RIDE AFRICA TWIN INTERNATIONAL 2017 ゲーム、チーム、友情。北海道で醸成された仲間達。

●文−松井 勉
●撮影ーライドアフリカツイン実行委員会

2017年8月。プレイベントとして行われた『ライド アフリカツイン インターナショナル』。ニセコから留寿都、日高を巡り、北上をして目指したのは最北端、宗谷岬。ルートすらゲームとして課せられた9名の参加者は連日、20度にも満たない雨模様の中、ホンダCRF1000Lアフリカツインを走らせ続けたのである。

 イギリス、カナダ、フランスそして日本。9名のライダー達が夏の北海道へと向かった。ある者は苫小牧、ある者は小樽、そして函館から北海道に上陸し、集合の地として指定されたニセコのドミトリーへと集まった。

 こんなにオフロード性能が高いのなら、世界のアフリカツイン乗りを集め、このバイクの故郷、日本でアドベンチャーツアーをしたいね。そんな発想が転がり出したのは、CRF1000Lアフリカツインのメディアローンチが行われた2016年2月、福島のオフロードパークでのことだった。
 その後、『RIDE AFRICA TWIN』というカタチになり、ギャザリングイベントとして昨年9月に開催され、それは今年7月には二度目のイベントをホンダや日本のモータースポーツの歴史とも縁の深い群馬県の北軽井沢、浅間山の麓に拡がるエリアで行うことができた。
 ユーザーと造り手を結び、ライダー同士、家族同伴でも楽しむ時間を共有しよう。そんな主旨のギャザリングイベントは、今年も100名を越す参加者が集まった。
 そして走る楽しさとゲーム性を加えた『RIDE AFRICA TWIN INTERNATIONAL』が始まった。本格始動を2018年に見据え、今回はプレ開催としながら、内外から9名のライダーが参加し、北海道を舞台に行われたのだ。

 8月10日、ニセコのドミトリーに集まったエントラントはさっそくこれから何処へ行くのか、何をするのかというブリーフィングを受ける。目的地など子細なアナウンスはないが、13日に稚内に行くらしいことは、手渡されたGPSの緯度経度などからはかり知る事ができる。
 エントラントには、コールマンからテント、シュラフ、シュラフマット、ランタンが。サインハウスからBluetoothのインカムSB5Xが。また、アドベンチャー系ライダーが多く装着しているワイアーレス式タイヤ空気圧モニター“エアモニバイク”、バッテリー上がり時にジャンプスタートも可能なモバイルバッテリー“ボルトマジック”なる携帯バッテリーなどが協賛各社から支給された。
 もちろん、これらはお土産などではなく、今会期中実際に使うコトになるものばかりだった。あとで解ったのだが、これらもゲームと密接かつ有機的に関わっていたのだ。

 ここで9名の参加者を紹介しておこう。ゼッケン順に……。

#1 三橋 淳 
 ナイスガイ(笑)。ラリードライバーとしてダカールで数多くのクラスウインを飾った一人。元々2輪のジャーナリストから転身した経歴を持つ腕前は世界レベルのオフロードライダーでもある。

#2 Stephanie Rowe ステファニー・ロウ イギリス
 笑顔がステキな彼女は小柄で決してアドベンチャーバイクを軽々と乗りこなすような人には見えないが、どんな場面でもスムーズにバイクを操るライダーだ。BMWモトラッドの公認インストラクターも務める腕前。

#3 武部国政
 このイベントに参加するためにCRF1000Lアフリカツインを購入し、自宅のある富山からニセコまでが慣らし運転だったそうだ。XRV650アフリカツイン他、BMWのGS系などアドベンチャーバイクを数台所有するバイク好き。オフロードでは元モトクロスライダーらしいアグレッシブな走りを見せる。

#4 水谷太郎 
 愛知県でカーセキュリティー用品を販売するプロテクタ(http://www.pro-tecta.com/)を経営する彼は、イベントへの協力者の一人。8月からドイツのアドベンチャーバイク用アフターパーツブランド、“ツアラテック”の新しいディストリビューターも務める。9月17日には神奈川の相模原でツアラテックジャパン(https://www.touratechjapan.com/)のショールームをオープンさせた。エンデューロライダーでもあり大きなバイクを軽々走らせる腕前を持つ。

#5 Vinsent Biau ヴィンセント・ボウ フランス 
 フランス人の彼はステファニーとともにアフリカツインを走らせ、東京からニセコまでツーリングを楽しんだ。今回のイベントではムードメーカー的な存在。毎日の出来事を動画にまとめYouTubeにアップしていたのも彼だ。

#6 大和芳隆 
 東北、宮城から来た彼は自らのアフリカツイン等で今後、大人のアドベンチャーツーリングをプラン、ガイドするMotorada(http://motorada.com/)を主宰する。東北の面白い場所、地元ならではの場所へ誘うツアーを鋭意用意する。エンデューロの世界的な大会でもあるISDEへの参加経験も持つ。

#7松井 勉 
 私です。

#8 Lawrence Hacking ローレンス・ハッキング カナダ
 カナダ人のジャーナリスト。2001年のダカールラリーへの参加ほか、ISDEやバハ1000などへの参加経験を持つなど、オフロードレジェンドの一人。現在63歳。しなやかな感性と視点、優しさを持った人。毎朝ヨガで体をリフレッシュ。走りに全く陰りがない。昨年はアフリカツインでバハラリーへも参加し完走している。温泉好きでもある。

#9 小島裕太 
 昨年、R1200GSからDCTのアフリカツインに乗り換えた。浅間の『RIDE AFRICA TWIN』ではマスター・オブ・アフリカツインにも参加。見事なメンテナンススキルと走りを披露した。メンテナンススキルが問われたリアタイヤを装着するゲームで、センタースタンドを装備しない彼のバイクだが、アフリカツインを横倒しにし、ホイールを装着。その後、ヒョイとバイクを原付のごとく起こした速度に会場からどよめきが起こったパワーの持ち主。

 そして3名ずつのチーム編成はシンプルにゼッケン順。
#1~#3がTeam Big Deer
#4~#6がTeam North Cape
#7~#9はTeam Grizzly
 鹿に、北の岬に、灰色熊。なんとなく北海道の大自然を連想するネーミングの各チーム、そして僕・松井、ローレンス、小島組はチーム・グリズリーである。このリポートはチーム・グリズリーを通して見たイベントのリポートなのである。

 ドミトリーでのブリーフィング後、夕食もチーム毎にテーブルを囲み、ちょっとまだ固いムードを解きほぐす親睦会が始まった。
 それにしても、海外から来たライダーを含むチーム編成は刺激的。コミュニケーションに不思議な積極性が出る。何処で生まれた、最初に乗ったバイクは? 等々、ありきたりな会話から意外な話題も飛び出す。ダカールラリーへの参戦が同期だったという三橋淳とローレンスさん。しかも同じホンダXR650Rベースのマシンだったこともあり、ラリー中、パーツの貸し借りをして助け合ったそうだ。これはプライベーターならでは。
 三橋曰く「ローレンスさんは2001年から全く変わっていない」というその発言に微妙な顔をするローレンスさんだが「ま、若い頃から老け顔だったんだよね」的なコトを言って笑いに代える。
 翌日からの3日間はどんな展開になるのか、想像もつかぬまま夜は更けた。唯一解っているのは、この会期中、明日の昼まではナントカ天気は持つ。が、その後全道的に天気は下り坂。伊豆沖でグルグルと迷走を続けた台風が北上し温帯低気圧となったが、その影響が北の大地に及びそうなのだ。



さあ、3日間の始まり。まずはコンボイで留寿都まで移動する。アフリカツイン独特の音に包まれながら一団は移動する。気温19度、かろうじて雨は上がっているが、路面はセミウエットな状況だ


ライドアフリカツインインターナショナルの仕掛け人。赤シャツはエンデューロ専門誌編集長であり、大会の代表である春木久史。白シャツはエントリーなどイベントをサポートするJECプロモーションの中西悟。ライドアフリカツインでもお馴染みのスタッフ。ここで何のゲームをするか密談中
さあ、3日間の始まり。まずはコンボイで留寿都まで移動する。アフリカツイン独特の音に包まれながら一団は移動する。気温19度、かろうじて雨は上がっているが、路面はセミウエットな状況だ。 ライドアフリカツインインターナショナルの仕掛け人。赤シャツはエンデューロ専門誌編集長であり、大会の代表である春木久史。白シャツはエントリーなどイベントをサポートするJECプロモーションの中西悟。ライドアフリカツインでもお馴染みのスタッフ。ここで何のゲームをするか密談中。

DAY 1 決戦の場は留寿都

 ドミトリーの前に並んだアフリカツイン。おそらく綺麗な姿も今が見納め。出発前に記念撮影を済ませ、僕達はオフィシャルが運転するクルマに続いて走りだした。9台のアフリカツインがコンボイを組むとやっぱり壮観。目指すのは留寿都にあるビッグベアというオフロードコース。一団はそれぞれとの間合いをとりながら走る。

 今日のメニューは、そのコースでゲームをして、そこからダート路30数キロを含む一般道をロードブックを頼りにツーリングをし、そしてスタート地点のドミトリーに戻る、というもの。
 途中、ガソリンを補給するなどして小一時間ほどでビッグベアに到着。全日本モトクロスも開催されたことがあるこのオフロードコースにして、まるで自然の中に出来たトレールを自由に走れるような場所。アメリカで体験したオープンエリアのような場所だ。丘のような斜面を登り高度が上がって振り返ると、北海道的な風景が拡がるとてもステキな場所だ。

 最初のゲームはナビゲーションオリエンテーリングだ。3チーム毎に異なるGSPポイント4箇所を指定され、その場所にある各チームのマークを回収、その中の一つ、カメラマークのところでは、チームの2名以上で写真を撮影し、持ち帰る事。それがルール。そして、スタートからどのチームが一番早く3名揃ってスタート地点にもどれるか、そこまでの時間を競う。

 与えられたGPSポイント(つまりは緯度経度)を入力し、そのポイントに向かう戦略を練る。ポイント4箇所+写真ポイントだ。スマホでもハンドヘルドのGPSでも良いのだが、打ち込んだ場所をグーグルアースで見てみると、スタート地点を中心に正三角形のように配置されているのが解った。
「ここは僕達が来るまでに通った道だね。ここは簡単だから私が行ってくる。上の二つはキミ達で頼む」とローレンスさん。
「オッケー。そうしたら、ポイントを取ったら、写真ポイントへは3人揃って行こう。僕達は3つのマーカーを採ったら、一度、スタート地点で集合、それから揃って写真ポイントに行こう」とは僕。
  見た感じ、スマホでグーグルアースなりマップの衛星写真を見るのが俯瞰できて一番解りやすいし(とその時は思った)なんだか楽勝に思えた。そう判断した小島と僕は、アフリカツインをビッグベアのコースに向けて走りだした。
 なのだが……。

 実は、俯瞰した図と、現在地で何処を向いているのかが解らず、最初の5分は、その方向を見定めることに費やすことになる。ああ、ハンドヘルドのGPSなら方向を矢印で指してくれるから面倒がらず、ソチラにも入力すべきだった、と思っても後の祭り。ピンチアウトしてみたりして、ナントか現状把握につとめるが、どのチームも似たような戦略なのだろう。この場所を知らないチームとこのコースを知るチームでスタート直後から差が出たように思う。知らない組の僕達は大きく動いて、スマホを見る。あれ、もっと右だね、と補正しながらマーカーににじり寄る作戦だ(というか、そうしないと何処を向けば正しいのかが解らなかった)。
 俯瞰した写真に見えるコース、今自分がいるコースが一致せず、こっちの轍の先にあるはず……と辿ると、スマホの画面にあるマーカーの方向と微妙にずれる。あ、こっちじゃない! 一つ上のトレールだ! そのトレールへのアクセスを探して、直線距離だとすぐに違いないのに、山肌は無情にも遠回りをさせる。

 しまった、これはバイクで行くのが早いか、歩いて行くのが早いか、どこのタイミングで最善を決断できるか、を判断するゲームだったんだ!
 それでも、スマホ画面は目と鼻の先にマーカーがあることを告げる。行ける!
 最初の二つはそれでも近いトレールを探して取れた。距離が近かったのだ。しかし、最後の一つは直線距離でも数百メートルある。方角を見定めて進むと、エンデューロバイク用のルートに迷いこんだのだ。さらに細くなったトレール。これは怪しい。その先に20メートルはありそうな滑り台級の下り坂が現れた。その前で一瞬止まって考えた。マーカーはすぐそこ。あと200メートルぐらいだろう。エイ! っと下ろうとした。
 が、冷静に考える。下るということは必ず登るはず。コレ級の上りはアフリカツインでは絶対に這い上がれない。
「ゆうたさん(小島さんのことをチームではそう呼んだ)、歩こう!」
「そのほうが安全ですね!」
 滑るように急坂を下ると、その先にはキャンバーとアップダウンの展示場のようなルートが待っていた。濡れた黒土から露出した木の根、助走のない上りアプローチにカーブもそれが組み合わされる。フロントアップしないと越えられないクレバスもある。
 あそこで下ったら、それこそ進路も退路も断たれていた。
 実は迷い込んだトレールは、本ルートにアクセスする山側のエンデューロ向け難所ルートだった。そう、僕達は素直に本ルートを行けば良かったのだが、空から見たトレールは、どこも平面図。この道がマーカーに順調に近づく近道だったのだ。高低差まで解らない航空写真の罠。うーん、手強い。

 
 結局、歩くこと数分。山道を登り下りしながらマーカーをもぎ取った。そこからアフリカツインを停めた坂の上まで再び歩く。途中で見たのは「熊の糞だよね」という物体。自然と声が大きくなる。やっとのことで急坂を登り、アフリカツインをシングルトラックの上でフーフー言いながらUターンさせた。
 実は2つめのマーカーを採ったすぐそばにカメラポイントがあり、抑えに二人で写真を撮っておいた。宿題を終えた二人はスタート地点を目指す。

 
 スタート地点に戻ると、とっくに戻っていたローレンスさんが、戻らぬ僕達を案じていた。一通り、起こった物語を話す。これは途中歩いたロスで3チーム中最下位かと思ったら、僕達は2位だった。3位のチームは、同じようにバイクで探し、迷い、戻る道をロスして迷った、というおまけ付きだったそうだ。
 他力本願の2位、ま、ちょっと嬉しい。



初日、3つめのゲームの終着点、橇負山からの眺め。麓のパッチワークが印象的な農地、そして留寿都の家並みが見える


ここが橇負山(そりおいやま)。留寿都の町並を眺め下ろす場所。チームビッグディアの三名、三橋、ステファニー、そして武部の各氏。3人ともレッド+ホワイト+ブラックのCRFカラーのアフリカツインで、チーム感はもっとも強し。アグレッシブ、戦略的、そしてクレバーなチームでした
初日のランチ後、オフロードコース、ビッグベアにてスラロームコースを設定するオフィシャル。黄色いテントの下が我々のホスピタリティーになっていた。 ここが橇負山(そりおいやま)。留寿都の町並を眺め下ろす場所。チームビッグディアの三名、三橋、ステファニー、そして武部の各氏。3人ともレッド+ホワイト+ブラックのCRFカラーのアフリカツインで、チーム感はもっとも強し。アグレッシブ、戦略的、そしてクレバーなチームでした。


スタート地点となったニセコのドミトリー、NO TRACKS。バックカントリーを楽しむウインタースポーツの宿、というところだ。会場前に陣取るアフリカツイン。後ろに見えるバンは、イベントをサポートしたツアラテックジャパンのクルマ。ランチサービスもこのチームが中心に行った


DAY 1、オリエンテーリングのゲーム中、photoポイントで証拠写真を抑える、松井+裕太さん
スタート地点となったニセコのドミトリー、NO TRACKS。バックカントリーを楽しむウインタースポーツの宿、というところだ。会場前に陣取るアフリカツイン。後ろに見えるバンは、イベントをサポートしたツアラテックジャパンのクルマ。ランチサービスもこのチームが中心に行った。 DAY 1、オリエンテーリングのゲーム中、photoポイントで証拠写真を抑える、松井+裕太さん。

 ゲーム後、それぞれのチームのストーリーを聞きながらランチタイムだ。テーブルと椅子がホップアップテントの中に用意され、グリルでは今まさに香ばしい匂いとジュージューと音を上げているハンバーグだ。5分後、それはバンズに納まり、僕達のテーブルに運ばれてきた。サラダ、スープ、そしてハンバーガー。さらにデザートにアボガドのスムージー。ワイングラスに注がれた葡萄ジュース、という見た目の演出もニクイ。食後のコーヒーもしっかり楽しめた。
 とにかく、暖かいモノを参加者に提供しよう、それがテーマでもあった。気温20度前後だったこともあり、とても有り難く、とても美味しく、そしてリッチな気分で時は流れた。



初日のランチがコチラ。満足度、高し


初日のランチがコチラ。満足度、高し
初日のランチがコチラ。満足度、高し。

DAY 1 ゲーム2は「足し算スラローム」!!

 ランチ後、僕達は二つめのゲームに挑んだ。ランチスペースも置かれた広い草地の駐車場。そこに点在する赤いガーデンチェア。その背もたれには通過したときにチラリと見える場所に紙が貼り付けてあり、数字が書かれている。スタートからゴールまで椅子で造られたコースをスラロームしながらその数字を足し算せよ、というミッションだ。
 朝まで降った雨、赤土と草の土地、各チームの若い番号順に走るというスターティングオーダーだ。1番手スタートの三橋は、華麗な走りをみせるも、かなり滑っている……。
 さらにやっかいなのは、走るコトに意識を寄せすぎるとフトしたキッカケで計算を忘れてしまうという甘い罠もある。僕は3番目スタートだ。
 なにせ、コースマーク代わりに置かれた椅子のうち、10に数字がはりつけられている。コース通りに走り、さらにフィニッシュしたとき、ゴール地点にいるオフィシャルに「答えは21 !」と、小声で言う必要がある。もちろん間違えたら秒数加算ペナルティーがあるから、タイムが遅くなる。
 チームの3名の合算タイムだから、一人一人、責任感と緊張感がハンパ無いのだ。

 僕は前走者達の走りから、アフリカツインのトラクションコントロールやABSをカットしてもさほど旨味が無いことを確認。とにかく、転けずに、スラロームルートを間違えず、冷静に足し算して、と銘じてスタート。なるほど、滑る。加速しない。椅子を回る毎に数字を確認。足した数字は次の数字を見るまで常に唱えておく。4,4,4,4,次3きたから7,7,7,7,と言うように。我ながらベタな作戦だが、なんとかミスコース、足し算も間違い無し。
 豪快に走る、だけならイージーこの上ないが、そこに足し算を加えるだけでこんなにもハラハラするのか! 壮大なロケーション、大好きなバイク、そして小学生レベルの計算に僕達は躍らされている。
 ビンセントは豪快な走りだったが、計算を間違え、天を仰いだ。そして、僕達のチームのローレンスさんが計算を間違えたのを知ると、我がことのように大喜びをしてみせた。
 そんな他愛もないことがオモシロ過ぎだ。



アウトドア製品としてお馴染み、コールマンも大会をサポートした


B+COMのインターコムは、チーム内の情報共有をスムーズにし、ゲームへの戦略などを走りながらでも練ることができた。音質、通話距離もなかなか。電源を落とし、次に使う時も、あらかじめペアリングしているヘッドセット同士は簡単に再接続する事が出来るのも有り難い
アウトドア製品としてお馴染み、コールマンも大会をサポートした。 B+COMのインターコムは、チーム内の情報共有をスムーズにし、ゲームへの戦略などを走りながらでも練ることができた。音質、通話距離もなかなか。電源を落とし、次に使う時も、あらかじめペアリングしているヘッドセット同士は簡単に再接続する事が出来るのも有り難い。

130キロのロードブックトリップに出る。

 2つのゲーム終了後、僕達はロードブックに従って走る移動セクションに出た。留寿都のビッグベアの入口ゲートから始まるルートは、すぐに林道だ。およそ10キロ。北海道らしい起伏とカーブ、そして直線がおり混ざった林道の脇には大きなフキが雨傘のようにひろがり林立する。
 アフリカツインはこうしたルートが大得意。周りの風景がマッチしてこれ以上の歓びがあるのか! という走りを楽しむ。最高の気分だ。
 しかし、気になるのは「皆さんが到着したらルート上で見た事からクイズを出しますから」というタスクだ。コマ図をみながら進むルートブックツーリングで、距離とコマ図の絵柄を読み解きながら走る。ここでは裕太さんと僕はヘッドセットで会話をしながらお互いにコマ図を確認し、進んでいった。

 
 至福のダート、北海道の風景。最高だ。とろけそうな気分でルートを進む。途中、キタキツネ、鹿が林道を横切った。気が付けば、僕達がスタートしたドミトリーを通過し、再びルートは留寿都方向へ。またオフロードコースに戻るのか、と思ったら、ルートは留寿都の街を見下ろす山でフィニッシュだった。橇負山(そりおいやま)だ。スキー場のゲレンデでもあるこの場所から見る下界は素晴らしかった。雨雲がちぎれた雲海のようにたなびく姿はウットリである。

 
 バイクを置いて、チェックポイントに。
 信号のある交差点はいくつだった?
 鉄道の踏切はいくつ越えた?
 林道の数は何本だった?
 等々、一瞬答に詰まりながらも、3人で数字を羅列する。質問開始から全問正解するまでの時間が計られる。
 こうして初日は終わった。スタートしたドミトリーに戻り、その日の夜も揃っての食事。チーム感が出てきたし、チームごとのキャラクターも解ってきた。これは明日からも楽しみだ。(後編へ続く)



今も夢で見そうな美しい林道の風景


おしむらくは天気。でも、みんな相当にハイ。毎日がこんな風景との出会いだった
今も夢で見そうな美しい林道の風景。 おしむらくは天気。でも、みんな相当にハイ。毎日がこんな風景との出会いだった。

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