークや燃料計、オイル警告灯も追加され利便性も大幅にアップ。’81年にはセル付もラインナップされた。

1979 Carrot(MA50)
自転車感覚ながらシャフトドライブ。

Carrot(MA50)

Carrot(MA50)

Carrot(MA50)
ここがポイント!
廉価版にもかかわらずシャフトドライブでメンテナンスフリーを追及する心意気。

Carrot(MA50)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:2.3ps/5500rpm●最大トルク:0.37kg-m/3500rpm●全長×全幅×全高:1545×600×965mm●車両重量: 42kg●発売当時価格:67,000円

シンプル、軽量、コンパクトなパイプフレームの自転車感覚で乗れるファミリーバイク。メンテナンスフリーを狙ってシャフトドライブ駆動を採用しているところが、ただの低価格車とは異なる。イメージキャラクターは大女優になる前の桃井かおりさん。

1979 Malic(LC50)
シャフト三姉妹の長女。

Carrot(MA50)

Carrot(MA50)

Carrot(MA50)
ここがポイント!
とにかくシャフトドライブでメンテナンスフリーを追及する一本気。

Carrot(MA50)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:2.8ps/6000rpm●最大トルク:0.4kg-m/3500rpm●全長×全幅×全高:1540×610×910mm●車両重量: 54kg●発売当時価格:93,000円

2.8psエンジン、3.50-10インチタイヤ、オートチョーク、ステアリングロック一体キー(セル付モデル)などを装備したシャフト三姉妹の最上級モデル。次女はマリックの軽量バージョンにあたるリリック、で三女がキャロットという幅広いラインナップで掘り起こした女性層の需要を手厚くカバーした。

1980 TOWNY(MJ50)
男のためのファミリーバイク。

TOWNY(MJ50)

TOWNY(MJ50)

TOWNY(MJ50)
ここがポイント!
大人の男のバイクだから迷うことなくシャフトドライブ。しかも黒塗り。

TOWNY(MJ50)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:2.8ps/6000rpm●最大トルク:0.4kg-m/3500rpm●全長×全幅×全高:1600×660×1050mm●車両重量: 53kg●発売当時価格:89,800円

パッソルやキャロットなどは女性層をメインターゲットとしていたが、30代の男性用にということで開発されたのがタウニィ。直線基調のデザイン、大型のシートでフロントは当時流行の16インチ、駆動はシャフトドライブ。イメージキャラクターは渡辺貞夫さんで、工事現場のおじさんとの掛け合いCM「いいなこれ」「いいでしょこれ」が話題(某カップ麺CMにも工事現場のおじさん風の人とタウニイが登場し「いいなそれ」と言っていた)となった。グッドデザイン賞を受賞をしている。初期生産車以降はシートロックが追加された。

1981 BELUGA(CV50E)
白イルカをイメージした高級志向スクーター。

BELUGA(CV50E)

BELUGA(CV50E)

BELUGA(CV50E)
ここがポイント!
それまでチープ感ぷんぷんであったスイッチ回りを一新し、使いやすく見た目もすごくカッコ良くなった。

BELUGA(CV50E)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:3.8ps/6000rpm●最大トルク:0.57kg-m/4500rpm●全長×全幅×全高:1745×670×1050mm●車両重量: 81kg●発売当時価格:89,800円

大柄なフルカバードボディにゆったりとしたシート、セル標準装備、雑誌がスッポリと入るフロントラック、大型のリアキャリアなど、高級志向な大人のスクーター。’82年にはキー付きフロントトランク、透過式メーターの上級車ベルーガDも追加された。二人乗りが出来る80モデルも用意された。イメージキャラクターはタウニィとともにナベサダさん。

1981 Pasetta(SB50E)
ターゲットはヤングレディ。

Pasetta(SB50E)

Pasetta(SB50E)

Pasetta(SB50E)
ここがポイント!
剥き出しの細い2本サスに比べとっても近未来的に見えたセンタークッション。フィギュアスケートのイメージ?

Pasetta(SB50E)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:3.6ps/6000rpm●最大トルク:0.38kg-m/4000rpm●全長×全幅×全高:1515×610×935mm●車両重量: 50kg●発売当時価格:83,000円

大柄なベルーガに対し、軽快なデザインで若い女性層をメインターゲットに開発されたパセッタはセンタークッション式のリアサスが特徴。名前やライト回りのデザインから解るようにパッソルの上級モデルに当たり、カタログコピーは「パッソルのキュートな妹」。イメージキャラクターはフィギアスケートの渡辺絵美さんが務めた。

1982 Popgal(MS50E)
浮気なあの娘は〜♪

Popgal(MS50E)

Popgal(MS50E)

Popgal(MS50E)
ここがポイント!
メーター横にバイク史上初(たぶん)のバニティミラー。「バックミラーでいいじゃん」という男は、モテないんでしょうきっと。

Popgal(MS50E)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:3ps/6000rpm●最大トルク:0.42kg-m/4000rpm●全長×全幅×全高:1600×675×990mm●車両重量: 58kg●発売当時価格:112,000円

マフラーやタンクなどいい雰囲気を出している2速オートマチックミッションのイカしたミニチョッパー。その正体は名前が示すようにアクティブな女性に向けて発信されたニューモデル。化粧品会社とのタイアップで、化粧品のCMと歌詞がちょっとだけ違う「浮気なあの娘は〜♪」の曲を憶えてる方も多いのでは。

1983 JOG(CE50E)
3拍子揃った原付スクーターの革命児。

JOG(CE50E)

JOG(CE50E)

JOG(CE50E)
ここがポイント!
ボディ一体型のフロントフェンダー。今思えばなんてことないかもしれないが斬新でカッコいい。

JOG(CE50E)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:4.5ps/7000rpm●最大トルク:0.54kg-m/5500rpm●全長×全幅×全高:1555×605×965mm●車両重量: 52kg●発売当時価格:99,000円

フロントフェンダー一体型の軽快なデザインに軽量なボディ、パワフルな4.5馬力エンジン、さらに10万円を切る価格と3拍子揃ったJOGは、ファミリーバイク=おばちゃんの足というイメージを根底から覆し、スクーターに見向きもしなかった層を掘り起こすことに成功、パッソルに続く大ヒット作となった。その後バリエーションモデルも多数作られ、本体もモデルチェンジを繰り返し、誕生以来途切れることなく現行モデルへと続いている。

1984 Cute(CN50E)
ちょうどいい。すべてがお手頃。

1984 Cute(CN50E)

1984 Cute(CN50E)

1984 Cute(CN50E)
ここがポイント!
お手頃と手抜きは違う。見よフロントに輝くYAMAHAの切り抜きを!

1984 Cute(CN50E)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:4ps/7000rpm●最大トルク:0.52kg-m/4500rpm●全長×全幅×全高:1505×620×960mm●車両重量: 39kg●発売当時価格:79,800円

8万円を切る廉価版スクーターと思われがちだが、手頃な大きさに軽量な車体、きびきび走る4馬力のエンジンに、取り回しが簡単に出来る39kgという軽量な車体、そして納得のプライスと、すべてが手の内感覚でかしこい女性層から支持を受けた。

1985 TRY(CP50E)
JOGのようでJOGじゃない。

1985	TRY(CP50E))

1985	TRY(CP50E)

1985	TRY(CP50E)
ここがポイント!
ズバッと鋭いリアビュー。他のスクーターにはないトライだけのオリジナルデザイン。

1985	TRY(CP50E)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:5ps/7000rpm●最大トルク:0.55kg-m/5500rpm●全長×全幅×全高:1540×610×965mm●車両重量: 52kg●発売当時価格:99,800円

フロントフェイスはJOG顔だが、大胆に斜めにカットされたリアと、JOGの流用ではない別物の5馬力エンジンが特徴的なトライ。JOGより軽量なのも自慢。リアキャリアも車体に合わせて斜めに装着されていたが、マイナーチェンジ後は水平に装着されている。

1985 box’n(CQ50E)
目の付けどこが、さすがヤマハ。

BOX'N(CQ50E)

BOX'N(CQ50E)

BOX'N(CQ50E)
ここがポイント!
もっこりとしたリアビュー。そういえばテレビCMではプール脇までボクスンで乗り付けたビキニ美女の美尻アップが目に強く焼き付いた。

BOX'N(CQ50E)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:5.8ps/7000rpm●最大トルク:0.61kg-m/6000rpm●全長×全幅×全高:1640×630×960mm●車両重量: 61kg●発売当時価格:139,000円

原付のヘルメット着用義務化に合わせるように登場した、シート下に初めて大容量収納スペースを設けたのがボクスン。エンジンはパワフルなチャンプ系がベースで5.8馬力。純粋なシート下ではなく収納スペースをリアに延長したスタイルのバランスが悪かったのか、革命児ボクスンは後輩に思想を託し、カラーチェンジすら受けることなく一代限りで引退してしまった。

1986 Mint(SH50)

キュートの進化系。

1984 Cute(CN50E)

1984 Cute(CN50E)

1984 Cute(CN50E)
ここがポイント!
デラックスにはキー付きトランク。スタンダードモデル+13,000円でセルとトランク付のカスタムになるお買い得感。

1984 Cute(CN50E)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:4.3ps/6000rpm●最大トルク:0.54kg-m/5500rpm●全長×全幅×全高:1500×620×965mm●車両重量: 47kg●発売当時価格:83,000円

手頃なサイズと手頃な価格で人気のあったキュートの後継モデル。セル付きデラックス(SH50E)や、写真のフロントキー付きトランク標準装備のカスタム(SF50ED)の3モデルがあり、カラーは全8色と豊富なラインナップ。1990年代まで販売された息の長い隠れた人気車だった。

1988 BW’S(CW50)
さらに目の付けどこが、さすがヤマハ。

1988 BW'S(CW50)

1988 BW'S(CW50)

1988 BW'S(CW50)
ここがポイント!
ワンタッチで開閉できるヘルメットホルダー。ちょっとヘルメットを置くときなど今でもあると便利。コンビニフックのご先祖か。

1988 BW'S(CW50)

●エンジン:空冷2ストローク単気筒●総排気量:49cc●最高出力:6ps/6500rpm●最大トルク:0.67kg-m/6000rpm●全長×全幅×全高:1735×630×1030mm●車両重量: 65kg●発売当時価格:149,000円

パッソル、JOG、ボクスンとスクーター革命児を次々に開発したヤマハが次に目を向けたのがオフロード。もちろん本格的なオフロードモデルではないものの、ビッグ&ワイドタイヤ、長いストロークのサス、デュアルヘッドライトなどで雰囲気は満点。根強い人気があり、海外では100ccモデルもラインナップ。また国内では新型となり復活している。

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