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 昨年の東京モーターショーで公開されたスーパーチャージャー付エンジン。コンセプトの展示品としては、それほど驚く存在でもなかったが、実際にそのエンジンは、マシンにも搭載され開発は着々と進められていたのだ。これほど早く市販車として陽の目を見るとは思ってもいなかった、という方が多いのではないだろうか。

 ただ、東京モーターショー以降のカワサキWEBサイトによるティーザー活動をしっかりと追っていた熱狂的なカワサキファンにとっては、待ちに待った発表!の感が強いのでは。それはともかく、海外からはEICMA2014ミラノショーの数々のニューモデルの話題も伝わってきていた11月4日、カワサキは遂にスーパーチャージャー付市販車「Ninja H2」と、それをベースとしたサーキットマシン「Ninja H2R」の発売を正式に発表した。(EICMA2014ミラノショーのレポートはコチラ)。

 ちなみに公道仕様マシンの「Ninja H2」が25,000USドル、レーサーの「Ninja H2R」が50,000USドル(いずれも海外仕様のみで国内発売は未定)。そして今年の12月24日までに予約受注し、それをもって生産台数とされるのだとか。出力はおおむね予想されていたとおり「Ninja H2」が200馬力、「Ninja H2R」が300馬力と発表された。

Kawasaki Ninja H2

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搭載される直列4気筒、998ccエンジンは、スーパーチャージャーを装着することを前提に開発された専用エンジン。一般のノーマルアスピレーション・エンジンとは、様々な部分で特性が異なるそうだ。そしてそのエンジンに組み合わされたスーパーチャージャーは川崎重工ガスタービン・機械カンパニー、航空宇宙カンパニー、そして技術開発本部との協働により設計された「全てを自社設計、開発とすることで、モーターサイクルのエンジン特性に合わせた高効率なスーパーチャージャーが実現した」という。
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シリンダー背面にレイアウトされたスーパーチャージャーは、高回転化に有利な遠心式が採用されている。 インペラの駆動に遊星ギアを採用することで出力損失の最小化と、機構のコンパクト化が図られた。 通常のステップアップギアで1.15倍に加速された後、遊星ギアで8倍に。エンジンが14,000rpm時は実に130,000rpmに増速されるという。 直径69mm、12枚のブレードを持つインペラ。圧送能力は、200リットル/秒、吸入気のスピードは秒速100m、その時の圧力は大気圧の2.4倍に。
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一見すると大きな特徴のない直列4気筒エンジン。しかしそのパワーユニットにはゼロから開発されたスーパーチャージド・エンジンならではの技術が満載だ。
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過給器付エンジン特有のフラットトップピストンを採用。燃焼室の形状も高出力に対応させた形状。川崎重工のガスタービン・機械カンパニーのアンチノックテクノロジーを導入。 一般的な鍛造ピストンよりも、高温域での特性に優れるという鋳造ピストンを採用。裏面の精密な肉抜きなどのためでもある。 最先端のレーシングマシンで採用されているドッグリングトランスミッションを採用。ギアをスライドさせずドッグリングの移動のみにより軽い操作性の実現とシフトの時間も短縮。
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あえてインタークーラーを装着せず、代わりに効率の良いラムエアインテークと6リットル容量のアルミのインテークチャンバーで吸気温度をコントロール。 インテークチャンバーは、一般的な樹脂製ではなくアルミ製としたことで、放熱性も期待でき、剛性が高くなるためスーパーチャージャーによる約2気圧の加圧に耐えられる。 吸気ファネル上部に配置されたステンレス製の“ファネルネット”はその上に位置するトップインジェクターからの燃料を受けて均一化を促進、さらに霧化を促進することで吸入気の温度も下げる。
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シリンダーヘッドのデュアルエキゾーストポートに合わせてヘッダーパイプをオーバル形状としている。オーバルから正円へと曲がりながら変形する形状はハイドロフォーミング製法で対応。 エンジンをコンパクトかつシンプルな構造とするにあたって、エンジンオイルを使用してエンジン各部、スーパーチャージャー、トランスミッションを冷却している。 フレームは走行中の外乱からくる衝撃をしなやかに“いなし”減衰させるトレリスフレームを採用。スーパーチャージドエンジンの高出力を受け止めつつ、ハイスピードライディングに必要な「柔と剛」を高次元でバランス。
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リアには、カワサキ量産車初の片持ち式スイングアームを採用。バンク角を稼ぐとともに、重量物であるマフラーを車体センターに近づけている。 フロントには、モトクロス競技用に開発されたエア・オイル・セパレートカートリッジフォークをベースとし、オンロード向けに開発された「KYB AOS-Ⅱ」φ43mmフォークを採用。 リアサスユニットは上部をスイングアームマウンティングプレートに、下部はリンクを介しスイングアームにマウントしている。
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φ330mmのフロントブレーキは、ブレンボのセミフローティングディスクを採用し、キャリパーもブレンボラジアルマウントモノブロックタイプ。ディスク外縁の中央部に溝を設けて放熱効果を高めている。 キャストアルミホイールはNinja H2の特性に合わせ特別に設計した専用品。強度解析により最適な剛材バランスを求めた結果、星形5本スポークのオリジナルデザインに。 いかに強大なトルクを発生するか、彷彿させてくれるリアホイールリムの内側に付けられたローレット(滑り防止溝)加工。
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速度域や加減速の状態に合わせて最適な減衰力を発生させることが出来るオーリンズのエレクトロニックステアリングダンパーを採用。 近年のスーパースポーツモデルのトレンドといえるフロント側に前傾したスタイルとは一線を画すNinja H2/H2R。これはトップスピードを追求することに、よりウェイトを置いたNinja H2/H2Rでは進行方向に対し逆らわない水平に近いデザインとしたという。 高速走行時における安定性とコントロール性を向上させるため、いくつもの空力デバイスが採用されている。アッパーカウル下部はチンスポイラー形状としダウンフォースを発生さている。中央で誇らしげに輝く川崎重工の「リバーマーク」。川崎重工の製品の中でも総力を挙げて開発を行った証しだ。
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公道仕様のNinja H2ではNinja H2Rで整流板の位置にミラーを配置した。最先端の流体解析技術を有する航空宇宙カンパニーの技術も生かしてミラーステーは翼断面にしている。 フルデジタルのLCDによるインストルメントパネル。タコメーターはアナログ式。エンジン回転数を表す文字盤の数字は、通常は消灯状態でメーター針に合わせて浮かび上がる様に点灯する。 ハンドル、シート、ステップによる3点の位置はZX-10Rよりも若干リラックスしたポジション設定に。シートはシングルのみで強烈な加速に対応するヒップサポートパッド付。
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LEDストップランプの脇に配置された“面発光”タイプのリアポジションランプ。LEDリアウインカーも面発光タイプでハイクオリティなイメージに。 照度が高くコンパクトなLEDヘッドライトをアッパーカウル下部に配置。「インテンスフォースデザイン」を表現している。 H2シリーズのために特別に開発された“銀鏡塗装”を採用。光の反射率が高く高品質な外観を得られるこの塗装は、H2の造形美を一層引き立たせている。
■Ninja H2 主要諸元■
●全長×全高×全幅:2,085×770×1,125mm、ホイールベース:1,455mm、最低地上高:130mm、シート高:825mm、車両重量:238kg、燃料タンク容量:17リットル●エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ、排気量:998cm3、内径×行程:76.0×55.0mm、圧縮比:8.5、燃料供給方式:フューエルインジェクション(φ50mm×4)、過給器:遠心式スーパーチャージャー、点火方式:バッテリー&コイル(トランジスタ点火)、始動方式:セルフスターター、潤滑方式:ウェットサンプ●トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン、クラッチ形式:湿式多板●フレーム形式:トレリス、キャスター:24.5°、トレール:103mm●サスペンション:前・φ43mm倒立フォーク(減衰力、プリロード調整付)、後・ニューユニトラック(ガス封入式、減衰力、プリロード調整付)●ブレーキ:前・φ330mmセミフローティングディスク+4ピストンキャリパー、後・φ250mmシングルディスク+2ピストンキャリパー。


Kawasaki Ninja H2R

 公道仕様の「Ninja H2」とレーサーの「Ninja H2R」のメカニズム的な違いはそれほど多くない。目に付くのは外装のカウル周りで「Ninja H2R」の方が背の高い“トールウインドスクリーン”を採用(最高速チャレンジに)。そしてフロントカウル、アッパーカウル、ロアウイング、カウルインナーパネル、エアダクトをCFRP製に変更。デュアルラムエアインテークの採用。メカニズム面では、ハイリフトカムシャフトの採用、圧縮比を0.1変更、クラッチプレートの組数を増加するトルクに合わせて9組から10組に。そしてチタニウム製エキゾーストシステム、ストレート構造メガホンスタイルサイレンサーの採用。KIBSのオフ設定が可能に。レース専用スリックタイヤの採用など。

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フェアリング周りをCFRP製に変更。 公道仕様ではミラーが組み込まれた位置には、Ninja H2Rでは特徴的なウイングが備わっている。 公道仕様のNinja H2では廃止されているボディサイドウイング。フラップ形状を採用。
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チタニウム製エキゾーストシステム、ストレート構造メガホンスタイルサイレンサーを採用。 圧縮比はNinja H2の方が0.1高い。過給エンジンでは圧縮比はより重要な要素に。 ラムエアダクトもデュアルのCFRP製に。
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