順逆無一文


日常坐臥

 我が家のファースト・マシン、Dio(AF34)の「シートが開かなくなった」とSOSが来た。どうやらご近所のプールの駐車場でいきなりシートが開かなくなってしまったらしい。まずいことに、というか日頃は盗難抑止で大変お世話になっているスタンドロックが付いているモデルだ。スタンドロックも当然掛けていた。

「シートを上から押しながらキーを回してみて」とか、「ちょっとシートをたたいてみて」とか、“原始的な手法”まで試してみてもらったが、やはり開かないという。

 そのまま駐輪場に置かせてもらって翌日見に行くことにした。多分ロックが引っ掛かってしまったのだろうから、あれこれ試せば何とか開くだろうとタカをくくってた。まあ、最悪でも台車で家まで運んきで(距離にして100mくらい)、テールランプ外して、あれしてこれして、ロックワイヤーを引っ張れば…2時間程度の作業か、などと胸算用。

 で、翌日。

 シートロックにキーを差し込んで…。回した瞬間、予想が見事に外れたことを悟ってしまった。キーは実にスムーズに軽く回るのだ。もちろんシートの方は開く気配が微塵もない。そう、最悪のケース。ロックワイヤーが切れたか、リンクから外れてしまっているのだろう。

 近所のバイク屋さんに頼む? となると出張料か引取料が必要。かといってバイク屋さんまでは台車などで運べる距離じゃない。それにキーの閉じ込みなどよりもよほど面倒な作業になるはずなので大層な工賃に。2万円コースか。

 というところでひらめいた。そういえばJAF会員だった! 最近のJAFは二輪も対応してくれていたことをすっかり忘れていた(2005年4月から二輪にも対応)。というより、最近は競技ライセンスのおまけ、程度にしか意識がなかったので、すぐには思い浮かばなかった。昔は国産車も頻繁に故障してくれて、それなりにJAFさんにはご厄介になっていたものですが。最近のクルマは滅多に故障しなくなりましたね。

 ちなみにJAFのロードサービスの出動理由別データ(2011年12月のデータ)によれば、過放電バッテリー(バッテリー上がり)での救援要請が全体の3分の1を超える勢いで、ついでキーの閉じ込み、タイヤのパンク、落輪(脱輪)、破損バッテリー(劣化含む)、事故、燃料切れなどが続き、故障と言えるのはほんのわずか、その後にスパークプラグ、発電機のトラブルやスターターの故障が出てくる。いやはやクルマは故障しなくなったものです。

 10年前はトップの座にあったのがキーの閉じ込みだったそうです。オートロックやキーレスエントリー車が普及してきたおかげで、こちらは急激に減少しつつあります。また、事故による出動要請も徐々に減る傾向に。任意保険に付帯するロードサービスが充実してきていることが理由でしょうか。

 また、二輪車のデータも公開されているので見てみると、トップはやはり過放電バッテリーで27.98%、2番目はクルマと若干異なりタイヤのパンクが14.09%と浮上、3位はキーの閉じ込み(ビッグスクーター多いですもんね)7.24%、そして事故が6.41%、破損バッテリー、燃料切れ、スパークプラグ、キャブレター機構、ハンドルロック、セルスターターの順だ。

 12月の1ヵ月で5,721件の出動要請に応えたという(クルマは12月データで244,677件と50倍近く。圧倒的だ)。1月のデータには、今回の1件がカウントされることでしょう。キーの閉じ込みということで処理されるのでしょうか。

 ちなみに通勤快速用のXLディグリーだったら、バイク保険に入っているので30kmまで無料で牽引してもらえたはず(JAFの無料サービスは15kmまで)。

 話が飛んでしまいました。

 で、さっそくJAFを呼んでホンダドリームさんまで運んでもらうことにする。「ちょっと出動要請がたて混んでますので」と説明されていた待ち時間の45分よりも若干早く、リフト付きレッカー車がやってきた。

 JAFから委託されているバイク屋さんだそうだ。駐輪場からレッカー車まで一人でいとも簡単に移動。ここでは書けないが、スタンドロックのかかっている原付スクーターの移動方法は、ちょっと目から鱗だった。

 Dioを積載したレッカー車をクルマで先導しながら? ホンダドリームさんまで約5km。もちろんJAFの費用は、サインをするだけで無料でした。

 ホンダドリーム店さんには連絡取らずで、いきなり持ち込んでしまったので、その日は置いていくつもりだったのだが、「ちょっと見てみますね」と、その場で見てもらえることになった。それからおよそ約30分もしないうち「シートロックへのケーブルが切れてましたよ」とメカニックさん。早い!

 やはり、見立てどおりシートロックへのケーブルが切れていた! 今回は下手に手を出さないで大正解。ケーブルが途中で切れてしまっていては、多分自分の手では半日かかっても開けられなかっただろう。

 悪戦苦闘もまったく無駄とは思わないが、結果が出ないで終わったはずの数時間を使わないで良かった。

 参考までに、シートロックの解錠代は工賃のみで2,500円也。自分でやって苦労することを考えると思った以上に安い、が実感だ。キーをメットインスペースに入れたまま閉じこめてしまう、といったケースなど良くあることだろう。出先でスペアキーは無い、が普通だし。

 それよりも、今回のようにキーはあってもスタンドロックが外せなくなってしまった場合、レッカー代や出張代の方がバカにならない。

 ただ、今回はそれだけで終わったワケじゃなく、シートロックが元通りに使えるように直さなければならない。シートが開いてしまえば自分でも出来る作業だとは思ったが、そこは、お付き合いも大切に。毎回毎回パーツの取り寄せぐらいしかお願いしない“儲からない客”。こんな時ぐらいは、とホンダドリーム店さんに引き続き作業をお願いすることにした。

 ケーブル代はわずか567円! そして交換作業の工賃が3,150円也、のトータル3,717円。ということで一件落着までに計6,217円かかりました。

 年明け早々痛い出費となったが、レッカー代や出張引き取りなどに費用を払っていたかもしれないことを考えれば、意外に安く上がったのではないでしょうか。また、JAFのロードサービスは、任意保険のロードサービスと違ってマシン個々への契約ではなく、ユーザー単位での契約、というところが使えるポイントだと実感。二輪車へのサービス拡大は、実にありがたい改革だった、と身をもって体験した次第。

 ホンダドリーム店さんともどもありがとうございました。

(小宮山幸雄)


小宮山幸雄小宮山幸雄

“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は“閼伽の本人”。


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