幻立喰・ソ

第85回「記憶喪失型幻立喰・ソ」

 
 朝起きてテレビ欄を見ながら「この番組おもしろそうだなあ」と、新聞をたたんだ瞬間に記憶から消去されてしまい、番組の録画予約をしないで会社へレッツらゴ〜!(うかれて行く所でもありませんが)。るんるんるんと帰宅後、突然記憶が復活、「何で録画されてないの?」となるわけです。もし録画されていたらそのほうが恐ろしいのですが。
 翌朝新聞を見ながら、「あっ! 昨日は予約してなかったんだ。てへへ」と、最初の記憶が復活し、かわいくぺろっと舌を出します。そして「今日は予約して〜っと」と、前日同様、再び記憶喪失(※以下繰り返し)。
「それは盛りすぎだろ」と警告されそうですが、残念ながら実話です。でも、録画したことすら忘れている番組もたくさんありますから、ウィンウィンですよね(何かが)。

 ここからがボケ自慢の本題です。
 このところ立て続けに幻立喰・ソが増えています。本来なら「ネタが増えた」と内心ほくほくするところでしょうが、未食だったり、記憶がおぼろげだったりで、ほくほくどころか、しくしくです。当たり前です。幻立喰・ソになって喜ぶような反路麺主義者には「ごめんね〜春菊終わっちゃった」と立喰・ソ神のバチが当たるでしょう。しかし、旗の台のだし家が幻立喰・ソになってしまうとは……まさに晴天の霹靂でした。旗の台のだし家。そんなに頻繁には訪問できませんでした。こんなことならもっと行っておけば……毎度の事ながら、幻立喰・ソ、先に立たずです。


だし家

だし家
東急大井町線旗の台駅東口直近にあっただし家。師匠の名著「ちょっとそばでも」にも紹介された名店です。つゆをひとくち口にふくめば「だし家」の屋号を瞬時に理解できました。しかも安い! わたしの大好物、紅しょうが天は絶品でありましたが、残念ながら2017年7月31日、ご主人の体調がよろしくないとのことで幻立喰・ソに。どうぞお大事になさってくださいませ。(2005年12月撮影)

 
 すみません、あまりのショックに記憶が飛んでしまいました(←至極便利な方便)。話を戻してボケ自慢です。
 立喰・ソ帖(わたしの立喰・ソ行脚記録)をぱらぱら見ていると、ちゃんと記録も、写真もちゃんとあるのに(ちゃんとした記録と、ちゃんとした写真があるという意味ではありません)、どんなお店で、どんなおやっさんorおばちゃんがいて、どんな味だったのか記憶にない幻立喰・ソがちらほら。

「おいおい、このネタ前にもやったんじゃねーの? ボケたふりして」と、呆れ顔の神読者様がいらっしゃるとは思えませんが、ウソはいけません。交通費や印刷費をごまかす政治家じゃないんだから。1745年(頃)桜の木を切って、いろいろあって大統領になったワシントンには及びませんが、正直に告白します、すでに第69回でやりました。
 冒頭で記したように、朝からボケボケですから許してください(もちろん伏線どころか複々線です。蒲生信号所の冒進には要注意←鉄は笑え! 笑い事ではないけれど)。大森駅南口にあった赤乃れんや、代々木駅前にあった笠置そば代々木店を「まるで記憶に残っていない」と再び持ち出すような、一線を越えるような度胸はないのでご安心ください。

 では参ります。この先の展開を思うと、参る(行くの意)前に、参って(一本取られたの意)しまいそうです(←同じ漢字だと、ボケも一苦労。ボケているのに。しつこいですか?)。

 お待たせいたしました。トップバッターの記憶喪失幻立喰・ソは「夢吉」です。かの三笑亭夢丸師匠が、二ツ目昇進の時に春夢から改名したあの有名な夢吉と同名の幻立喰・ソです(もちろんウィキ先生からフルパクです。以下動)。それはさておき一枚しか撮っていない、しかも夜という、なんともやりきれない写真しかありませんが、電柱の看板を頼りに推測しますと、なんと池袋西口五差路で24時間がんばる大有名店K塚のちょっと先、現在セブンイレブン隣の非常階段のあたりにあったのではないかと思われます。立喰・ソ帖には、「ラーメンだけではなくチャーハンとか定食もあった。ねぎが無駄に多い」と記がありました。第82回で告白したように、ネギ大好きな私のはずなのに? 某国の61398部隊がハッキングして記録したという疑いも否めません。


夢吉

夢吉
夢吉です。すでにデジカメ時代なのに店舗とソを1枚づつしか撮っていません。もっとちゃんと撮っておけよな、俺。たまねぎ天そばを食べたらしいです。ネギたっぷりでうまそうです。後ろに写っている3つの調味料が中華っぽいです。(2005年12月撮影)

 
 お次は「福寿そば(錦町店)」です。「ふくじゅそば」でいいんでしょうか。4フィート6インチでおなじみ京王線の笹塚駅前にあった、細くて薄暗い地味ながらおいしかったけど、いつの間にあの大チェーン店名代Fそばになってしまった笹塚駅前にあったかの福寿草から草を刈ったような名称の幻立喰・ソです。錦町店というくらいですから、他にもあったんでしょうか。チェーン店っぽい雰囲気がぷんぷん出ていますが聞いたことありません。検索したら浜松町にもあったようです。こちらは未食どころか見たこともありません。後に同名ですが無関係だったんですよと、師匠筋の情報通某氏が教えくれました。この某氏、ネット全盛時代にもかかわらず、まだネットに出ていない立喰・ソを見つけるとんでもない方なんです。ありがとうございました。教えていただいてばかりでは気が引けまくりなので、写真に写っていた電柱の住所を調べてみたら(誰でも出来ることですが)、現在はこれまた有名なY太郎になっていました。



福寿そば


福寿そば
福寿そば(錦町店)です。珍しくとろろめし天ぷらそばなんて贅沢品を食べたようです。もちろん全く記憶にございません。立喰・ソ帖には、「おなかいっぱい」との記述のみ。アホですな。まあ、これも特に珍しいことではありません。2011年頃幻立喰・ソになってしまったようです。(2003年撮影)

 
 最後は「ひまわり亭」です。バブル華やかなころ、某保険会社が58億円で落札して話題になった、かのゴッホの作品と同名の幻立喰・ソです。神保町の超有名なとんかつのIもやの角を曲がったすぐ先です。写真を見れば一目瞭然、今も健在な大人の本屋さんが2階にある所で、現在は焼き鳥屋になっているようです。学生の街ということで、ボリュームたっぷりなセットメニューが豊富と記述がありました。お弁当屋さん併設の立喰・ソはありますが、弁当屋さんでもないのに、のり弁を出すところは珍しいんじゃないでしょうか。しかしなぜ立喰・ソでのり弁をオーダーしたのか、謎は深まるばかりです。



ひまわり


ひまわり
ひまわり亭です。のり弁セット(冷)が450円。安いですね。よく見るとのり弁に鶏の唐揚げ状のものが見えます。本当に私が食べたんでしょうか?(2005年撮影)

 
 そうそう、神保町と言えば忘れられないのに、忘れているカレー屋さんの「ワイワイ」(YYだったかも)。カツカレーが大盛りで安くて、店長のおにいさんがものすごく無愛想だったことは克明に覚えているのですが、場所、店構、味という肝心の部分は全喪失。堕落浪人時代を過ごした神保町の思い出は、トルコライスのような若者のストマックを大喜びさせる安くて炭水化物と揚げ物祭りの「定食」というメニューがあった雀荘。どこかの2階にありました。ペペロンチーノを初めて食べ「具もないのに高い!」と思いながらはまってしまったプラージュという喫茶店もありました。忘れちゃいけないけれど、店内雰囲気以外すべて忘れている「みよし」(読み返して驚くかと思えば、つまらなさは変わっていない第3回参照)になる前にあった立喰・ソ。せめて名前くらいは思い出したいのですが……これらの飲食店は本来は勉強している時間に入り浸っていました。おかげでこのありさま。もう少しまじめに勉強していれば、と後悔してます(少しでは焼け石に水どころか、溶鉱炉に目薬です)。
 立喰・ソ神に「あの頃の神保町へ戻してください」とお願いしても、勉強なんぞしないで、芳賀書店に直行は間違いありません。同じ事を繰り返す自信満々です。でも、ワイワイと雀荘とプラージュの場所くらいはメモして、おきたいと思います(何かの役に立つとは思えませんけど)。

 記憶喪失型幻立喰・ソ、みなさまの心の中とか頭の中とか忘却の彼方とかにもきっとあることでしょう。
 秋の夜長に、どんな立喰・ソだったか、立喰・ソでもすすりつつ思い出してみてください。なーんてね、思い出せないから記憶喪失型幻立喰・ソでしたね。ははは。
 と、あやふやに終了。また来月会えるでしょうか……数々の後始末、師匠なんとかなりませんでしょうか(希望的観測)。

●立喰・ソNEWS 2017 
今年はどうだったんでしょうか?

「どうかしてるぜ」というギャグがありましたが、それを地で行くのが、たのもしい24時間ほぼ年中無休、日暮里の大有名店「一由」の創業感謝祭。9回目の今年は8月26、27日に開催されました。

すでに皆さんはご存じでしょうから、驚くわけもないのですが。知らない人にとっては驚愕の2日間。そば、うどんが無料、つまりトッピング代のみ。かけならもちろん0円! です。スマイル0円なんて、おためごかしじゃありません。ちなみに、ちょっと前は1週間ぶっ続けで無料という、正気の沙汰とは思えない状態でしたから。それに比べればかわいいもんじゃないかとも、思わなくもないですが、思えません。残念ながらといいますか、なんか悪いような気がして行けませんでしたが、たっぷりと盛況だったようです。おつかれさまでした!



一由

バソ
バ☆ソ
日本全国立ち喰いそば全店制覇を目論む立ち喰いそば人。やっと1000店以上のデータを収集したものの、ただ行って食べるだけで、たいして役に立たない。立ち喰いそば屋経営を目論むも、先立つものも腕も知識も人望もなく断念。で、立ち喰いそば屋を経営ではなく、立ち喰いそば屋そのものになろうとしたが「妖怪・立ち喰いそば屋人間」になってしまうので泣く泣く断念。世間的には3本くらいネジがたりない人と評価されている。一番の心配事はそばアレルギーになったらどうしよう……。


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