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スズキ
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こちらの動画が見られない方、もっと大きな画面で見たい方は、YOUTUBEのサイトで直接どうぞ。「http://youtu.be/WFYVCPKtxyY」 お待ちかね、V-Strom1000 ABS国内仕様を試乗しました。
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 先代V-Strom1000は2002年に発売され、2007年に一度だけマイナーチェンジを受けたが、フルモデルチェンジは今回が初となる。TL1000から受け継がれるスズキ伝統の水冷90度Vツインエンジンは今回、ボアのみ2mm広げることでボアXストロークを100X66mmとして、996cc→1036ccまで拡大されている。当初は996ccのまま開発が進められ、新たに排気管を設計し直すなどの工夫を重ねるも目標とするパワーをクリアすることが出来ず、わずか40ccではあるが、排気量拡大に踏み切ることで低中速域での強化を図り、目標を達成。

「欧州の様々な道を実際に走ってテストを繰り返し、移動の道具としての万能性、バランスの高さを追求しています。結論として、毎日の足として使っていただくにはやはり、軽量・コンパクトこそが重要であり、1000ccを基本に磨き上げることに決定しました。十徳ナイフと同じで、要は万能性こそが鍵なんです」(商品コンセプト担当=スズキ株式会社・二輪商品企画部・商品企画課:寺本雅規さん)

 ブラッシュアップされたVツインエンジンは13%の軽量化と剛性が33%高められた新設計アルミ・ツインスパーフレームに搭載。従来モデルに対してスイングアームを36mm延長し、ホイールベースを20mm伸ばしながらフロントアクスルからスイングアームピボットまでの距離を963→957mmに短縮することで理想的な前後重量配分を実現。同時にハンドルバーを34mm後方に、フットレストを15mm後方とすることで余裕のあるライディングポジションも両立しているという。

 最初に「熱い思いを持って」と書いたが、実は新型V-Strom1000 の開発にあたり、スズキの竜洋テストコース内に新たに作られたハンドリング路で徹底的に鍛え上げられたという。

「これぞ “アルペンマスター”と呼ばれる究極の一台を造るためにはどうしても必要でした。『テストコースがクルマを造る』とはよく言われることですが、まさにその通りで、オールマイティさ、いわゆる万能性を極めることにこそ勝ち目がある。乗っていただければわかると思いますが、とにかくニュートラルで軽快なハンドリングはライバルの一歩上を行くと自負しています」(ハンドリング担当=佐藤省吾さん)

 開発陣が力を込める“究極のアルペンマスター・ハンドリング”、ここまで自信たっぷりに言われるとこちらもそれならとかなり意気込んでの試乗となる。まず1036ccとされたVツインエンジンは、たかが40ccアップとは思えないほど元気! 装備で228kgとライバル勢に較べて20~50kgも軽く仕上げられ、発進が楽なだけではなく、スタートから増大したトルクのおかげでスピードのノリも抜群。なによりVツインエンジンらしい鼓動感を演出する一方で、不快な振動が徹底的に抑え込まれ、走行中の疲れが最小限に留められるのは嬉しいところ。ただし、パワーだけなら排気量に勝るライバル勢には及ばないものの、扱いやすさは一級品!! Vツインエンジンの躾けの良さもあり、自分が思っている以上にスピードが出ていてメーターを見て驚いたほど。例えるなら、先に発売され人気を博しているV-Strom650の万能性をワンランクアップしたようとでも言えばいいだろうか。パワーがあり過ぎてもアクセルワークに気を遣うばかりで気が休まる暇もないが、V-Strom1000の場合はまさに好い加減なのである。

 軽量・コンパクトさが売りの『スポーツ・アドベンチャー・ツアラー』を標榜するハンドリングだが、これまた期待を裏切ることのない走りを見せてくれる。試乗コースは気持ちいい中速コーナーが続く箱根ターンパイク、ここではまさに水を得た魚。アドベンチャーモデルらしくフロントのタイヤサイズは19インチだが、ターンインはスムーズそのもの。ワイドなハンドルバーを押さえ込むように寝かせて行くと、いかにも剛性の高そうなガッチリした車体の恩恵もありカラダをそのまま預ければニュートラルに旋回してくれるのだ。何も気を使わずバイク任せ、そんな自然なハンドリング。

 これで価格は140万4000円。ライバル勢に較べて30~100万円近くコストパフォーマンスに優れ、車体も軽いが財布にも優しいメリット大! 80年代に活躍したDR-BIGをモチーフとしたクチバシ状のフロントフェンダー、そしてGSX-R1000をリスペクトする縦2連のヘッドライトなどスズキオリジナルを全面にアピールしながらも奇をてらわないスタイリングは好感が持てるもの。スズキでは年間目標を500台に設定しているが、V-Strom650の人気を考えると案外控えめな気も……。

(試乗:アン・ジョー)

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試乗者の身長は175cm。シートに座って腕を伸ばした先にハンドルがあり、実にリラックスしたライディングポジションを取ることが出来る。そのまま足を下ろすとかかとがわずかに浮くものの、足つき性としては良好な部類。オプションで用意されるローシートを使用すれば30㎜低くなるので両足べったり。ハイシートも用意され、こちらに替えれば34㎜高くなり、相当身長の高いライダーにも対応する。
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従来モデルに対してスイングアームを36mm延長したことでホイールベースも20mm伸びているが、フロントアクスルからピボット位置までは963→957mmへ6mm短縮され、前後の重量配分を最適化し、ハンドリングを向上させている。 無段階調整式の倒立フォーク用ダンピングアジャスターとスプリングプリロードアジャスターを装備。リアサスペンションはダイヤル式のプリロードアジャスターが付くリンクレスのショックを採用。タンデム走行時や積載状況、走行条件に応じて調整可能だ。 フロントにはフルアジャスタブルタイプのφ43mmKYB製倒立フォークにトキコ製異径対向4ピストンモノブロックラジアルマウントキャリパー、310mmフローティングマウント方式のダブルディスクブレーキを装備。ABSも標準で搭載する。
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1036ccの水冷DOHC90度Vツインエンジンはピストン関係を含むシリンダー(ツインスパーク)、コネクティングロッド、クランクシャフト、6速ギアまで新設計とされる。FIシステムの導入と併せて出力で3PS、燃費も18.0→20.9km/Lまで向上。
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ヘッドライトは小型ながら従来同等の配光性を持たせたGSX-Rやハヤブサにも使用される縦型2灯式を採用。ハイビーム12V65W、ロービーム12V55W、ポジションライト12V5W。DR-BIGを彷彿とさせるクチバシ形状のフロントフェンダーはデザインの要。 メーターパネルはアナログタイプのタコメーターと、デジタル式スピードメーターのコンビ。液晶インジケーターはオド/ツイントリップ/ギアポジション/水温/外気温/電圧/航続可能距離/平均燃費/瞬間燃費/燃料計/時計。メーター下にはDC12Vソケットを配置。 開発陣が「天才的!」と自慢するラチェット式(特許出願中)のフロントスクリーンを採用。手で前方に押すだけで角度を3段階に調整可能という容易さは確かに画期的。ボルト位置の変更により高さも3段階(+15/30mm、)に調整が出来る。
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フューエルタンク容量は20L。従来モデルに較べて2L減ったが燃費が向上したため航続可能距離ではむしろ伸びているという。ハンドル位置が34mm、フットレスト位置が15mm後方に下げられ、ライディングポジションを改善。シートは、ニーグリップ部が絞り込まれたことで足つき性も向上している。 アドベンチャーモデルとしてはシート高850mmと平均的だが、オプションでローシート(-30mm)、ハイシート(+34mm)を選ぶことが出来る。シートを外すと後部に容量こそ少ないものの積載スペースが用意され、ここにETC等の取り付けが可能。 ウインカーは一般的な12V21Wバルブだが、テールランプ、ナンバープレートランプは最新モデルらしくLEDタイプとされる省電力設計。シート後部からリアキャリアにかけて面一化され、積載時の利便性を高める工夫が施されている。最大積載量10kg。
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オプションとして防風効果を高めるロングスクリーン(1万9440円)、サイドケース(9万1584円)、フルフェイス1個が収納可能なトップケース(6万4152円)のほか、グリップヒーターやLOW/HIシート、センタースタンド、アンダーカウリングなどが用意される。
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●V-Strom1000 ABS 主要諸元
■型式:EBL-VU51A■全長×全幅×全高:2,285×865×1,410mm■ホイールベース:1,555mm●最低地上高:165mm■シート高:850mm■車両重量:228kg■燃料消費率:国土交通省届出値、定地燃費値29.0km/L(60km/h)、WMTCモード値20.9km/L(クラス3-2)■燃料タンク容量:20.0L■エンジン種類:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ■総排気量:1,036cm3■ボア×ストローク:100.0×66.0mm■圧縮比:11.3■燃料供給装置:フューエルインジェクション■点火方式:フルトランジスタ式■始動方式:セルフ式■最高出力:74.0kw[100PS]/8,000rpm■最大トルク:103.0N・m[10.5kgf]/4,000rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):油圧式ダブルディスク × 油圧式シングルディスク(ABS付)■タイヤ(前×後):110/80R19 M/C 59V × 150/70R17 M/C 69V■懸架方式(前×後):倒立テレスコピック × スイングアーム■フレーム:ダイヤモンド(アルミツインチューブ)
■車体色:キャンディダーリングレッド、パールグレッシャーホワイト、グラススパークルブラック。
■メーカー希望小売価格:1,404,000円(本体価格1,300,000円)。6月4日発売。


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