2017年7月20日 

■40周年記念大会は盛り上がること確実! 真夏の祭典「“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース」第2回公開テスト・レポート

 7月11日から13日までの3日間、三重県の鈴鹿サーキットで、「2017 FIM世界耐久選手権シリーズ “コカ·コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース』の公開合同テストが開催された。7月27日からの決勝ウィーク(30日の日曜日が本番)前の最後となる合同テストとなるため、多くのチームが参加した。

 11日(火)の初日は午後からA/Bグループに分かれ45分、75分という2回ずつのセッションをこなし、18時30分からはA/Bが同時に70分のナイトセッションに挑んだ。梅雨明けは発表されていなかったが、真夏を感じさせる日差しの強い晴れで、気温も路面温度も上昇。

 この日のトップタイムはMuSASHi RT HARC-PRO.Honda。全日本のJSB1000クラスから新型マシンをセットアップしてきた高橋 巧が2分07秒783を2回目のセッションで記録した。前回のテスト同様、高橋 巧、中上貴晶、ジャック・ミラーの3人が揃って参加。セッション2で中上貴晶がスプーンで転ぶアクシデントもあったが、すぐに修復してコースに戻った。ホンダの有力チームのライダーが、新型のホンダCBR1000RR SP2は速くポテンシャルが高いと口を揃えて言っていたことをタイムで証明した。


新型CBR1000RR SPを駆り2分07秒783のタイムを叩きだした高橋 巧(MuSASHi RT HARC-PRO.Honda)。



高橋 巧のチームメイトはMoto2で絶好調の中上貴晶。スプーンで転ぶアクシデントもあったが大事には至らなかった。 MuSASHi RT HARC-PRO.Hondaのもうひとりのライダーは、MotoGP参戦中のジャック・ミラーだ。


 前回の公開テスト(http://www.mr-bike.jp/?p=131882)に姿を見せなかったYAMAHA FACTORY RACING TEAMのヤマハYZF-R1が、トップから0.343秒遅れの2分08秒126で初日の総合2番手につけた。ラグナ・セカで開催されたスーパーバイク世界選手権を終えてマイケル・ファン・デル・マーク、アレックス・ローズの両選手が鈴鹿に駆けつけライダー3人が並んだ。日本に来たばかりのマイケルとアレックスは様子を見ながら9秒台に入れてきた。この2番手タイムは精力的に走行していた中須賀克行が最初のセッションで記録。彼はセッション2でもそれに近いタイムで走った。


7月5日~6日の第1回公開テストには参加しなかったYAMAHA FACTORY RACING TEAM。8耐3連勝を狙う中須賀克行+ヤマハYZF-R1が2番手の2分08秒126のタイムを記録。



マイケル・ファン・デル・マークはラグナセカで行われたスーパーバイク世界選手権から直行で鈴鹿へ。 テストならではの雑然としたピット風景。本番ではきちっとパーテーションが組まれて、文字通り“ヤマハが美しい”となるのです。


 3番手は、YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGのエースライダーである津田拓也がこちらも新型になるスズキGSX-R1000を2分08秒179で走らせた。MotoGPやスーパーバイク世界選手権を走った経験豊富な、シルバン・ギュントーリと津田選手、そして3年目になるジョシュ・ブルックスがチームメイトだ。


YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGのライダー、シルバン・ギュントーリ。MotoGPやスーパーバイク世界選手権を戦ったベテラン・ライダーだ。


 4番手に、MuSASHi RT HARC-PRO.Hondaのもう1台、5番手はKawasaki Team GREENのZX-10RR(渡辺一馬/レオン・ハスラム/アズラン・シャー・カマルザマン)。最後のナイトセッションでは夜間走行に必要なヘッドライトやゼッケンの点灯チェックなどを行いながら、日が落ちたコースを走行。このナイトセッションのトップタイム(2分08秒502)はMuSASHi RT HARC-PRO.Hondaのジャック・ミラー選手だった。


Kawasaki Team GREENは5番手のタイム。ZX-10RRとレオン・ハスラム。



Kawasaki Team GREENで初の8耐になる渡辺一馬選手、昨年まではホンダで8耐にも参戦経験があります。レオン、アズランとの息もぴったり。 ジャック・ミラー(MuSASHi RT HARC-PRO.Honda)はホントに愛想がいいんです。ピット裏のサインも丁寧に応じていた。沢山話しかけてほしい。


突然の豪雨にたたずむ野佐根航太。今季はYART YAMAHAのライダーとしてWEC(世界耐久選手権)にレギュラー参戦。また全日本ではJSB初優勝を果たした。

 12日(水)の合同テスト2日目は、AとB各グループ朝9時からお昼にかけて40分が2回、午後から90分の走行。雨予報も出ていたが、午前中のセッションは晴れ。しかしBグループが先に走る3本目の途中で黒い雲が迫り雷をともなった豪雨で赤旗中断。雨は弱まりセッションが再開されたが路面はフルウェット。Bグループ全チームではないが、レインタイヤでの走行をテストするために周回を重ねた。15時45分からのAグループになって雨は上がり路面は徐々に乾いてきたがドライとは言えない状態。

 トップタイムは、F.C.C. TSR Honda。この日からテストにステファン・ブラドルが参加しドミニク・エガーター、ランディ・ドゥ・プニエと合流。トップタイムはドミニク・エガーターが雨が降り出す前に出した2分07秒700。このタイムがF.C.C. TSR Honda の3日間での最速になった。2番手はYOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGが最初のセションで出した2分07秒954。3番手は同じく最初のセッションで2分08秒039をアレックス・ローズ選手が記録したYAMAHA FACTORY RACING TEAM。4番手はKawasaki Team GREEN、5番手はMuSASHi RT HARC-PRO.Honda。


WECに挑戦しているF.C.C. TSR Hondaのドミニク・エガーターがトップタイムの2分07秒700を記録。



YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGのギュントーリ(右)とブルックス(左)。 アレックス・ローズ(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)はレオン・ハスラム(Kawasaki Team GREEN)とは仲良しで、家も近くてトレーニングも一緒に行うという。


 テスト最終日の13日(木)は太陽が照らす暑い日が戻った。雨は終日降らず路面はドライコンディション。セッションのスケジュールは順番が入れ替わり、グループAが先行ながら朝9時からお昼にかけて40分が2回、午後から90分というのは前日と同じ。この日のトップタイムは、最後のセッションでピレリの新品タイヤを履いてコースに飛び出したMORIWAKI MOTUL RACINGの高橋裕紀が出した2分07秒346だった。ここにきて9年ぶりに8耐に帰ってきたモリワキが前に出てきた。チームメイトの清成龍一も2分08秒094ともう少しで8秒を切る勢い。この日2回目のセッションでは、高橋裕紀と清成龍一が2分08秒557という千分の1秒まで同じタイムで並んでモリワキピットが盛り上がった。自らリザーブライダーと話すイギリス人ライダー、ダン・リンフットも2日目にCBR1000RR モリワキ改で鈴鹿を初走行していた。


9年振りに8耐に帰ってきたMORIWAKI MOTUL RACING。清成龍一と高橋裕紀のベテラン・コンビだ。



高橋裕紀の走りを見つめる清成龍一。二人とも全日本JSBクラスに参戦。8耐にはモリワキは長期離脱していたため、トライアウト(事前の地方予選)からのスタートとなった。 お馴染みのモリワキ・カラーで帰ってきたMORIWAKI MOTUL RACINGのCBR1000RR モリワキ改。


40周年記念ということで奪還をねらうMuSASHi RT HARC-PRO.Hondaのピットは、常に緊張感が溢れている。

 2番手はホンダ勢の最有力チームであるMuSASHi RT HARC-PRO.Honda。高橋 巧が最後のセッションで2分07秒592。3番手にはニュータイヤで走った中須賀克行が2分07秒603を出したYAMAHA FACTORY RACING TEAM。

 公開テスト3日間の総合結果1位は、なんと復活のMORIWAKI MOTUL RACING。2位はMuSASHi RT HARC-PRO.Honda。3位はYAMAHA FACTORY RACING TEAM。4位はF.C.C. TSR Honda。5位はKawasaki Team GREENだった。昨年のポールポジションタイムと照らし合わせると、まだまだ一発のタイムは縮まりそうだが、3日間すべて首位となった新型のホンダCBRと、他のメーカーとの全体的なタイム差は小さく肉薄した様子で、決勝への期待が膨らむ。40周年記念大会は盛り上がりそうだ。

(写真:楠堂亜希)



鈴鹿8時間耐久はWEC(世界耐久選手権)の最終戦でもある。タイトル争いをしているSERTとGMT94。どちらか前でゴールしたチームがチャンピオンとなる。 #71加賀山(Team KAGAYAMA)、#12ジョシュ(YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING)、#5ドミニク(F.C.C.TSR Honda)のまるでレースのようなアタック。


Team KAGAYAMA は浦本修充(なおみち)とMoto2ライダーのハフィス・シャリーンを起用。ハフィスは鈴鹿経験こそ浅いが「さすがMoto2ライダー!」と加賀山も太鼓判を押す。 WECで優勝争いをしているSERTに大抜擢の濱原颯道(そうどう)。一躍、時の人になっていますが、全く緊張はしていないらしい。キャラクターTシャツがとても可愛いのでチェックしてみてください。


Kawasaki Team GREENはレオン・ハスラムをメインに若手の渡辺一馬(一樹じゃないよ)アズランは実はホンダ時代2013年には6位入賞、2011年の4耐で優勝経験もあるのです。 テルル・コハラレーシングはmoto2参戦の長島哲太とWSS参戦中の大久保光、そして秋吉耕祐。エンジントラブルによりピットインでも気持ちの切り替えはプロです、この笑顔。


阪神ライディングスクールはストックでの参戦、Kawasaki Team GREENのルーキー松﨑克哉とベテラン西島修、そして柳川 明のタッグ。このクラスはタイヤ制限などかなり厳しいレギュレーションとなっており、選手本来のポテンシャルを引き出せるかどうか。 お昼休みに行われた、柳川明のサプライズ・バースデー。


Kawasaki Team GREENの藤原克昭コーチは新人・松﨑を心配してか阪神のピットの様子もよく見に来ていた。柳川と2人でモニターを見つめる。 EVA RT初号機WEBIKE TRICKSTARの井筒仁康。


BMWが全面的にサポートすることになった酒井大作率いるモトラッド39。 古巣RS-ITOHからエントリーの渡辺一樹はワールドスーパースポーツ参戦中。


山口辰也率いるTOHOレーシングのオーディションを勝ち抜いたのは岩戸亮介(写真左)。

生形秀之選手は自前のチーム・S-PULSE DREAM RACING IAIを結成して参戦、Moto2のマーセル・シュロッターを起用。


シーズン前のテストでアントニー・デラールを亡くすという悲劇を負ったSERTは濱原とヴァンサン、マッソンの3人で世界チャンピオンを狙う。 すっかり人気者になったドミニク・エガーター(F.C.C. TSR Honda)、暑さにはまだ慣れない様子で上気した顔に汗びっしょり。


ポジション合わせのドミニク。意外とあっさり「OK!」って感じでした。 ホンダのサプライヤーチームで構成されるSUPチームの助っ人ライダーはグレッグ・ブラック。BSB参戦中。


桜井ホンダの助っ人外国人はスタファー(左)とオハローラン(右)。 汗もしたたるいい男、ランディ・ドゥ・プニエ(F.C.C. TSR Honda)の裸ツナギも見どころですよ奥さん……by 楠堂亜希カメ。


自光式ゼッケンになり、ライトオンからのバイクの確認がしやすくなった。 ナイトラン終了後のレオン・ハスラムのヘルメットには虫がいっぱい! コースはこんなに障害物だらけなのです。


ライダーのコメントを聞き、熱の入ったディスカッションが続くモリワキのピット。森脇護さんにはまだまだ現役でいてほしい! モリワキをここまで引っ張った高橋裕紀。暑いピット内でもずっとヘルメットを脱がずに緊張感を保っていた。