- 約30mmの無段階調整が可能なアジャスタブルウインドスクリーンを搭載。スクリーン前部2ヵ所のノブを操作することで、工具を使わずに好みの高さに調整することが可能。個性的な顔は左右につながるサイドフェアリングとともにライダーに当たる風を軽減し、快適性の向上に貢献している。
- ※スタートボタン通すと、KAWASAKI Versys1000の動画を見ることが出来ます。見られない場合はYouTubeのサイトで直接ご覧ください。http://www.youtube.com/watch?v=2P3xG3agKqE
開発のポイントは、1,043cm3インラインフォアエンジンを搭載する軽量アルミツインチューブフレーム、ロングストロークサス、スポーツ走行も可能とする前後17インチホイール、あらゆるコンディションに対応する3モードKTRC、そしてアップライトなライディングポジションに、快適な走行を可能とするアジャスタブルウインドスクリーンや大型リアキャリア採用など。
まずはフレームとエンジン。フレームとエンジンは基本的にZ1000をベースとしているが、走りのフィールドの違いに配慮した大幅な変更がいくつか行われている。
ステアリングヘッドパイプ部と、C断面形状を持つ左右メインチューブ、2本のクロスパイプからなる5ピース構造のアルミダイキャスト製ツインチューブフレームは、ヘッドパイプ周りを中心に補強が行われた。またリアアクスル部分なども剛性バランスの見直しが行われている。エンジンハンガーパイプも強化された。
水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブエンジンは、ピークパワーを若干減らし、低中回転域でのパワーを強化、最高出力、最大トルクともZ1000より低い回転数で発生させている。最高出力は86.8kW(118PS)/9,000rpm、最大トルクは102N・m(9.8kgf-m)/7,700rpm(ともに欧州、オーストラリア、東南アジア仕様値、フランス仕様は約1割ダウン)。ちなみにZ1000は、101.5kW(138PS)/9,600rpm、最大トルクは110N・m(11.2kgf-m)/7,800rpm(欧州仕様値)で、その他、圧縮比も11.8から10.3:1に変更。
カムプロフィールも吸気、排気側とも作動角とリフト量が下げられ、バルブ、バルブスプリングも専用設計となった。スロットル系も38mmに絞られている。ミッションのギア比もZ1000に比べ1速、2速ギアをショート化して荷物満載時も余裕の発進を可能とし、3速から6速は逆に高速巡航を考慮してロング化された。
足周りでは、KYB製の次世代フロントフォークといえるφ43mmの倒立フォークが採用されている。インナーチューブの内部にシリンダーを備えることで25mmの大型シリンダーを実現、大径ピストンにより安定したサスの動きを可能としている。ここら辺はさすがにオールラウンダーの走りを支えるべく、Z1000よりもさらに一歩進んだ足周りとなっている。
またそのシリンダー上部で充分な剛性を確保しているため、シリンダーそのものは壁厚を薄くできるようになりフォーク1セットあたり205gの軽量化も達成しているという。フォークのリバウンド側(上側)ダンパーとコンプレッション側(下側)ダンパーには通常のチェックバルブに加え、減衰力調整バルブ(サブバルブ)を装備。これによりオイルが逆方向に流れてしまった場合の一時的な減衰力の喪失を防止することが可能になり、より安定した減衰力特性を維持することが可能になっているという。
フロントのホイールトラベルは150mmを確保。同様に150mmのストロークを持つリアサスはショックユニットとリンケージをスイングアームの上部に設置する“ホリゾンタルバックリンクリアサスペンション”方式を採用。従来のユニ・トラックサスでは下側のリンケージがあった部分に大型のプレチャンバーを配置することが可能となっている。車体右側にオフセット配置こそされていないもののここら辺はVersysシリーズのDNAだ。
リアフレームを鋼管トレリス構造としたのもVersysシリーズのデザインを強く意識してのことだろう。このリアフレームによりパッセンジャーと荷物を満載しても余裕の220kgの積載容量を確保しているという。
個性的な顔つきもVersys一族のアイデンティティを引き継いでいる。しかもこのVersys1000ではウインドプロテクション性能をさらに高めるため約30mm、無段階で上下に調節が可能なアジャスタブルウインドスクリーンとなっている。特殊な工具等は不要で前部2ヵ所のノブを緩めるだけで簡単にスライドできる。
オプション設定のトップボックスとパニアケース搭載を前提にした大型の樹脂製リアキャリア(最大積載量6kg)も採用。
-
■Versys1000主要諸元■
全長×全幅×全高:2,235×900×1,405[1,430]mm、ホイールベース1,520mm、最低地上高:155mm、シート高:845mm、車両重量:239kg、燃料タンク容量:21L、水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ、排気量:1,043cm3、ボア×ストローク:77.0×56.0mm、圧縮比:10.3:1、燃料供給装置:F.I.+KEIHINφ38mm×4、点火方式:デジタル、始動方式:セル、潤滑方式:ウエットサンプ、最高出力:86.8kW(118PS)/9,000rpm (欧州、オーストラリア、東南アジア仕様)、最大トルク:102N・m(10.4kgf・m)/7,700rpm(同)、常時噛合式6段リターン、1速:1.627、2速:1.950、3速:1.529、4速:1.304、5速:1.136、6速0.958、一次減速比:1.627、二次減速比:2.867、フレーム形式:アルミツインチューブ、サスペンション前:φ43mm倒立テレスコピック、ホイールトラベル150mm、後:ホリゾンタルバックリンク(ガス封入式)、ホイールトラベル150mm、キャスター/トレール:27°/107mm、タイヤ:前120/70ZR17M/C 58W、後180/55ZR17M/C 73W。
[ ]内はフェアリングを最も上げた位置での値。
| ZX-14Rのページへ | ER-6n/ER-6f/Ninja 650のページへ | このページのトップへ | カワサキのサイトへ |