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ヤマハ
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 日本自動車工業会発表の最新データによると、国内の新車購入層の平均年齢は約51歳だそう。これはつまり、若者は新車を買わないということだが、ヤマハのYZF-R25を買っている中心層は平均年齢30歳前後だそう。「あれ、おかしくない?」と誰もが思うはず。
 
 聞くところによると、高齢化が進んでいることは事実として、若者のバイク離れも確かにあるのだろうが、それよりも若者が好みそうなモデルがこれまで少なかった事のほうが問題なのではないかという意見もある。実際、YZF-R25は発売と同時にその若者を中心として売れて大ヒットしているのがその証。
 
 極端なことを言えば、スタイリッシュな格好のいいバイクであれば売れるということ。もちろん、そこには性能に優れ、コストパフォーマンスが高いという注釈が付くのだが、それを形にしたのがつまり、YZF-R25となる。
 
 ということは、逆に平均年齢約51歳のオジさん達にとってYZF-R25はどう映るのだろう……。当然、オジさんだってカッコイイほうが好きに決まっている。80年代のあのレーサーレプリカブームを経験してきた年齢なのだから、もしかしたら若者以上にデザインには固執するかもしれない。しかし、あれから30年が経ち、オジさんライダーにとってはフルカウルにセパレートハンドルのバイクは乗りたいけれどさすがにちょっとポジションが疲れる。そんなオジさん世代に最近ヒットしているのがヤマハMT-09でありMT-07。2014年4月にMT-09を発売してそのまま年間ベストセラーを取り、同じく8月に投入したMT-07がこれに続く2位。
 
 ヤマハが狙っているのはズバリ、ここだ! 250ccクラスでは2014年12月の発売と同時にYZF-R25が圧倒的強さを発揮して8ヵ月連続トップをキープ中だが、それまで圧倒的に売れていたのは同じヤマハのスクーター、マジェスティS。その250ccクラスに今回、新たに投入されたのがMT-25であり、400ccクラスにも兄弟車のMT-03を同時発売した。
 
 若者メインのマーケットはYZF-R25で対処して、今回はMT-25でオジさんたちを捕まえようという算段だ。しかもR25より価格で約3~8万円(ABS無しで33,200円、ABS仕様なら76,400円の差)ほど安い設定としてきた。これだけの条件が揃ったら、よほど性能的に不満がない限りほぼヒット確実と言っても過言ではないのではないだろうか。
 

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YAMAHA MT-25。ライダーの身長は170cm。(※写真上でクリックすると両足時の足着き性が見られます)
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YAMAHA MT-03。ライダーの身長は170cm。(※写真上でクリックすると両足時の足着き性が見られます)
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 ということで、まず最初に朝から降り続けた雨で黒く輝く路面にMT-25でコースイン。できれば晴れた日に乗りたいものだが仕方がない。かなり憂鬱な気分で周回を始める。ところが1周目を終え、2周目に入るやもうほとんど路面が濡れていることを忘れるくらいの勢いでコーナーに進入する自分に驚く!
 
「これってMT-09のときと同じかも…」
 そう、ハンドリングに関して言えば、あらゆる状況下において素直で従順、且つ乗り手の意思通り忠実に反応するハイレベルな操縦性を披露してくれるのだ。雨天でも不安を最小限に抑えてくれるMT-09譲りの懐の深さを確実に継承していることを確認した。
 
 エンジンに関しては基本的にYZF-R25と共通で、公道上で走らせる分には十分パワフル。ただし、ある程度レーシング走行も可能な今回のようなサーキットに準じるコース設定のサイクルスポーツセンターではトルクの細さが顕著に感じられ、常に高回転域を使う必要があるだけに精神的疲労が大きいかもしれない。
 
 そんなややピーキーさを感じさせるMT-25に対してぐっと大人の走りを見せるのがMT-03。これまたYZF-R25に乗った後、R3に乗り換えて走り出した瞬間に感じたのと同様、「これこそ理想の一台!」と思わせるだけの資質があると思う。
 
 なにしろ排気量では約70cc違いがあるものの、MT-25もMT-03も車体重量は全く同じ165kg。数値的にはたったの6馬力、0.7kg-mのトルクが上乗せされただけなのだが、車体の軽さもあってこれが想像以上に走りの差を生み出している。
 
 自分のライディングスキルの低さを棚に上げてインプレを書くのは気が引けるが、一般ライダーである自分がサイクルスポーツセンターで走らせるとMT-25もMT-03もほとんど同じタイムを刻むのが面白い。もっともその内容はかなり違いがある。MT-25で高回転域を使い、必死で走るタイムをMT-03ならそこまで回さずとも余裕を持って追いかけることが可能なのだ。おそらく同じ技量のライダー同士ならMT-03のほうが有利で、この両車の間にはそのくらいパフォーマンスの違いがある。いかに70ccの差が大きいか、あらゆる場面でゆとりを持ってライディングでき、結果として疲れず速いなどメリットばかりなのだ。ただし、本体価格で3万円、そして車検の有無もあって維持費的には圧倒的にMT-25が有利だが、その差を埋めてお釣りが来るくらいMT-03も魅力的だと思う。
 
(試乗:アンジョー)
 

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YAMAHA MT-25

若者の1台目のモデルとして、リターンライダーもターゲットに
コンセプトは“大都会のチーター”

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YAMAHA MT-25。φ41mmインナーチューブを採用したフロントサスペンション。 YAMAHA MT-25。YZF-Rシリーズと共通のベースを持つエンジン。鍛造ピストン、オフセットされたDiASilシリンダーなどの特徴も継承。 YAMAHA MT-25。サブフレームが付いたロングスイングアームにモノクロスサスもYZF-Rシリーズと共通。
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YAMAHA MT-25。コンセプトの“チーター”の目をイメージさせるLEDポジションランプを採用。 YAMAHA MT-25。タコメーターとシンプルながら多機能のマルチファンションメーターを採用。 YAMAHA MT-25。YZF比で手前に約19mm、上方に約39mmアップ。ライダー寄りのアップライトなポジションに設定。
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YAMAHA MT-25。カラーは、MT-25、MT-03共通でマットシルバー、ブラックメタリック、レッドの3色。 YAMAHA MT-25。左右別体式のアルミダイキャスト製アシストグリップを採用。握りやすさ、質感、そして凝縮感のあるボディを印象付けている。(シート写真の上でクリックするとタンデムシートを外した状態が見られます)

 
YAMAHA MT-03

余裕の320cm3エンジン搭載で
MTシリーズの“Torque & Agility”をより明確に

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YAMAHA MT-03。ブレーキは、フローティングマウントのシングルディスクに2ポッドキャリパーの組み合わせ。 YAMAHA MT-03。DOHC直押し式4バルブエンジンは、250のボア60.0mm×ストローク44.1mmに対してボアを68.0mmに拡大して排気量320cm3にアップ。 YAMAHA MT-03。左右非対称の573mmロングリアアーム。中空アクスルシャフト採用。
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YAMAHA MT-03。ヘッドライトは1灯式H4ランプを採用。 YAMAHA MT-03。MT-25の14,000rpmからのレッドゾーンに対して、MT-03では12,500rpmからレッドに。 YAMAHA MT-03。俊敏さを印象づける樹脂製タンクカバーの下に14リットル入り燃料タンクが存在する。
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YAMAHA MT-03。特徴的な燃料タンクカバーからエアシュラウドに繋がるデザインがMT-25/MT-03の特徴の一つ。 YAMAHA MT-03。タンデムシート下にはETC等を取り付けられる若干のスペースが。(シートの写真の上でクリックするとシートを取り外した状態が見られます)
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■YAMAHA MT-25(JBK-RG10J)〈MT-03(EBL-RH07J)〉主要諸元

●全長×全幅×全高:2,090×745×1,035mm、ホイールベース:1,380mm、最低地上高:160mm、シート高:780mm、車両重量:165kg●エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒DOHV4バルブ、総排気量:249〈320〉cm3、ボア×ストローク:60.0〈68.0〉×44.1mm、最高出力:27kW[36PS]/12,000rpm〈31kW[42PS]/10,750rpm〉 、最大トルク:23N・m/10,000rpm〈30N・m/9,000rpm〉、燃料供給:F.I.、始動方式:セルフ式、燃料タンク容量:14L、燃費:定地燃費値33.5km/L〈34.6km/L〉、WMTCモード値26.2km/L〈26.2km/L〉、変速機形式:常時噛合式6段リターン式●タイヤ(前+後):110/70-17M/C+140/70-17M/C、ブレーキ(前+後):油圧式シングルディスク+油圧式シングルディスク、懸架方式(前+後):φ41mm油圧式テレスコピック+アルミスイングアーム(モノクロスサス)、フレーム形式:ダイヤモンド
■カラー:マットシルバー1(マットシルバー)、ブラックメタリックX(ブラック)、レッドメタリック7(レッド)の3色
■メーカー希望小売価格:523,800円〈556,200円〉


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