同期生と祝う60周年 「スーパーカブと素晴らしき仲間たち」展

■撮影:依田 麗
■取材協力:Honda https://www.honda.co.jp/

 初代スーパーカブの発売開始時期は、1958年の夏から秋にかけての間といわれているが、正確な発売日は不明。確証はないものの、世間一般的には8月頃と認識されている。ということで、すでにMBニュース&トピックスでお伝えしたとおり、生誕60周年を記念して2018年8月1日から「スーパーカブと素晴らしき仲間たち展」がホンダウエルカムプラザ青山で開催された。

 今回の展示は、スーパーカブの展示だけではなく、その題名が示すように、スーパーカブと同世代に創業した企業や発売された商品の展示が大きな特徴。
 
 スーパーカブが発売された1958年といえば、第二次世界大戦の敗戦からすでに13年、日本は復興期から成長期へと躍進する時代であり、日本製品、日本企業が次々と世界へ進出していった。そんな時代に生まれた会社、生み出された数々の製品は、高品質な日本のものづくりを世界に知らしめる先兵でもあった。
 工業製品のみならず、食品、玩具、教育など幅広いジャンルの同期生たちは60周年を迎えたわけだが、スーパーカブと同様、練り上げられたコンセプト、妥協することなく追求された高い品質などがあればこそ。

 開催初日の8月1日には、ホンダコレクションホール動態保存走行テスト等でおなじみの元祖ドライダー宮城光さんを司会に、シティカブ(最初のスーパーカブコンセプトモデル)やスーパーカブ(JA07)などのデザインを担当し、現在は本田技術研究所二輪R&Dセンターデザイン開発室室長を務める川和聡さん、スーパーカブを始め乗り物関連の著書も多い三樹書房社長の小林謙一氏をゲストにを迎え、スーパーカブと今回展示された17社の製品との思い出や関わりなどについてのスペシャルトークショーも開催された。

「スーパーカブと素晴らしき仲間たち展」は、2018年8月24日まで、
Hondaウエルカムプラザ青山(東京都港区南青山2-1-1)1階にて開催(8月11日から19日まではHondaウエルカムプラザ青山の休館日のため入場できない)。開館時間は11〜18時で入場は無料。


加藤千明社長

加藤千明社長
ホンダモーターサイクルジャパンの加藤千明社長が、スーパーカブの60周年に至る概要や現状などを簡素に解説。合わせて60周年アニバーサリーモデルも発表された。60周年アニバーサリーモデルの詳細は新車プロファイル2018で。

スペシャルトークショー

スペシャルトークショー
続いて行われたスペシャルトークショー。同期生の各製品のトークでは「僕も公文式やってました」と宮城さん。リールを見て「釣り好きではないのですが、この形は欲しくなりますね」と川和さん。小林さんの著書には、チキンラーメン開発者安藤百福氏インタビューした著書もあるそうだ。 川和さんによる、スーパーカブ60周年アニバーサリーモデルと、話題のスーパーカブシリーズのフラッグシップC125について簡単な解説もおこなわれた。

Biz125

Wave110i
ブラジルで生産されるBiz125(左)とタイで生産されるWave110i(右)も展示。普段あまり目にすることのない海外生産のスーパーカブ。

スーパーカブシリーズ

オーストラリアポストオフィスカブ
はたらくスーパーカブシリーズ、世界で活躍するスーパーカブシリーズとして出前仕様や新聞配達仕様、日本郵便仕様も展示された。 その展示の中には日本初公開? のLEDヘッドライトとなった新型のオーストラリアポストオフィスカブも展示され、カブファンの熱い視線を集めていた。

スーパーカブ、クロスカブ

C70
現行のスーパーカブ、クロスカブはもちろん、5月に開催されたマルマンとのコラボイベントで展示されたスケッチブックカラーや、初代月光仮面が乗ったドリームC70(1957年)も展示。C70といってもスーパーカブシリーズではないのでお間違いのないように。

模型

書籍
スーパーカブ関連の書籍や模型なども数多く展示。初代スーパーカブ大全はおかげさまで完売しましたが、スーパーカブ大全生誕60周年記念改訂版はこちらでも好評発売中!

IRC井上ゴム

エポック社
当時日本では生産されていなかったスーパーカブ用の17インチタイヤを作ってくれたのがIRC井上ゴム。スーパーカブの大ヒットとともに二輪用タイヤ本格生産体制へ。 スーパースター長島茂雄選手がデビューした1958年に創業し、子供の頃に一度は遊んだ現代に続くあのスタイルの野球盤第一号を開発して販売を開始したのはエポック社。

カシオ計算機

キジマ
Gショック(1983年に初代モデル発売)でおなじみのカシオ計算機。世界初の小型電気計算機カシオ14-Aを商品化し、前身である樫尾製作所からカシオ計算機となったのが1957年。 カスタマイズパーツなどでもおなじみ、バイクパーツの総合開発メーカーであるキジマは、スーパーカブの誕生と時を同じく1958年に創業した。

公文

グローブライト
公文式の公文教育研究会は、父親の公文毅氏が考慮した教材で学んだ息子の公氏が同様の手法で多くの子供たちの可能性を伸ばしたいと、1958年事務所を創立したのが始まり。 グローブライトというと、つり好き以外にはあまり知られていないかもしれないが、リールでおなじみ、釣り具のダイワといえば、知っている方も多いことだろう。1958年に創業。

スバス360

月光仮面
小さいながら大人4人が乗れるスバル360が誕生したのも1958年。モノコック構造などの技術面とかわいいスタイリングにより高い評価を受けたエポックメイキングな一台。 テレビ映画の月光仮面がKRテレビ(現在のTBS)で放送開始されたのが1958年2月24日。白いマントをなびかせドリームC70で疾走する姿は、「ヒーローはバイクで」を印象付けた。

インペリアルバイキング

月刊自家用車
いわゆるバイキングスタイルのレストランは、帝国ホテルが1958年8月1日にインペリアルバイキングとしてオープンしたのが最初。今では食べ放題スタイルの代名詞に。 内外出版社の初代社長清田幸雄氏がマニア向けではなく、当時はなかった一般に向けたユーザー密着型の自動車専門誌である月刊自家用車を創刊したのは1959年。

チキンラーメン

ファンタ
誰でも知っている日清食品のチキンラーメンが、世界初のインスタントラーメンとして発売されたのが1958年8月25日。当時は魔法のラーメンとも呼ばれていた。 コカコーラと並んで有名な炭酸飲料水といえばファンタ。1958年から日本で製造販売が開始された。語源はFantasy(空想)やFantastic(素晴らしい)から。

東京タワー

シーチキン
日本一の座は譲ったものの、日本を象徴する、人気の高い電波塔である東京タワーが完成したのは1958年12月。現在のような建設機械のない中でもわずか1年半で作られた。 ツナの缶詰といえばシーチキン。はごろもフーズが製品名として登録したのが1958年。商品をそのまま商品名にするのが当たり前の当時、常識破りのネーミングだった。

マルマン

uni
スーパーカブとのコラボレーションスケッチブックが先日発売されたマルマンの図案スケッチブックが誕生したのも1958年。中学校の水彩画の授業のために開発された。 鉛筆1本10円の時代に、50円という高級鉛筆のuniを三菱鉛筆が発売したのが1958年。世界で唯一を意味するuniqueからその名が付けられた。

モーターサイクリスト

記念撮影
二輪雑誌の老舗、八重洲出版の創業者、酒井文人氏が、今日も続くモーターサイクリスト誌を創刊したのが1958年だった。MCFAJも同年、酒井氏によって設立された。 今回の展示に協賛した各社の関係者も交えて全員で記念撮影。これだけ多くの企業とのコラボを実現することは、並大抵ではできないだろう。これも偉大なスーパーカブだからこそ。